ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

漆黒の夜に咲く桜  (ジュエリーCADと樹脂のコラボ作品)

2008年05月28日 | ジュエリー作品&試作品

前の投稿でもちらっとご紹介しましたが、エポキシ樹脂の実験用に、ジュエリーCADで作ったリングが完成しました。

いろいろな着色素材を皆様からご紹介いただきましたが、まずは先に購入したエポキシ樹脂(商品名:Genus)でやってみました。いろんな色がありましたが、あえてブラックをセレクト。『桜ならピンクだろーが?』、と思いますでしょ?でも、桜模様は地金側。なので、模様を引きたたせるためににバックカラーは黒にしました。

途中経過はこんな感じ。左から、CADデザイン→ワックス原型→鋳造後 です。
  
なにぶん、”仕上げ”の実験ゆえ、前工程はあまり時間をかけたくないので単純なデザインにした次第です。

初めての樹脂加工は、かなり”修羅場”だったので、制作の様子を撮影する余裕がありませんでした。(^^;; 



今回使った樹脂は固まるまで常温・自然放置で5~6時間かかります。(気温が高いほど早く固まるそうです)テクスチャはかなりユルユル(ほとんど水状)。一度の塗布では凹面は埋まりません。ゆるいからこそ、細かい部分まで樹脂がムラなく入ってくれるのですけどね。
横着して一度に多めに塗ろうとすると、硬化する前にダラダラ下にたれてきてしまいます。



ここで、ちょっとした”事件がありました。夜塗って机に横において置いたのですが、朝見てみたら、たれた樹脂でリングが机に貼りついてとれなくなりました。全身の体重をかけてウンウン引っ張っても取れないのです。ケガキの先をリングの際の部分に突き刺し、テコの要領で押し上げて強引にひっぺ剥がしましたが、木製机の板材がゴソっとはがれてしまいました。はがれた木片はリング側にくっついてます・・・。(^^; 

そう、エポキシ樹脂は、もともと大変強力な接着剤なのです。何かにくっついたまま硬化したら最後、マジで取れません。木の机だったので幸いでしたが、スチール机の上だったらえらいことになっていたかもです。2度目の塗りからは、かまぼこ板の上で硬化させることで”被害”を最小化できました。



硬化後の樹脂表面は何もしなくてもツヤツヤですので、凹部分の底面が着色できればそのまま完成でもよいのですが、今回は地金と面一にした象嵌風にしたいので、地金が見えなくなるまで樹脂を盛ってからヤスリで削りました。

耐水ペーパーで丁寧に磨いて、最後に樹脂用の液体研磨剤で仕上げると、見事な漆黒の艶が出ました。まるで漆塗りのようです。突然、ピカーッと樹脂に艶が出てきたときにゃぁ、そりゃあ嬉しかったですね~。(^^)
ちなみに、サンドペーパーと液体研磨剤だけで地金部分も十分ピカピカになってしまったので、バフはかけてないんです。

自分の手にはめて記念写真です。 (醜い手でスミマセン。)
メンズリングにしてもいい感じかもです♪ 



いやはや、ホビー用とはいえ、思ったより扱いづらくて大変でした。コツさえ掴めば次回からはもっと要領よくできるかと思います。いずれにしてもわかったことは、象嵌風にするのは大変手間がかかるので、量産には向きません・・・。まさに、漆塗りとか蒔絵とか、その世界に近いものがあります。

Cool Stylishなペアリング 【ジュエリーCAD vs ハンドクラフト】 Vol.2

2008年05月19日 | ジュエリー作品&試作品

Cool Stylishなペアリングの話Vol.2です。(Vol.1はこちら

ジュエリーCADなら簡単に出来るかもしれないけど、あえてハンドクラフトで作ったリングです。

裏はしっかり抜いたのですがやはり、デザイン的に重量が出てしまいまして、メンズ・レディース用ともにずっしりしています。



角ばっていてエッジだらけのデザインですので、そのままでは自分にも人にも危害を加えそうですし、洋服にもひっかかりそうです。鋳造してから、すべてのエッジや角を自分の指先で触りながら、ひっかかりやざらつきがなくなるまで何度も調整しました。幅広のリングですので、とくにリング内径の部分は内甲丸にして、スルっと気持ちよく指どおり滑らかになるようにしています。
 
