ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

侍ジャパンが贈呈されたリングは、ジュエリーCAD製

2009年11月22日 | ジュエリーよもやま話
asahi.com記事より転載

ニュースで、WBCの表彰式にて、優勝記念リングが選手一人一人に授与されたシーンをみました。リングはテレビでははっきり見えなかったのですが、1点100万円相当、全関係者の分5000万円の大判ぶるまいと聞いて、ギョギョー!どんなの?どんなの~?と、野次馬根性丸出しで、ネットで調べさせていただきました。


スポーツニッポン提供写真を転載
(Gooブログ掲載)


WOW!ゴージャス!!!
リングは、選手ごとに違っていて、左サイドに、『日本代表チームのロゴマークとリングを手にする本人の名前と背番号』が入っているそうです。そこまでのパーソナライズの念の入れようですが、サイズはワンサイズのようで、ダルビッシュ選手はブカブカでつけられる指が見つからず、四苦八苦したそうです。

つくりは、見ただけで、『CADだね』とわかる人はわかると思います。詳しくは銀座天賞堂さんのブログを見ていただければわかりますが、ジュエリーCADでモデリングしています。

このリングは、11月24日まで、銀座天賞堂本店にて展示されるそうです。

ちなみに、2006年の優勝時に送られたリングはこんな感じです。


この時、黄色はシトリン、緑色はペリドットを使用したそうですが、2009年リングでは、黄色はオレンジサファイアを使用したそうです。2009年版の緑色は写真の色合いからすると、エメラルドかなぁ・・・・。

2006年の天賞堂さんのブログから・・・。

『形状が複雑であり、リングごとにちがう名前を入れなくてはならないために、パーツに分けてつくった後に一つに組み上げるという非常に手間のかかる工程で製作されている。』

『このリングのCAD設計では、一般的な宝飾品のCAD設計のじつに3倍程度の時間を要した。』

『このWBCチャンピオンリングでは、鋳造の作業に手作り品以上の手間が要求された。』

『鋳造が完了した後に、さらに細部の表情をデザイナーの意図したイメージに近づけ、質感を高めるために手作業で整形や研磨を行う。』

うーむ、CADでコンマミリ単位まで作りこみながら、最後は人の手でシコシコ、ヤスリ入れちゃうわけですな。
記念すべきリングですから、念には念を入れてということですね。は~、恐れ入ります。

私がWBC優勝の記念品を担当する企画担当だったら?
授与式で渡す記念品は、トロフィー、クリスタル盾といった、家に誰かが遊びに来たら間違いなく、”ああ、これがあのときの!”とわかる、ものにしておいて、個人に贈呈するリングは普段使いできるようなものを作りますね。シルバー製で、邪魔にならないボリューム、カジュアルなスタイリング、勝利の証しとして、上質なダイヤモンドを控えめなサイズで入れたいと思います。毎日そのリングを指にして、あの時の喜びを思い出し、また辛い日にはその日の栄光を思い出して元気づけるために、そして会った人にさりげなく自分をアピールできるように・・・。


ジュエリーCADの普及でおもうこと (ちょっとカタイかも)

2009年11月21日 | ジュエリーよもやま話

ジュエリーCADを始める人が急速に増えてきたようですね。ラヴァーグの生徒さんもどんどん増えているらしく、パソコンフロアは盛況のようです。

ジュエリーCADによる製品作りでは、ソフトウエアの操作スキルと宝飾の伝統工法のどちらの知識 も持ってないと、製品として完成しない、という点では、これからジュエリー制作に携わる方々は、以前よりも学ばなければならないことが沢山増えたのではないでしょう か。

造型機もどんどん改良され、高性能なものが登場しているようです。
ジュエリーCADの分野は、ソフトウエアとハードウエア、それぞれがさらに改良されていくことで、まだまだ進化していくことでしょう。

ジュエリー製造の技術は、『工芸』(craft)から、『工学』(engineering)、へ変わりつつある、そんな気がしています。

   

