Tenkuu Cafe - a view from above

ようこそ『天空の喫茶室』へ。

-空から見るからこそ見えてくるものがある-

冬の日本列島を飛ぶ (6) - 日本アルプス

2012-02-28 | 中部

ヨーロッパ・アルプスにちなんで、初めて“日本アルプス”という言葉を使ったのは、イギリス人のウイリアム・ゴーランド(William Gowland, 1842-1922)である。
ゴーランドは、1872(明治5)年、明治新政府から招聘を受け大阪造幣局の冶金技師としてやってきた「お雇い外国人」であり、本務の傍ら、登山家として槍ヶ岳等の名山にも数多く登り、著書『日本案内(1881年)』で飛騨山脈のことを「日本アルプス」と呼んだ。

後にW・ウェストンが赤石山脈を「南アルプス」と呼び、更にその後、小島烏水が木曽山脈を「中央アルプス」と名づけたといわれている。

飛騨山脈は今では「北アルプス」と呼ばれ、中部山岳地帯に連なるこの三つの山脈を総称して「日本アルプス」と呼んでいる。






冬の日本列島を飛ぶ (5) - 日本アルプス

2012-02-25 | 中部


登山家・岡野金次郎がイギリス人宣教師で登山家のウォルター・ウェストンと交友が始まったのは、岡野の勤務先スタンダード石油会社の横浜事務所で、支配人から、ちょうど通りかかった岡野に、W・ウェストンの『日本アルプスの登山と探検』の英文原書を紹介されたことがきっかけだった。

明治35年、岡野は小島烏水とともに槍ヶ岳登山を果たした。
霞沢を溯行して霞沢岳に登ってから上高地に下って槍ヶ岳に向かうというルートであった。

W・ウェストンの著書を読んだ岡野は、実は既に明治25年に、W・ウェストンは、平湯から安房峠を越えて徳本峠を経て上高地入りし、槍ヶ岳登山を果たしていることを知る。

驚いた岡野は小島烏水に連絡し、著者ウェストンを捜すと、なんと自分達の住んでいる横浜にいることが判った。

苦労して登った槍ヶ岳を、W・ウェストンはもう10年も前に楽なルートから登っていたのだった。岡野らは情報収集力の違いに愕然とした。

冬の日本列島を飛ぶ (4) - 丹沢山塊

2012-02-16 | 関東

登山者として最初に丹沢に登ったのは岡野金次郎で、明治24年(1891年)に塔ノ岳に 立っている。

岡野金次郎は明治7年(1874)に横浜で生まれた。
明治35年(1902年)、小島烏水(コジマウスイ・日本山岳会初代会長)とともに、日本人登山家として初めて槍ヶ岳へ登頂を果たした。 その翌年、自分たちより前に槍ヶ岳に登ったイギリス人宣教師で登山家のウォルター・ウェストン(日本アルプスの名付け親)と出会い、日本にも山岳会をつくることを勧められる。 これが日本山岳会の設立につながったという。

晩年平塚に移り住んだ岡野金次郎をたたえ、平塚市の湘南平には彼の記念碑が建てられている。



ちなみに、小島烏水と岡本金次郎は、2009年6月公開された映画『剣岳・点の記』(新田次郎原作)で地図を作るために未踏峰と思われていた剣岳に登った測量官・柴崎芳太郎と剣岳初登頂を争う日本山岳会の登山チームのリーダー(ナカムラトオルとコイチ マンタロウ)として描かれている。

冬の日本列島を飛ぶ (3) - 丹沢山塊

2012-02-11 | 関東


丹沢は大きく東丹沢と西丹沢に分けられる。

東丹沢の代表的な山は、大山(1252m)、鍋割山(1273m)、塔ノ岳(1491m)、丹沢山(1567m)など。山頂からの展望もよく、開放的な眺めで尾根歩きが楽しめることから入山者が多い。

一方、西丹沢(画面)は、ブナの樹林におおわれ、丹沢本来の姿を楽しめる山が多い。
桧洞丸(1601m)、大室山(1588m)、畦ヶ丸(1293m)、菰釣山(1379m)が西丹沢を代表する山である。






冬の日本列島を飛ぶ (2) - 丹沢山塊

2012-02-07 | 関東

丹沢は神奈川北西部に東西約40km、南北約20kmにわたって広がる山群である。
その名の由来にもなったように多くの沢があり起伏に富んだ地形が特徴である。
面積は40,000haにも及び、神奈川県の約6分の1を占めている。

かつて丹沢は南の海のフィリピン海プレートの海底火山として形成された。
約500万年前にフィリピン海プレートの北上に伴って北米プレートと衝突して本州の一部となった。

さらにその後、約100万前に丹沢山地の南側に位置していた伊豆が、後を追うように本州に衝突して激しく隆起した結果、浸食作用を受けて、現在のような丹沢の険しい山々が作られたという。
今でも丹沢の山中では、暖かい南の海にしか生息しないキクメイシサンゴやオウムガイの化石が見つかる。

丹沢には、標高1,000mを越えているものが十数座存在することから、「神奈川の屋根」とも呼ばれている。






冬の日本列島を飛ぶ (1) - 丹沢山塊

2012-02-04 | 関東

神奈川県の西北に位置する丹沢山塊に本格的な冬山シーズンが到来した。

1月末の降雪で、丹沢山系の標高1,200m以上の尾根筋は雪稜に変わり、白銀の世界となっている。


太平洋側気候に支配される丹沢は、冬型の気圧配置が続く限り降雪は望めないが、冬型が崩れ、太平洋岸を前線や低気圧が通過する時には降雪を記録することが多い。