指定どおりの形や寸法でジュエリーCADで簡単に作れたとしても、快適な着用性を実現するために、最終的には人の手による介在が必要でしょう。

余談ですが、ある年配の職人さんの工房を見学する機会がありました。デスクの隅に女性物のニットとかレースのついた服とかパンティストッキングとかが丸めて置いてあって、撮影に使うのかな?と不思議に思って聞いたところ、

『仕上げが終わったら、自分の顔の上で上下左右に擦ってみて痛くなかったら、次にニットとかレースとかパンティストッキングとかにブツを擦ったり揉んでみて、どう乱暴に扱っても全くひっかかりがなかったらオレ的にはOKなんだよ。』

と教えてくださいました。なんと細やかな心配りなんでしょうと言うと、その職人さん、『うちのカカアに指輪作ってやったらさ、セーターにひっかかるってゴチャゴチャうるせえもんだからよう。』と照れてましたが、今も私はその”師匠”の教えを守っています。

たしかにジュエリーが服に引っかかたり、髪の毛にからまったり、ってありますよね。女性を”かっこわるい目にあわせない”ためにも、大切な気配りだと思います。



メンズリングだけなら徹底的にカッチリ作ってハードに決めてもよかったのですが、依頼主の女性がとても可愛くて、おしゃれでチャーミングなのです。華奢な彼女の普段のファッションはアクセサリーも含めて、フェミニン。このリングの印象のような”ハードでボーイッシュ”な感じではないので、正直このデザインがあのか細い指に合うのだろうかと思いましたが、彼女は彼氏がデザインしたリングを全面的に受け入れる姿勢だったので何も言いませんでした。

本音を言うと、彼女のリングは幅をもっと細くして、上面のクロスの部分にメレ石をいれるとかしたかったなぁ・・・。

   

お二人さん、はい、チーズ!




なんで、今ごろ”桜”なんだって?
実をいうと、先月にはとりあえず鋳造まで出来てましたので、仮磨きして慌てて写真をとっておいたのです。お二人に渡すための記念の写真として、2008年の今年に咲く桜と同じ時期に生まれたリングをどうしても一緒に撮りたくて・・・。

この桜、たまたま近所の公園で遅咲きのものを見つけて失敬したのですが、花の色が普通のソメイヨシノよりも濃いピンクでラブリーですよね

制作期間は短かったのですが、なかなかお互い忙しくてスケジュールが会わず、そのままになっておりました。ようやく今週お約束が取れたので磨き直しをして完成しました。

お二人がいつまでも仲良くラブラブでありますように!

Cool Stylishなペアリング 【ジュエリーCAD vs ハンドクラフト】 Vol.1

2008年05月18日 | ジュエリー作品&試作品
ペアリングの制作の依頼をいただいておりましたが、ご本人様からご許可をいただけたので、掲載させていただきます。

カップルの男性の方がご希望のデザインをAdobe Illustratorで、寸法入りの見事に精巧な”見取り図”を作ってきてくださいました。(この方はジュエリー業界とは無関係のお仕事です。)このデザインに行き着くまでに、いろいろとお二人で話し合われいくつも案を出されたようです。

こうしたカッチリしたシンメトリックなデザインは、まさにジュエリーCADのお得意分野でしょう!練習のつもりで作ってみたものです。デザインは多少ROSEの好みのバランスに調整しています。(ブログのネタにしたかっただけで、これをクライアントに提示するわけではありません。)



何か工業製品みたいですね。(^^;






(※これはラフモデリングです。実際に光造形する場合は
裏抜き、リング内径のエッジのフィレットなど、あといくつかの作業必要でしょう。)

当然CADで造形だ!・・・と思ったのですが、しばしROSEは考えました。

実際のところ、ジュエリー制作のことを全く知らない人が相手の場合、『ご指定どおりに造りましたよ。文句ないでしょう!』というわけにはいかないことが多いことを思い出しました。

以前、絵の上手い女性から頼まれたデザイン画(上と横から見たところのみ)にしたがって、その通りに正確にWAXで作ったのですが、ワックスだとイメージが湧かないのか、『なんか、違う・・・。』といわれ、こちらからすると”それ、原画と違うやん”というような大幅な修正依頼が出てしまったことがあります。立体の絵が描けない人は、頭の中で3Dに肉付きされた様子をイメージすることが難しいようです。

