名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(378); 三間飛車に銀冠

2016-12-24 | 大山将棋研究
昭和52年11月、米長邦雄先生と第36期名人挑戦者リーグです。
この時期は大山米長戦が面白いです。升田先生は休場がちで、中原先生とはワンサイドも多いですから。


大山先生の三間飛車になりそうで

米長先生は左美濃。

銀冠にする途中なのですが、石田流をけん制して46銀と出て

さらに3筋の歩交換。このあたりが互いに意地を張っている感じが出ています。

78金と締まっていないので34飛46歩同歩というのはやりにくそうです。

大山先生が3筋の勢力で優り

米長玉が出ました。この後にねらいがあるのが正調の米長玉です。

7筋を突き捨てて歩を合わせ

6筋に飛車を回ります。どこかで見たことがあるのですが、米長の将棋だと思います。

75歩と合わせて金を進出し

桂馬と刺し違えて歩を突きだす。こういう構想が98玉のあたりからできているのです。

角をぶつけ

77銀も味が良いです。大山先生も62金直から飛車を使います。

米長先生は43角から21角成ではなくて65角成が本筋。

58飛成にも飛車をぶつけて64歩と押さえます。

いつもの大山先生なら54金打ではないかと思うのですが、米長先生相手だとなにか違うのです。端から反撃するのは勝負手ですが反動もあります。

米長先生は端を取り込ませて連打し

馬を引いて44馬を狙います。

2枚換えに成功し

さっと玉をかわす。でもまだ難しそうですね。大山先生は65歩としておくくらいだったか。

44角は攻防に見えるのですが、43金という捨て駒がありました。これは考えにくい手です。

77角成と切る手があるわけで、でもそれを飛車で取って7筋からさばく、きれいな手順でした。

銀は取れないのですが94飛というのが好位置。大山先生も反撃して

香を取り合えば

米長先生の角打ちが痛打です。

72香で退路封鎖。大山先生は銀を打って受けますが

飛車銀交換でも香まで攻めに働きます。

投了図。

米長先生の快勝譜なのですが、大山先生の明らかに疑問手というのもなく、米長邦雄の名局、というのがぴったりです。中盤の構想や43金と捨てるのも、何度並べても感心するしかないです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:米長邦雄8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 6八玉(59)
10 3五歩(34)
11 2五歩(26)
12 3三角(22)
13 7八玉(68)
14 3二飛(82)
15 5八金(49)
16 6二玉(51)
17 7七角(88)
18 7二玉(62)
19 8八玉(78)
20 8二玉(72)
21 7八銀(79)
22 7二銀(71)
23 9六歩(97)
24 9四歩(93)
25 8六歩(87)
26 5二金(41)
27 1六歩(17)
28 1四歩(13)
29 6六歩(67)
30 6四歩(63)
31 6七金(58)
32 6三金(52)
33 8七銀(78)
34 7四歩(73)
35 5七銀(48)
36 5四歩(53)
37 4六銀(57)
38 3四銀(43)
39 2六飛(28)
40 7三桂(81)
41 3六歩(37)
42 同 歩(35)
43 同 飛(26)
44 4五歩(44)
45 5七銀(46)
46 4四角(33)
47 7八金(69)
48 3五銀(34)
49 3九飛(36)
50 3六歩打
51 6八銀(57)
52 1三香(11)
53 9八玉(88)
54 8四歩(83)
55 7五歩(76)
56 同 歩(74)
57 7六歩打
58 同 歩(75)
59 同 金(67)
60 7四歩打
61 6九飛(39)
62 5五歩(54)
63 7五歩打
64 同 歩(74)
65 同 金(76)
66 7四歩打
67 8四金(75)
68 8三歩打
69 7三金(84)
70 同 銀(72)
71 6五歩(66)
72 同 歩(64)
73 5五角(77)
74 6二金(61)
75 7七銀(68)
76 5二飛(32)
77 4四角(55)
78 同 銀(35)
79 4三角打
80 5六飛(52)
81 6五角成(43)
82 5八飛成(56)
83 6八飛(69)
84 5九龍(58)
85 6四歩打
86 5三金(63)
87 8五桂打
88 9五歩(94)
89 7九歩打
90 9六歩(95)
91 9二歩打
92 同 香(91)
93 9三歩打
94 同 香(92)
95 6六馬(65)
96 9五香(93)
97 4四馬(66)
98 6七歩打
99 5三馬(44)
100 同 龍(59)
101 6七飛(68)
102 6四銀(73)
103 8八玉(98)
104 4四角打
105 4三金打
106 7七角成(44)
107 同 飛(67)
108 4三龍(53)
109 7四飛(77)
110 7三歩打
111 9四飛(74)
112 5五角打
113 6六歩打
114 同 角(55)
115 7七銀打
116 5五角(66)
117 9五飛(94)
118 1九角成(55)
119 6三歩打
120 同 金(62)
121 6一角打
122 3二龍(43)
123 7二香打
124 8四銀打
125 9六飛(95)
126 9五歩打
127 同 飛(96)
128 同 銀(84)
129 同 香(99)
130 9一香打
131 7一銀打
132 8一玉(82)
133 9一香成(95)
134 同 玉(81)
135 9九香打
136 投了
まで135手で先手の勝ち
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20161224今日の一手(その437): 攻め駒を4枚にする

