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第九軍団のワシ

2012年07月02日 | た行 外国映画
不勉強にて、原作はさっぱり読んでいない。少年少女文学の最高峰らしいのだが、手にしたこともない不届きもんです。今度、ちゃんと読んでみようと決意。

さて、時はローマ五賢帝時代(AD96~180)の三代目、ハドリアヌス帝の治世。最近では、『テルマエ・ロマエ』の時代の皇帝として有名になりました。

とどまることを知らないローマ帝国の拡大戦略は、大陸を越えて、ブリタニア(今のブリテン島)まで及んでおりました。当然のことながら、現地の住民は激しく抵抗する。それをローマは反逆と言って片付けるのですが、たまったもんじゃない。しかし、ハドリアヌス帝の前の皇帝、トロヤヌス帝の拡大戦略は、ハドリアヌスのときに一旦止まります。その象徴になったのが【ハドリアヌスの長城】。




ローマ軍の拡大路線の中、カレドニア(ブリテン島北部)との戦いのために派遣されたのが第九軍団。そしてこの軍団は、5000人の兵士とともに忽然と消えてしまった、と。軍団のシンボルであるワシを取られたのは、何より不名誉なこと。その軍を率いていた隊長は裏切り者、腰抜け、ローマに不名誉をもたらした!と、残された家族は散々な言われようとしてきたのでありました。

さて、それから20年後、新たにブリタニアの駐留軍の隊長に任ぜられたのが、マーカス。彼こそ、かつてワシを奪われた隊長の息子だったのであります。彼の目的は父の汚名を晴らすこと。出来るならワシを取り戻し、消えた5000人の謎を解き明かすことでありました。

軍の兵士は若い隊長の言うことなど歯牙にもかけないのですが、敵の潜入を嗅ぎわけ、砦を守ったことによって信頼を勝ち取ります。そして蛮族との決戦でも勇猛なはたらきを!!

しかし、名誉の負傷で休養を余儀なくされたマーカスは、叔父のところに身を寄せていたとき、剣闘士奴隷の死の戦いに投げ出されていたエスカに出会います。エスかはマーカスの奴隷となって、彼に仕えることに。将来的にこの二人には、厚い信頼が生まれるのですが、その辺の結びつきは、映画を見ている限りではあまり感ぜず。



絵的にはエスカ@ジェイミーのさめた戦いっぷりがとっても素敵!!

さて、マーカスは、父が失ったワシが、長城を超えた北の地にあることを耳にします。これを聞いたからには奪い返してこなくて!!父の名誉のために、何が何でもやらねばならない。

言葉も地理も詳しいエスカと二人で、長城の北、ローマの支配の及ばないところに行くことを決意いたしました。言うならば、サファリパークの中を自転車で行くみたいなもん。おまけに水先案内人は信頼できるのかどうか、不明。敵のぶんどった戦利品を奪い返してこようと言うもん。



さあてマーカスの挑戦は成功できるのか!!

ということで、軍団の戦いっぷりに、蛮族の描き方、逃げる、追っかけるの王道の物語。ローマもんですから、今までのいろいろな見たものがちょこちょこ出てまいります。「スパルタカス」に「ローマ帝国の滅亡」、「グラディエーター」、「キング・アーサー」と見たことあったようなショットですが、それはそれでいい。

ローマの重装歩兵は、規律正しい訓練の行き届いた軍隊であったことがしられておりますが、亀甲型!!というのがあったかは不明。でも、統制が取れていた!ということを表すにはとってもよくわかります。

北に行くほどに気候は悪くなり、厳しい荒野を歩んでいくと、そこに待っているのはローマ人を蛇蝎のごとく嫌っている原住民たち。常識的には、侵略者は紛れもなくローマ人であり、自分たちの土地をただ守ろうとしている彼らが蛮族と呼ばれるのはどう考えてもおかしいのですが、ここはローマの物語ですから、勇気ある行動を取ったマーカスを讃えましょう!

映画に出てきた原住民はほとんど新大陸の原住民みたいでしたが、あの造形は無いのではと思います。荒野でのおっかけっこは、まるで「ラスト・オブ・モヒカン」そのもの!あの逃げ方に、追ってくるのがモヒカン頭って、ダニエル・ディ・ルイスに見えてきてしようがなかったのでありました。

興味深かったのは、おっかないアザラシ族にとっ捕まってマーカスとエスカの立場が逆転するところ。壁のそっちとこっちでは、同じ人間が180度違った価値になるんだってのが面白い、。少年少女の諸君には、ぜひとも理解していただきたい世の矛盾です。

何より大事なのは名誉。そのために男は命を賭ける!それを貫き通せる正義の意志があるっていうのは、気持ちいいもんです。実際のところ、消えた5000人の兵士たちも、失ってしまった名誉のために、故郷に帰れなかったのかなあ・・・などと思いながら、ジェイミー・ベルに萌えてた2時間でした。



◎◎◎○

「第九軍団のワシ」

監督 ケヴィン・マクドナルド
出演 チャニング・テイタム ジェイミー・ベル マーク・ストロング ドナルド・サザーランド


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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (KLY)
2012-07-02 22:36:21
そうですね、何処かで観たことあるって感じ(笑)まあ歴史ものコスもの大好きですからこれはこれで例によって勉強になると共に普通に楽しめました。
ブリテン島北部って結構こんな部族系がいたんですね。
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>KLYさま (sakurai)
2012-07-05 08:39:27
こういった映画の根本は「スパルタカス」かなあと思うのですが、きっちり作ってるという好印象でした。
堅実な監督さんですからね。
いやーー、あの部族は本当にいたかは微妙。
完全新大陸のネイティヴでした。
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こんにちは♪ (maki)
2012-09-18 09:38:45
いやぁ~実に良かったです
原作と改変されているところはありつつも、上手い具合に収めてくれましたし(後半のエスカを自由にするところなんて感動すら)ローマ軍の肉弾戦の戦いも拝めちゃったりで、ドンピシャ好みの作品でした
小学生時代に読んだっきりでしたが、当時はエスカがお気に入りのキャラクターで、主演二人の配役も良かったと思います
しかし、アザラシ族はアフリカンでしたね^;英国ってイメージがわかない…
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>makiさま (sakurai)
2012-09-20 15:55:27
英雄譚というか、最後にきっちりカタルシス持ってくるようになってましたから、その辺は映画的でしたもんね。
今までみたさまざまな映画が、思い浮かぶシーンもありましたが、とっても良かったです。
やっぱエスカでしたわ。
アザラシ族は・・・・強そうだけど、微妙でした。
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