思惟石

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ウィリアム・アイリッシュ『幻の女』

2020-10-09 10:41:21 | 日記
ウィリアム・アイリッシュ『幻の女』
1942年に刊行された名作ミステリです。

ニューヨークでのスタイリッシュな暮らしぶりが
素敵な感じで描かれているんですが、
え?42年刊行?
戦中じゃないの?

一旦、戦争はさておき。『幻の女』です。

主人公がバーでたまたま出会った見知らぬ女性と
食事&観劇して帰宅したら奥さんが殺されてました。ビックリ。
唯一、無罪を証言してくれるはずの女は何処に…。
というミステリです。

大都会で見知らぬひとりの女性を探さないと死刑ですよ。
設定がハード!!
ワクワクする笑

夜のニューヨークが舞台なのも良いですよね。
まことに都会らしい筋立てで、
中盤の女探しも「また行き止まりかよ!」って感じで面白いのですが、
クライマックスも良くできています。
なるほどこれが名作古典の実力か!と納得。

『幻の女』は、冒頭の1行が特に有名らしいですね。
私は知らなかったけれど、読み始めたとき、
良い描き始めだな〜とグッと来ました。

「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった」

これは稲葉昭雄の訳。
私が読んだのは新訳の黒原敏行版(ハヤカワ・ミステリ文庫 2015)ですが、
最初の一文は稲葉訳を採用しているそうです。

「夜は若く」
たった四文字なのに、綺麗ですね〜。
ずーっと指でなぞっていたい。
口の中で転がしていたい。

ちなみに原文もめちゃ良いです。
「The night was young, and so was he.
But the night was sweet, and he was sour.」

TOEIC500点くらいしかない私でもうっとりできる良さ笑
コメント
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