名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(362); 四間飛車に玉頭位取り

2016-12-08 | 大山将棋研究
昭和52年7月、高島弘光先生と第3期棋王戦です。


大山先生の四間飛車に高島先生は玉頭位取りです。

44銀型で対抗するのが一番良いのでしょう、居飛車はどこかで48飛を強制されます。

端を受けているのに歩を交換した後で穴熊にするのは欲張った感じです。これをみて高島先生が動きます。

74歩と突き捨てて4筋から。

銀を捨てれば

桂を取り返せます。ただし形勢は難しいです。

じっと馬を作って守りを固めるのが最善のようです。

高島先生は飛車を取って49の飛をさばきます。

44角には55桂が攻防になり、44飛から54角を狙います。

54銀の受けにも飛車を切ってから91飛。

桂を取って73桂、と激しく迫ります。72玉は81角があるのでなかなか厳しそう。

玉を端に追いやって、ここで64角成も相当で、そちらを選ぶべきだったか。95歩は一気に勝負を決めようとしています。

98歩は同飛に99飛の意味。手抜いて香を取りに行きます。

これで詰み、ならいいのですが81玉は詰みませんね。92歩合いも詰まなさそう。大山先生は桂合いだったのですが、ポカですね。

ぴったり詰んでいます。

終盤、93香に81玉64角成(詰めろ)に98飛77玉以下玉を追われてまだまだ波乱があったと思います。わざわざ桂合いは投了図の93銀不成を見落としたのでしょう。
高島先生らしく鋭く切り込んでいって、大山先生がわずかにかわす中終盤はなかなか面白い展開でした。最後まで形勢は難しかったと思います。



#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:高島弘光7段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 6八銀(79)
16 4三銀(32)
17 5七銀(48)
18 5二金(41)
19 5八金(49)
20 8二玉(72)
21 7五歩(76)
22 5四歩(53)
23 7七銀(68)
24 4五歩(44)
25 6六歩(67)
26 4四銀(43)
27 6七金(58)
28 5五歩(54)
29 同 歩(56)
30 同 銀(44)
31 4八飛(28)
32 3五歩(34)
33 5六歩打
34 4四銀(55)
35 7六銀(77)
36 9二香(91)
37 6五歩(66)
38 3三角(22)
39 7四歩(75)
40 同 歩(73)
41 4六歩(47)
42 同 歩(45)
43 同 銀(57)
44 4五歩打
45 3五銀(46)
46 同 銀(44)
47 3三角成(88)
48 同 桂(21)
49 5五角打
50 7二玉(82)
51 3三角成(55)
52 3九角打
53 4九飛(48)
54 8四角成(39)
55 6四歩(65)
56 同 歩(63)
57 4二馬(33)
58 同 金(52)
59 4五飛(49)
60 4四角打
61 8五銀(76)
62 7三馬(84)
63 7五歩打
64 同 歩(74)
65 5五桂打
66 5四銀打
67 7四歩打
68 6二馬(73)
69 4四飛(45)
70 同 銀(35)
71 9一飛打
72 2八飛打
73 6八歩打
74 8二玉(72)
75 8一飛成(91)
76 同 玉(82)
77 7三桂打
78 9一玉(81)
79 6一桂成(73)
80 同 馬(62)
81 7三角打
82 8二桂打
83 9五歩(96)
84 2九飛成(28)
85 9四歩(95)
86 9八歩打
87 9三歩成(94)
88 同 香(92)
89 9四歩打
90 同 香(93)
91 同 銀(85)
92 9九歩成(98)
93 9三香打
94 9二桂打
95 同 香成(93)
96 同 玉(91)
97 9三銀(94)
98 投了
まで97手で先手の勝ち
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20161208今日の一手<その429>; 寄せのセオリー(7)

2016-12-08 | 今日の一手
20161208今日の一手

10月の東海団体リーグから私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答
この将棋、序盤で48銀というのが疑問手

のはずで、84歩78金86歩同歩同飛87歩76飛69玉

と進んで私のほうが少しいいでしょう。
ただし、私は横歩取りの将棋がわからない、指すと「両取り見えない病」が出やすくなるのでほとんど指したことがないので実戦的にはあるんでしょうか。もちろんTさんがそれを知っていたわけではないのですが、乱戦を好む方ならありうるかという気もします。

問題図は

☆ 形勢判断をします。
銀と角歩3の交換で、後手は歩切れですから歩もカウントします。先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は35飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は(少し離れていますが)56銀45桂で2枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
先手の駒得ですが、97歩成があるのでゆっくり指せばよいとは言いにくいです。96金とか85桂とかでゆっくりになればいいのですが、57桂成や65桂が見えています。
97歩成は仕方ないとして、先手玉を固めるか、攻めて後手玉の囲いを弱体させるか、どちらもありそうです。


× 96金は

57桂成に同角は同銀成同金24角

という筋でつぶれます。

57桂成を同金として、同桂成同角47飛成なら64桂

という うっちゃりがあります。取れば王手飛車、61玉は詰み、42玉に24角33歩34歩で先手の勝ち。

でも47飛成ではなく65桂として

王手飛車が消えれば、46角くらい。46同飛同歩47角

で寄り筋です。


× 78玉は(対局中はこれくらいかと思っていましたが)