2016-12-24 | 今日の一手
20161224今日の一手


12月4日の名南将棋大会から、KさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
香と銀歩の交換で、後手に持ち歩がないので歩もカウントします。成桂と馬に対して後手は竜があり、トータルでは先手の駒得です。
玉の堅さの比較は難しいですね。とりあえず同程度とみておきます。
(後手玉の囲いに迫っているものだけ数えて)先手の攻め駒は21竜と持ち駒銀で2枚。
後手の攻め駒は19竜84香と持ち駒桂で3枚です。

総合すれば互角か先手が少し良いか、というところです。

☆ 大局観として
先手の駒得ですが、後手は39歩成から金銀1枚と交換することはできそうです。12香を取って銀を取られたとしたら駒得はほとんど消えてしまいます。ですから長期戦でよし、とも言いにくい局面です。対抗策で先手も と金を作ってというのは考えてもよいです。
玉を固めるといっても57銀では65桂があるのでここではうまい手が見えません。

ということで攻めることを考えればよいでしょう。攻め駒を増やして後手の美濃囲いを削ります。場合によっては12香を取って攻め駒を増やしつつ駒得を図るのも有効です。


× 実戦では44銀と打ったのですが

17角成を防ぐという意味もあって、打ちたくなるのもわかりますが、角を逃げられると銀の利きは後手の美濃囲いに届いていないので、そのままでは打った銀を攻め駒にカウントできません。つまりもったいないのです。
71角に12竜39歩成79金49と68銀18竜59香48と

と金から金銀を逃げたはずでしたが逃げきれず金をはがされました。以下は48同金同竜43成桂62金寄53成桂

53で清算して63金を打つ、という狙いですが、攻め駒の数を見てみると、①44銀と打って-1で1枚。②12香を取って+1で2枚。③59香と使って-1で1枚、④43成桂と使って+1で2枚。⑤今53で清算して金をもって2枚のまま
結局は攻め駒が最大2枚ですね。だから攻めが続きませんでした。


△ 銀を打つなら43銀のほうが使いやすくて

62金寄に42成桂39歩成51成桂

と潜り、成桂は金と交換できます。49と61成桂同銀

ここがよくわからなくて、後手は銀を取って72銀打と粘れます。43の銀が(44銀よりも)使いやすいとはいえ、形勢不明です。


× と金を作るなら32歩ですが

39歩成31歩成26角

後手が と金を使うほうが速いです。


△ 12竜と香を取って

39歩成に45香17角成43香成62金寄42成桂

と寄せていいけば攻め駒はほぼ4枚になります。1手違いの寄せ合いで形勢不明。欲を言えば と金でで攻めたいのですが、悪い指し方ではありません。


△ 34成桂と引いて44成桂ねらい。

39歩成なら44成桂71角34歩

として と金で攻めます。
49と68銀18竜33歩成48と同金同竜43と62金寄53銀

これなら最初に32歩よりも良さそうです。千日手の可能性もありそうで形勢は互角です。

34成桂に17角成なら

33馬39歩成43成桂62金寄35歩

という感じで53銀を狙います。と金作りでは遅いので馬を使って攻めますが、できれば77~88に利かせたまま攻める感じです。


○ ここまでしっかり寄せるという感じではないので、46の銀を45に出て攻めに使ってみます。

39歩成54銀17角成43成桂51金引(62金寄もある)12竜

これで53香や63香や63銀成を狙います。攻め駒はほぼ4枚、さらに54の銀も予備で使えるのでこれなら攻めが切れないでしょう。


☆ まとめ
いろいろな寄せ方がありそうで、45銀と使うのが一番よさそうに思えます。ただし後手に持ち歩があるときは54の歩を取ると57歩とたたかれるのでケースバイケースです。46の銀は57に引いて守りに使うことのほうが多いでしょう。この場合は65桂があるので攻めに使ってみました、ということなのです。

大切なのは攻め駒の数で、ほとんどの場合攻め駒は4枚を目指します。問題図では2枚ですからまずは3枚、さらに4枚と、どの駒を攻め駒にするかを考えます。
もしすでに攻め駒が4枚あったとしたら、12竜と香を取るのは緩手の可能性があります。(細かいことを言えば、可能性としては、竜が1段目から2段目にかわるので21竜~12竜は緩手になりにくく、21竜~11竜は緩手になりやすいです。)攻め駒が4枚なら寄せを目指しましょう。
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