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-空から見るからこそ見えてくるものがある-

伊豆半島、春の雪化粧 - 天城山

2010-03-31 | 中部

現在、地図の上で天城山脈と記されているのは、東海岸から起こって、遠笠山、万二郎岳、万三郎岳、それから天城峠を経て、猿山、十郎三衛門山、長九朗山、と続いて、西海岸に終わっている。つまり一つを指して天城山と呼ぶ峰はなく、伊豆半島の中央を東西に横切ったこの山脈を眺めて、そのうちのどれであろうと構わず、人は天城山と呼んでいる。

天城のいいことの一つは、見晴らしである。煙を吐く大島を初め、伊豆七島がそれぞれの個性のある形で浮んでいる海が眺められるし、いつも真正面に富士山が大きく立っている。全く大きい。天城にとって欠くことのできない背景である。山の好きな人だったら、富士山の左に遠く南アルプスの山々が連なっているのを見落とさないだろう。
(深田久弥著『日本百名山』より)



天城山は、伊豆半島の中央部に峰を連ねる火山性の連山の総称で、一般的には、万三郎岳(1,406m)、万二郎岳(1,300m)を指し、広義では天城西山稜の達磨山(万太郎山)や猫越岳をはじめ、猿山、長九郎山、婆娑羅山などもすべて天城山とされている。

川端康成の『伊豆の踊り子』の舞台となった天城峠があることで知られ、石川さゆりで有名な「天城越え」は、この山を指し、登山者以外にも良く知られた山である。


天城山は古くは狩野山、甘木山ともよばれ、伐木、搬出の歴史も古く、幕府直轄の御料林であった。マツ、スギ、ヒノキ、ケヤキ、クスノキ、サワラ、カシ、モミ、ツガは天城九木とよばれ、御制木として保護されていた。かつては木炭の生産、現在はワサビやシイタケが名産となっている。
植生にも特色をもち、アセビ、ヒメシャラの樹林、シャクナゲ、アマギツツジの花は天城特有の植物景観となっている。

火山周辺は温泉にも恵まれ、湯ヶ島、湯ヶ野、峰、熱川、大川などがある。