もっとも泣けるのが、WAX原型の段階で試着もしてもらってOKだったのに地金になってから、『もっと細い方が良かったなー・・・。』といわれ、ゴリゴリ削ったことも。重さが出るとまた感じが違ってくるのですよね。

私自身もジュエリーCADを学びながら何度か経験していますが、描画上でのサイズ(大きさ・太さ・厚み)の感覚と、実物とでは”何か”が違うんですよね。寸法通りなはずなのに造形してみたら、自分の思ったイメージと違う・・・、ということはよくあります。

CADはもちろん微調整が得意ですが、あくまで画面上でのことであり、コスト的な問題で、試行錯誤のために何度も造形するわけにいきません。一発でOKが出ない場合、ボツになった造形代は???(クライアントが、『かかった費用はいくらでも出す』、とおっしゃる人なら話は違いますが・・・。)

最終的に判断して、初めて注文を受ける人ということもあって、一発勝負が怖い私としては、もちろんCADの正確さには程遠いですが、結局ハンドクラフトにすることにしました。(チキン~♪)

  
(つづく)


モエキャラ新登場! 手作りワックスとジュエリーCADで再現してみました

2008年05月16日 | ジュエリー作品&試作品
今、『ねこび~ん』というキャラクターがIT業界で話題を呼んでいるそうです。(ニュースソース:”ネコジルシ”3月14日号


(”ねこび~ん”は、カネウチカズコさんの作品です)

『コンピュータのソフトウエアを開発するためのソフト』(なんかややこしいですね)に、”NetBeans(ねっとびーん)”というフリーのソフトウエアがあり、その製品のロゴマークはブルーのキューブなのだそうです。(こんな感じ)世の中には面白い人がいるもので、カネウチカズコさんというイラストレータさんがこのロゴを元に新しいキャラクター”ねこび~ん”を誕生させたのだそうです。NetBeansの日本語サイトで堂々と公認マスコットとなり、”ねこび~ん”の紹介ページまでもが出来ました。(百面相がすごいカワイイのでのぞいてみてください)

ねこフェチの私としましては、この”ねこび~ん”ちゃんにホェ~、モェ~と一目惚れ。つい出来心でその辺のワックス片でちょちょっとチャームをつくっちゃいました。





キューブの部分は8mm角です。(冒頭の写真のとおり、指先に乗るサイズ)耳・手足・しっぽは、別にパーツを削りだして後から本体にくっつけました。不器用なワタシにはハンドメイドではこの大きさが限界でした。(^^;





ついでに、ジュエリーCADでも作っちゃいましたー。 といっても、ジュエリーのプラグイン機能は使う場所がなく、ライノセラスの機能だけで作ってますが、ライノ4.0の新機能の勉強にもなりました。



イラストからは、ねこみみは膨らんでいるのかへっこんでいるのかよくわからないので、手作りのほうは、普通のネコっぽく前面をゆるい凹面にし、CADでは逆に凸面にしてみました。

市販のオモチャとか、携帯マスコットも、こんなふうにしてペーパーデザイナーさんの絵をモデラーさんがCADで作っているのかなー??私もしばし、モデラー気分。

ちなみにブールはちゃんと成功しました!(^^)V エラーのない完全なソリッドです。



 
 

ついでに、オリジナルねこび~んらしい、ライトブルーで。





こういうのはジュエリーとは言わんでしょうが、なんとなく煮詰まっている時って、突如こうしたバカバカしい遊びもやってみたくなるものです。遊びの中からも多くの発見がありましたしね。


作風って必要ですか?

2008年05月12日 | ROSE POSYのひとりごと
東山魁夷 『緑響く』

東山魁夷展を観に行った話のついでネタです。
ROSE選ミニミニ展覧会も兼ねて・・・。

おそらく、彼の展覧会は私のこれからのジュエリー制作人生に大きな影響を与えたと言っても過言ではないので・・・。


東山魁夷 『山嶺湧雲

東山魁夷は、1908年に生まれ、1999年に没した画家です。
展覧会に行くまで私が知っていた彼の画風は、青とか緑を基調とした、深遠で幻想的な、メルヘンチックでさえある仮想風景でした。多くの人はその”青+白馬+幻想”で彼の名前を知っているのではないでしょうか。


