思惟石

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『山魔の如き嗤うもの』今日の読書メモ

2021-06-21 10:03:50 | 日記
一年ちかく前に読んだ本の感想を
おもむろに更新したのはなぜかというと、
三津田信三『山魔の如き嗤うもの』を読んだからです。

ホラーと民俗学とミステリ融合型(もしくは横溝正史型)の
<刀城言耶(とうじょうげんや)>シリーズ第4長編。
ちなみにご本人は「横溝正史ですよね」と言われるのは
不本意らしい。
どう読んでも、現代の横溝正史です。
胸張ったらいいじゃないですか。

今作は、
奥多摩にある神戸(ごうど)地方の忌み山である
乎山(かなやま)が舞台。
山魔(やまんま)伝説や棄老伝説、金鉱にまつわる過去の事件、
何かと失踪する大人たち&こどもたち、等々。

ことの発端は、隣の山村である初戸(はど)の風習
“成人参り”で、乎山に迷い込んだ人物の体験記。

前作の『首無の如き〜』がほとんど作中作で
主人公であるはずの探偵役・刀城言耶の出番がほぼ無かったのに対して、
こちらは探偵が前半から山村に出動して連続殺人に巻き込まれて、
見事な王道である。

テンポ良く進むし伏線っぽい描写もふんだんで
読んでいておもしろい。
犯人はお前だ!と思ったら当たった。
やったー。

一家消失も大体は思った通りだったけど、
その事情や、そもそもの一家の秘密は驚いた。
読んでる間じゅう楽しめた!!

最終的な動機は「心狭すぎじゃろがい!!!」と思ったけど。

舞台は前作の媛首村のすぐ近くなのかな?
事件は、多分、1954年かと。
作中で武田泰淳の『ひかりごけ』(1954初出)の話もあるし。

前作『首無の如き〜』では、
1953年(昭和28年)秋の
言耶と阿武隈川烏先輩がちょっとだけ登場します。
ふたりで媛首村を目指していたところ、
滑万尾(かつまお)駅へ向かう列車の中で
山魔の話を聞いて急遽予定変更、奥戸(くまど)へ向かうという。
ここで、今回の前段に繋がる、と。
『首無〜』を読んだ際は、
「この人、主人公なの?どこ行くの?何やってんの?」
と大いに戸惑いましたが…。

<本格ミステリ・ベスト10>2009年(国内部門)1位、
<ミステリが読みたい! 2009年版>(国内編)2位

強面の鬼無瀬(きなせ)警部や、編集者の祖父江偲の反応が
ちょこちょこ漫画っぽいのは気になったな。
「ややっ!」とか。

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