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児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

コバケンと小山さん

2008年04月13日 | いわき
小山実稚恵さんは嬉しいことに、いわきアリオスは気に入ってくれたようで、一昨日は1時すぎにホールに来て夜まで弾き込み、昨日も昼から8時近くまでずっとピアノを弾いていた。調律の杉浦さんもほぼつきっきり。彼が前の方の座席に座り、小山さんといろいろと問答をしながら聞いているのだけれど、その問答の内容は私ら素人には禅問答のよう。しかし、演奏家が何処までピアノの扱いに微妙な感覚を持っているのかがわかるような話で面白いことこのうえない。特に新しいピアノで、いろいろと変化していく様も本人たちも面白いのだと思う。
今日が本番。初めての有料の主催公演である。お客も1500人くらい入る予定でまあ出だしは好調と言っておこう。
昨日は夕方から小林研一郎さんが来て第九の練習。どかんと気合いを入れる方向なのだろうと覚悟していたのだが、比較的ソフトな進行。今日の夜もう一回練習がある。あと一週間だし、次はN響との合わせなので少し気合いを入れてもらった方が良いのかも知れぬ。しかし、合唱団の人たちの芸術に向かう気持ちがとても表に出てきている。昨日は小林さんにあいさつにきた小山さんに、合唱団にちょっと音を聴かせてあげて・・と言うので合唱団の前に小山さんが現れたのだが、その反応の良さは来週に向けて集中してきている気持ちが良く現れていて気持ちが良かった。
こういう、心の中で何かが変わってきたように感じる事も芸術の力かも知れない。





アリオスオープン

2008年04月09日 | いわき
いわき芸術文化交流館アリオスが今日無事にオープンしました。
といっても、ずいぶん前からプレイベントのあらしでしたから、大感動と言うほどではないけれども、今日は、能の高砂の公演があり、そのあとで式典。あいさつのあと、大石支配人が「アリオスはこうします・・」という宣言のような話しをして(その中で良い組織は他所者、出戻り、地元の人が一緒に流通良くいる組織であるということも言って)、最後に谷川俊太郎さんの朗読。
彼は、昨秋に、ワークショップのようにしてアリオスのメンバーと対話をした。約2時間ほど。みんなが勝手なことを言ったらしいが(私は居なかった、残念)、それを聴いて、一つの思い言葉よりもいろいろな見方の方が良いのではないかと思ったそうです。それで4つの詩による「組詩」をつくった、といっていました。
僕は、それがそれぞれの人の中で勝手に発酵して、その人にとって意味のある言葉になることを本当に望んでいて、詩を聴きながら、そんなあり方を思いつつ、ちょっと涙してしまいました。
しかし、さすがは詩人です。多分私には100年かけても出てこないであろう言葉の力があります。来場していた人もそのことを感じてくれたならば最高です。

あと2日

2008年04月06日 | いわき
4月になった途端に風邪をひき(久しぶり)、ずっと調子が悪い。具合が悪そうにしていると、本当にみんなが心配してくれる。多分、忙しすぎて死ぬのではないかと思われているのだろう。確かに、体力で風邪をはねのけるには少し草臥れているかも知れないが・・。

いわきも桜が咲き始めた。今年は昨年よりも少し早い。全体に春の明るさがこぼれてきた気がする。北東北のほどではないが、東京に比べると春が明るさとともにやってくる感じが明瞭なのは明らかである。駅周辺の商店街にも祝いわきアリオスオープンの幟が飾られて、何かを始めるには良い時期である。日本の一年が4月から始まる理由の一端であるかも知れぬ。

いわきアリオスのオープンまであと2日になった。今日は日曜なのだが、その準備と平行してこの3日間は月末に行う文化協会のフェスティヴァルの各団体とのうち合わせもあり、8日の式典のあとには能の公演もあるので、舞台スタッフの忙しさは頂点である。
コバケンの第九公演もあと2週間。今日もこれからその練習である。だんだんと気合いが入ってきているが、来週マエストロが来て、仕上げの様子を見てもらうまで、いろいろと心配な事もある。何しろ相手はNHK交響楽団だし、マエストロは、気合いを入れるために厳しいことを言うのだろうなあ、きっと。


