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第202回 ナマケモノという生き方

2017-02-03 | エッセイ

 当ブログでは、時折、生き物の話題をお届けしています。で、今回は・・・・

 私自身がそうだからかもしれませんが、かねがね「ナマケモノ」という生き物に、興味を持っていました。実物は見たことありませんが、本とか映像ではお馴染みの存在です。
 こんな動物ですね。

           

 タイトルは忘れましたが、椎名誠のエッセイで、彼が南米で出会ったナマケモノの話を読んだのを思い出しました。

  普通は、高い木の枝で、ホントにじーっとしてるから、見てもつまらない。彼に同行していたガイドが、川の近くで、顔が分かるほどの低い枝にいるナマケモノを見つけてくれた。当然、ピクとも動かないので、ガイドが棒で、その尻をつつく。別の枝に逃げようとして、手を伸ばすのだが、その動きが実にじれったい。
 「しょーがねぇなー」とでも言わんばかりに、手を、実にゆっくりと伸ばしかけては、これまた。実にゆっくりと引っ込めたりしている。書いててもイライラするくらい。
 何度かつついて、やっと別の枝に、手が届くまでだけで、10分ほどかかった。

 とまあ、概ねそんなような話だったと記憶しています。

 で、常々不思議に思ってたのは、こんな無防備な生き物が、敵だらけの南米のジャングルで、しっかり生きてること。

 その疑問が氷解したのは、たまたま目にした「動物の変わりものたち」(ロビー著 八坂書房)のおかげです。副題に「世界珍獣物語」とあるように、世界中の珍獣が紹介され読み応えがあります。
 存在自体があまり知られていない生き物も数多く登場しますが、名前、姿はよく知られていても、その生態とか、生き方(と言うのかな?)が、よく知られていない動物達も登場します。その中に「森の哲学者 ナマケモノ」という章があって、驚異の生き残り戦略の謎解きがされています。

 その戦略を一言で言うと、徹底した「無抵抗主義」ということになるでしょうか。そして、それを可能にするカラダの仕組みが、感動的なほどうまく出来ているのです


 「ナマケモノは防御に対してもナマケモノで、敵が襲ってきてもそれを手足を使って振り払うということをせず、ただ同じようにじっと木にしがみついている。ナマケモノの強みはあばら骨を中心とした骨格にあって、猛獣や猛禽類がその爪や牙でナマケモノを襲っても、幅広く隙間なくびっし体を覆ったハガネのようなあばら骨が内蔵への侵入を防ぎ、いかに表皮を引き裂かれても内蔵を傷つけられて死ぬことはないという。なまけものはそうやってとにかくじっと木につかまって耐え続け、外敵が疲れて退散するまで、とにかく果てしなくじっとしているのである」(同書から引用)

 いかがですか?ナマケモノって、ただのナマケモノじゃなかったんですね。敵の攻撃に晒されれば、激しい痛みを伴うはずですが、それにも耐え、ひたすら敵が攻撃に疲れて、諦めるのを待つ。
 う~む、なんという生き方!「森の哲学者」って、言い得て妙。まいりました。

 いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。