思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

ドライフライのハックルの真実(フランスのハックル)

2019-02-04 19:08:11 | ハックル/Hackles

Whiting等の米国のジェネティックハックルはドライフライハックルのスタンダードであると日本のみならず英、仏、独の釣り雑誌で広く取り扱われております。しかし、ジェネティックハックルの欠点である大きい鉤に合うサイズのハックルが少ない事(そもそも12番や14番は大きな鉤ではないと思うのですが)、ハックルの裏が白く、表面の発色は良くても透明感に欠ける事、等、納得出来ない点があるため、オールドイングリッシュコック(OEG)、インド・中国鶏と過去見てきましたが、他にも日本では殆ど知られていないものの、長く釣り人に支持されてきたハックルがあります。
以前、スペインのレオン鶏(パルド及びインディオ鶏)を紹介致しましたが、フランスにもリムザン鶏というドライフライ用のハックルが取れる鶏が存在するのです。

このリムザン鶏を更に毛鉤のハックル用に育種したものがcoq de pêche (コック・ドゥ・ペッシュ/釣りの鶏:毛鉤用の鶏)と呼ばれ、何人もの養鶏家に飼われており、フランスの中央部旧リムザン地方、今のCorreze県のNeuvicという町では毎年5月1日にcoq de pecheの品評会が開催されている程。

これはcoq de pecheのハックルですが、リストが透明のブルーダン、バーブは金色と極めて魅力的なハニーダン。

これは透明感に溢れるダークブルーダン。

これはライトダン。透明感に溢れます。
このハックルの入手には仏語のやり取りが必要なのと、かなりの田舎である現地の養鶏家は零細事業家であり、支払いはフランスで伝統的に使われている小切手でないとダメという事で、日本で手に入れるのは極めてハードルが高いのが難点です。
現在、入手ルートを開拓中ですので、入手出来ましたらいつか報告させて頂きたいと思います。
さて、coq de pêcheのハックルを見て頂くと、米国ジェネティック程ではないものの、どれもインド鶏等と比較し長くなっている事が見て取れると思います。

上は1886年に発表されたFrederic Halfordの「Floating flies and how to dress them」ですが、ここで描かれているハックルはcoq de pêcheのハックルやFrank Elder氏のOEG比べ短く三角形になっております。この絵をよく見てもらうとバーブが先端に行くに従い極端に短く描かれと実物とは非常に乖離した空想の産物である事が判るのですが、いずれにせよ、当時のハックルの長さはかなり短かったのではと思われます。

上のハックルは、私の持っている1942年のOEGのハックル。短くずんぐりした形です。

一方、上はFrank Elder氏が育てたOEGのハックル。多分、Frank Elder氏が亡くなる直前の1970年代のものと推測しますが、1942年のハックルに比べ長く槍の様な形となっております。
一体全体、OEGとcoq de pêcheのハックルの長さが増している背景には何があったのでしょうか?
コメント (2)
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