Tenkuu Cafe - a view from above

ようこそ『天空の喫茶室』へ。

-空から見るからこそ見えてくるものがある-

地上の星 (2)

2009-04-26 | その他
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(仏: Antoine de Saint-Exupéry, 1900年6月29日 - 1944年7月31日)は、フランスの作家、操縦士。郵便輸送のためのパイロットとして、欧州-南米間の飛行航路開拓などにも携わった。
作品は『南方郵便機』『夜間飛行』『人間の土地』『戦う操縦士』そして、おなじみの『星の王子さま』など。
彼は操縦士であったためか、作品の内容は飛行機にまつわる内容が多く、一般の人には得られない、現場にいる人の「視点」により、作品も人生観も貫かれてる。
彼は飛行機から地上を見下ろしたとき、目の前に広がる世界の美しさとは対照的に、その地上に繰り広げられる、人間の怒りや憎しみ、戦争や暴力の愚かさなども見ていたのだろう。
また同時に、夜は高度数千メートルの高さから、人々の営みの明かりを見つめつつ、様々な人々が一生懸命に生きている姿と、その人達が求めている大切なものが見え、人々への愛おしさの想いが、沸々とこみあげてきたに相違ない。


地上の星 (1)

2009-04-25 | その他
「ぼくはアルゼンチンにおける自分の最初の夜間飛行の晩の景観を、いま目の当たりに見る心地がする。それは、星かげのように、平野のそこここに、灯ばかりが輝く暗夜だった。
あの一軒では読書したり、思索したり、打ち明け話をしたり、この一軒では、空間の計測を試みたりアンドロメダの星雲に関する計算に没頭したりしているかもしれなかった。
しかしまた他方、これらの生きた星々のあいだにまじって、閉ざされた窓々、消えた星々、眠る人々がなんとおびただしく存在することだろう・・・・・。」
(「人間の土地(1939)」堀口大学訳)

「翼よ!あれが・・・ 」 - 伊勢湾上空

2009-04-21 | 中部
1926年、アメリカ国内では、ニューヨークからパリへの無着陸飛行の成功者に賞金を与えるという企画が発表された。これを知った若き郵便飛行士のチャールズ・A・リンドバーグもこれに挑むことを決意。有力者から資金を募り、“The Spirit of St.Louis(セントルイス魂)”号を作り上げた。そして1927年5月、いよいよ大西洋横断に向けてニューヨーク、ルーズヴェルト空港から飛び立った。だが、機上のリンドバーグには暴風雨など自然の猛威や睡魔が待ち受け、加えて絶対的な孤独感に見舞われていく…。
そして、ようやくパリの街の灯が見えた時、この映画の題名『翼よ!あれが巴里の灯だ』と叫ぶ。
伊勢湾上空、宝石を散りばめたような「街の灯」を俯瞰しながら、いささか古い映画のワンシーンを思い浮かべた。

春告げる曲線 - 立山黒部アルペンルート

2009-04-18 | 中部
北アルプスを貫き、富山県立山町と長野県大町市を結ぶ「立山黒部アルペンルート」で、高原バス路線の除雪作業が終わり、昨日4月17日、約4カ月半ぶりに全線開通した。
白く光る山肌に春到来を思わせる曲線が、くっきりと浮かび上がった。
画面は、バス専用路線23キロ区間のうち、半分を超える弥陀ケ原(標高1,930m)の区間。
今年は暖冬だったが、室堂(標高2,450m)付近の積雪は、約5.4mとほぼ平年並みだったという。
これから観光客を乗せたバスが両側に垂直の雪壁がそびえる道路を行き交うことになる。

北アルプス“北の俊英”- 剣岳

2009-04-16 | 中部
剱岳は、北アルプス北部、立山連峰にある標高2999mの山。富山県の上市町と立山町に跨る。
立山信仰とともに古来から、信仰の山で、立山曼荼羅では地獄の「針の山」とされ、精神世界に大きな役割を果たしてきた霊山である。
剣岳を望んで、まず思い出すのは、新田次郎著『剣岳・点の記』だ。
測量官・柴崎芳太郎一行が1908年7月、剣岳山頂に三等三角点埋設の命令を受け、
当時未踏峰と考えられていた剣岳に登頂する話である。
大変な苦労をして登頂してみると、そこには千年も前かと思われる錫杖の頭や剣の先があり、既に大昔、誰かが登っていた証拠が残されていた。 (この錫杖の頭と剣の先は、昭和34年重要文化財に指定。「立山博物館」に展示されている。)
映画「剣岳・点の記」(木村大作監督)が、今年6月20日に全国でロードショーされる。

北アルプス“南の重鎮”- 穂高連峰

2009-04-14 | 中部
天を突き刺すような鋭い岩峰が連なり、大岩壁が涸沢カールを威圧的に取り囲む。
雪で閉ざされた白い峰は人を寄せ付けない。
奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳、前穂高岳、西穂高岳などの峰々からなる穂高連峰は、大キレットの峻険な登降を経て、南岳、大喰岳の先の槍ヶ岳に連なる。穂高岳は、剱岳、谷川岳と共に日本三大岩場に数えられ、特に涸沢岳から南岳の稜線の飛騨側には「滝谷」、また、前穂高岳の東側、奥又白谷の「前穂東壁」を擁する。
井上靖の小説『氷壁』で魚津が遭難したのが前者で、小坂が遭難したのが後者である。
穂高岳登山の拠点となる涸沢は、奥穂高岳と前穂高岳に挟まれた吊り尾根よりU字型にえぐられた圏谷(カール)。
深田久弥 は「穂高の気高い岩峰群は、日本の山岳景観の最高のもの」、「死ぬ者は今後も絶えないだろう。それでもなお穂高はそのきびしい美しさで誘惑しつづけるだろう。」(日本百名山)などと書いている。


