小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

鳩山政府が迷走を始めた。野合連立を組んだ結果だ。

2009-12-16 06:21:02 | Weblog
 米軍の普天間基地の移設問題で鳩山政府が迷走している。前政権の自公連立政府がアメリカと公式に約束した名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部への移設計画が白紙になった。その原因は連立離脱をほのめかして辺野古移設に反対した社民党の福島みずほ党首の恫喝に鳩山が屈したことによる。その結果、日米関係はかつてないほどの危機的状況に陥ってしまった。
 もともと鳩山首相や小沢一郎は自民党から離脱した政治家だ。離脱はしたが、日本を社会主義国家にするために離脱したわけではない。同一政権が長期にわたって日本を支配する時代が続くと政権は必ず腐敗する。事実自民党政権(自公連立政府も含めて)は国民の視点に立った政治を行ってこなかった。唯一「自民党をぶっ壊す」と過激な主張をして自民党員の圧倒的支持を得て首相になった小泉純一郎首相は国民の視点に立った政治を行おうとしたが、最初に手掛けた道路公団民営化は道路族議員や官僚の抵抗にあい、事実上骨抜き民営化に終わった。次いで小泉首相が政治生命をかけて取り組んだ郵政民営化も、衆院ではかろうじて法案を通せたが、参院では造反自民党議員が続出していったん破たんした。が、郵政民営化への執念に燃えていた小泉首相は衆院解散を強行し、国民の圧倒的支持を得て戦後初めて自民党議員が衆院で単独3分の2以上の議席を占め、郵政民営化を再可決した。
 しかし郵政族議員や官僚の抵抗にあって、民間業者が郵便事業に参入するハードルを極めて高くせざるを得なくなった。その結果、郵便事業に参入できる唯一の民間企業として期待されていたヤマト運輸は当社「郵便事業に参入するつもりはない」と公式に発表したほどだった。が、その後ヤマト運輸はとんでもない方法でこのハードル(全国に約1万個以上のポストを設置すること)をクリアして郵便事業に参入することにした。つまりコンビニ(セブンイレブン、スリーエフの全店舗、ファミリーマートの大部分の店舗)を郵便ポストの代用にし、これらのコンビニが近くにない過疎地にはヤマト運輸の宅急便配達を請け負っている人たちが無料で集荷するという方法で全国の集配業務を可能にしたのである。
 こうして郵便局と対等に競争できる民間企業が出現した以上、小泉郵政民営化が中途半端に終わった郵便局だけに与えられてきた特権的事業の書留や内容証明、配達証明、特別送達などの独占を廃止し、ヤマト運輸にもこれらのドル箱事業を扱えるようにするのが鳩山政権の国民の視点に立った政策であるべきだった。ところが何をトチ狂ったか、衆院議員わずか3人の国民新党の代表・亀井静香を郵政改革担当大臣に任命してしまった。亀井は郵政民営化に反対して自民党を除名された政治家である。小泉郵政民営化をさらに骨抜きにしようとすることは最初から鳩山首相には分かっていたはずだ。
 民主党はすでに衆院で過半数の議席を獲得していた。民主党が国民の視点に立った政治を行えば、来年夏の参院選でもおそらく圧勝し、参院でも過半数を制することはだれの目にも見えていた。現に今現在でも民主党の参院議員の総数は過半数を占めるにあと2人のところまで来ているのだ。なぜ絶対政権を確立するために国民新党や社民党と連立政府をつくる必要があったのか。そしてそのつけが普天間基地の移設問題をめぐって唯一の同盟国アメリカとぎくしゃくする関係を招いてしまったのである。
 米軍基地の9割は沖縄県に集中している。そうなった経緯はこういう事情による。日本があの戦争に負けて米軍の占領下に置かれたのは1945年だった。が、日本本土は7年後の52年、吉田茂内閣が日米講和条約を結んで独立を取り戻した。しかし米軍は沖縄だけは日本に返還せず、その後20年にわたって占領を続けた。この間に日本本土に置かれていた米軍基地の大部分を沖縄に移設し、その結果米軍基地の9割が沖縄に集中することになったのである。当然沖縄県民の苦しみは本土に住んでいる人には理解できないであろう。実際、私も残念ながら沖縄県民の苦しみを共有することができない。
 で、提案がある。沖縄にある米軍基地を可能な限り自衛隊基地に移設し、自衛隊基地を日米で共同使用することにしたらどうかという案である。その場合自衛隊基地を多少拡大する必要があるかもしれないが、米軍基地に勤務する米兵(家族も含む)は大半が広い庭付きの1戸建てである。それを中高層マンションを建ててそこに住んでもらうことにすれば自衛隊基地の拡大はそれほど大規模にしなくても済むはずだ。また自衛隊基地を米軍に共同利用させるだけでなく、本土の米軍基地内に自衛隊基地を設置することも大きな効果を生む。さらに定期的にそれらの基地内で日米合同の訓練をすれば、いざというときの日米の共同作戦は、現在のように別々に訓練しているはるかに効率的になるはずだ。
 日米間がぎくしゃくしている現状を打開するためにこのような提案を鳩山内閣がオバマ政府にしてみたらどうか。沖縄県民の負担や苦しみはかなり軽減できるはずだし、日米間の信頼関係はかつてないほど深くなる。さらに日本の安全保障は一段と強化されるはずだ。
 また国民の大多数が支持した郵政民営化をぶち壊そうとしている亀井静香郵政改革担当大臣は直ちに更迭し、中途半端に終わった小泉郵政民営化を国民の視点に立って一層大胆に推し進めることができる人を郵政改革担当大臣に任命すべきだ。
 国民新党や社民党との連立を解消し、国民的視点に立った政策を行い、日米の信頼関係をかつてないほど深いものにすれば、鳩山内閣の支持率低下に歯止めがかかり、支持率は急上昇することは間違いない。当然来年夏の参院選でも民主党は大勝し、両院で単独過半数を獲得できる。
 そういう結果を見れば、55年体制以来長期にわたって政権の座に胡坐をかき続けてきた(細川政権下で一時的に野党に転落したことはあったが)自民党も解体的反省をせざるを得ず、その時はおそらく明治維新を実現した長州藩や薩摩藩の若手藩士が藩の主導権を握って藩論を倒幕に統一したように、自民党改革の主導権を若手議員が握り、民主党と競って国民的視点に立った政党に変革することになるだろう。
 そうなったとき初めて本当の意味で政権交代可能な2大政党政治が日本に根付くことになる。