東山魁夷 『白馬の森』

ところが、わかったことは、彼は常に激しく作風が変わる人であり、一般の人のイメージする東山スタイルは、ほんの短い時期の作品群だったのでした。


東山魁夷 『道』

彼が画壇の人として注目されるきっかけとなったのは、この”道”という作品です。その頃は、彼の視点で素朴にあるがままの情景を描いていました。ところがその後、彼は死ぬまで、洋画、日本画、墨絵、といったありとあらゆる技巧に挑戦し、国内外を旅しながら、そこで見たものを題材に様々なテーマに取り組みました。おそらく、無名の絵を見たら同じ彼の作品とは思えないようなものも沢山あります。


東山魁夷 『行く秋』

死ぬまで絵を描き続け、そして死ぬまで画風が変化しつづけた画家。人の好みはそれぞれ。彼にはありとあらゆる沢山のスタイルがあったからこそ、”私、東山の絵って嫌い!”という人はまずおらず、鑑賞者にあまたの選択肢を与え、ゆえに万人に愛され続けているのではないだろうかと思いました。


東山魁夷 『花明り』

東山展では大勢の鑑賞客がひしめいてましたが、皆それぞれ好き勝手なことを言い放ってました。絵によっては、”下手だねー”、”ひどい”、”これも魁夷?”などという声もしばしばでした。人の好みはそれぞれですから、画家の激しく作風が変わることで、観るほうの受け取り方も当然変わるものです。


東山魁夷 『北山初雪』

私も、自分のデザインのスタイル(作風)というか方向性がいまだに定まらなくて悶々としていたのですが、東山展を観て、スタイルなんて一生定まらなくたってよいのではないか?と思えるようになりました。その時々に感じることや”内なる声”を聞いて造りたいものを作っていけばいいんじゃないか?と・・。


東山魁夷 『冬華』

『あるがままに・・・。』

素敵な言葉ですね。全国のクリエーター、アーティストの皆さん、頑張りましょうね!


東山魁夷 『宵桜』


”シンプルで美しい”ということ

2008年05月11日 | ROSE POSYのひとりごと
この写真はなんだと思いますか?

答えは『箸置き』です。

先日、国立近代美術館の『東山魁夷展』を観に行ったときに、ミュージアムショップで一目惚れして求めたものです。



ディスプレーではばら売りしてたのですが、なぜか”2羽いると絵的にさまになるなー”、と2個買ったところ、レジでペア専用の可愛いギフトボックスを用意していてそれに詰めてくれました。

名前がついてました。『Love Bird』
なるほどね、2羽でセットなんだ・・・。



こんなモダンなデザインのものを作ったのはどんな作家さんだろうと調べたところ、森正洋さんという陶器デザイナーさんでした。しかしすでに2005年に亡くなっておられました。1927年生まれだそうですので生きておられたら御年81歳。とても戦前生まれの人が考えた作品と思えません。

森さんが74歳(2001年)のときに立ち上げられたという、ショップがあります。デザインモリコネクション。実店舗・ネットショップともあります。
ネットショップを拝見するとどの食器も、シンプルながらコンテンポラリーでモダンなデザイン。クセが無く飽きずに長く愛用できそうです。

森さんの作品はどれも、シンプルで美しい。究極的に無駄を省いて研ぎ澄まされた近代的なフォルムなのに、なぜか素朴でほっとする。



”Love Bird”に出会って、我に返るような思いがしました。

今の私と言えば、いまだに自分のデザインスタイルというものが定まらず、技巧の探求に明け暮れる日々で、その一貫としてジュエリーCADにはまり、”せっかくだからCADにしか出来ないデザインを!”と肩に力が入って、手作りでは難しい凝った細工のあるようなデザインばかり考えていました。(造形費のことを考えると、どうしても手作りでも出来るようなものはCADで作るのは持ち出しが多くてもったいないって思ってしまうんですよね。特に一点物は・・・。)

しかし、凝っていたり、複雑なデザインが必ずしも愛されるデザインとは限らないんですよね。最近、友人に、”ぽってりして、つるんとした、シンプルなリングが欲しい”、と所望されました。それは私の十八番なんですけど、CADの出番がありません・・・。

『シンプルで、かつ美しい』

私が本来求めていたデザインはそうではなかったのだろうか?と考えさせられるものがありました。

そうそう、東山魁夷展は素晴らしかったですよ。生誕100年記念ということもあって、あれだけの大作が一堂に会することはもう今後ないでしょう。5月18日までやってますので、まだの方はぜひ観に行ってください。次回はちょっと東山魁夷について触れようと思います。


