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第275回 大阪弁講座−32 「よそはよそ」ほか

2018-07-06 | エッセイ

 大阪弁講座の第32弾をお届けします。

<よそはよそ>
 「よそ」は漢字で書くと「他所」か「余所」(たぶん)。「ほかの場所、組織、家庭」なんかのことですが、果たして、生粋の大阪弁か、ということになると、いささか自信がありません。「よそもん」なんて言い方は、全国的に通用しますから。

 ところが、「よそはよそ」という言い方になると、これはもう「大阪的」としかいいようがありません。

 ビジネスの現場なんかだと、「「よそはよそ」で、いろんなやり方やってるけど、マネしてもしょうがないやろ。ウチはウチで、もっとオリジナリティ重視で行くで」

 いかにもポジティブな姿勢で、これはこれで、関西商人のひとつの典型。

 「「よそはよそ」のやり方で、儲けたらエエねん。ウチはウチで、コツコツ行くしかないやろ」と、いささか自嘲的、捨て鉢的な使われ方もしたりします。
 ビジネス現場での用例を考えると、どうしても「ウチはウチ」とセットになります。

 さて、家庭で、この表現が使われると、ほぼ「ゼイタクはアカン」という宣言です。

 「なあ、ファミコン買(こ)うてぇな。皆んな持ってるで」「「よそはよそ」や。そんなんばっかりやってたら、アタマが悪うなってな、あんたのおトウチャンみたいになってまうで」最初はこんなんでしたかね。


 「なんでウチのテレビだけ白黒なん?まわりの家、皆んなカラーやで」「「よそはよそ」白黒もカラーもやってる番組は一緒やろ?タイガースのユニフォームなんか、白と黒の縦縞やから、白黒で十分やんか・・・」

 用例の時代背景はいささか古いですが、理屈にならん理屈で、子供の要求を蹴飛ばすのも、大阪のオッチャンの得意技。

<ガッコ頭>
 「学校頭」を「ガッコ頭」と言い慣わすのが大阪流。

 教えられたことを暗記したり、試験でええ点を取ったりと、学校でだけ通用する要領の良さ、頭の良さを持った連中ーガリ勉とか受験秀才とかいう言葉を思いつきますーに対して、さげすみ半分、やっかみ半分で使う感じ。

 「あいつ?ガッコ頭はエエかもしらんけど。ジコチューで、威張りくさって(やがって)、ごっつ、性格悪いわ。政治家か役人にでもなるつもりやろか?」

<けつかる>
 相手の失礼な言動とか、生意気な態度をとがめる時、共通語だと、例えば「何言いって「やがる」」となります。ちゃきちゃきの江戸っ子だと「てやんでぇ」ですかね。

 大阪弁の場合、「やがる」の部分が「けつかる」となって、「何言って「けつかる」」と言う具合。ただし、一筋縄でいかないのが大阪弁。いろいろバリエーションがあります。
 「言う」よりキツい「ぬかす」を使って、「何ぬかしてけつかる」、その短縮形で、「なぬかしてけっかる」。このあたりは、ネイティブでも舌を噛みそう。

 「する」より、更にキツい「さらす」を使う手もある。
 「何さらしてけっかんじゃ、ワレ(おまえ)。一発いてこましたろか(お見舞いしたろか)」お~コワ。用法、容量を守って、正しくお使いください。

 いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。

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