四万十川は、高知県の西部を流れる川で、吉野川に次ぐ四国第2の川。
本流に大規模なダムが建設されていないことから「日本最後の清流」、あるいは柿田川・長良川とともに「日本三大清流の一」と呼ばれることがある。
高知県高岡郡津野町の不入山(いらずやま)を源流とし、高知県中西部を、S字を描くように蛇行しながら多くの支流を集め、四万十市(旧中村市)で太平洋に注ぐ。河口附近では「渡川」という名前がある。
「四万十川」という名前の由来には、いくつかの説がある。
アイヌ語で「大きく、美しい」を表す言葉、「シ・マムタ」からきているという説。
また、「四万川」という支流の名前と、中流にある「十川」という地名が合体したのだと言う説。
さらに、四万十川が非常に多くの支流をもっているため、「四万十川」と名づけられたという説もある。
流長196kmを誇る四万十川は、水質も良く日本有数の清流で、古くから漁が盛んに行われてきた。
高知県の清流を代表する魚、鮎。船上で火を振り、鮎を網へと追い込む「火振り漁」が行われ、その光景は、四万十川の風物詩となっている。
また、唐揚げや佃煮など高知県の郷土料理にもよく用いられているゴリ。ゴリの伝統漁法として代表的なのが、「ガラ曳き漁」。ロープにサザエの殻をつけ、ガラガラという音で仕掛けておいた四つ手網の中にゴリを誘い込む漁法である。
そして、四万十川を代表するエビがテナガエビ。テナガエビの漁法は「柴漬け漁」といい、枝を束にして水に沈め、その中に入り込んだものをすくうという伝統的な漁法。
その他、天然ウナギ、青海苔の産地としても知られている。
四万十川は、川漁で生計を立てている人が多いことでも、日本有数の河川といえる。
四万十川には支流も含めて47の沈下橋があり、高知県では生活文化遺産として保存する方針を1993年に決定している。