名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(77); 相矢倉急戦

2016-02-26 | 大山将棋研究
昭和48年1月、灘先生との第27期A級順位戦です。


矢倉模様です。灘先生は振り飛車も指したかは知りません。矢倉は得意としていたと思いますが、大山先生はなぜ振り飛車にしなかったのか、というのは66歩を見てなのですが、この当時に相振りになったのでしょうか?振り飛車を見せておくほうが無難ではありました。

もちろん大山先生は矢倉も得意ですがこのころはほとんどないはずです。でも灘先生の46歩を見て急戦に。今は46歩は疑問手だと習うのですが、当時に常識だったのでしょうか?

棒銀に対する受け方も何種類かありますが、65の位を取るのはその一つ。でも46歩との相性が良くないので、88銀で受ける方を選ぶのがよかったでしょう。あるいは右玉にしてしまうのもまあまあ。

ここには右銀をもっていきたいのですが間に合いません。

86歩には同角が変化球ですが、それでも銀を出て大山先生が有利。先手の歩が47で止まっていればけん制もできそうですが。

角を打って飛車先をたたく。これが反撃筋ですが当初の予定ではないでしょう。

歩損で馬を作るだけでは戦果はなく、棒銀をさばいたら大山先生が優勢。

何をやってもよさそう、でも玉を囲うのが逆転のない手です。

飛車を切ります。

灘先生に攻め駒が少ないのでしっかり受けて問題なし。

87の成銀を97によるのはおかしな感覚です。75歩として歩を渡すのを嫌ったのですが、意地悪な感じです。

69角成を防ぐに玉を寄るしかないのなら問題なし。

あとは馬と金銀で先手玉を追いかけて

桂頭の玉ですが灘先生に受け駒が少ないので寄ってはいます。

最後の反撃。

これで後続はありません。

詰めろではないのでちょっと不思議な投了図ですが、大山先生の完勝です。


一昔前、無敵時代はこんな将棋ばかりだったのでしょう。灘先生の46歩が疑問手だという認識が広まっていたかどうかはわかりませんが、それをとがめに行く棒銀で有利になり、完勝です。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:灘蓮照8段
後手:大山王将
先手省略名:灘
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八銀(79)
6 8五歩(84)
7 7七銀(78)
8 5四歩(53)
9 5六歩(57)
10 4二銀(31)
11 4八銀(39)
12 6二銀(71)
13 5八金(49)
14 3二金(41)
15 2六歩(27)
16 7四歩(73)
17 7八金(69)
18 4一玉(51)
19 6九玉(59)
20 5二金(61)
21 7九角(88)
22 4四歩(43)
23 3六歩(37)
24 4三金(52)
25 4六歩(47)
26 7三銀(62)
27 6七金(58)
28 8四銀(73)
29 6八角(79)
30 3三銀(42)
31 6五歩(66)
32 3一角(22)
33 6六銀(77)
34 8六歩(85)
35 同 角(68)
36 同 角(31)
37 同 歩(87)
38 9五銀(84)
39 6四歩(65)
40 同 歩(63)
41 9六歩(97)
42 8六銀(95)
43 6三角打
44 5二角打
45 8三歩打
46 同 飛(82)
47 7二角成(63)
48 8五飛(83)
49 5七銀(48)
50 8七銀成(86)
51 7九金(78)
52 6五歩(64)
53 7七銀(66)
54 7五歩(74)
55 5九玉(69)
56 4二金(32)
57 7五歩(76)
58 7八歩打
59 8六歩打
60 7五飛(85)
61 8一馬(72)
62 7九歩成(78)
63 7六銀(77)
64 同 飛(75)
65 同 金(67)
66 3二玉(41)
67 4八玉(59)
68 8九と(79)
69 9一馬(81)
70 9九と(89)
71 7一飛打
72 9六角(52)
73 2五香打
74 4一香打
75 7三馬(91)
76 9七成銀(87)
77 5八玉(48)
78 7八角成(96)
79 6三馬(73)
80 6七銀打
81 4九玉(58)
82 6九馬(78)
83 7七金(76)
84 5八金打
85 3八玉(49)
86 5七金(58)
87 6七金(77)
88 4七馬(69)
89 2七玉(38)
90 1五桂打
91 1六玉(27)
92 3六馬(47)
93 3八銀打
94 6七金(57)
95 5五桂打
96 5三金(43)
97 4一飛成(71)
98 同 金(42)
99 2三香成(25)
100 同 玉(32)
101 4一馬(63)
102 3二銀打
103 3一馬(41)
104 2四歩打
105 3七銀(38)
106 3八飛打
107 投了
まで106手で後手の勝ち