「材料代、いくら?」

2008年05月10日 | ジュエリーよもやま話
ジュエリーでもアクセでもいいのですが、お店で売るなら、お客さんはこちらがつけた値段に満足した人は買い、高いと思えば買わないだけの話で簡単なのですが、人から個人的に製作を頼まれるときにコストの話になって、とても困ることがあります。
 
デザインの話をしていて超盛り上がってるときは楽しいんですよね。前は自分で対応できるデザインが限られていましたので、”こんなのは出来る?”といわれても、絶対に出来るという自信がなくて首をかしげることも多かったのですが、今はジュエリーCADという強~い見方がありますので、どんなデザインでもとりあえず挑戦してみたいという気持ちで堂々としていられます。(実際自分の手に負えなくても、相談できる心強い先生方もいるし!)

しかし、だいたいのデザインの方向性が決まり、当然ながら最後にお値段の話になるわけですが、よくある聞かれ方として、

「材料代、いくら?」

”材料代いくら?”などという聞き方自体、”材料費だけでやってくれるのよね?”と予防線を張るようでイヤラシイ感じですが、ざっと金額を提示すると、緊張が走り、一気に場の空気がシラけることがあります。

おそらく頼んだ方は悪気はなくて、制作者の工賃、とか外注工賃ということ自体念頭になく、まさか知り合い相手に手数料やマージン載せてこないだろうって思ってるんですよね。 

   

さらに、「え?シルバーだよ?金じゃなくてその値段?だってシルバーってグラム何百円の世界だよね?リングって何グラムくらい使うの?」とか、今日の地金相場の情報なんかまでを持ち出してたたみかけてくる人もいて、がっくりきてしまいます。

また、要らないジュエリーをじゃらじゃら持ってきて「これを溶かして作ってもらえばお金かからないよね?」などという人もいました。リフォームの店にもっていったら、買取はしてくれるけどリフォーム代は取られるって言われその金額が高くて頭にきて帰って来た、とのこと。

あのね~。もう、いちいち説明するのも面倒なので、
『ごめん・・・、私、金を溶かす装置持ってないんだわ』と言って逃げました。『うそ!じゃ、どうやって作ってるの?』ジュエリーやってるというと、地金を溶かしてトンチンカンチン作ってると思ってる人、意外と多いようです。(笑) 

先日も、お姑さんが、『ROSEさん、私、金地金をいくらか持っているのだけど、あげるからジュエリー制作の材料に使いませんか?』とどうしても譲るといって聞かず、地金買取に売り飛ばして材料費の足しにしてもいいんだけど、”溶かして作るもの”と思っている姑に対してなんとなく気が引けたので、”私は今はシルバー作品がメインで金は使わないのです。非常資金として大切に取っておいてください。”といって説得したのでした。優しいお姑さん、ありがとう

   

希望されたデザインがどうしても手作りでは無理な場合、原型制作はジュエリーCADに頼ることになりますが、一点物だと”造形代”がそのままのしかかることになり、たとえ、CADの描画や磨き、石留めといった制作工賃をすべて無料にしたとしても、シルバーのリング1本の値段が15,000円とか20,000円とかになってしまいます。

「えー、シルバーなのに1万5千円もするの? どうしようかなぁ・・」

逆に、『ご予算というか、いくらぐらいを想定してました?』って聞いたら、『シルバーのリングならせいぜい、3000円ってとこで出来るかと思った。』

おいおい。何をもって、3000円だと思ったんだよ!怪しい露店商のアクセとちゃいまんがな。いい年して一点物と量産物のコストの違いもわからんのか?(否、一般論として知っていても、いざ身近なことになると突然、わからなくなるんだろうね)

ふと見ると、そのお方、Tixxanyのシルバーペンダントしてました。
(”シルバーなのに”って蔑みながら、ブランド物なら超大量産品に2万円も3万も出せるんだ・・・。ふーん。)

   

私が着用している作品をみて、”それいいねー、それと同じのが欲しいなー”、などとせっかく話が盛り上がっても、値段の話をした途端、驚かれたり、がっかりしたような顔をされたり、「うーん、ちょっとゆっくり考えてみるね・・・」とやんわり断られるときの寒い空気・・・・。

今は作る前に必ず値段を知らせますが、以前は飲みの場で職場の友達と盛り上がり、ノリで請けちゃって、こんなこともありました。

『指輪作ってー!』
『いいよー!』
『できたよー!はめてみて。』 
『わーい!超カワイイっ。ぴったり!・・で、いくらー?』 
『○○円。石代と地金代だけでいいよ。』
『ええ???うそ!高ッ。・・・・今、すごい金欠でお金ないの。ごめん、ボーナス入ったら買うから、それまで持っててくれる?』 
『☆■X△~?』 

(その後、何度か催促しましたが常に”金欠”と言われて逃げられ続け、指輪は買い取られる話はなく、その人は会社を辞めて音信不通となりました。その程度のご縁だったということで・・・じゃんじゃん。)

  


珍客が来た!

