つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

もういいや、っと

2007-02-19 23:59:17 | ファンタジー(現世界)
さて、ここまで来るともう続けるぞの第811回は、

タイトル:9S <ナインエス> IV
著者:葉山透
出版社:メディアワークス 電撃文庫(初版:H16)

であります。

もうここまで来れば、とりあえず全部読んで、全部紹介することにします。
だっておもしろいんだもの(笑)

と言うわけで、早速ストーリー紹介。
3巻は、上下巻の上巻と言うことで、敵味方一堂に会し、「さぁっ、これからどうなる!?」ってところで終わっていたけれど、上巻で語られていたすべてに決着をつける下巻。

「真目家を根底から覆すという驚異の遺産【天国の門】。その力を求め、一つの地にすべての勢力が結集する。麻耶とADEM、そして由宇。その前に立ち塞がったのは、マジシャンの傀儡と化した闘真だった! マジシャンは去り際に予言を残す。三日以内に【天国の門】を渡さねば、この街に血の雨が降るだろう、と。
なす術もなくマジシャンたちを見送るしかなかった由宇と麻耶は、互いの感情を乗り越え手を結ぶ。【天国の門】とは? 遺産を取り出す方法とは? 二人はぶつかり合いながらも真実へと迫っていく。
 そして運命の日――最後に笑うのは果たして!? 俄然ヒートアップの第4弾!」

いやぁ、今回は1巻に負けず劣らず、展開にパワーと勢いがあって、おもしろかったねぇ。
今回は、闘真と由宇、と言うよりも、麻耶と由宇のコンビのほうが前面に出ていて、このふたりのやりとり……ともに得意なところ、苦手なところなど、それぞれのキャラの魅力が十二分に見て取れる話となっている。

また、ストーリーでは闘真と由宇という戦闘寄りなものではなく、峰島の最高傑作とされる卓越した頭脳を持つ由宇と、真目家という極めて強大な組織の持つ権力とが手を組んで展開されるスケールの大きな仕掛けなども見どころのひとつであろう。
だいたい、【天国の門】を取り出すのにあんなことをやるか、おまえら……(笑)

あと、構成と言う面で見れば、闘真が禍神の血を辿ることなども含め、3巻で持ち出されたものを余すところなく使い切った終盤は見事。
……と褒めたいところだけど、とにかく使い切りたかったのかどうかはわからないが、終盤がそれらの謎解きに費やされ、且つ、3巻での前振りが多すぎたために、謎解きに費やされた分量が多すぎて、やや食傷気味になるのは残念。

それとそうした謎解きをする部分に「準備、その一」「解明その一」など、小さなタイトルを付ける部分があるのは書き方としてどうかと思う。
別にそういうことをしなくても、読んでいてそう言う場面だと言うことはわかるのだから、はっきり言って邪魔。
ついでにもうひとつ、謎解きなので仕方がない部分はあるのだが、科学用語満載の説明台詞の多さも、謎解き分量の多さと相俟ってうんざり気味。

ストーリーがおもしろくなければ、確実に斜め読み決定……なのだが、まぁ、そこはやはりおもしろいのでしっかりと読んでしまうのだが……(笑)

まぁ、しかし、マジシャンの話と闘真が禍神の血を辿った話がそうなるのか、とか、【天国の門】をそう使うか、とか、由宇はどんどんどんどん女のコしてくるなぁ、とか、闘真と由宇の「明日はどっちだ!?」な展開、とか、不坐親父の目的はわかるけれど相変わらず悪人ね、などなど、見どころは満載。
おもしろさは上下巻の下巻と言うことで期待を裏切らない展開に、パワーと勢いも加わって、まぁ、少々の難点は帳消しだろうね。

是非、3巻4巻と続けて読んでもらいたい作品。
総評、良品。



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