まだまだ「ドゥームズデイ・ブック」ショックでまともな(?)作品を手に取る気が起きず、ライトであろう本書を手にとりました。
本書は川崎のブックオフ105円コーナーの筒井康隆コーナーで見かけ、装丁に感銘し購入。(笑)
![](http://farm4.staticflickr.com/3745/12712997274_e23365809f_n.jpg)
![](http://farm8.staticflickr.com/7402/12712545264_1298c8c821_n.jpg)
やはり「時をかける少女」はこの装丁ですねー...。
購入したものは昭和51年初版、昭和60年(1985年)9月20日50版。
大林宣彦監督・原田知世主演の映画は1983年(昭和58年)公開です。
映画公開から2年経ってもこの装丁だったんですね。
私の中では「時をかける少女」=原田知世だなぁ。
といいながら映画は見ていないのですが…。
当時中学生であった私は映画のチラシを下敷きに入れていた記憶があります。
内容というよりも「原田知世」のイメージだけで記憶している...。
小説自体は1965年-66年(昭和40年-41年)に書かれています。
NHKドラマで「タイムトラベラー」としてTVドラマ化などされた後、大林宣彦が原田知世主演で映画化、その後角川春樹が実写版で映画化、細田守監督がアニメ映画化、その後また実写版で映画化とたびたび映画化されており筒井康隆作品でも抜群の知名度をもつ作品かと思います。
wikipediaでも「1980年以降4度劇場映画化された小説は他にない」と書いてありました。
ただし...原作である本作はどう考えてもそれほど名作とは思えない作品です。
ジュブナイルですし、SF的冒険はあまりされていない、「まぁ普通」という感じで昔読んだ時にもそれほど感心しなかったような気がします。
(筒井氏本人も得意分野でないものを無理やり書いた的ことを書いているらしい)
同じジュブナイルSFで映画化されたものでも眉村卓の「ねらわれた学園」の方が小説としての出来は上な気がします。
眉村卓の方が筒井康隆より割と真面目にジュブナイルしていた気がします。
でも「時をかける」「少女」というメッセージがキャッチーでストーリーもシンプルなので映画化しやすい作品なんでしょうね。
内容(表紙折込記載)
物置同然となった無人のはずの理科実験室に誰かいる! ガチャーンとガラスの割れる音が響いた。和子がうす暗い部屋の中を見回すと、試験管が床に落ちて割れていた。中から液体がこぼれ白い湯気のような甘い匂いが漂い、急に和子の嗅覚を襲った。彼女はそのまま、軽い貧血を起こして気を失った。
だが意識を回復すると、不思議な事件が立て続けに起こった。どうも、あの匂いをかいだことがきっかけで、彼女に特殊能力がそなわったらしい。
少女が不思議な空想の世界を体験する会心の表題作、ほか2偏収録。
とりあえずの感想、表題作「時をかける少女」は前述の通りいかにもなジュブナイル作品。
眉村卓作品といっても通りそう。
筒井康隆らしさは殆ど(まったく?)感じられない。
なんだか最後の「切なさ」と「記憶のあいまいさ」が特徴といえば特徴でしょうか?
悪くはないのですが....「筒井康隆」らしくないとは思います。
この小品がここまで有名になるという不思議な運命を楽しみながら読む作品でしょうかねぇ。
私的には他の2作の方が楽しめました。
特に「果てしなき多元宇宙」は筒井康隆らしいブラックさが垣間見えていて楽しめます。
「発狂した宇宙」の愛読者たる筒井康隆がそれなりに楽しんで書いているような気がしました。
以下各編簡単に紹介と感想
○時をかける少女
理科室でラベンダーの香りの薬品を嗅いだ中学三年生の和子は不思議な能力を持つようになり...。
タイムトラベルテーマ固有のものでしょうが、「生きている時」が違うことの哀しさ、記憶というもののはかなさを暗示はしていますが...。
まぁそれほど深い話ではないような気はします。
主人公にもそれほど感情移入できませんでしたし、著名度とのギャップを楽しむ作品ですかね。(笑)
○悪夢の真相
中学二年生の昌子はなぜか般若の面がとても怖い、その原因は???
SFというより「心」に重きを置いた作品です。
内容に深みはないですが、人間の「心」の不思議さに着目した謎解きはそれなりに挑戦的な作品な気がします。
○果てしなき多元宇宙
ボーイフレンドのだらしなさを嘆いたりしていた高校生暢子は突然自分がこうなったらいいのになーという世界へ。
「発狂した宇宙」のパロディ的作品でしょうか。
特定の多元宇宙の或る一人を起点にして他の多元宇宙の存在がビリヤードの球のように押し出されていく発想が面白い。
多元宇宙同士で「時代」も変わっているというのもなかなか面白かったです。
主人公が最初に飛ばされた多元宇宙での史郎くんのとことんまでの惨酷ぶりが筒井作品らしいブラックさを醸し出しています。
筒井作品で同じくジュブナイルの「ミラーマンの時間」などに通じるブラックさですね。
ラストはもう少しひねってもかな?とも思いましたがそれなりに楽しめました。
やはり原田知世ファン!という方もツツイストな方も!