2008年05月08日 | ROSE POSYのひとりごと

ベランダにアゲハ蝶が来ていました。
こやつ、鋭いのう。 さては、うちのサンショウを狙ってきたんでしょう。



アゲハ蝶の幼虫は、サンショウをとくに好んで食べます。アゲハ蝶を呼ぶためにわざわざサンショウを庭に植えている人もいるそうです。

このアゲハ蝶は、密集した住宅街にあるマンションのベランダのこんな小さなサンショウの木をどうやって見つけたのでしょうか・・・。おそらく、このアゲハはもうすでにうちのサンショウに卵を産み付けたことでしょう。

去年もたしか、その時は何の虫だかよくわからないけど、一夜にして丸裸にされた可哀想なサンショウ。そして、シレ~っとサナギになっているアゲハ。そして、知らない間にいなくなってました。

その後丸ハゲのサンショウは枯れてしまったと思い、まったく世話をせずにそのまま放置しましたが、今春、芽を吹きました。

もしかして昨年いた幼虫が蝶になって、今年も”故郷”に戻ってきたのかもしれません。



こんな大都会のマンションのちっこいベランダでも、自然との共生ができるんだなぁ、となんだかやさしい気持ちになります。

次は蝶のモチーフのジュエリーをつくろうかな。ありきたりだけど。


エポキシ樹脂で遊んでみました♪

2008年05月08日 | ジュエリー作品&試作品

友人にリングの製作を依頼されたのですが、レリーフとなる部分に色を施してほしいと頼まれました。 (上記の写真は違いますよ。後述します。)色をつけるといったらエポキシ樹脂ぐらいしか思いつきませんが、一度も扱ったことがないので、実験用に凹凸模様のあるリングをCADで作ってみました。(すごい贅沢ですよね。エポキシ樹脂の実験用にCADで造形なんて・・・)


まだ表面はバレルしただけです。凹部分にホーニング処理を施し、凸面を鏡面仕上げすればそれでもう完成形といった感じです。

このCADリングで試す前に、エポキシ樹脂がどんなものか、さらに初めての練習用として要らないスクラップで実験をしてみることにしました。例の失敗してお釈迦になった可哀想な桜リングも、ちょこっとだけ磨いて実験台のお仲間に入れてみました。

桜の透かし部分にエポキシ樹脂を流し込んでみました。(当然、裏はオープンなので樹脂が流れ出さないよう、セロテープで目張りしています。)厚みにもよりますが、数時間で硬化します。樹脂の量が少なめなのでこの場合は表面は凹んでいますが、たっぷり盛って後からツライチに削ることもできます。




ちょっと仕事が雑で何なんですが、なんか意外と可愛いいかもです・・・。この色は樹脂の原色のままですが、混色が可能なので、色合いを調整すれば品のよいリングになりそうです。

ストーン以外の方法で地金に色をつけられると、またデザインの幅も広がって楽しいですね。

ただ、エポキシ樹脂ではなく、高級イタリアンジュエリーのような硬質で透明感のある”エナメル”を施す方法を知りたいと思い、必死にネットで調べているのですが、そうした素材や工法が見当たりません。

キーワードは、適度な透明感と、盛った後にやすったり磨いたり加工ができることなのですが、やはり”企業機密”なのでしょうか・・・・。
以下はドイツのジュエリーメーカーのものですが、究極的にはこんなテクスチャーの作品を作ってみたいのです。ハァ、美しいですね~。

WellenDorff社ホームページ(英語版)

工具屋さん、スクールの先生など、いろいろな人にもお尋ねしていますが、よくわかりません。ご存知の方がいらっしゃいましたらぜひ教えてください。(いつも”教えてちゃん”でごめんなさい)

   

