欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

バラの庭での約束

2011-04-29 | poem
あなたはそっといざなうようにわたしを窓辺へと連れていってくれました。
木のイスをひいて、そこへ座らせて・・。
やさしい日ざしがテーブルに降りています。
その中央には小さな瓶に一本の白いバラが・・。
わたしは何の感情もなく、テーブルを見つめていました。かさかさになった心になにも入って来なかったのです。

あなたは台所から白いカップに湯立ったミルクを入れて持ってきてくれました。
日ざしのあたるテーブルにおいて、向かいに座って・・。
ミルクのあたたかな湯気がわたしの気持ちをこのテーブルへと連れ戻してくれました。
なにも会話はありません。それでもここにいることになにかしら居心地の良さを感じはじめていたのです。

夢と現実のはざまをどれくらいさまよっていたでしょう。
それはまるで冬の淋しい森をいつまでも迷い歩き続けているような悲しいものでした。
それでもわたしは森を抜け出ることができたのです。そう、あたたかなミルクの匂いに導かれて。
気がつくと、あたたかな日ざしの降り注ぐテーブルの上であなたの手がわたしの手を包んでいました。
甘い匂いを放つコップと白いバラがまぶしいくらいにわたしの心へ飛び込んできたのです。

ぼんやりしているわたしの耳にあなたの声が遠く方から聞こえるように入ってきました。
"やさしい気持ちを持っている。悲しいことに世界は乾いた世界へと君をいざなってしまった。
しかし、僕はこうして君の帰りをいつまでも待ち続けている。
それは君との永遠の約束。バラの花咲く庭で語り合ったあの時の約束を今も忘れていない。
僕のそばで君のささやいてくれた言葉が。愛の証がこの胸には今も刻み込まれているから。"

遠くから響いてくるようなあなたの言葉。まるで星々の中からひとつの定めを探すような難解さでしたが、わたしは探しあてることができました。
心が迷わせ、導いたもの。気がついたわたしの目にはじめに映ったのは、わたしを見つめるやさしい瞳と口もとに広がるあなたの笑みだったのです。


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