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朝昼晩、時間を問わず飲んで喰って面白おかしく過ごす人生を歩みたいです。※旧名「日が沈む前に飲む酒はウマい」

日本最古かもしれないラーメン店 立川『福来軒』

2022年06月05日 | ラーメン、つけ麺など
前回紹介した、恵比寿『長命うどん』の本店は名古屋にあり、創業は大正2(1913)年。
実は、私の地元立川市にも、同じ時期に開業した、老舗の飲食店が存在する。
そのお店とは、昔から地元民に親しまれてきた、中華食堂の『福来軒』
創業は、長命うどんより1年早い大正元(1912)年。今年で110周年だ。

「ラーメン店 日本最古」でネット検索すると、浅草の『来々軒』が1910年オープン。
こちらのお店は、だいぶ前に閉店しており、現存する店舗では、兵庫県尼崎市の『大貫(だいかん)本店』が最古とのこと。
ただ、そちらの開業は1912年。福来軒と同じ年ではないか!
大貫本店は知ってか知らずか、HPで「日本最古の中華そば」と大々的に宣伝している。
一方の福来軒は、HP自体がないし、「日本最古」とは主張していない様子。
地元民としては、競艇場があるガラの悪い街(※あくまで個人の意見です)尼崎市の飲食店に、
競輪場がある品のいい街(※あくまで個人の戯言なので、本気にしないように)立川市の飲食店が負けてほしくないので、
「福来軒も日本最古かもしれない」説を新たに唱え、拡散したい。

ここで、現在の福来軒の外観を紹介。長い歴史を誇る割には、そんなにボロくないだろう。


お店の歴史を簡単に振り返ると、1912年に初代店主が、立川駅の北口で屋台を引き始める。
戦後、店舗を構えたところ、1964年、米軍車両の事故が原因の大火事に遭い一時閉店。
跡地に建てられた第一デパート内で営業を再開し、1976年に南口に移転。1993年に全面改装し、現在に至る。
外観が古くないのは、現店舗は29年前に改装したから。私は別の店になったのかと勘違いしたよ。
こちらが現在の店内の様子。老舗中華食堂独特の乱雑さはなく、落ち着いた喫茶店のようであろう。


ここ数年はご無沙汰していたが、コロナ禍で地元の飲食店を巡る中、久々に訪問。
現在は4代目の若い男性が軸となり、ご家族でお店を守っておられる。
この日注文したのは、メニューに(一番人気)と記されていた「炒飯と餃子3個」のセット980円。
炒飯は普通or「コーン炒飯」が選択できるので、コーンにしてみた。
まずはキムチとナムルを盛った小皿やスープと一緒に、コーン炒飯が登場。


横からのアングルはこちら。山盛コーンの中央に添えられた、枝豆のグリーンが鮮やかである。


続いて、そこそこ大きめの餃子3個が焼き上がる。


さらに、最初に冷水をいただいたのに、あとから温かい緑茶もやってきた。いろいろ付いてきて嬉しいね。


炒飯はコーンも普通も単品800円。餃子は3個だと240円。セットにすると少しお得だ。
餃子の具材は、お肉が多めの「肉まん」みたいなタイプ。醤油より、お店自家製のラー油が合う。
炒飯は玉子、ネギ、ほぐしチャーシュー、ナルトに、乾燥した小エビも入る。
コーンと枝豆は完成後に加えたのだろうが、コーンは一緒に炒めて、甘味をメシ粒に加わてもよさそう。
溶き玉子と玉ねぎが入るスープは塩分控えめで、炒飯自体もしょっぱくないので、いいコンビといえる。
食後もすぐには退店せず、ゆっくり緑茶を飲み、くつろがせてもらった。

久々の訪問から数ヶ月後、緊急事態宣言が解除され、酒類提供が解禁。福来軒さんでも軽く飲んだ。
メニューも撮影したので、以下で掲載。まずは【ラーメン・餃子】。


こちらは【その他メニュー、セット類】。


最後が【ドリンク・テイクアウト】。


以前は「マーボナス」や「あんみつ」、さらに大昔には「納豆ラーメン」という珍メニューもあった記憶がある。
また、北口に店舗があった頃は、「アイスキャンディー」も提供していたらしい。
戦前は珍しくなかった、食事もデザートも出す、ミルクホールのような業態だったのかもしれない。

