名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(68); 四間飛車穴熊に急戦

2016-02-17 | 大山将棋研究
昭和47年11月、桐山先生と第5回連盟杯争奪戦決勝です。


桐山先生まだ6段です。それで決勝ですから気合の入っていたことでしょう。大山先生の四間飛車に急戦を見せます。それでも大山先生は穴熊で対応。

桐山先生の35歩は軽い仕掛け。46銀が普通で、それでも大山先生なら32金だったでしょう。

金を使って受けます。これはどちらがいいかわからない難しい定跡です。(普通は美濃囲いですが)

居飛車から35歩で銀がそっぽに行くのは振り飛車は嫌だと思うのですが、居飛車側から見ても歩を取られてしまうのは癪で、しかもこの銀はなかなか死にません。

桐山先生は15歩と伸ばして14銀から23銀を拒否。大山先生は穴熊を完成したので角交換を挑みます。

一回55歩としてからの角交換。こういうところは桐山先生らしいです。力戦派というか直線的にしないのです。

交換した角を86に打ちます。これは32飛や41飛なら22歩のねらいです。

大山先生は64歩と捨てて飛車を引きます。どこかで61飛が先手になるので22歩は打ちにくくなります。

ですから55角から77角と引きました。

桂馬を跳ねてじっと歩を打って支えます。飛車先に歩を打つのは悔しいのですが大山先生は気にしないでしょう。

桐山先生は銀を殺しに行くのですが、これが敗因か。それでいいというわけでもなさそうですけど、取りに行くなら59角も指しておいて27歩でないといけませんでした。前の図では23歩から22歩成を狙うほうがよかったでしょう。

というのはこの角打ちで銀を取れなくなってしまったから。

角銀交換ですが、大山先生からは46銀や48飛を狙って手が続きます。

桐山先生に馬を作られても銀取りで催促。

銀桂交換で飛車をさばけば勢いがよいようですが、29桂は残っているので駒損は大きいです。

22歩42歩の交換をしておいてから気持ちのいい飛車のさばき。

これで駒を交換できて大山先生が優勢になりました。

玉の堅さというか遠さがずいぶん違います。77桂とはねさせられたのも痛く、粘りが利きません。

つい58金と打ちこんでしまいそうですが、角を打つ方がスマートなんですね。

後で金を打てば手抜きができません。

これで投了図。もう粘れません。


急戦策に対応する大山先生は強いです。定跡の形を外して(本譜の形も定跡書に載るようになったのですがはっきりしない)長い中盤になれば大山先生のペースです。桐山先生が25の銀を相手にしたのが疑問で、37角の強打があって不利になりました。そこからの振り飛車の指し方、切れない攻めで有利になって、一気にさばいて寄せてしまうのが見事です。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:桐山清澄6段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5八金(49)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5六歩(57)
14 8二玉(72)
15 6八銀(79)
16 4三銀(32)
17 3六歩(37)
18 9二香(91)
19 5七銀(68)
20 9一玉(82)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 3五歩(36)
24 3二金(41)
25 3四歩(35)
26 同 銀(43)
27 3八飛(28)
28 4三金(32)
29 3五歩打
30 2五銀(34)
31 1六歩(17)
32 2四歩(23)
33 4六歩(47)
34 8二銀(71)
35 4七銀(48)
36 7一金(61)
37 1五歩(16)
38 4五歩(44)
39 5五歩(56)
40 5四歩(53)
41 4五歩(46)
42 5五角(33)
43 同 角(88)
44 同 歩(54)
45 8六角打
46 6四歩(63)
47 同 角(86)
48 4一飛(42)
49 5五角(64)
50 3三桂(21)
51 7七角(55)
52 4五桂(33)
53 4六銀(57)
54 4四歩打
55 2六歩打
56 同 銀(25)
57 2八飛(38)
58 2五歩(24)
59 2七歩打
60 5七歩打
61 6八金(58)
62 3七角打
63 1八飛(28)
64 4六角成(37)
65 同 銀(47)
66 2七銀(26)
67 4八飛(18)
68 3六銀(27)
69 5二角打
70 4二飛(41)
71 6三角成(52)
72 4七銀打
73 2八飛(48)
74 5六銀成(47)
75 5四歩打
76 6二歩打
77 6四馬(63)
78 5二飛(42)
79 4五銀(46)
80 同 銀(36)
81 2五飛(28)
82 2二歩打
83 4二歩打
84 5八銀打
85 2二飛成(25)
86 5四飛(52)
87 6五馬(64)
88 6九銀(58)
89 同 金(68)
90 5八歩成(57)
91 同 金(69)
92 6六成銀(56)
93 5四馬(65)
94 7七成銀(66)
95 同 桂(89)
96 5四金(43)
97 6八銀打
98 5七歩打
99 5九金(58)
100 3六角打
101 5七銀(68)
102 5八金打
103 同 金(59)
104 同 角成(36)
105 6八金打
106 4七金打
107 投了
まで106手で後手の勝ち