私がジュエリーCADを習い始めた2年前の段階では、ジュエリーCADについての情報 がほとんどなく、ブログを書く人も少ない状況でした。最近になって、利用者が増えたこともあって、ようやくいろいろな情報が入ってくるようになってきたのかなと思います。

同じくジュエリーCADを駆使する人にも、いろいろいて、オープンな人とクローズドな人がいます。情報を抱え込んで外に出さないで自分だけが知っている状態を保つことが自分の付加価値を高めると思っている人もいますし、どんどん情報を外に出すことで皆に注目され、入門者を導きリーダーシップを取っていく人もいます。ジュエリーCADという分野の技術全体のレベルを底上げしてくのはもちろん後者の人の存在に違いありません。

   

宝 飾業界に新しく登場した制作技術である、ジュエリーCADは、IT(Information Technology:情報技術)の一種です。ITそのものは、産業活動を支援するための技術ですので、特定の人しか出来ないようなものであってはならず、 誰でも習得できるよう方法が開示され、ソフトウエア開発メーカーから多くの情報が提供、マニュアル化されています。ソフトウエアの世界では、掲示板やWikiなどで、ユーザ同士のノウハウ情報交換も盛んに行われています。ジュエリーCADはまだまだその粋に達していませんが、いずれはそうなるでしょう。そこが、従来の伝統的な技術との大きな違いです。

伝統的な技術とは、師匠(親方)と弟子のような関係で口づてに伝承され、簡単な技から徐々に高度な技へと順序だって教えられ、長期間の修業によって習得できるもので、短期間で手っ取り早く出来る方法など絶対に教えてくれません。また、教えるといっても、学ぶ、とは”まね”ぶ、ことであり、師の技を黙ってまねて、技術を盗み取りながら体得するものでした。そうやすやすと教えないのは、”自分も苦労したから、お前も苦労して学べ”、という考え方があるからではないでしょうか。

ところが、ITの世界では、 情報はオープンであることが基本ですので、利用者同士がオープンに情報交換をすることによって、ノウハウのシェア、新しい技術の普及と改善、そしてさらなる発展を目指します。ある経済評論家の方によると、IT業界が短期間で急激な成長を遂げ、いまも発展しつづけられる理由は、”情報のシェア”という文化が根底にあるからだと言っておられました。ITを習得することが最終目的でなく、ITを使って何かを達成することが目的ですから、IT利用者の間には、”しなくてすむ苦労はしないでおこう”、という共通の理解があるのです。

さて、アメリカではインターネットが普及してから、宝飾制作技術に関する情報がかなりオープンになり、データベース化されて誰でも参考にすることができます。また、 わからないことがあると質問できる公開掲示板などもあります。中立的な団体がこうした情報サイトを運営しており、秩序と品性が保たれているので、”2ちゃんねる”のように、玄人がよってたかって素人を叩いて追い出すようなことはしません。また、先進的な職人さんたちは、”YouTube”を使って、自分が制作する様子や実演デモをさかんに配信しています。私もそれらの情報に助けられて、多くを学んでいます。

私自身も日本語サイトだけを対象にした検索エンジンで調べてわからないことは、ほとんどgoogle.comで検索して世界から情報を探しています。英語を読むのは苦痛ですが、日本語で情報がないのですから仕方がありません。

   

まるで評論家気取りで、至極、当たり前なことを、えらくこむづかしく四の五の書いてしまいましたが、要するに私自身も、『みんなでオープンに情報を共有することは、よいことだ!』という立場をとっていると言いたかっただけでした。

私と同じく、ジュエリーCADを勉強中の方々のために、素人の視点からですが、私が見聞きした情報を積極的に出していこうと考えています。ただし、この分野は、ともするとテッキーで自己満足的な内容になりがちなので、それは極力避けて、わかりやすい文章にすることを心がけたいですし、もちろん、業界のプロの方の営業妨害や不利益にならないよう配慮を配らなければならないとも思っています。

といっても、わたしは宝飾業界に身を置いていないため、どういう情報を出すと、どんな不利益になるのかが、よくわかりません。もし、気になるエントリーがありましたら、忌憚ないご意見をお願いします。

     

光造形機 降臨!

