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朝昼晩、時間を問わず飲んで喰って面白おかしく過ごす人生を歩みたいです。※旧名「日が沈む前に飲む酒はウマい」

最後の築地場内メシ

2018年10月06日 | 定食、食堂
本日2018年10月6日をもって、83年間の歴史に終止符を打った築地市場
最後にもう一度、場内でメシを喰っておこうと思ったが、最終日は大混乱必至だったので、
昨日、早起きして朝6時台の電車に乗り、「閉鎖前日の築地」を体感してきた。
今日ほどではないだろうが、この日も小雨が降り続く悪天候にもかかわらず、場内はやっぱり混雑していた。
なお、最初に断っておくが、私は生魚が喰えないので、
場内の寿司店には、ついに一度も入ったことはなかったし、今回のブログでももちろん紹介しない。
「サカナ喰えねえくせに築地に行くなよ」という批判が聞こえてきそうだな。

到着したのが7時45分頃。お目当てのお店は、すでに大行列ができており、
列の最後尾に並んだもののすぐにあきらめ、第二候補の『中栄』さんに向かった。

※並び客がいたため、店頭上の看板とノボリのみ撮影

こちらは、大正元年創業の老舗インドカレー店(お店のHPより)で、
17年前、私が初めて築地場内を訪れたとき、最初に利用した飲食店でもある。
提供しているのは印度(ポーク)、ビーフなどのカレーにハヤシ、あとはスープに味噌汁など。
カレーは600円~で、2種の味が楽しめる「合がけ」が700円。17年前から100円しか値上げしていない。
安くてウマくてボリューミーなカレー目当てのお客で、連日大繁盛しているが、
カレー店ゆえ回転が早い(飲み客も少ないしね)ので、そんなに並ばなくて済む。
この日、私が注文したのは、「印度」「ハヤシ」の合いがけ。


左が印度で右がハヤシ。千切りキャベツが付くのがこちらのスタイルで、横からの写真がこちら。


ソースが多くてわかりづらいだろうが、ライスの量もなかなか多い。
食べるのは実は数年ぶりなのだが、以前より印度の辛味とハヤシの旨味が増したような気がする。
ハシゴの1軒目にしては、量が多かったけど、ウマかったのだからこれで正解だろう。
観光客が増え、一見客も多数来店する中栄さんだが、かつては客の大半が市場関係者、つまり常連だった。
なので、カウンターの接客担当の方は、客の来店と同時に「おっ、○○さんおはよう!」と名前で呼びかけ、
その客が「いつもの」と告げると、「○○さん、並(印度)にキャベツ増し!」などと厨房にオーダーを通す。
他の客も「××さん、合がけでご飯少な目!」「△△さんはビーフにギョク落とし(玉子入り味噌汁)!」などと、
大部分の客の顔と名前と普段食べているメニューを暗記していた。スゲエ!
そんな、お店と客の強い絆(?)を懐かしみつつ、「ごちそうさまです」を告げて店を出る。

続いて向かったのが、さきほど一瞬並んですぐにあきらめた『天房』さん。


築地場内には寿司屋はたくさんあるのだが、天ぷら屋さんは実はここだけ。
さっきよりは列が短くなっていたので、今度はガマンして並ぶことにしたが、店内席数10に対し私の前に19人。
だが、どうも回転が悪いようで行列は全然進まず、あっという間に1時間が経過。
その間、私の真後ろにいた男女が、待ち時間の長さに彼女がふて腐れて雰囲気が悪くなり、
その後仲直りし、「んもー、でもそんなアヤコ(※実名)がかーわーいーいー」などと男がほざき、
密着してイチャツキはじめるという、ただでさえ長い待ち時間のイラ立ちが増幅する、地獄の有様。
「てめえら、公衆の場でナニやってるんだ!」と怒鳴ってやろうかと思ったが、
この後、4人テーブルで合い席にされる可能性が大だったため、耐え忍ぶハメに。
結局、1時間42分待ったところで、ようやく入店。バカップルはさらに待たされ、別の席になったのでひと安心。
あとバカップルの男、お前が終始「てんぼう」と呼んでいたこの店、正しくは「てんふさ」だからな。

