思惟石

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【読書メモ】2011年3月 ⑤

2019-08-06 12:00:53 | 【読書メモ】2011年
<読書メモ 2011年3月 ⑤>
カッコ内は、2019年現在の補足コメントです。


『ハヅキさんのこと』川上弘美
短編集。どれもこれもいい。蛍光灯が嫌いとか。

(短編というより、掌編ですね。
 とても短くて、とても良い。
 作者曰く「エッセイの体裁をとった小説」なのだそうです)


『趣味は読書。』斎藤美奈子
ベストセラーと呼ばれる作品を独自の視点で切ったもの。
が、いわゆるベストセラーをあまり読んでいないため、
分からないことが多かった。惜しい。

(2000年前後のベストセラー本の書評。
 本読みには、ベストセラーばかり読む人と、
 ベストセラーを忌避する人がいるという前提で、
 ちょっと斜に構えた姿勢の辛口コラムですが、
 けっこう笑えます)


『46番目の密室』有栖川有栖
登場人物の関西弁がよかった。
そういえば森見登美彦も鴨川ホルモーの人も、
あまり関西弁つかわないな。

(作者と主人公が同名のミステリ、いくつかありますよね。
 エラリー・クイーンとか、仁木悦子とか、法月綸太郎とか?
 何ていうジャンルなんですかね?(調べもしない)

 こちらは主人公が小説家でありワトソン役でもある有栖川有栖で、
 探偵役は大学助教授(今は准教授か?)の火村英夫のシリーズ。
 作者と同名なのは探偵じゃなくてもいいのか…。
 それはさておき<作家アリスシリーズ>と呼ばれるものの第一作です。
 30歳過ぎの良い歳した独身ふたりが何かと殺人に巻き込まれるシリーズです。
 「臨床犯罪学者・火村英夫の推理」(2016)として実写化されてましたね)


『琥珀枕(こはくちん)』森福都
すごく面白かった。
「スッポンの先生」が普通に出てきて話しが始まる。
昔の中国が舞台なので読みにくい名詞が多いが、
文章がさらっと読みやすいのでちょうどいい。

(古代中国の裕福な家庭(県令)の一人息子が主人公。
 で、彼の家庭教師・除康先生は200歳とも300歳とも言われる
 スッポンの妖怪で、お屋敷の庭にある池に住んでいる。
 …って感じで、めちゃくちゃナチュラルにスッポンの先生が
 登場します。良い感じです。
 そんな彼らが眺める地方都市のちょっと不思議な小噺
 7編の連作短編集。
 この作者の中で私が一番好きな作品です)


『志ん生一家、おしまいの噺』美濃部美津子
志ん生の娘の語り記。
ちと身内びいきの感はあるけれど、
家族の視点での噺家の生涯はおもしろかった。

(5代目古今亭志ん生の娘さんです。
 ラジオ放送局であるニッポン放送に務めつつ、
 志ん生のマネジメントもやっていたとか。
 破天荒の代名詞のような稀代の落語家・志ん生が父で、
 十代目金原亭馬生、三代目古今亭志ん朝が弟の著者が語る、
 噺家一家の物語。
 おもしろくないわけがありません)
コメント
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