Greenwell's Gloryはスタンダードフライの中でも世界的に広く使われその名を知られている毛針。
元々はDurhamのCanon William Greenwell氏が1854年スコットランドのイングランドとの国境地域を流れるTweed川で5月に釣りをしていたところ、鱒達がMarch Brownよりも他のカゲロウを好んで捕食していることに気付き、Tweed川の畔で名を知られた毛針職人のJames Wright氏に彼が見た鱒が好むカゲロウに似せた毛針を巻く様に依頼、二人で考えた末出来た毛針。Greenwell氏がその毛針で他の釣り人に真似の出来ない大釣りをしたことから、「グリーンウェル氏の栄光」と呼ばれるようになった由。
そのレシピをGreenwell氏は下記のように書き残しております:
Wing: Inside of a blackbird's wing
Body: Yellow silk
Hackle: Coch-y-bondhu
Hook: 14
アイの付いたスネック鉤をH.S.Hall氏が開発したのは1879年。更にドライフライが南イングランドで愉しまれるようになるのが多分1860年代以降である事を考えると、元々のGreenwell's Gloryはガット付きの鉤に結ばれたウェットフライであった筈です。
昔入手した英国のお医者さんが残したハックル、シルク、その他のフェザー類の中にアイの無いスネック鉤やリマリック鉤があります。
鉤の入った小箱から幾つか出して見ます。
比較的大きなと言っても、12番程度の鉤の他は、
小さめの鉤15番からそれよりも小さい感じです。
雨の日曜日。徒然なるままこの鉤にGreenwell's Gloryを巻いてみることにしました。
15番程度の鉤にガットではなく、フロロカーボンの1号(4X程度)のテグスを黄色の絹糸で鉤に巻き留めます。この絹糸は昔のゴッサマー・シルク。良くワックスをかけておきます。
その絹糸のファウンデーションの上に、Blackbirdは入手不能なので、代わりにスターリングのクイルを付けます。ウェットフライのウィングは寝させるのが一般的ですが、北部イングランド等ではウェットフライのウィングを直立させていたことから、当時のスコットランドでもそうであったと想定し直立したウィングを取り付け、そこに、これまた昔の英国のCoch-y-bondhuのヘン・ハックルを巻き留めます。
出来上がった毛針を黒い背景で見て見ます。
このGreenwell's Glory。私も欧州、日本で使って大釣りをしたことがありますが、どちらもドライフライではなく、ウェットフライとして使ったときでした。東日本大震災の後の養沢は平和橋の上流の同じ場所であっという間に鱒を10数匹釣ったとか、オーストリア山中の湖で虹鱒、アルプスイワナ、ブルックトラウトを大釣りしたりとか。。。そんな数釣りでなくとも今は良いのですが味のある釣りを愉しみたいと思っております。ハックルはヘンですが、乾いていれば浮いてくれそうな毛針に仕上がったので、ドライフライでもウェットフライでも両刀使いでいけそうです。
もう少し暖かくなったらウェットフライも使えるちょっと長めの竿でこの毛針を川に連れて行くつもりです。