つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

さくさく行こう

2007-02-23 23:59:15 | ファンタジー(現世界)
さて、もう恒例? の第815回は、

タイトル:9S <ナインエス> V
著者:葉山透
出版社:メディアワークス 電撃文庫(初版:H17)

であります。

3巻4巻の上下巻が完結し、続いて著者曰くADEM編の始まりとなる第5巻。
1巻のあとがき、2巻などから長編過多の傾向が激しい著者だけに、もうここまで来ると5巻のあとがきに「上下巻」の文字があってもぜんぜん不思議ではありません。
と言うか、上中下になるかも……と書いてある時点で、そうなることが確定だと確信したぞ、私は。

さて、上中下巻になるであろうADEM編の導入編。ストーリーは、

「ADEMを離脱した由宇、そして闘真。峰島勇次郎の痕跡を求め、二人の逃避行が始まる。向かうは因縁の地―勇次郎が失踪し、幼き由宇が拘束された旧峰島研究所であった!
一方、ADEM指令伊達は難局に直面する。先のミネルヴァの一件での社会的損害、そして由宇の脱走の責を問われ、更迭の危機に。その裏には老獪な政治家さえも手玉に取る切れ者、黒川謙がいた。ADEMに代わる強硬な組織設立を目論む黒川は、伊達より早く由宇を拘束しようと動く。そして由宇たちを追う、第三の集団―謎の傭兵部隊「七つの大罪」。
かつてない脅威が由宇たちに迫る!!」

今回は、まぁ、導入編と言うことで、比較的おとなしめ。
4巻のラストでADEMを離れた由宇と闘真。1巻で登場し、闘真に目を掛けつつも遺産強奪組織「蜃気楼」に殺された横田健一の家で束の間の平穏な日々や、自らの目論見……理想を実現するために画策する黒川、元同僚である黒川と語り合うADEM司令の伊達などなど……。
由宇や闘真の戦うシーンなどはあるけれど、以降のストーリーを見据えてか、こうしたシーンも派手さに欠ける。

もちろん、終盤の旧峰島研究所での出来事や、変わりつつある由宇と闘真の関係など見どころはある。
……あるにはあるが、巻を分けた物語としては、3巻ほど勢いがないのが物足りない。
どうせ上下じゃなくて上中下巻になるんだろうし、序破急の序として見るならば致し方ないか……とは思うけど、もうちょいぐっと引きつけられるような勢いが欲しいよなぁ。

そんなわけで、いまいち印象が薄いADEM編導入編の第5巻だけど、おもしろくない……と言うわけではないが、従前ほどではない。
これを単体として読むのであれば、さすがに良品とは言い難いか。
……まぁ、ここまでおもしろく読めるものを何冊も出してくれているから、すでにラノベ点はなし、評価はやや辛め、というラノベにしてはハンデがあるのだが。
すでに完結編であろう7巻まで出ていることだし、これは5~7巻まで一気に買って読むのが吉かもしれない。

……私もどうせ買うんだから残り全部買っとけばよかった……(笑)



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