いわきアリオスによせて

2008年03月31日 | いわき
 いわきの新しいホール「いわき芸術文化交流館アリオス」は、1700席の大ホール、500席の中劇場、200席の小ホール、200席の小劇場、ほかにリハーサル室、スタジオなどが一度に出来る大きな会館である。
 こういう総合的なところのコンセプトはなかなか難しい。一つ一つの企画を成功させていくことは出来るかも知れないけれど、全体をどうブランディングするのかが問題になるのである。それにここにはそれぞれのジャンルでキャリア豊かなプロデューサーが何人もいて、それぞれが、自分のスタイルや成功体験、プライドを持って集まってきている。
 だからこそその中心にあるのは抽象的だけれど、それぞれの人たちをその気にさせる言葉でなければならないし、それが、いわきと言う場所に生活の一部分を託している人たちの為に全員が一緒につくしていかねばならない。
 芸術というのは、結局、どんな社会でも、それを形成している人々が同じ方向を向き、同じ事を考えているような社会を恐怖することがスタートラインにあると思う。人との違いを受入れつつ孤立化していかないということは難しいが、それを実現する目標を持ってアリオスという社会を考えたとき、たどり着くのはやはり言葉だ。

 会館がそのオープニングのために、というよりも、そのホールに込める心のために詩を書いてもらう・・、というのは多分初めてだと思うけれど、それが、不思議な縁で谷川俊太郎さんに頼むことが出来たのは本当に本当に僥倖といっても良い神の配剤だった。
ホールの画竜点睛にというお願いをされた谷川俊太郎さんも、その書きようには悩まれたのではないかと思うけれど、彼のつよいけれども柔軟で優しい言葉が、スタッフの気持ちに刺さって、それぞれが自分流にアリオスに活かしていくととても良い雰囲気のホールになると思うのだけれど。
 「アリオスに寄せて」4編の詩のなかで、3月31日に刷り上がってきたアリオスペーパーには、谷川さんの自宅そばの公園での写真とともに以下の詩が印刷されている。ありがとうございました。


ハコのうた

からっぽはすばらしい
なんでも いれることができるから
でもいつまでも ためておかない
またからっぽにして ハコはまつ
あたらしいもの たのしいもの
ハコはいきて こきゅうしている

ハコのなかで ひとはうたう
ハコのなかで ひとはかたる
ハコのなかで ひとはおどる
ハコのなかは そととはちがう
わくわくどきどきはらはらさせる
ハコはいきて こきゅうしている

いわきのプレオープン(アリオスで乾杯)

2008年03月22日 | いわき
いわきアリオスは4月8日にオープンするのだが、3年ほど続けてきたダイアモンドプロジェクト(イベント大賞も取った市民企画)の人たちに、プレオープンのアープンハウスを企画してもらおうと言うことになって、市民が今日明日といろいろとイベントを仕掛けている。ありがたいことに今日は全国的に天気が良く、いわきも春らしい良い天気である。朝10時から人が続々と来ている。チケットカウンターも人が切れるということがないような状態。演歌からクラシック、演劇までいろいろと行われるアリオスでの企画(主催に限らないが)が着実に売れている。何度も言うけれども市民の期待感は高い。
昨年の今頃はちょうど旧の市民会館が取り壊される直前で、市民会館さよなら企画をやっていたのだが早いものである。
目玉のイベントは、今日はBBBBのワークショップとコンサート、明日は仮屋崎省吾のフラワーデモンストレーション&トーク。
面白いのは、災害時の模擬体験を行うこと。コンサートの途中で、舞台と客席の居電気が消えて・・という事を実際に体験してもらおうというもの。
市民が中心になっているのだけれど、スタッフも総出でのイベントである。



