ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

Cool Stylishなペアリング 【ジュエリーCAD vs ハンドクラフト】 Vol.1

2008年05月18日 | ジュエリー作品&試作品
ペアリングの制作の依頼をいただいておりましたが、ご本人様からご許可をいただけたので、掲載させていただきます。

カップルの男性の方がご希望のデザインをAdobe Illustratorで、寸法入りの見事に精巧な”見取り図”を作ってきてくださいました。(この方はジュエリー業界とは無関係のお仕事です。)このデザインに行き着くまでに、いろいろとお二人で話し合われいくつも案を出されたようです。

こうしたカッチリしたシンメトリックなデザインは、まさにジュエリーCADのお得意分野でしょう!練習のつもりで作ってみたものです。デザインは多少ROSEの好みのバランスに調整しています。(ブログのネタにしたかっただけで、これをクライアントに提示するわけではありません。)



何か工業製品みたいですね。(^^;






(※これはラフモデリングです。実際に光造形する場合は
裏抜き、リング内径のエッジのフィレットなど、あといくつかの作業必要でしょう。)

当然CADで造形だ!・・・と思ったのですが、しばしROSEは考えました。

実際のところ、ジュエリー制作のことを全く知らない人が相手の場合、『ご指定どおりに造りましたよ。文句ないでしょう!』というわけにはいかないことが多いことを思い出しました。

以前、絵の上手い女性から頼まれたデザイン画(上と横から見たところのみ)にしたがって、その通りに正確にWAXで作ったのですが、ワックスだとイメージが湧かないのか、『なんか、違う・・・。』といわれ、こちらからすると”それ、原画と違うやん”というような大幅な修正依頼が出てしまったことがあります。立体の絵が描けない人は、頭の中で3Dに肉付きされた様子をイメージすることが難しいようです。

もっとも泣けるのが、WAX原型の段階で試着もしてもらってOKだったのに地金になってから、『もっと細い方が良かったなー・・・。』といわれ、ゴリゴリ削ったことも。重さが出るとまた感じが違ってくるのですよね。

私自身もジュエリーCADを学びながら何度か経験していますが、描画上でのサイズ(大きさ・太さ・厚み)の感覚と、実物とでは”何か”が違うんですよね。寸法通りなはずなのに造形してみたら、自分の思ったイメージと違う・・・、ということはよくあります。

CADはもちろん微調整が得意ですが、あくまで画面上でのことであり、コスト的な問題で、試行錯誤のために何度も造形するわけにいきません。一発でOKが出ない場合、ボツになった造形代は???(クライアントが、『かかった費用はいくらでも出す』、とおっしゃる人なら話は違いますが・・・。)

最終的に判断して、初めて注文を受ける人ということもあって、一発勝負が怖い私としては、もちろんCADの正確さには程遠いですが、結局ハンドクラフトにすることにしました。(チキン~♪)

  
(つづく)