天房で私がよく食べたのが、大きな穴子が2尾乗る「穴子天丼」1400円。10年前から200円ほど値上げしたかな。
この日の注文は、入口に天種が記されている「本日の天丼」1200円に、単品「穴子」600円を追加。


実際に出てきたのがこちら。貼紙にあった5種の他に、ししとう、なす、海苔も入っていた。


別アングルがこちら。大きな丼からハミ出す、穴子の存在感がいいよね。


揚げ立ての天ぷらに、江戸前風の甘辛くどいタレ(←ホメ言葉)をかけ、熱々ごはんに乗せて食べる。
こんなのウマいに決まってる!
他の天ぷらを食べ尽くし、最後まで残した穴子を、ご飯とともに堪能。


さっきカレーを食べたばかりだったが、最後までおいしく食べ切ることができたよ。
天房さんは、以前はそれほど混んでおらず、並ばずに入店でき、キスやメゴチなどの単品メニューも充実していた。
だが、観光客の増加で行列ができるようになってからは、単品メニューは、穴子や海老など一部に限定され、
さらに、ご飯お替り無料サービスも、「無制限」から「一杯のみ」に変わり、数年前にとうとう廃止されてしまった。
お替わりのご飯にも天丼タレをかけてくれたので、あの時代は天ぷらがなくても無限(?)に喰えたのに。
胃が小さくなった今ではお替わりはキツイし、基本的には一杯で満足できる量なので、なにも問題はない。

すっかり満腹だが、最後にもう1軒だけ立ち寄りたい店がある。
それは、築地場内で私がもっとも利用回数が多かった、喫茶店の『センリ軒』だ。


隣の海鮮丼の店は常に大行列だが、センリ軒さんはゆったりくつろぐことができた。
ただしこの日は、入口に数人並んでいたようだけど、私はいつものように裏口から入り、カウンター席へ案内された。
昨日並んでいた皆さん、結果的に横入りになってしまったようでスマン。
こちらでの私は、この日のように他店で食べてから来店し、デザートを頼んで休憩していくのが常だった。
築地場内では最後のセンリ軒では、「チーズケーキセット」600円をオーダー。


セットは、コーヒーor紅茶(ホットorアイス)、チーズケーキorアップルチーズパイをそれぞれ選べるのだが、
この日はホットコーヒーとアップルチーズパイにしてみた。最後はお店の看板商品であるコーヒーを飲まなきゃね。
なお、アップル~の中身はこのように、パイ生地にリンゴが混ぜてある。


最後の築地メシを提供してくださった、センリ軒の従業員の方にご挨拶でもしようかと思ったが、
この日の当店はいつも以上に忙しく、トースターを酷使したためか、何度かブレーカーが落ちる大混乱(苦笑)。
とても会話を楽しめる状況ではなかったので、お釣りのないよう100円玉を6個カウンターに置き、
「ごちそうさまです」と告げて退散した。「まいどー」と声をかけてもらえただけで充分だよ。
センリ軒については、拙ブログで改めて紹介したいと思っている。

今回紹介した3店舗は、豊洲移転が決まっており、お店がなくなるわけではない。
なので、私がセンリ軒で試みたような、店員に別れの挨拶を述べている客は、中栄でひとり見かけただけ。
一般客も場内関係者もみんな、いつも通りに食べて、帰っていったように感じた。
従業員の方々も、長年働いてきた築地の店舗には、思い入れは当然あるはずだが、
とにかく、早朝から途切れることなく押しかける客をさばくのに精いっぱいで、
とてもじゃないけど、感傷に浸っているヒマはなさそうだった。

ここで働いていたわけではなく、ごくたまに来場し、生魚以外のモノを食べてきた程度の私だが、
国内外から観光客が集い、大いに賑わってきた広大な施設が、消滅してしまうのかと思うと、やっぱりさみしい。
「築地市場よ、長い間ありがとう」
出口に挨拶した私は、悲しみを振り切るように背を向け、足早にその場を立ち去った…

…と、上記の文に出口の写真を添えてシメようと思ったのだが、撮影画像を再確認してみたところ、
私はいつもの出口ではなく、一般人は通行禁止の通用口を通っていたようだ。


最後の最後に、「関係者以外立入禁止」エリアを利用してしまうとは…築地よ、本当にゴメン!
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