Tenkuu Cafe - a view from above

ようこそ『天空の喫茶室』へ。

-空から見るからこそ見えてくるものがある-

Cafe belvedere - (11)

2013-11-16 | Cafe 


早朝のメルボルン国際空港、
赤地に白抜きのカンガルーが活動を開始する。

この愛らしいカンガルーが、オーストラリア全土を飛び回る。



オーストラリアのフラッグキャリア、Qantas Airways は世界で二番目、英語圏では最も永い歴史を持つ航空会社である。


クインズランド・アンド・ノーザン・テリトリー・エアリアル・サービス(Queensland and Northern Territory Aerial Services)の頭文字をとってQANTASと名付けられた。
(日本人は「カンタス」と発音するが、オージー英語は「クォンタス」と聞こえる。地元で“カンタス”と発音しないほうが良い!!)



日本との関係は、1947年12月に山口県防府へ初飛来以来、半世紀以上にわたる。
現在、日本路線は、成田=シドニー線が毎日1便運航するのみ、他路線はジェットスター航空に移管。













Terra Australis Incognita “未知の南の土地”  を飛ぶ - (13)

2013-11-11 | 海外



1788年、イギリスのオーストラリア入植以降、政府は、先住民アボリジニに対して、「保護政策」「保護隔離政策」を経て、「同化政策」へと進んだ。これは、アボリジニを何世代も白人と混血させて生物学的に白人に吸収するため、特に混血女児を実の親から引き離して白人社会に組み入れ白人男性との混血を奨励するものであった。1970年代まで続いたこの政策は、「盗まれた世代」とよばれる10万人に及ぶ人びとを生み出した。シドニー五輪のヒロイン、キャシー・フリーマンの祖母もその一人だった。




この隔離同化政策を扱った映画がある。

オーストラリア映画『裸足の1500マイル』(Rabbit-proof Fence)は、白人政府に強制収容された3姉妹が体験した実話を映像化したもの。


1931年、先住民アボリジニを家族から隔離し、白人社会に適応させようとする隔離・同化政策により、14歳のモリー(エヴァーリン・サンピ)と妹で8歳のデイジー(ティアナ・サンズベリー)、モリーの従妹である10歳のグレイシー(ローラ・モナガン)という3人の姉妹が、強制的に寄宿舎に収容される。気丈なモリーは施設から逃げ出し、母のもとへ帰ることを計画。脱走した3人は、1500マイル=2400キロメートルの厳しい家路を歩き始めた。あてどなく荒野をさまよっていた3人だったが、ある白人女性に、オーストラリアを縦断するウサギよけ用のフェンスの存在を教えてもらう。顔も知らない白人の父親が作ったというフェンスが自分の村を縦断していたということを思い出し、このフェンスをたどれば家へ帰れる。それを頼りに歩く彼女たちを、アボリジニ保護局の局長ネヴィル(ケネス・ブラナー)、そしてアボリジニ追跡人のムードゥ(デイヴィッド・ガルピリル)が後を追う。追跡されながらも、オーストラリアの大自然の中を9週間にも亘って歩き続ける。


原題の“ウサギよけフェンス=Rabbit-proof Fence”は、イギリスから食用やスポーツ狩猟用に輸入され、その後猛烈に増えて牧畜の大脅威となった野ウサギを防ぐために作られたフェンス。
映画では少女たちの逃避行の道しるべとなるが、それは、白人社会との分断の象徴であり、アボリジニに対する白人政府の隔離政策を暗示している。



画面上はセント・メアリー大聖堂( St Mary's Cathedral)






Rabbit-Proof Fence is a 2002 Australian drama film directed by Phillip Noyce based on the book Follow the Rabbit-Proof Fence by Doris Pilkington Garimara. It is based on a true story concerning the author's mother, as well as two other mixed-race Aboriginal girls, who ran away from the Moore River Native Settlement, north of Perth, Western Australia, to return to their Aboriginal families, after having been placed there in 1931. The film follows the Aboriginal girls as they walk for nine weeks along 1,500 miles (2,400 km) of the Australian rabbit-proof fence to return to their community at Jigalong, while being pursued by a white authority figure and an Aboriginal tracker.








Terra Australis Incognita “未知の南の土地”  を飛ぶ - (12)

2013-11-03 | 海外


先住民族問題を抱えるオーストラリアは、2000年のシドニー・オリンピックで、アボリジニのキャシー・フリーマンを聖火ランナーの最終走者に起用したことで、白豪主義(White Australian Policy)から「異なる民族の融合と共生」という多文化主義(Multicultural Policy)への転換姿勢を強く印象づけた。




2008年、ラッド首相は、過去の政権が先住民アボリジニに対して行った隔離政策について、「誇りある人々と文化が受けた侮辱を申し訳なく思う」などと公式に謝罪した。


しかし、現在でもアボリジニが抱える問題が存在することは事実であり、これから解決すべき課題とされている。





同じような先住民族問題は、米国、カナダ、ニュージーランドも抱えている。1995年には、英のエリザベス女王が、ニュージーランド先住民(マオリ)との土地紛争に関して謝罪。カナダ政府は2008年、先住民のイヌイットに対する同化隔離政策に関連して、先住民族を「深く傷つけてきた」ことを認め、公式に謝罪(米国政府は、先住民にも黒人にも、いまだに謝罪していない)。

もちろん、日本も差別問題に無縁ではない。アイヌ民族問題をはじめ、国内だけではなく、周辺諸国との関係においても、歴史的な問題を抱えている。


画像中央右側は、シドニー・ハイドパーク(Sydney Hyde Park) にあるジェームズ・クック銅像。画面上の建造物はオーストラリア博物館(Australian Museum)。