この日は「ハートランドビール」500円に、おつまみ兼食事として「揚げ焼きそば」850円を注文。
小瓶からグラスにビールを注ぎ、お通しのモヤシナムルで飲み始める。


しばらくすると、炒飯にも付いてきたスープと一緒に、揚げ焼きそばが運ばれてきた。


見てのとおりの具材がてんこ盛りで、数えてみたところ、白菜、キャベツ、玉ねぎ、人参、ニラ、モヤシ、
竹の子、木耳、シメジ、コーン、枝豆、プチトマト、エビ、イカ、豚肉、味玉と計16種類。


熱々のアンの下には、一般的な揚げそばより太めの自家製麺が隠れている。


提供まで少々時間かかったけど、待った甲斐のある商品であった。
この日は、入口近くのテーブルに座れたので、レジ周辺も撮影。


レトロなピンク電話の隣には、会計時にサービスされる、アメちゃんが置かれている。
このときハッカアメをもらい、次の回ではパインアメをいただいた。


次の回=つい最近の訪問では、久しぶりに「ラーメン」をオーダー。
デザートとして「クリームソーダ」も頼んだのだが、例の緑色のソーダ水を切らしているそうで、
「コーラフロート」ならできる、とのことなので変更してもらった。
しばらくすると、110年の歴史を誇る、「ラーメン」620円が運ばれてきた。


スープをひと口すすると、以前は感じなかったゴマ油の香りがする。
しかし、スープ自体の味は以前と変わらず、動物と野菜をベースにした、軽やかな風味の醤油味だ。
具材はチャーシュー2枚、ノリ、ネギ、メンマ、ナルト、青菜。以前はカイワレ大根が入っていた。
特徴はやはり、自家製の麺。揚げそばに使用したのと同じ、腰のある縮れ麺だ。


スープとの絡みはよくないが、噛み応えやのど越しが抜群にいい、上質の麺である。
創業時の大正時代とは、味が異なると思うが、時代に合わせて少しずつ改良を加え、進化を遂げているのは間違いない。
福来軒のラーメンは、決して古臭くはなく、しかしどこか懐かしい、洗練された一杯であった。

その後、メニューに載っていない「コーラフロート」が登場。価格は、クリームソーダと同額の420円。


ラーメンを食べている途中だったので、コーラをひと口飲んだだけで放置したら、アイスが溶けてしまった。


私はそうでもないが、半分溶けた状態が好きな方もいるし、「フロート類のアイスをいつ食べるか」というのは、
「月見うどんの生玉子をいつ崩すか」と同じくらい、難解なテーマである…というのは大げさか。

今の時期は、下記画像の窓から、涼しい風が入り込み、なかなか快適である。


この窓を外から見たアングルがこちら。改装前はこちらに出入口があり、店内はコの字カウンター席だった。


小学校低学年のとき、旧店舗でラーメンを食べたのを覚えている。
店主らしきおじちゃんに、「坊や、ウマいかい!?」などと話しかけられながら、
カウンター席で大人たちと肩を並べて、夢中ですすったラーメンは、すごくおいしかった。
あれからウン十年たった今も、同じ場所でラーメンが味わえることを、素直に喜びたい。

何度か繰り返したように、現存するラーメン店では日本最古かもしれない福来軒さんだが、
取材などはあまり受けていないようだし、老舗であることも特に強調していない。
あえて探し出せば、入口のノレンに記された「創業大正」の文字と、
箸袋の裏に刻まれた「ひとつのことに 心をかさねて 創業大正元年」のコピー。


箸袋の裏というのが、お店の謙虚さを表している。迷惑かもしれないが、私は今後も勝手に、
「立川市の福来軒は、日本最古のラーメン店…かもしれない!」と訴え続けるつもりだ。



福来軒
立川市柴崎町2-18-7
JR立川駅から徒歩約8分
営業時間 12時~19時半ラストオーダー
定休日 不定休だけど月2~6日 入口に掲示してある
※提供まで時間かかるときもありますが、のんびり待ちましょう
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