ぶらっと散歩

訪れた町や集落を再度訪ね歩いています。

周防大島の笠佐島は般若姫伝説のある地 

2021年04月22日 | 山口県周防大島町

        
                 この地図は、国土地理院の2万5千分1地形図を複製・加工したものである。
         笠佐島は小松港の西約2kmの海上にあり、地形は比較的穏やかである。柳井市新庄にあ
        った塩田で使用される薪の供給地であり、その後、石炭へと変遷すると島内の開墾が始ま
        ったとされる。
         島の由来は、昔、大畠の瀬戸に身を投げた般若姫に、笠を捧げたことから「笠捧げ島」
        と呼ばれるようになり、現在の「笠佐島」になったと伝わる。(歩行約1.3km)

        
         本土側連絡船乗り場は町立大島病院傍の小松港だが、運賃は往復220円である。

        
         行政連絡船「かささ」は定員12名で、気さくな船長夫婦の運行で約7分の船旅だが、
        流れ行く風景を楽しむことができる。 

        
         潮風をうけながら景色を楽しむと笠佐島港へ到着。水曜日のみ10時発があるが、船長
        によると給食を運んでいた時代があって、それが今日まで引き継がれていると説明あり。

        
         2020(令和2)年4月時点で10人が生活している島である。(現在は9人とか?)

        
         笠佐島の港と家並み。

        
        
         港に到着すると島を案内してくれるワンちゃんに出会う。

        
         東海岸より柳井の琴石山と大畠瀬戸。

        
         対岸に周防大島。

        
         右手にS邸を見ながらワンちゃんの先導で山手に向かう。

        
         港から山手に向かう途中に喚鐘があり、「天保壬寅七月(1842)‥道場‥」の刻字が見え
        るが、寺の鐘ではないようだが時鐘だったのだろうか。

        
         製塩燃料として石炭が用いられるようになると、小松志佐村の中村という武士が農民た
        ちをこの島に住まわせて開墾させたという。 宝暦年間(1751-1764)に限られた土地利用に
        ついて工夫がなされ、35坪以上は増さぬようにし、分家は島外に出したとのこと。

        
         小規模な田畑と漁業で生活が営まれてきたようだが、今は担い手不足で水田は無くなり、
        港にわずかな漁船と、年寄りが耕やす自給の畑が人の気配を感じさせる。 

        
        
         島にはお寺がないが、島民にとっては大事な笠佐八幡宮。神社のご神体は阿弥陀如来だ
        そうで、伝説によると、阿弥陀如来を子供たちが持ち出して、小川で水や砂をかけて遊ん
        だという。集落の爺が「ばちがあたるぞ」と取り上げて神殿におさめた。
         ところがその夜、爺の枕元に「楽しく子供たちと遊んでいたのに、いらぬおせわをして
        くれた」とおっしゃった。そのためか金箔もはげて、白木の肌をあらわしているという。

        
         何人を案内したのか場所をよく知っている。

        
         神社から民家までは草が被さるが、島にはマムシがいないとのことで安心して歩ける。

        
         道は水路に沿っているようだが、廃道になっているので屋敷地内を通行させていただく。
        (ほとんどが空家)
 

        
         家に表札はあるものの無住である。

        
         堤防跡のような痕跡が残る。

        
         海水はきれいで砂浜もあって海水浴ができそうだ。

        
         島内はすべて軽トラで車検とは無縁のようだ。

        
         島を周回できる道には、竹やぶや畑、途中にはビーチもあってのんびり散歩ができるそ
        うだが、1~1.5時間必要とのことで今回は残念する。

        
               少し上がれば大島大橋を一望できる。

        
         1933(昭和8)年まで笠佐島分教場があったが、人に会えず跡地の確認はできず。(山
        は屋代島の飯の山)

         
        
         島には商店も自販機もないが、2010(平成22)年3月にオープンした漁家民宿「かさ
        さ」がある。

        
         2時間という短い滞在時間だったが、ワンちゃんが同行してくれて楽しい島旅であった。
        (ワンちゃんは民宿の家族だそうだ)

        
         笠佐島の面積は0.83㎢で、標高115mの高尾山があり、東側海岸に砂浜があるが、
        南側は険しい地形をなしている。

        
         島民の方は屋代島に車を置かれているようで、ここから小松あるいは本土へ出かけられ
        ている。郵便局員は大変で12時の便で島に渡って大急ぎで配達を済ませ、12時10分
        の便で戻ってくるというあわただしさである。