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20160226今日の一手<その286>; 不利なときはやや不自然な手を探す

2016-02-26 | 今日の一手
お知らせ

やりたいことがたまっておりまして、しばらくの間今日の一手は1日おきに更新します。日課にされている方には申し訳ありません。物足りない方は過去の問題をもう一度読んできいただけるとありがたいです。


20160226今日の一手

1月24日の名南将棋大会からSさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は55角と持ち駒銀で2枚。
後手の攻め駒は49銀1枚。34飛はすぐに使えそうです。

総合すれば互角かやや後手のほうが指しやすいでしょう。

大局観として
戦いが始まってみると玉の堅さはだんだんに影響が出てきます。堅い方が強い戦い方ができるのです。大駒を捨てる手とか少々駒損する手でも成立しやすいので選択肢が広くなるということでしょう。
49銀の割打ちをくらい、金をはがされるとさらに先手玉が薄くなります。
ただ、後手としてはまだ攻め駒が足りないので、49銀は急ぎ過ぎた感じがします。相手玉を薄くしても攻め駒が増えるわけではないのです。34飛や22角や33桂を使うほうが本筋であるとはいえるでしょう。


駒が当たっているので選択肢は少ないです。
× 実戦は48飛で自然な手です。

58銀成同飛(28飛58銀成同飛だったのかもしれません)46歩

これは味の良い手です。逃げるわけにはいかず46同銀47金45銀

格好良い手が出ました。普通は好手なのですが、45同桂22角成58金同金57銀

銀を捨てて遊んでいた角を取った、けれど先手玉に食いつかれた、という結果です。最後の57銀では56歩のほうが本筋ですが、この銀でも十分です。28飛を見て寄せられます。3枚の攻めですが先手玉が薄すぎます。

変化としては58銀成に同銀と取るほうが堅いです。

36歩同歩同飛37銀76飛77歩56飛

26飛があるので37銀と打たざるを得ず、飛車を縦横に使って後手が好調です。66角65歩75角25桂

角と桂馬が働き出せば後手の攻めが切れなくなります。


× 28飛と逃げるほうが後手の26飛を消して少し良いです。

58銀成同銀36歩同歩同飛66角

少し頑張って角を引いて39飛成を受けてみます。
65歩57角56歩75角74歩

48に引くと38金があるので困ります。53角成39飛成27飛25桂44歩13角

いきなり79金もありますが、角を使われて悪いです。

ということで、36飛に37歩76飛77歩56飛66角

ここまで仕方ないでしょう。65歩75角13角

先手は歩切れですから困っています。88金を防いで57銀打には54飛から56歩です。


○ 飛車を逃げない手を探すほうがいいですね。43銀がありました。

38銀不成同銀の形は28飛や39飛の打ち込みに銀を打ってしまえば捕獲も狙えます。後手は54金か飛車か。金のほうは

34銀不成55金21飛

31角打ちは桂馬を取ればいいので角を助けにくいです。65角が両取りですが、22飛成38角成62銀

62同金同竜71銀51竜

あとは65馬に44角の味がいいです。先手有利になりました。

蛇足ですが、71銀には同竜と取りたくなります。

71同玉44角53歩

大駒は近づけて受けよでこの歩がなければ62銀51銀に飛車を打って受けるしかなく飛車を取って攻め続けられるのですが、これは指しすぎ。

後手は54飛とするほうがいいでしょう。

54同銀成同金77角57歩

21飛があるので後手も動いてきます。でも攻め駒が足りないから受けられるはず。57同金左46銀59歩28飛27銀

39銀でもよさそうですが、飛を取りに行くのもありそう。28飛は指しすぎですが先手が有利なのは間違いないです。


問題図の前では後手は54飛56歩を入れてから49銀のほうがよかったのでしょう。先手にチャンスが巡っていました。
形勢が不利なときは自然な手だけでは勝てません。少しずつ悪くなっていきます。すべてそういう手ではだめですが、3番目くらいの手、やや不自然な手を考えなければなりません。一か八かの勝負手を狙え、という意味でもないのですが(それは危険もある)、相手があまり考えていないようなちょっと不自然な感じの手がよいのです。
飛車取りに対してどうぞ、と言ってみる。そういう手も考えるのです。

形勢不利なときは多少なりとも読みの力を要求されます。どちらかといえば広く浅く読む感じで、この選択肢はないのか、と考えます。直線的に自然な手を読んでも負けだとわかるだけでしょう。これは勝負になりそうだな、という手は案外落ちているものです。早く気が付いて探すほうが容易なので、形勢判断の技術をしっかり身につけましょう。



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