2009年11月18日 | ジュエリーよもやま話
 
ブログをエントリーするたびに、いつも迷うことがあります。Gooブログのジャンル。”趣味・特技”→”装飾品”なのか、それとも”工芸”かなあ?と思ったり、”私が作家・芸術家・芸人”→”デザイン”かなぁとか。そういえば、このブログ、何のためにはじめたのだろう・・・。

最初のきっかけは、自分の作品を公開するとか、ジュエリーやアクセサリー好きの人達とコミュニケーションがしたいな、という軽い理由でした。
ところが、なぜか、気づいたら見に来て下さる方は、プロの方や経験豊富な玄人さんばかりで、これはうかつにいい加減なことは書けないぞーという緊張感と共に、いろいろなことを教えて頂いたり、貴重な情報をいただいたり、励ましていただいたり、本当にありがたいことばかりです。

   

さて、ラヴァーグジュエリースクールに光造型機がお目見えしました。校長先生ご自身がブログでそのことを書かれていらっしゃいます。

そして、試験期間中の無料お試しキャンペーンにギリギリ1個、間に合いました!ラッキーです。♪

その機械で作っていただいた樹脂原型が上の写真です。
サポートを取る前です。なんだか建造物みたい。



このサポートがものすごく怖い!!上手く取れるかなぁ・・・。樹脂のサポートはどうやって除去されていますか?安全で効率の良い方法がありましたら教えてください。

切削造形を前提に考えて作ったものなので、3Dぽいデザインにしてませんでしたが、アニー先生が、”せっかくだから”、と光造形してくださることになりました。光造形なら、せっかく、3Dに出来るのに、もったいないことをしました!でも、こういう高さの少ないデザインは、時間的に速く造形できるので、お試しデータ的にはヨカッタのでは・・・。

なんでも、この樹脂はまずはゴム型をとってからキャストするタイプだそうで、ゴム型からの鋳造を前提にしたモデリングが求められます。出来上がり予想寸法より、若干サイズに余裕を持たせる必要があります。

光造形はこれが初めてではなく、一度、安井インターテックさんで行われた、鋳造勉強会で、原型を作っていただいたことがあります。その時はサポートもとっていただき、ゴムを切った状態からのスタートでした。

その時のモデルは、30mmx40mm。今回の作品もほぼ同サイズ。あいかわらず、ROSEは、存在感たっぷりのオオブリなものが好きで困ります。この光造型機ではギリギリのサイズです。実はリミットを知らずにオーバーしてモデリングしたため、アニー先生が、機械に納まるように原型全体のスケールを変更してくださったのです。(石座がなくてよかった・・・)

機械の前には、実験中とおぼしき黄色い原型の残骸?が山のように積み重なっていました。最初は先生方もマシンに慣れるまではかなり試行錯誤を繰り返されたんだろうなぁ・・・という跡でした。

造形機も、鋳造同様に機械制御ですが、電子レンジみたいに”スイッチポン”で誰でも簡単に自動的にできるというものではないようです。その調整作業こそが職人芸なんですね。切削造形も光造形も、機械の微妙な調整が必要で、熟練するためには経験を重ねていくしかないようです。いくら原型モデリングがハイテクになっても、その先にあるものは、やはり経験と勘に頼る職人技なのですね。

とにもかくにも、今まで、切削造形だと裏抜きができない等のデザインに制限があったのですが、スクールに光造形機が登場したことは、本当に有難いお話です!

   

私は、まだ光造形の原型が出来ていく過程というか、”現場”を見たことがなく、原理がよくわからないので、先ほど書きましたが、造型機の横に山のようになっていた、さまざまな実験中?の原型をじっくりと観察させていただきました。”なるほど、このリングの場合、サポートはここにつくのか・・・。” たくさんの造形例を見ることは、造形初心者には大変勉強になります。

ちなみに光造形のほうは、展示会のテーマが、”クリスマス”だったので、唯一それっぽいモティーフにしたのでした。ツリーの形ですが、作品の名前は”Chandelier(シャンデリア)”。X'masシーズンが過ぎても、つけられるように・・・。(笑)たくさんの石がぶらさがって、楽しくキラキラとなる『予定』です。


