満月が地球の影に入って暗くなる皆既月食が、昨日の10月8日午後7時25分ごろから日本全国で観察出来た。全国で皆既月食が起きたのは2011年12月10日以来約3年ぶりである。佐渡でも皆既月食は観察可能との予報だったので、さぞかし島内の写真ブロガーや写真愛好家達はこぞってその写真撮影にチャレンジした事であろう。昨日から今日辺りにかけては、赤茶けた月の写真をブログやフェイスブックに掲載する人々が佐渡でも数名は出現するかと思うが、時事通信が昨晩の午後8時頃に配信したような見事な写真を供覧出来る人は少ないだろう。彼らのうちの何人かがトリミングをしない月食画像をブログやフェイスブックに掲載している理由は、トリミングをすると画像のボケやザラツキや暗い部分が露わになり、見せられる代物にはならないからだと思う。
筆者は、昨晩の午後6時頃に帰宅した。するとマンション7階の廊下部分から東方向に明るく大きな満月が見えた。そして、そうだ「今日は月食が観察出来る」と確かテレビで言ってたなと思いながら、月食開始時間が午後6時過ぎだと言うのをおぼろげながら思い出した。筆者は、この10日間の海外旅行にEOS-1DXを持ち歩き、夜景撮影に抜群の威力を発揮するその高感度振りと連写能力の高さに舌を巻いていたが、まだまだ荒馬にしてかつ駿馬たるEOS-!DXの潜在能力を100%引き出せている訳ではなかった。三日月をバックにした、佐渡相川の新五郎町の夜景撮影などいとも簡単にこなすEOS-1DXである、皆既月食の撮影などは造作もない事であった。
筆者は、5月の連休時に佐渡を訪問した際に使用して以来、ほこりを被っていたままのスリック社のカーボン製の軽量三脚を箱から取り出し、それを組み立てた。そしてマンションの共用部分の廊下にそれを設置し、その上に、両津港に接岸する、ときわ丸を撮影した時に使用した高倍率ズーム望遠レンズを装着したEOS-1DXを据え付けた。「月は午後6時15分に欠け始め、皆既食が始まるのは 7時25分で、皆既食が終わるのは8時25分、そして月食の終わりは9時35分」との新聞報道を頼りに、午後6時20分頃から撮影を開始した。フルムーンを撮影したら、まるで太陽のように明るい丸に写った。それは高感度ゆえの現象なのだが、その能力は月食に突入し、月が赤銅色に変化する際に遺憾なく発揮された。当ブログの愛読者様に於かれては、赤く染まった神秘の月の画像の数々をご覧頂ければ幸いである。画像はトリミングを施したため、くっきりとした仕上がりにはなっていないが雰囲気だけはお伝え出来ると思う。
筆者が撮影中に、隣室に住むおじさんが部屋から出て来て、「綺麗ですね」と言いながら、コンデジで皆既月食の撮影を試み始めた。筆者は「コンデジでは無理ですよ、第一ピントが合いません」と言ってあげた。するとおじさんは階下を指差しながら「ほら、皆さん月食を見ていらっしゃいますよ」と言った。階下を見たら、低層階のマンション住人が安物デジイチを構え手持ちで月食にレンズを向けていた。「馬鹿だなあ~、そんなんで月食を綺麗に写せる訳がないじゃん」と心の中で叫んであげた。皆既月食などと言うものは、三脚使用でなければ、そこそこの写真は撮れても人様にお見せ出来るような写真は撮れっこないのだ。この神秘の天文ショーは、筆者の住む東京地区では雲が月を覆い隠し始めた午後7時47分に終焉を迎えたが、お台場では雲に覆われ終始観測不能だったそうである。
フルムーン、まるで太陽を撮影したかのようだ。
午後6時20分に撮影。月が左端から欠け始めた
午後6時55分、月の半分以上が欠けた
完全に月が地球の影に隠れた7時25分に撮影。
午後7時25分44秒に撮影した。隠れた後も、太陽の光が地球の大気で屈折し、弱く月を照らすため、月は赤銅色に輝く。
午後7時34分に撮影。トップ画像はその3分後に撮影されたものであるが、ややザラツキ感はあるものの、月の南半球部分は読売新聞の一面に掲載された画像よりは明るく写っていると思う。だが、月の周囲にフレアー現象が出ているため、くっきりとした仕上がりになっておらず、やはりプロには敵わない。
ちなみに国立天文台研究所が写すとこういう素晴らしい画像になる。筆者が撮影した画像とは月とすっぽんほども違う!
午後7時46分撮影。雲がかかり始めたため月の下方がボケ始めた
雲で覆われたため、午後7時47分に撮影を終了した。
お口直しに、「ペック」の浅利とオリーブのトマトソースペンネの画像を供覧しよう。