97歩成同香57桂成同金同銀成同角65桂46角77金

これも寄りです。


× 66銀と受けても

この場合は97歩成同香74桂

という両取りがあって、後手が指しやすいでしょう。


△ 受けるなら46歩で

97歩成に45歩は同飛

とぶつけられて先手が悪いので、97歩成には同香です。

以下は57桂成同金同桂成同角65桂

前の2つの変化は47飛成が(王手飛車を避ければ)あったのですが、ここでは防いでいます。
79角に77桂成58玉56金なら64桂

で両取りを狙う筋がやはりあります。64同飛もあるのでこの図も難しいところです。

戻って、56金ではなくて68金として同角同成桂同玉46飛なら64桂

64同歩に47歩という受けもあります。

79角の時に57桂打ちとして

58玉46飛47銀36金

46銀35金同銀38飛47玉35飛成56玉

なんていう変化もあります。どれも難しい形勢です。

一番嫌なのは89金

でしょうか。
後手にいろいろな手があるので、実戦ならどう転ぶかわかりません。私ならあっさり王手飛車で終わっていたかも。(こういうのがあるので横歩取りはわからないのです。)


△ ほかの受けは36飛

で、前に出た角を取って24角の筋を避けて銀取りです。
57桂成同角同桂成同金65桂58金97歩成

後手は14角37飛45桂という攻め筋があります。少し後手が指しやすいのでしょうが、先手にも何かありそうでわかりません。



攻めるほうを考えます。
問題図では後手は65桂~57桂左成~58成桂同玉57金49玉47銀成で詰めろ。現状は4手すきです。これより早く寄せなければいけません。

寄せのセオリーは
厳しい手から考える
小さな駒から使う
でした。
すぐに王手や後手玉を直接狙う手は駄目そう、
玉の隣の62の銀を狙う手は74歩~73歩成とするくらいですが、73同銀で何でもない
72金を狙う81角は71金で後続がない
ということで、32金を狙います。これはいろいろありそう。


× 小さな駒からということで、34歩です。

33歩成~32と~31と~32飛成61玉83銀で詰めろ。4手すきになる手ですね。ということは寄せ合い負けです。
つまり、65桂33歩成57桂左成

で寄せ合うと負けてしまいます。後手の攻め駒4枚なので受けもないでしょう。


× 33歩なら1手速いのですが42金

で後続がないです。23角~32歩成~42と同銀の時に詰めろもかかりません。


△ 歩では遅いので角を使います。21角は

32角成~31馬~32飛成61玉83銀で詰めろ、速度は足りています。後手は持ち歩ながないので42玉くらい。32角成同銀52金同玉32飛成42金41銀41玉

これは竜を逃げるしかなくて失敗です。

41銀を打たなくて21竜なら詰めろで51銀と受ける。

これで難しいです。後手玉に詰めろがかかりにくくなったので、46歩とか受けて駒をもらうようなことになりそう。
他にも21角42玉を利かしと見て受ける(駒をもらう)というのもありますし、難解です。


△ 23角もほぼ同じ。

42玉には32角成の一手になりますが。


また、32飛成ではまだ早いですね。


○ 31銀を狙う22角は

31角成~32竜61玉83銀で詰めろ、3手すきの手です。21角よりもさらに1手速いみたいです。
後手に歩があれば33歩で何でもないのですが。金でも銀でも取れませんね。
42玉には31角成同金33銀

41玉44銀成同歩43飛42銀44飛成

後手玉はまだ寄りませんが、飛車を取ったのでかなり受けやすくなりました。駒をもらえばすぐに寄せられますし、先手勝勢です。

22角には41玉が最善か。

これに31角成同金32歩同金33銀

と急ぐと34歩でややこしいので、歩を渡さずに

31角成同金33銀14飛32歩21金22歩

と攻めるか

61銀と置いておくか。

どれでもよさそうです。


× 実戦は33角で

同じように見えてもこれは何でもないです。44角成同歩はその後の寄せが見えません。
97歩成44角成同歩81飛

と打つところで時間が切れて私の勝ち。71金としてから65桂くらいです。



寄せのセオリーを適用するのは、互いに攻め駒が4枚に近くなって、寄せ合いに入るところです。
この場合は後手の65桂~57桂左成としていくのが(先手が受けなければ)確実な寄せの筋になります。
後手玉も攻め駒2枚では寄せられないものなのですが、後手の持ち駒が何もないので受けにくいから寄せがあります。
だから寄せのセオリーも適用して考えることもできる局面でした。

この問題の場合は、32飛成を実現させるように22角~31角成が速かったわけですが、セオリーの順番で考えていけばわかると思います。
王手などは無効、62銀や72金は攻めにくい、32金は飛車でにらんでいるので右側から、いきなり飛車成りは無理なので角を打とう、で21角23角22角あたりを検討します。
実戦の33角はおしいのですが、狙っているのが飛車では遠いです。守りの駒ではありませんから、飛車をもって有効な攻め筋がある場合だけです。

大きな駒(角)を使うほうが攻めの速度は速くなるのですが、相手の反撃も厳しくなる、だから小さな駒(歩)から考えるのがセオリーですが、この場合は大きな駒で早く寄せるのが正解でした。


もちろん問題図ではまだ後手の攻め駒が2枚なので受ける手段があります。後手の97歩成よりも速い手のほうが良くて、46歩や36飛ですね。それは互いに難しいです。


なお、問題図は84の飛を44に逃げたところなのですが、後手の私としては81飛

としておけば22角などの攻めはなく、96金には87飛成ですから十分でした。
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