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太平洋沿岸を飛ぶ (46) - 鳥形山

2010-03-14 | 四国
高知県仁淀村、四国山地の一角に、頂上が雪のように白く平らな山(画面右)が目を引く。
日本一の採掘量を誇る石灰鉱山、「鳥形山」である。

鳥形山は東から眺めると鳥が翼を広げたようなシルエットを持つところからこう呼ばれたが、現在、石灰の採掘が進む鳥形山にその面影はない。昭和46年の開山以来、山の形が徐々に変わってきていることでも有名である。

標高1,000mを越える山頂にある採鉱現場では、日鉄鉱業(株)によって、推定埋蔵量10数億t以上の良質な石灰石が東西4,400m、南北400~900mにわたる広大な現場で採掘されている。
採掘は、山を階段状に切り取るベンチカット方式を採っており、ダンプでではなく、鳥形山から須崎港まで約23km敷設された長距離ベルトコンベアーで直接運搬されている。

鳥形山に代表されるように、四国カルストの石灰岩は、約2億5千万年前~3億7千万年前に形成されたものといわれ、世界的にも高純度の石灰岩が産出されている。このことは、カルストを形成する石灰岩が古生代末に、太平洋の遙か赤道付近にあった珊瑚礁であり、それがプレートテクトニクスによって移動したものと考えられている。

一方、全山が石灰岩という地質や、四国有数の雨の多い地域であることが高山性、北地性の珍しい植物を多く残してきた。
牧野富太郎博士が「鳥形ハンショウゾル」を発見以来有名となり、イワギク、キンキマメザクラ、フキヤツツバ、ユキワリソウ等幾多の高山植物が繁茂していて、高山植物の宝庫とされている。