つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

人形劇?

2007-02-16 23:54:29 | 小説全般
さて、シリーズものばっかりはやっぱダメだよなぁの第808回は、

タイトル:愛された娘
著者:梅田みか
出版社:角川書店 角川文庫(初版:H14)

であります。

おもしろいシリーズもの、って結局ほいほい読んでしまうから続いちゃうんだよねぇ。
とは言え、シリーズものを何個も何個も読んでるとそればっかになってしまうかもしれないので、意識して他のを読まないとね。
それでもやっぱり紹介したくはなるんだけど(笑)

さて、前振りはこれくらいにして、本書の話題であります。
ストーリー紹介は……今回も引用です。
サボってるとは言わないように。ちゃんと読んでるんだからね(笑)


「類いまれな容姿と知性を持つ藤波京子。その美しさは、ほかの女たちがどんなに着飾っても太刀打ちできるような種類のものではない。それは、彼女が精神までも毎日丁寧に磨き上げているために、湧きいずるものなのだ。いま、京子には大切な人間が二人いる。恋人の羽田と娘の梨花。恋人との逢瀬を楽しむ一方、彼女が会得してきたあらゆる美学をもって娘を育てている。しかし、やがて娘は、母の大いなる影から抜け出し、自分の心と体を自由に操ろうとするのだった……。極上の愛の物語。」


概ね、こんな感じ。
構成としては、序盤から中盤全体でほぼ、京子の子育てと羽田とのやりとりで占められ、終盤はある出来事をきっかけに京子から離れていった娘の梨花の視点になって話が進む。
まぁ、この辺りの展開に無理はなく、ストーリーはしっかりしているほうだろう。
文章もときおり見えるわかりにくい表現、情景が浮かばない描写を除けば、さして目くじらを立てるほどのものではない。

しかし、ストーリーとか、文章はいいのだが……。
キャラ全員がものの見事にお人形なのはどうにかならんもんか……。

京子の独自の美学。
そうしたものを差っ引いても、主人公である京子の人間味というものがまったく感じられない。
梨花も、終盤、主人公格を与えられてストーリーの中心として描かれるのだが、結局京子と同種のキャラなので、こちらもそうした人間味はない。

羽田はさらに顕著で、少年マンガにありがちなステロタイプのヒロイン並みのロボットキャラ。
他の羽田の母親、妻と言ったキャラも使い捨てレベルのお人形で、京子と梨花の別れを演出するためだけに出てきておしまい。

「極上の愛の物語」と銘打っておきながら、ここまでお人形しか出てこない小説で愛がどうのと言えてんのか、すんごい疑問……。
ともあれ、ストーリーがどうであれ、こんなお人形だらけの小説がおもしろいわけがない。
と言うわけで、総評、落第。