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第257回 関西商法の秘密ー立ち飲み編ー

2018-03-02 | エッセイ

 以前、「広告宣伝編」をお届けしました(第235回)が、今回は、「立ち飲み編」をお送りします。

 居酒屋にもいろいろありますが、その中に、「立ち飲み」という形態があります。

 椅子は置かず、カウンターだけとか、背が高めのテーブルをいくつか置いて、支払いも、キャッシュ・オン・デリバリーというのが多いようです。スペースの一部を立ち飲み専用に、という店なら、あちこちにありますね。

 長居は出来ませんから、会社の帰りに軽く一杯、という時には便利ですし、お店の方としても、客単価が低い分は、客の回転率を上げることでカバーできる。十分なスペースがなくても、やっていけるというメリットもあります。

 関西にも、もちろん立ち飲み出来るところはあります。ただ、居酒屋としての店構え、設備抜きで、(たぶん営業許可も取らず)酒屋なんかが、副業的にやるのがあちこちにある、というのは、関西的かなぁ、と(あっちこっち飲み歩いたわけではないので、断言はできませんが・・・)思います。

 商品保管場所を兼ねた店の土間を、夕方あたりから解放して、立ち飲みスペースにしてしまう。安定の悪そうな丸テーブルをいくつか置いたら開店準備オッケーで、もちろん、全席立ち飲み。こんな感じでしょうか。



 水や氷やお湯や、などと面倒くさいことはしない(できない)ので、酒は、缶もの(ビール、酎ハイ、ワンカップ、ウーロン茶など)限定。
 つまみも、手を加えない乾きもの(袋単位)か、缶詰をキコキコ自分で開けるだけ。
 それでも、仕事終わりに、仲間と、安く飲むには最適でしたから、よく利用してました。

 JR大阪駅のガード下にあった立ち飲み屋(これは、ちゃんと店を構えている)にもよく通いました。カウンターだけで、全席立ち飲み。100人くらいは入れるから、なかなかの規模。立ち飲みといいながら、ワインも含めた酒も充実、つまみの種類も多いおもしろい店でした。

 ユニークなのは、支払い方法。

 カウンターに立つと、目の前に、手のひらサイズの皿が置かれる。客は、そこに、おカネ、とりあえず、1000円なら1000円を置いておく。注文したものが来たら、店の人が、自動的にお釣りを置いていってくれる、というシステムです。フトコロ具合を気にせず、安心して飲める。

 グループだったら、カネを出し合って、なくなる都度、出し合うなり、順番に出し合うなりすれば、割り勘になる。
 「今度は、オレが出すから」と、「適度に」オゴることもできる。
 「皿のカネがなくなったら、帰ろか」と、切り上げるタイミングも切り出しやすい。

 どうしても、各自が飲み食いした分は、各自できちっと払いたい(以前紹介した「本来のダッチ・アカウント」ですね)というのであれば、各自の前に、皿を置いとくだけ、とまあ、いろいろ融通の利く仕組みです。また、これほどの明朗会計はありません。

 いいことづくめのシステムで、もっと普及していいと思うんですが、目の前に、現金を置いて飲むのは気分的にどうも・・ということで、関西のオッチャン以外には馴染めないんでしょうかね。ほかでは見たことがありません。
 
 お店にも、たかが1500円が高いの安いの、などと文句を言う卑しい輩(やから)がいる(確か、Fちゃんセンセイとか呼ばれてました)から、そいつにだけは、このシステムを導入してはどうだろうか。我ながら、名案だと思うんだけど・・・

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。

<追記>冒頭でご紹介した「広告宣伝編」(第235回)、その後アップした「鉄道編」(第280回)「えべっさん編」(第352回)も合わせてご覧いただければ幸いです。