いわきのチケット発売と音響テストコンサート

2008年03月03日 | いわき
いわきのピアノ開き(小山実稚恵)のコンサートの発売があった。実は発売がチケットシステム等の関係で遅れて3月1日からになったのだが、大ホールと言うこともあり、いわきでどれだけの方が聴きに来てくれるか、まだまだ不安いっぱいである。幸にしてかなり出足はよく、昨日今日で900枚くらいまで伸びたのでまあほっとしたというのが本音。来週は第九の残りのチケットの発売がある。多分そうそうに売れてしまうので、そのあとは買えない方への対応に追われる事になりそうである。それについてはいろいろとアイデアが市民の方からも出てきて居るみたいだけれど、まあ単純に売り切れで仕方がないのかも知れない。
今日はいわきアリオス音響テストコンサートと銘打って、満席での音響と運営のテストランをおこなった。音響テストだと本当はきちんとした測定とかをすることが多いのだけれど、今回はそれは無し(その方がお客さんにとっては幸福だろう)。アンケートを沢山集めて、ホールの音響や温度管理などに参考にするつもりなのだけれど、沢山集まったアンケートの束を見て「これって誰がやるんだ」に近い。多忙さを考えるとそれなりに大変だろう。でも、1550人ほどの人が普通のコンサート同じように来てくれたので、駐車場のこと、人の流れのこと、対応の仕方など何となく把握は出来たみたいだ。発売と重なってスタッフはてんてこ舞いだったが、市民の期待感とかが伝わってきて良いコンサートになった。演奏をしてくれたいわき交響楽団にも感謝。

いわきコーヒー4

2008年01月20日 | いわき
「いわきは寒くありませんよ」と言われていたので比較的安心していたのだが、(東北の割りには)という言葉を明らかに聞き逃しているというか、今日は寒い。昨晩は暖房無しでは寝られなかった。
その上、これは夏頃から気がついていたのだが、借りている部屋からアリオスまでの一本道は、どうも風の道に近いのか風が案外吹くのである。
今日は朝が比較的ゆっくりだったので、朝食をかねてラトブ近くの店にいってモーニング。カフェ・ド・ラガールというこじんまりした店。ランチもやっているような店で、コーヒーだけに拘ってますと言うオーラはないのだけれど、コーヒーそのものはしっかりとしている感じがした(ま、ブレンドだからよく判らないけど)。
専門店の「味をしっかり味わって飲むために行く」と言う場所は、気の小さい私などは、飲み終わってから長居をしにくいのだけれど、ここはそういう感じでもなく、それはありがたい。


いわきの小野明子2

2007年12月09日 | いわき
小野明子のアクティビティは最終日のヴァイオリンパーティが最後。
11月から練習をしてきた子ども達と、希望者が参加して一緒にレスピーギとラデツキーマーチを弾いた。参加者が40名程、聴きに来た人たちが60人くらいはいたかな。
指導では若いとはいえさすがにメニューイン学校の先生、短い時間で的確な指摘をしていたが、比較的精神論ではなく「考えて楽しむ」という方法。最後に2曲を一緒に演奏して記念写真を撮って終了した。
昨日の演奏会では、休憩時に、途中で質問コーナーを作りたいと言って担当者は案外あわてていたが、それが最後には非常に暖かい雰囲気を作り出していたので、あわてただけの甲斐はあったというべきだろう。
全体には、充実した音活。その意味ではいわきアリオスのスタッフの制作能力は高い。
小野さんは、話しをすることは、やや負担感があるなあと思ってみていたが、それでもそれをカヴァーする良い方法を考えることが出来るのではないかと思った。
トリトンでは外国人が平気でアウトリーチをやっているわけだから・・・。でもそれ以上の何かを持っている人だ。