栗焼酎、いただき~。

2008年05月04日 | ROSE POSYのひとりごと

ジュエリーネタ、枯渇気味です。(只今、いろいろ仕上げ奮闘中。)あるカップルから依頼されたペアリングが完成しましたが、ご本人様にまだ差し上げてもいないので、まだブログにアップできてません・・・。

友人から誕生祝に栗焼酎をいただきました。”ダバダ火振り”の陶器の壷入りの特別バージョンです。
 

なぜか、ねねがこの壷に異常な興味を示しています。


ガブーッ。開けたいのダ~。執拗にコルクを噛みまくる。


で、この中には何が入っているんです?気になるわ~~!
→ フタをあけて匂いをかがせたら、『うぇ~』と顔をそむけて逃げていきました。

”ダバダ火振り”は、わりと名前が通っている割にどこで作っているのか知りませんでした。調べたところ、高知県の四万十町の”株式会社 無手無冠(むてむか)”という造り酒屋さんの商品だそうで、原材料に栗を50%も使用している希少なお酒です。

ダバダ火振り、もちろん文句無く美味しいですよ!いつも、いいものをくれる友人に感謝!

   

さて、ダバダ火振りの造り手さんを調べていたら、面白いネタに当たりました。

”無手無冠という社名のユニークさもさながら、この会社面白いことをいろいろやっているようで、”宇宙酒”なるものを販売しています。3月に限定1000本で出した宇宙酒があっという間に売り切れたそうです。

なんでもロシアのソユーズロケットに高知県産日本酒酵母を搭載し、国際宇宙ステーションに約10日間滞在した後、地球に帰還したものを使用したお酒だそうです。”宇宙酒”は、無手無冠さんだけではなく、高知のいくつかのお酒屋さんが作っているようです。

このプロジェクト、県酒造組合など高知県内の産官学グループと宇宙ビジネスを行う東京の民間企業、有人宇宙システム(JAMSS)による共同プロジェクトだそうです。なんとも壮大なスケールのビジネスですよね。わざわざ酵母を宇宙に持っていっちゃうって・・・。総額1億円くらいかかっているらしいです。

”宇宙育ち”の酵母は、”高知県産宇宙酵母CEL-11”と名づけられ、この酵母と高知県産のお米で作ったお酒のうち、「土佐宇宙酒審査会」の審査を受け、合格したものだけが「土佐宇宙酒」と認められているとのことです。超ニッチなブランディングですが、「土佐宇宙酒」でググると、たくさん出てきます。

2006年4月1日に初出荷、2007年3月21日に2度目(乾燥酵母)、そして2008年3月21日に3度目の解禁が行われたそうです。何故、3月21日かというと、”サン、ニ、イチ、発射!!”ということだそうで。(笑)

宇宙育ちの酵母のお酒が何が違うのかはさておいて、高知のお酒の酵母に、宇宙ステーションまでやって”ハク”をつけるとはいやはや、さすがは坂本竜馬を輩出した土佐の人は途方もないことを考えつくもんです。

ところで、この酵母、宇宙に行く前と後では、DNA的には何か変わったんだろうか???『酵母の突然変異で、白ワイン味になった。』、とかいう話もまことしやかについていたら、さらに面白いんですが。(^^;

夢があるような、現実離れしているような、ちょっと笑えてしまうこのプロジェクト、大真面目なのか、茶目っ気なのかわかりませんが、ともかっくユニークな町おこしだと思います。せっかくの、”オンリー・ワン”ですもの、ブランドが定着してもっと全国的に有名になるとよいですね。

フランスの、ボジョレー・ヌーボーみたいに、”土佐宇宙酒祭り♪今年も3月21日解禁!” で全国から観光客が来てドンチャン騒ぎ・・・するほどの量は造ってないんですよね。orz 頑張れ、高知県!

  

ベランダからの恵み

2008年05月03日 | ROSE POSYのひとりごと
今日は、ちょっとロハスなお話。 

2年前迄のワタシといえば、ジュエリー製作はあまり真面目にやってなくて、週末といえば映画見たり、オカリナ吹いたり、三線弾いたり、子猫とじゃれたり、料理に懲りまくったり、まあ、それはのんびりとお気楽な生活でした。(^^;)特にベランダ菜園には狂いまして、野菜やハーブをベランダいっぱいに20鉢ほども作っていたこともありました。

ゴーヤで”緑のカーテン”にもトライしましたヨ。かなり地球温暖化に貢献!ゴーヤの実も恐ろしいほどたくさん成りまして、夏のビタミン補給はバッチリでした。”緑のカーテン”をすると、室内の温度が3~4度くらい違いますから、かなり冷房代の節約になります。しかも、CO2削減です。今年の夏も暑そうなので、緑のカーテン再開すべく、只今このゴーヤが宿した種を、培養中です。(遅いかな?)