純白の衣纏う名峰 - 槍ヶ岳

2009-04-12 | 中部
「槍ヶ岳」は北アルプス南部に位置し、標高3180mで日本第四の高峰である。形が槍の穂先に似ているために槍ヶ岳という名があり、その鋭い形から人気の高い山である。この槍ヶ岳はほぼ東西南北に尾根を持っており、そのどれもが鎌の歯のような形のためそれぞれ「東鎌尾根」「西鎌尾根」「北鎌尾根」と呼ばれている。 特に北鎌尾根は困難なルートとして知られている。
単独行で有名な加藤文太郎は、1936年1月の厳冬期、槍ヶ岳の北側に伸びる北鎌尾根で遭難した。山岳小説で一世を風靡した新田次郎は、彼を主人公とした代表作『孤高の人』を世に出した。
滑らかな純白の衣を纏う「槍ヶ岳」。
昨年11月山小屋が閉ざされて以来、約5カ月間眠りに就いていた北アルプスの山々にも小屋開けの季節が近づいている。

有田蜜柑のふるさと - 有田川下流域

2009-04-10 | 近畿
金屋地区から河口の有田市箕島は、有吉佐和子の小説『有田川』に描かれる「蜜柑づくりに生涯をかけた千代」の波乱万丈の舞台だ。
有田蜜柑の歴史は、この小説にあますことなく描かれている。
箕島に隣接する湯浅町は醤油発祥の地。その街並みは国選定重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
有田市箕島から湯浅町は、世界遺産の「熊野古道」と高野山に通じる「高野古道」の分岐点が市域にあることにより、多くの史跡や歴史的文化財が残り、「紀州の敦煌」ともよばれている。

「夢日記」・明恵上人 生誕の地 - 有田川中流i域

2009-04-08 | 近畿
有田川中流に位置する金屋地区は明恵(みょうえ)上人生誕の地だ。
明恵上人といえば、紅葉狩りで名高い京都・高雄三尾の一つ、栂尾・高山寺を建立し(1206)、華厳宗中興の祖として知られる高僧である。
また19歳から40年間、自分の見た夢を正確に書き続け、世界で唯一の「夢日記」を残していることでも有名である。
明恵上人は、平安時代の承安3(1173)年に、有田川中流の旧金屋町、歓喜寺の地で生まれた。旧金屋町、有田市、湯浅には数多くの上人の遺跡が残っている。

蛇行が生む奇観 - 有田川上流域

2009-04-06 | 近畿
有田川は、世界遺産として知られる高野山を水源とする。
高野山を抱くように連なる高野三山の一つ楊柳山(1009m)に源を発し、湯川川、白馬川、早月谷川などを合流させながら西へ西へと流れ、有田市箕島で紀伊水道に注ぎ込む。総延長94km、流域面積468 の和歌山県内主要河川の一つである。
上流の清水地区では、有田川が360度蛇行して扇形の河岸段丘を数多く作り出している。
この地区の“あらぎ島”には蛇行に沿うように、区画された美しい曲線の田圃が広がっていおり、この優美な景観は、日本の棚田を代表する傑作のひとつとして、「日本の原風景遺産」となっている。

霧氷の華咲く山々- 台高山脈(2)

2009-04-04 | 近畿
この時期、霧氷がついた山の木々はあたかも桜の花がいっきに咲いたように美しい。山頂付近のブナ林が見事に霧氷の花で埋め尽くされる。霧氷は雪とは関係なく、よく晴れた朝、放射冷却で気温が氷点下になると空気中に漂う水蒸気が樹木に凍り付き、飴細工のようになる現象である。朝日が昇ると、光に反射し、クリスマスツリーのようにキラキラと輝く。

霧氷の華咲く山々- 台高山脈(1)

2009-04-03 | 近畿
紀伊半島には大峰山脈・台高山脈があり、「関西の屋根」と呼ばれる。
高見山は奈良県と三重県の県境に聳える標高1248.9mの山で、台高山脈(台高の「台」は大台ケ原、「高」が高見山)の北端に位置し、中央構造線に接して屹立する独立峰である。一帯は壮大な山岳景観をなしており、三角形の美しい山容から「関西のマッターホルン」とも呼ばれている。
山頂には、北からさえぎるものがなく、季節風が容赦なく吹き付けるため、美しい霧氷を見ることができる。

真言密教の聖地 - 高野山

2009-04-01 | 近畿
三重、奈良、和歌山の三県にまたがり、標高1000~2000mの山々が連なる紀伊山地。年間雨量3000mm以上を記録する日本でも有数の多雨地帯で、広大な深い森林地帯を形成している。この紀伊山地の北東部、和歌山県伊都郡の紀ノ川西南高地に位置する高野町。高野山はその主要部に広がる東西約5㎞、南北約3kmの山上盆地をしめる。「高野山」と呼ばれる頂上はなく、周囲の峰々と、それらに囲まれた盆地部分全体を含めた地域が、いわゆる「高野山」。最高峰弁天岳は標高985m。平安時代初めの弘仁七年(816年)、真言宗の開祖弘法大師・空海が金剛峯寺を創建、以来真言密教の聖地となった。 現在、高野山真言宗総本山金剛峯寺を中心に117の寺院が立ち並ぶ。年間約百十万人の信者、観光客が訪れる。