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「強打の三高」堂々の西東京準優勝 -日大三高野球部2024-完結編

2024年08月10日 | 高校野球
連日、日本代表の奮闘が報じられている2024パリ五輪。
開幕直後の7月28日、柔道の金メダル候補だった日本の女子選手が、予期せぬ敗戦を喫し、試合後に大泣きしたらしい。
泣いたことに対しては賛否両論あったようだが、彼女は、超一流のアスリートかつ武道家であるが、ひとりの人間でもある。
喜怒哀楽などの感情を露わにする行為は、人間らしさの証明であり、批判されるべき事柄ではないはずだ。

女性柔道家が、フランスで涙を呑んだ数時間前、遠く離れた東京でも、敗戦のショックで泣き崩れた男たちがいた。
高校野球西東京大会の決勝戦で惜敗した、我が母校・日大三高野球部の選手たちである。
中でも主将の土井は、試合終了からだいぶ時間がたった、準優勝の表彰式でも感情を抑えられなかった模様。

(C)週刊ベースボールオンライン

過去に何度か指摘しているように、決勝で負けたチームを表彰式兼閉会式に出すのは、やはり気の毒である。

私は表彰式どころか、試合終了時の挨拶すら目にすることなく、三高の敗戦が決まった瞬間に神宮球場をあとにした。
前回の高校野球ブログで宣言したように、大嫌いだった早実を憎むのをはやめたつもりだが、
相手が早実だろうと他校だろうと、私は毎年、夏の敗戦時はすぐに球場から立ち去ることにしている。
場内に居残り、三高ナインに「よく頑張った。来年こそ頼むぞ!」などと激励するのが、真のファンかもしれないが、
心の狭い私は、他校の歓喜シーンなど目にしたくないし、ましてや母校の面々が悲しむ姿なんて、とてもじゃないが見ていられない。

ヤケ酒を飲み、帰宅後はフテ寝し、翌日もTVやネットのニュース閲覧を故意に避けたため、さっきの土井の画像を見たのは、2日後であった。
東京五輪から3年間、金メダルを目標に続けてきた努力が報われなかった、女性柔道家のショックも相当なものだろうが、
高校入学から約2年4ヶ月、甲子園と全国制覇を目指し、ひたすら野球に打ち込んできた、土井ら三高ナインの悲しみも大きかったはず。
しかも、柔道家には4年後にも五輪があるが、3年生部員には、もう甲子園に挑むチャンスはない。

今回は、「日大三高野球部2024」完結編として、結果的に今年度チームの最後の試合となった、西東京大会決勝戦を簡単に振り返る。
私が神宮球場に到着し、入場券を購入したのが、試合開始1時間20分前の8時40分頃。


先に入場し着席していた、常連観戦者と合流。決勝戦、しかも日曜日ということで、普段より明らかに客が多い。
その中には、来てほしくない客もいる。しかもよりによって私が座った席の近くに。
過去に何度か見かけたことがある男だが、名前は知らないし、知る気にもならない。
たいした知識もないのに、大声で支離滅裂な試合展開の予想、そして早実の悪口を語り続ける迷惑客だ。
同意を得たいのか、私や周囲の客にやたらと話しかけていたが、常に一方通行で、逆に話しかけた方は、ほぼいなかった。
早実の悪口を言い続けている、こんなバカに応援されては、勝利の女神も微笑んでくれないわな。
ちなみに、かつての私も、このブログ内だけでなく球場でも、早実を罵倒していた時期があった。
あのとき周囲にいた方、今さらながら反省しています、ゴメンなさい

耳障りな男、朝からの猛暑も不快だったが、もっともツラかったのはやはり、相手校である早実の強さであった。
初回にいきなり3点を奪われたときは、1イニング12失点した、準決勝の日大二戦を思い出したくらいだ。
それでも、三高打線も2回、二死無走者から連打で1点を返す。
得点はもちろん喜ばしいが、もうひとつ気になったのが、右打者が右方向へ打球を飛ばしていたこと。
今だから書けるが、三高のスタメンは、一番本間と九番の投手谷亀以外、全員右打者なのだが、
これまでの試合を観た限り、彼らはレフト方向に引っ張ることしかできない(あとはフライを打ち上げる)、と私は評価していた。
なので、七番飯田のライト前ヒットなど、右方向への打球が続いたことにも、「たまたま振り遅れたのかな?」と疑っていたのだが、
次の回、五番岡本がライトへ同点スリーランを放ち、ようやく振り遅れではなく、狙い打ちだったことが判明。
三高、やればできるじゃねえか! というか、5回戦以降も右打ちをしていれば、もっと楽に勝てたのに。
その後も、普段は守備要因の印象がある、松岡がタイムリー二塁打を放ち、最近は得点圏で凡退していた、本間にもタイムリーが飛び出す。
他の打者も、右へ左へ鋭い打球を放ち、四球もしっかり選び、毎回のように塁を賑わす。
私が待望していた「強打の三高」が、決勝戦でついに覚醒したのである。

3回終了時、すでに1時間5分も経過していたのに驚き、私にしては珍しく、試合中に撮影。


その後も、互いに得点を奪い、投手交代などもあったため、5回終了時には早くも2時間に到達。


1時間48分で終了した、去年の決勝・日大三-日大鶴ケ丘戦(※詳細)とは比較にならない、激しい試合になった。
クーリングタイム中、常連客と「1試合見たくらい疲れましたね」「もう前半の攻防とか忘れちゃったよ」などと語り合っていた。