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20160217今日の一手<その277>; 受けの大切さ

2016-02-17 | 今日の一手
20160217今日の一手

12月19日の名南将棋大会からTさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損ですが持ち歩があるのでカウントせず、馬を作っている分だけ少し得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。かなり違います。
先手の攻め駒は32馬36銀37桂で3枚。
後手の攻め駒は24飛46角で2枚。

総合すればやや後手が有利です。

大局観として
13の桂馬が取れそうです。先手陣の形はバランスが悪く、68玉が88で27金が47ならいうことはないのですが、ここは耐えなければいけません。耐えれば駒得が期待できます。

ところで、問題図に至る前、

後手が33角と打ったのです。びっくりします。さらに28飛22飛26金というのもびっくりです。


33角には21飛成22飛同竜同角23飛13角28飛成

飛車交換でも手順に竜を作れば問題ありません。後手は飛1枚なので49飛と打ち込んでも捕獲できます。33角28飛の後、22飛の時に交換すると桂馬を取れませんがそれでも十分です。

後手は22歩と謝るべきで

23歩に33銀28飛23歩同飛成22飛

この飛車交換なら角飛を持たれているので49飛が厳しくなり、後手が有利。22歩に28飛からということになったはずです。あるいは22歩ではなく33銀21飛成22飛もあるくらいです。


× 問題図に戻って、まずは自然な13歩成を見てみます。

後手からの26歩が厳しく、37角成があるので26歩を取れません。23と しかないのですが

27歩成24と28と

先手玉が薄すぎます。


× 自然な13歩成がだめなので、実戦は48飛でした。

26歩46飛27歩成25歩

34飛23馬33飛同馬同銀45桂

これならまあまあのようですが、37角49飛38と69飛44銀

飛車をいじめられて先手が悪いです。

先手としては、45桂とはねずに27銀と手を戻しておいて

これなら少し指せていたようです。

では48飛でよいのかといえば、26歩46飛に55銀と飛車を追うのが好手。

瞬間は角得ですが、飛車は渡せません。49飛27歩成で、25歩には34飛が両取りになる仕組みです。
ですから49飛27歩成33馬26飛

後手の飛車を使われては悪いでしょう。


× 他の手を探します。47銀は角取り。

でも角を逃げずに26歩36金27歩成

25歩から飛交換なら角取りが残っているのでまだ指せるのですが、25歩には34飛

27飛(23馬は36飛)32飛46金26歩17飛16歩

きれいにさばかれます。惜しいのですがうまくいきません。


× 47歩は

26歩46歩27歩成

飛車交換はできず、27同銀にも36歩

これはまるでだめです。


× 38飛は守りの手ですが

26歩28金34飛

両取りになるので受けになっていません。


○ 消去法のようですが、38歩が一番しっかりした受けです。

今度は26歩に同金と取れます。後手は攻めないと13歩成が来るので、35銀しかなさそうです。47銀には26歩


これはつぶれていますから、35銀には同銀同角33馬。

26歩には36金とかわせば飛角とも取れそうですし、、21飛にも22歩31飛32銀と封じてしまえばいいでしょう。これで先手有利です。



問題図では先手玉が薄いというか囲いの外にいるので、強く戦えません。飛車交換や後手の飛車の活躍だけは避けて、角取りとかの駒得よりも、26歩の対策を一番に考えます。

問題図に至るまでの手順で、飛車交換になったら23飛から28飛成と自陣竜で受けるというのも覚えておいた方がよい手筋です。

また、飛車交換に応じないというのは無難ではあったのですが、26金は危ない受け方です。26歩と謝って、自玉を固めるのを優先したいところです。37の金は38に引いて桂馬を跳ねるほうがいいでしょう。後手が角を手放しているので、持久戦になった時には先手の角打ちに備えるために後手の負担が多いのです。

何かの代償があれば、多くの場合はじっと受けておくことが最善となります。
相手だけ角を手放した、自分だけ竜を作れる、などは小さな得ですが、ゆっくりした展開にして玉を固めないと勝負はできません。玉の堅さで負けなければ小さな得が生きます。
問題図では将来の駒得が望めるのですからなおさらで、38歩と謝ってでもゆっくりした展開にしたいのです。









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