小野明子さんのいわき音活1

2007年12月08日 | いわき
 いわきの音活、小野明子さんの小学校と中学校へのアウトリーチに同行した。今回はコーディネーターは吉本さんがやってくれているし、細かいところまで気がつくコミュニティ担当の二人が付いているので、口を出す必要もなく気楽というかなんというか…
 いずれフィールドノートにも載せるけれど、行ったのは両方とも山に入った方の比較的小規模の学校。どちらも本当に純朴な生徒なのと、先生方の熱意がすごいのがひしひしと判るような雰囲気だった。今までにも何回もヴィデオレターというのはやったのだけれど、今回ほどヴィデオレターの意味や効果がはっきりと現れたケースはそう多くないと思う。どちらもとても工夫を凝らしたレターを送ったようなのだ。小野さんもそれを見ていろいろと感じるところがあったみたいだ。
質問コーナーでは「弾いているときになんであんなにからだが横に揺れるのですか」とか「12才でヨーロッパに行ってさびしくなかったですか」「練習の時にけがはしないのですか」とか、面白い質問がいくつも出た
 本人は、まだ帰国して数日(成田からいわきに直行だった)しか経っていないので、まだ、考えたことは先ず英語で言葉になったしまう状態。日本語がスムースに出てこないことにややもどかしく思っている様子はあったが。小野さんの演奏は相変わらずシャープである。演奏に限って言えば音楽室の空間の場合、その狭い空間をヴァイオリンの音で全部埋め尽くそうというような感じではなく、音楽の作りやヴァイオリンの音を丁寧に伝えようという演奏。今日のホールでのコンサートではまた違った、スケール感豊かな小野明子が見られるとおもう。

NUUさんのコミュニティプログラムスタート(おでかけアリオスVol1)

2007年10月28日 | いわき
いわき最初のコンサートイベントがおとといから三日間あった。いわき最初のおでかけアリオスである。「はじめまして!NUUライブ」と題された3日間で、場所は平の龍門寺、田人ふれあい館、いわき市内郷の総合保健福祉センター。NUUさんとギターの笹子重治さんと、パーカッションの渡辺亮さん(まったくの同姓同名がチェロ関係の知り合いでいてまぎらわしいな)。
NUUさんはいわゆるシンガーソングライターであるが、自分では曲を産む人だといっている。それは曲の出来方がそのようだかららしいのだが、確かにヒンデミットの本にも「新しい作品が出来るときは、部分部分が出来てくるのではなく、ある瞬間にすべての細部まで俯瞰するように見えてしまう」ということが書いてある。それが産むということなのだと思う。案外女性らしい官能的な見方のような気もするけれど・・・。
今日の親子(1歳から5歳までのお子さんがいた)のコンサートで彼女のコミュニティでの能力が俄然と発揮されたように思う。ああ、この人のベースはこういうことなのね、と感じてしまうような進行。これについてはフィールドノートでは書きにくい(というよりもメモが取れない・・・)が、途中までの不安をよそに、少なくとも最後のスーダラ節(写真)では完全に子供たちが踊っていた。すごい・・!


アウトリーチ活動については、最近人前で話をすることが多いのだが、いつも思うことがある。それは活動拠点から出かけていくアウトリーチ活動には明らかに二つの要素があるということ。ひとつはその人の芸術というか音楽をわかりやすく伝えること、そのきっかけになるようなことをすることであり、もうひとつは聴きにこられない人のところには出かけていこうという思想である。片方が普及的にな意図を持ち片方は福祉や人権(最近は文化権というものがある)にかかわることだろう。
いずれにしろボランタリーな精神抜きに継続して行うのは案外しんどいだろう。
もちろん出掛けていくということは音楽活動としては本来的には必須条件ではない。しかし地域の会館の仕事という観点からすると、そこで地域の人と接触しわかり合い、ひとつのことに向けて力を出していくという作業が会館の役割として実に大きいということがある。それはスタッフもアーチストもである。
それがおでかけアリオスの欲張りな企画趣旨である。その上にアーチストが地域のいろいろなことから刺激を受けて、コンサートが成功した・・という以上の何かを持ち帰ることが一番うれしい。

その話はまたいずれするかもしれないけれど、今日はともかくNUUさんのコンサー
トがいい形で出来たことをいわきのために喜びたい。
全部のコンサートが終わってNUUさんに、いわきの人や自然から何かが貰えましたか?と聞いた。「もちろん!特にたくさんの人たちから貰いました」という返事を聞いてほっとして帰京の車に乗った。