台所で何となくラジオを聴いています。美しいヴァイオリン曲を弾いているのはみどり。さすが天才と言われるだけのことはあると感心しながら聞いていました。曲はチャイコフスキーの「シンフォニー・メランコリック」とか言うものではじめて聞く曲でした。デビューの頃ははっきりと「五島みどり」と呼ばれていたのに何時の間にか「みどり」だけになったことの理由は判りません。
それから三日後、同じ曲が聞こえてきました。放送局もレコードのストックが少なくなって、またみどりの曲を流しているのだな、と思いました。
しばらく訊いていて気が付いたのです、少し違うことに。
全く同じ曲なのに演奏に艶があるというか、深みがあるというか、言葉は見つけられませんが確かに違うのです。たった三日でこんなに上達するなんて、、と思い、生放送ではないんだと気付いて一人苦笑い。こうなると最後まで聞いてみどりの演奏かどうかを確かめなければなりません。
曲が終わり、イツァーク・パールマンとアナウンサーが言いました。
謎が解けたというか、何となくホッとして、さすがパールマン、と言う感動も否定できません。みどりほどのヴァイオリニストでも比べられるとこんなに差がついてしまうのです。年期が違うと思います。でもそれだけではないのでしょう。生まれつき与えられた才能というものは絶対あると思います。