goo blog サービス終了のお知らせ 

思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

『計測の科学』 度量衡うんちくてんこ盛り〜

2025-02-26 10:37:59 | 日記
『計測の科学』
ジェームズ・ヴィンセント
訳:小坂恵理

計測、特に度量衡にまつわる歴史や
文明のおもしろうんちくが山盛り!
の、お得な一冊です。
おもしろく読みました。

が、一点だけ言いたい。

文章が下手くそである。

原文も邦訳も、どっちもどっちなのかな。
読みにくいというか、
文法は間違ってないと思うのだけど
「な…、何を言ってんのかわからねー」
と頭を抱えることしばし。

まあ、それ以外はおもしろいよ!
とにかく収録されているファクトがおもしろいですから。
読んで損はない一冊です。多分。

お話しの始まりは、キログラムの定義の見直しです。

あれ?キログラムって水1Lの重さじゃないの?

これが2019年に再定義されたんです。
知らなかった〜。

そもそも、世界的にもおなじみのメートル・キログラムは
フランス革命によって統一された度量衡。
メートルは「北極から赤道までの距離の1000万分の1。
キログラムは「1立方デシメートル(1L)の水の重さ」。

フランスが「これが世界の基準ね!」と言ったものだから
イギリスやアメリカにはポンドヤードが頑なに
残ってるんだな。
統一規格、便利なのに…。
人間の感情は複雑なのである。
(『屈辱の数学史』でもいろいろあったな)

メートルは1983年に再定義されていて
(1秒に光が真空中を進む距離の299,792,458分の1)
キログラムも2019年にようやく再定義
(プランク定数をあれこれしたら出る絶対値。と、曖昧にしか理解できない)。

逆に、マイナー系の単位の話しもおもしろい。

カナダ先住民オジブワ族は距離感を測るのに
吸ったタバコの数で大体の距離を共有したとか。

北欧のサーミ人の「ポロンクセマ」は
トナカイが排尿しないで進める距離(約6マイル)、とか。

あと14世紀イギリスの「インチ」は大麦の粒を3つ並べた長さ。
大麦次第では…?
(約2.4cmだそうです)

19世紀にアメリカで流行ったという「ピラミッド学」
というのもおもしろい。
「アンチ!メートル!」の流れでできた思想らしいですが。
ピラミッドの底面の周の長さを高さの2倍で割ると
円周率が得られる!とか。
ピラミッドは創造主からの啓示を記した建造物なので
地球の密度や世界の歴史などの真理が隠されているそうです。
数字をこねくりまわせば黄金比も私の身長体重も出せるやろ。
と思ってしまいますが、
アメリカってこういう思想の流行が多い気が。
笑っていいのか分からなくなってきました。

何はともあれ、どのうんちくもおもしろい。
数学・科学系のおもしろうんちくが好きならば
読んで損しない一冊です!