思惟石

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『紺青のわかれ』 ザ!昭和耽美文学

2023-10-17 13:33:41 | 日記
『紺青のわかれ』
塚本邦雄

ザ・耽美文学という一冊。短編集。
江戸川乱歩の初期短編とか、
三大奇書とか、
そこらへんの香りがぷんぷんします。

と思って検索すると、作者は寺山修司らと
活動していた人らしい(前衛短歌運動)。
ついでに中井英夫(三大奇書の一角『虚無への供物』作者)とも
交友があったようです。
ほらね!(なにが「ほらね」なのかアレですが)

旧仮名遣いと漢字の旧字体が多くて
読むのに気合いが必要ですが、意外と読める(と嬉しい)。

晝(昼の旧字)は書生っぽくて良い。
腥い(「なまぐさい」の旧字)はなんだか色っぽい。
竝べる(並べるの旧字)は全然知らなかったけど、
見た目でなんとなく意味分かっておもしろい。
学びがあってよし!

植物の名前がたくさん出るのも良い。
”雁来紅(かまつか)の猩々緋”ってなんだ。
と思って調べたら、「がんらいこう」=「葉鶏頭」のことっぽい。
「かまつか(鎌柄)」という植物もあるけれど、花が白いから違う。
(猩々緋は赤色のこと)
学びがあってよし!

奥付が初期の祖父江慎っぽいヤンチャデザインで、
そこもよし!!


初版は1972年でいいのかな。
『冥府燦爛』ではジャン・コクトーの映画『オルフェの遺言』
(1959・ピカソも出演している。どうでもいいけどこの時代の
フランス芸術は脚本コクトー・美術ピカソ・音楽サティという
フィクションか誰かの妄想ツイートかな?と思うくらい
豪華キャストの舞台があったりする。どうかしてる時代で
うらやましい)や
『天井桟敷の人々』(1944・寺山修司の劇団名の元ネタ)の話を
つらつらと書いています。
リアルタイムで観ていた世代かもしれません。
面白そうな時代である。いいなあ。

あと、どうでもいい余談ですが、
こういう耽美系の小説っておもしろい名前が多い。
麻植と書いて「おえ」と読む苗字。
祝部(「しうべ」というルビだったけれど、
「しゅくべ」「ほおべ」と読むのが多いみたい)という苗字。
登場人物の名前もコンセプトが効いていて良かった。
羅列するだけで厨二病が加速しそう。

さらにどうでもいい余談ですが、
省略(アン・ラクルシ)して、安楽死くるし、
とか、なんか高尚な単語を駆使した駄洒落がある。
タイトルにもその片鱗あるけど。
(掛け言葉と言うべきかもしらんけど、
 見つけるとにっこりしちゃう)
コメント
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