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本書は川崎のブックオフ105円コーナーの筒井康隆コーナーで見かけ、装丁に感銘し購入。(笑)
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やはり「時をかける少女」はこの装丁ですねー...。
購入したものは昭和51年初版、昭和60年(1985年)9月20日50版。
大林宣彦監督・原田知世主演の映画は1983年(昭和58年)公開です。
映画公開から2年経ってもこの装丁だったんですね。
私の中では「時をかける少女」=原田知世だなぁ。
といいながら映画は見ていないのですが…。
当時中学生であった私は映画のチラシを下敷きに入れていた記憶があります。
内容というよりも「原田知世」のイメージだけで記憶している...。
小説自体は1965年-66年(昭和40年-41年)に書かれています。
NHKドラマで「タイムトラベラー」としてTVドラマ化などされた後、大林宣彦が原田知世主演で映画化、その後角川春樹が実写版で映画化、細田守監督がアニメ映画化、その後また実写版で映画化とたびたび映画化されており筒井康隆作品でも抜群の知名度をもつ作品かと思います。
wikipediaでも「1980年以降4度劇場映画化された小説は他にない」と書いてありました。
ただし...原作である本作はどう考えてもそれほど名作とは思えない作品です。
ジュブナイルですし、SF的冒険はあまりされていない、「まぁ普通」という感じで昔読んだ時にもそれほど感心しなかったような気がします。
(筒井氏本人も得意分野でないものを無理やり書いた的ことを書いているらしい)
同じジュブナイルSFで映画化されたものでも眉村卓の「ねらわれた学園」の方が小説としての出来は上な気がします。
眉村卓の方が筒井康隆より割と真面目にジュブナイルしていた気がします。
でも「時をかける」「少女」というメッセージがキャッチーでストーリーもシンプルなので映画化しやすい作品なんでしょうね。
内容(表紙折込記載)
物置同然となった無人のはずの理科実験室に誰かいる! ガチャーンとガラスの割れる音が響いた。和子がうす暗い部屋の中を見回すと、試験管が床に落ちて割れていた。中から液体がこぼれ白い湯気のような甘い匂いが漂い、急に和子の嗅覚を襲った。彼女はそのまま、軽い貧血を起こして気を失った。
だが意識を回復すると、不思議な事件が立て続けに起こった。どうも、あの匂いをかいだことがきっかけで、彼女に特殊能力がそなわったらしい。
少女が不思議な空想の世界を体験する会心の表題作、ほか2偏収録。
とりあえずの感想、表題作「時をかける少女」は前述の通りいかにもなジュブナイル作品。
眉村卓作品といっても通りそう。
筒井康隆らしさは殆ど(まったく?)感じられない。
なんだか最後の「切なさ」と「記憶のあいまいさ」が特徴といえば特徴でしょうか?
悪くはないのですが....「筒井康隆」らしくないとは思います。
この小品がここまで有名になるという不思議な運命を楽しみながら読む作品でしょうかねぇ。
私的には他の2作の方が楽しめました。
特に「果てしなき多元宇宙」は筒井康隆らしいブラックさが垣間見えていて楽しめます。
「発狂した宇宙」の愛読者たる筒井康隆がそれなりに楽しんで書いているような気がしました。
以下各編簡単に紹介と感想
○時をかける少女
理科室でラベンダーの香りの薬品を嗅いだ中学三年生の和子は不思議な能力を持つようになり...。
タイムトラベルテーマ固有のものでしょうが、「生きている時」が違うことの哀しさ、記憶というもののはかなさを暗示はしていますが...。
まぁそれほど深い話ではないような気はします。
主人公にもそれほど感情移入できませんでしたし、著名度とのギャップを楽しむ作品ですかね。(笑)
○悪夢の真相
中学二年生の昌子はなぜか般若の面がとても怖い、その原因は???
SFというより「心」に重きを置いた作品です。
内容に深みはないですが、人間の「心」の不思議さに着目した謎解きはそれなりに挑戦的な作品な気がします。
○果てしなき多元宇宙
ボーイフレンドのだらしなさを嘆いたりしていた高校生暢子は突然自分がこうなったらいいのになーという世界へ。
「発狂した宇宙」のパロディ的作品でしょうか。
特定の多元宇宙の或る一人を起点にして他の多元宇宙の存在がビリヤードの球のように押し出されていく発想が面白い。
多元宇宙同士で「時代」も変わっているというのもなかなか面白かったです。
主人公が最初に飛ばされた多元宇宙での史郎くんのとことんまでの惨酷ぶりが筒井作品らしいブラックさを醸し出しています。
筒井作品で同じくジュブナイルの「ミラーマンの時間」などに通じるブラックさですね。
ラストはもう少しひねってもかな?とも思いましたがそれなりに楽しめました。
やはり原田知世ファン!という方もツツイストな方も!
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