 

ゴーヤは、プランターでもOK。ベランダでこんなに立派なグリーン・カーテン。
しかも、虫がほとんどつかないので無農薬で簡単に育てられます。すごい生命力で、毎日ぐんぐん育って、花もたくさん咲くので、楽しいし、パワーをもらえます。葉っぱの形もとっても可愛いのです。

    

やがて、ジュエリーに本腰を入れはじめて、週末の”ゆとり時間”がなくなり、一年草のハーブや野菜が枯れた後は、多年草のブルベリー2鉢、サンショウ1鉢、オリーブ2鉢の、たった5鉢が残りました。ところが、この子達は本当に強くて、私の”育児放棄”にもかかわらず、冬を越し、春の訪れとともに一斉に芽吹いたのです。


左から、オリーブの”ミッション”と”マンザニロ”、山椒、ブリーベリー2鉢。

とくに山椒の若い芽、いわゆる”木の芽”がたくさん芽生え、この季節の料理に感動のスパイスを恵んでくれます。



たとえば、新筍を香ばしく焼いて、醤油をたらした ものに木の芽をちょっとあしらえるだけで、WOW!、春のかほり!旬の鰆の照り焼きや新じゃがの煮物にも木の芽を 一葉そえるだけで鮮やかな緑と香りで、お料理の印象が一変します。

今宵は、米ナスが安く手に入ったので、”米ナスのステーキ”に木の芽をあしらってみました。



作り方はいたってシンプル。米ナスを2cmの輪切りにして、両面に5mmのマス目状の浅い切れ目を入れ、たっぷりめのゴマ油を熱したフライパンで焼きます。両面にある程度焼き目をつけたら、フライパンにフタをして弱火で蒸し焼きにします。火が通ったら、ダシ醤油(めんつゆ)をかけまわして、かつお粉をたっぷりかけて出来上がりです。

ここで木の芽があるとないとでは、見た目が全然違いますもんね。ピリっとサンショウの香りがアクセントになってとても新鮮な味わいです。

このサンショウの木、ちいさいくせにイッチョマエに実もなります。去年は強風で成長途中の実がすべて飛ばされてしまいました。今年も花をたくさんつけ始めています。いつか木が大きくなって青い実がたくさんできるようになったら、自家製の”ちりめん山椒”をこしらえてみたいものです。

   

元気になれるドロップピアス

2008年05月01日 | ジュエリー作品&試作品
天然石の連モノショップで、おいしそうな色の石に魅了され、用途も考えずに衝動買いした今流行りのブリオレットちゃんです。いくらなんでも石だけを撮影するのも無能かと思い、作品というのもおこがましいシロモノですが、取り急ぎピアスに仕立てました。  

葉桜をイメージしたこちらのピアスは、ローズクォーツとグリーンフローライトを使っています。



↑EOS Kiss X2で撮ってみました。
ホワイトバランスや露出を調整してもどうにもうまくいかず、なぜかすごく暗くなってしまいます。フォトショで明るさを調整しましたが、色合いが強く出すぎています。難しいよう。やっぱマクロレンズ要るか?


いつものRICHO Caprio R3。見た目どおりの淡くて優しいお色です。

お次は、これからの季節にぴったりな、バレンシアオレンジ色のイエロージェッドと、同じくグリーンフローライトの組み合わせです。



こちらもEOS。見たとおりの色が出なくて、フォトショで補正しました。
なんだかなー。イチデジって手間かかるなー。



こちらは、Caprio R3。見た目どおりです。
したたるような、おいしそうなオレンジシャーベット・カラーです。(^^)

オレンジ色って元気になれる色なので大好きです。私の一番好きな色なのですが洋服で着る勇気はないので、ジュエリーやスカーフで差し色として楽しんでいます。

くやしいことに、せっかくの初イチデジのEOS Kiss X2をうまく使いこなせないので、また勉強しなければいけないことが増えてしまいました・・・。