さて、気鋭のドランの新作は、原作ものと聞いて、ちょっとびっくり。でも、彼のおめがねにかなった作品だから、きっと一筋縄ではいかないのだろうと推察しながらの鑑賞でした。
田園地帯、どこまでも広がる畑を疾走する車。青年が悲しげな表情で運転している。どこに向っているのか。ついた先は、一軒の農家。留守のお宅に入りこんで家人を待っている。うとうとしていたところに家人が帰ってきた。もちろん、見知らぬ青年を見て、驚くが息子の友人とわかって、安堵する。
息子のギョームが亡くなったばかり。その葬儀のためにやってきた友人のトム。しかし、友人ではない。恋人だった。
母親は息子の性癖を知らない。ギョームには、女の恋人がいると思い込んでいた。トムに対して普通の友人と接し、ぜひとも追悼の言葉を述べてほしいと頼む。息子を亡くして、焦燥しきってる母。
トムには兄がいた。押しの強いフランシス。トムが弟の恋人であるということはごくごく当たり前のこととして知っていた。しかし母に言うことは許さない。打ちひしがれてる母のためにここに止まることを強制。横暴、かつ乱暴なやり方にあきれ果てるトムは、大いに反発するが、なぜかここに留まってしまう。
絶対に逃げ出せない距離ではない。その気になればいくらでも街に帰れる。フランシスの乱暴を恐怖と感じて動けないのでもない。トムの中にある空虚感がそうさせるのか、フランシスの中のギョームを見出したのか、何が彼をそうさせたのか・・・。
多くは語らず、説明するような所もない。見ているものをじわじわ引き込み、いつの間にかドラン・ワールドになっている。いつものように表情は大写しで、カメラはどこにも逃げない。えぐり取られる表情には、逃げ場をなくさせ、見るものへぶち当たってくるかのように感じた。
さすがに普通の物語ではなく、彼一流の独特の愛の形。同じ性の人を愛し、閉塞した世界にのめり込んでいく人間を表す。うーん、好きかって言われると、もろ手を挙げて大好き!とは言い難い。でも目を離せない。
生命は生み出され、そして死ぬ。トムの愛は生命を生み出せない。原作を知らないので何とも言いようがないが、トムはファームにいたことによって、自分が何かを生み出せるんじゃないかとでも感じたのではないだろうか。しかし、それは理想に過ぎなかった。そして、自分の居場所に帰っていく。。。
などとかっこいいこと書いたが、あんなアホ兄の言いなりになってるんなんて、ばっかじゃねえの~、とっとと逃げりゃいいのに・・・と。そうはできない何かがあったからこそ、物語になってるわけで、イライラさせられ、ジレンマを感じさせ、かつまたすっきりと終わらない。あーー、もやっとする。
あ、バーテンダーのおっちゃんが、すんごいいいい味出してた。少ない出番だったけど、インパクト強し。
1月10日のツイより
「トム・アット・ザ・ファーム」見た。今回のドランは、原作アリだったのね。うーん、底知れない不気味な怖さを感じるやっぱドラン的なやつ。すごいとは思うけど、好きか嫌いかと言われると、あんまし好きじゃないなあ~、やっぱ。時折、角度によって、ドランが山田孝之に見えてしまった。。
そだそだ、ドラン君、山田君に似てたような気がしたんだっけ。
◎◎◎○
「トム・アット・ザ・ファーム」
監督 グザビエ・ドラン
出演 グザビエ・ドラン ピエール=イブ・カルディナル リズ・ロワ エブリーヌ・ブロシュ マニュエル・タドロス
田園地帯、どこまでも広がる畑を疾走する車。青年が悲しげな表情で運転している。どこに向っているのか。ついた先は、一軒の農家。留守のお宅に入りこんで家人を待っている。うとうとしていたところに家人が帰ってきた。もちろん、見知らぬ青年を見て、驚くが息子の友人とわかって、安堵する。
息子のギョームが亡くなったばかり。その葬儀のためにやってきた友人のトム。しかし、友人ではない。恋人だった。
母親は息子の性癖を知らない。ギョームには、女の恋人がいると思い込んでいた。トムに対して普通の友人と接し、ぜひとも追悼の言葉を述べてほしいと頼む。息子を亡くして、焦燥しきってる母。
トムには兄がいた。押しの強いフランシス。トムが弟の恋人であるということはごくごく当たり前のこととして知っていた。しかし母に言うことは許さない。打ちひしがれてる母のためにここに止まることを強制。横暴、かつ乱暴なやり方にあきれ果てるトムは、大いに反発するが、なぜかここに留まってしまう。
絶対に逃げ出せない距離ではない。その気になればいくらでも街に帰れる。フランシスの乱暴を恐怖と感じて動けないのでもない。トムの中にある空虚感がそうさせるのか、フランシスの中のギョームを見出したのか、何が彼をそうさせたのか・・・。
多くは語らず、説明するような所もない。見ているものをじわじわ引き込み、いつの間にかドラン・ワールドになっている。いつものように表情は大写しで、カメラはどこにも逃げない。えぐり取られる表情には、逃げ場をなくさせ、見るものへぶち当たってくるかのように感じた。
さすがに普通の物語ではなく、彼一流の独特の愛の形。同じ性の人を愛し、閉塞した世界にのめり込んでいく人間を表す。うーん、好きかって言われると、もろ手を挙げて大好き!とは言い難い。でも目を離せない。
生命は生み出され、そして死ぬ。トムの愛は生命を生み出せない。原作を知らないので何とも言いようがないが、トムはファームにいたことによって、自分が何かを生み出せるんじゃないかとでも感じたのではないだろうか。しかし、それは理想に過ぎなかった。そして、自分の居場所に帰っていく。。。
などとかっこいいこと書いたが、あんなアホ兄の言いなりになってるんなんて、ばっかじゃねえの~、とっとと逃げりゃいいのに・・・と。そうはできない何かがあったからこそ、物語になってるわけで、イライラさせられ、ジレンマを感じさせ、かつまたすっきりと終わらない。あーー、もやっとする。
あ、バーテンダーのおっちゃんが、すんごいいいい味出してた。少ない出番だったけど、インパクト強し。
1月10日のツイより
「トム・アット・ザ・ファーム」見た。今回のドランは、原作アリだったのね。うーん、底知れない不気味な怖さを感じるやっぱドラン的なやつ。すごいとは思うけど、好きか嫌いかと言われると、あんまし好きじゃないなあ~、やっぱ。時折、角度によって、ドランが山田孝之に見えてしまった。。
そだそだ、ドラン君、山田君に似てたような気がしたんだっけ。
◎◎◎○
「トム・アット・ザ・ファーム」
監督 グザビエ・ドラン
出演 グザビエ・ドラン ピエール=イブ・カルディナル リズ・ロワ エブリーヌ・ブロシュ マニュエル・タドロス
あんなに美しいお顔が、山田なんかと同列だなんてあり得ません!
あのアホ兄は、弟が大好きだったのかなぁ。
みんなギョームに引き寄せられ、分裂して行く。
結構怖かったです。
グザヴィエ作品では、やはり『わたしはロランス』がベストかな。
山田君、美しいと思うよ。
横顔がねえ、似てた気がしたのよ。あらぬ方向を見つめる目が。ははは、すいません。
弟を好きだったというより、支配欲の塊だったんじゃないですかね。
このまま、この路線で行くんでしょうかね、ドランさんは。
これだけじゃ広がらないっすよね。
普通の恋愛ものも見てみたい。