三高はエース谷亀が、足をつったような素振りを見せ、5回途中で降板。早実の先発投手も、5回途中で交代。
以降は両校とも継投策に出るが、三高だけでなく、早実も打線が活発で、点の取り合いになる。
5回表に逆転した三高を、6回裏に早実が再逆転。7回表に三高が再々逆転すると、8回裏に早実が追いつく、東京野球史に残りそうなシーソーゲーム。
強打で圧倒し押し切るタイプで、接戦自体が不得手な印象のある、三高には苦しい展開だ。
一方の早実は、以前から接戦は得意な印象。いざとなったら「ワセバイア」もあるし。 ※かつては絶対にあった
なお、今回の決勝戦では、私が観ていた限りでは、早実寄りの判定はなかったと思われる。
岡本の死球が、「よけてない」と認められなかったのは不満だったが、直後に3ランを打ったし(笑)。

最終回、三高は一死二塁のチャンスを作るも無得点。本間のライトライナーが惜しかった。
その裏、早実は止めたバットに当たった打球がライト線に落ち、三高にとっては不運な二塁打に。
次打者のバントが野選になり、無死一、三塁となったところで、申告敬遠で満塁。
最後は三遊間にサヨナラヒットを放った、早実がサヨナラ勝ち。9年ぶりの甲子園出場を決めた。

7月28日 西東京大会決勝 対早稲田実業 (神宮球場)
三013030200→9
早310112011×→10


日大三は、2006年以来、18年ぶり12度目の夏大会準優勝。前回負けた相手も、ハンカチ王子のときの早実だった。

先述したように、試合後は即退場したため、スコアボードの画像はない。
代わりに、日刊スポーツの画像を拝借。サヨナラ打を打った早実・内囿と、打たれた三高・畠山。

(C)日刊スポーツ

三高ファンにとっては悔しい場面だが、勝者と敗者の明暗を的確にとらえた、残酷だが説得力のある写真である。
さっき、バーチャル高校野球の試合動画を視聴したが、敗戦が決まった直後は、三高は畠山だけでなく、何人もの選手が突っ伏していた。
試合後の整列では、三高はライトの本間が遅れて到着し、さらに遅れて、センター土井がよろけながらも、主将ゆえ最前列へ歩を進める。
そんな彼らの姿を見て、敗戦という結果を本気で悔やんでいることと、勝利を目指し全力で戦っていたことが、よく理解できた。
だからこそ、決勝戦は勝たせてあげたかった

無論、三高にも勝機はあったし、「このとき、もう一本出ていれば」という場面もあった。
たとえば7回表、土井が押し出し四球を選び逆転し、なおも二死満塁で四番織田、の場面。
結果はセンターフライだったが、あともう少し伸びてくれれば…と妄想したくなる打球であった。
この日の織田は、安打と打点はなかったが、早実も警戒していたようで、四球や打撃妨害などで3度出塁。
レフトの守備はさておき(笑)、甲子園で観たかった選手だったよ。

秋、春の都大会では、「弱いから負けた」三高だったが、この決勝戦は、「相手の早実が強かった」としかいえない。
プロ注目の早実・宇野は、全打席で出塁。三高投手陣も、逃げたわけではないのだが、際どいボールはすべて見極められた。
試合中、観戦者の私と同様、緊張していたように見えた三高ナインに対し、早実の選手たちはリラックスしているように感じた。
過去の選手もそうだったが、メンタルの強さが早実の特長だと、私は考えている。
明日11日、早実は甲子園初戦を迎える。三高及び西東京のためにも、どうか初戦負けは避けてほしい。
とはいえ、勝ち進まれてもシャクにさわるなあ…おっと、アンチ早実はやめたんだっけな。

秋・春の都大会での早期敗退や、敗戦続きの練習試合、さらには、以前指摘した試合中の覇気のなさや、
レフトとファーストの絶望的な守備力(苦笑)などから、21世紀では最弱と評価していた、今年のチーム。
ただ、最近の土井主将の談話で知ったことだが、負傷者が続出したり、団結力が薄れた時期があったらしい。
負傷者が出ると、戦力だけでなく士気も低下するし、負傷者自身の練習不足にも繋がる。
また、野球で最も大事なのは、投手力や打撃力ではなくチームワークであり、綻びのあるチームは、まず良績は望めない。
それらのハンデを克服し、夏大会では本来の実力を発揮し、ノーシードながら決勝進出した、選手たちの奮闘は尊敬に値する。
「21世紀最弱」といった、これまでの悪評を深くお詫びし、あのとき球場で伝えられなかった言葉を、ここで送らせていただく。
日大三高2024年度チームの皆さん、堂々とした戦いぶりでの準優勝、感動いたしました
小倉全由監督にとって、最後の教え子となった3年生は、今後の野球人生に幸あらんことを、
2年生以下の部員には、この悔しさをバネに、来年以降巻き返してくれることを願っております。
再び甲子園へ、そして全国制覇へ。栄冠目指し、ガンバレ三高!

※「日大三高野球部2025」につづく
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