迷宮映画館

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ドラキュラZERO

2014年11月14日 | た行 外国映画
力を持つものが弱い者に対して行う理不尽、横暴、横車。。これほど醜いものはなく、それに対して、絶望的に戦う弱きものの戦いは、人を奮い立たせ、勇気をもたらしてくれるもんだが、世の中、そううまくは行かない。強者は勝ち、弱者は負け、その積み重ねが生き物の歴史に間違いない。だからこそ、弱きものが立ち上がる物語に燃えるのは人間としての究極の夢の実現だ。あたしたちが映画に夢を見、物語に血沸き、肉踊らせるのは道理というもん。

そこでのドラキュラ。大国オスマン帝国に侵攻され、何度となく理不尽な要求を繰り返されたワラキア公国のヴラド。彼が「ドラキュラ」のモデルとなったというのは、よく知られていると思う。世界史の資料集なんかには、しっかりと載ってますっせ。

歴史の常で、その人の人となりが正しいのか、どうなのか?本当の姿はわからない。まじに英雄だったのか、ただの侵略者や、殺人者だったのか。ただし、いろんな顔を持つ人物がいたならば、それはきっとどれも正しい顔で、どちらから見たら、どう見えるのか?こっちから見たら、英雄で、そっちから見たらただの殺人者。それこそ時代の複雑さや、その国や地域が、一口では言えない状況にあったということの表れだ。

そんなことを考えながらの「ドラキュラZERO」!!かの串刺し公の異名を持つのが、ワラキア公国のヴラド3世。幼いころにオスマン帝国の人質となった経緯を持つ。小さい頃から小国の運命を背負っていたと。長じて、美しい妻と最愛の息子とのささやかな生活にはたまたやってきたのがオスマン帝国の理不尽な侵攻。それに対して、絶望的な抵抗を続けるのであります。

まあ、かの有名なメフメト2世の悪いこと、悪いこと。これまたドミニク君が、熱演!たまにいい役もしますが、やっぱこの人は、悪の権化!!ってのが見事にはまります。ワラキアの少年たちを兵として差し出せ!と。そして、息子も。息子は、父も幼いころに人質になっていたことに負けじと、自分も人質になる!と言い張るのですが、ヴラドはどうしても許せない。

その場を蹴散らしたヴラドはこの地に伝わる闇の力と契約を結んでしまうのでした。それが吸血鬼の始まり。圧倒的な力を得たヴラド。でも、三日間だけ血の欲求を耐えれば人間に戻れる。体の奥底から湧き出る欲求を耐え抜き、オスマン帝国の猛攻をしのぎ、あと少し・・・・・。耐え抜けば吸血鬼ににはならなかったわけでありますんで、なぜに彼がドラキュラとなってしまったのかが、悲劇的に分かるのであります。

おもしろいじゃござんせんか!虚虚実実取り混ぜて、大国の横暴に振り回され、苦渋の決断を迫られる弱小企業の経営者・・・に見えてきます。そうなると、すげえー安っぽくなってしまいますが。ビジュアルもいいし、闇の力の象徴がチャールズ・ダンスという、これまたぴったり。こういう役がはまるのは、ダンスさんか、ビル・ナイさんしかいないでしょい!というくらい。

実際のメフメトさんは、オスマン帝国の領土拡大に多大な貢献をし、帝国の基盤を築いた有名な王様であります。もちろん自国では超英雄。この狭い世界の中で、あっちを取ったり、こっちを奪ったり、そっちを取られたり。んなことを繰り返し、多くの命を落とし、重ねられてきた歴史。んなことをつらつらと思いながらの鑑賞でした。

いかにも続編あり!って感じでしたが、現代版かあ。。。ヘルシングとか出てくんのかしらん。アタシ的には、昔の話の方が好きですわ。

ルークさんがとっても似合ってた。やっぱああたはコスチュームもんがぴったりです。

◎◎◎○

「ドラキュラZERO」

監督 ゲイリー・ショア
出演 ルーク・エバンス サラ・ガドン ドミニク・クーパー チャールズ・ダンス


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2 コメント

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こんばんは! (ヒロ之)
2015-04-26 03:43:13
予想してたよりも面白く見れました。
一定の映像に美しさがあったのもバンパイア好きとしては好印象でした。
蝙蝠から人の姿に移るシーンが特に綺麗に撮れていて良かったです。
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>ヒロ之さま (sakurai)
2015-05-06 14:12:16
私も結構面白く見た口です。
あまり世の評判は良くなかったですが。
コンパクトにまとまり過ぎましたかね。
時代の説明がちゃんとあったのがよかったです。
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