”銀のかたまり”にいのちを吹き込もう

2009年11月17日 | ジュエリーよもやま話

ラヴァーグの展示会の作品提出締め切りまであと2週間。
結局、鋳造が間に合わないことがわかったので、展示会用に新作したジュエリーCAD作品は出品をあきらめることにしました。

でも、参加宣言をしてしまったし、どうしようかなー。
机の前で腕組みをしながら考えているうちに、なぜか目の前の机の上のとっちらかりぶりが気になって久々に、掃除というか片づけをしようと思い立ちました。

このデスクで最後に作業したのはかなり前になります。
「何を作ってたんだっけ?」

作業途中で放置した感じの汚さで、ヤスリやらキサゲやら道具がバラバラと出しっぱなしになって散乱しています。マメなことが出来ない私は、工程が進むにつれて、しまってあった道具を次々出しては片づけずに次の作業に行ってしまうため、使用済みの道具がどんどん増えていき、最後はゴッチャリになってしまいます。

片づけが進み、デスクのスペースが広くなっていくにつれて、奥のほうからえらいものが出てきました。

「なんぢゃ、こりゃ~!」

出てくるわ、出てくるわ・・・・・。
作りかけのままになってる作品が・・・・。(それを集めたのが冒頭の写真です。)

- 脇石が片方しか留まってないもの (これはかなり笑えました・・)
- 石留めをしたあと、タガネ跡がそのままになってるもの
- バフがけ途中のもの 
- キャストあがりの湯口もついたままのもの
   ・・・・

埋蔵金ならぬ、”埋蔵銀”です。

存在すらも忘れられていた、かわいそうな未完成作品たち・・・・。

新作だったり、 過去のデザインのリピート制作だったり、誰かにプレゼントするつもりだったり、いろいろですが、いずれもすっかり仕上げるのを忘れていました。

何かに夢中になっている時に、ふっと何かのきっかけで新しいアイデアがわいてきて、今やってることがどうでもよくなってしまう・・・。
これが「あきっぽい」「移り気」「新しもの好き」なこらえ性のない私の性格を如実に表しています。

放棄したわけではなく、先が見えて、今やっている作業がつまらなくなった、そんなときに気分転換に始めたことにそのまま熱中してしまい、後で続きをやろうと思いつつも興味を失い、やがて忘却の彼方へ葬り去ってしまうのです。

机に放置した半作品は、新しい興味の対象のスペースのために、デスクの奥へ奥へ押しやられて、そして机全体の”景色”となって馴染んでいます。

この作りかけの作品の数々は、まるで私の性格だけではなく、今までの人生、そして日頃の生活態度を如実に象徴するかのようで、しばし自己嫌悪に陥りました。一言でいうと、

『チュウトハンパ』

(^^;;;;; 

そんな自分をを一喝すべく、一瞬、これらのシルバーを全部溶かして、ハワイアンの練習台にしてしまおうかと思いました。でも、それぞれの作品を作り始めたときの最初のワクワクした気持ちを考えると、そんな残酷なことは出来ませんでした。

”この子たち”を仕上げてあげよう。いつもよりうんと丁寧に、愛情を込めて完成させよう。展示するほどのものじゃないけど、完成したら、ラヴァーグに連れて行ってあげよう。

ただの”銀のかたまり”から、アクセサリー作品としての役目を全うしたら、この子達は、晴れてミッション・コンプリート。あとは、いつ、ただの”銀のかたまり”に戻して違う形に変えても、悔いは残らないと思うのです。

この子達の中から、運良くよそへお嫁入りできた子がいたら、いただいた代金は、クリスマス・チャリティとして、全額を慈善事業に寄付したいと思います。”埋蔵銀”ですからね。ちゃんと社会的還元をしないと。(笑)

わたしは、名言を1日1つ届けてくれるメルマガに登録しています。
その中にこんな言葉がありました。
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途中で投げ出してしまった仕事、手を着けずに放っておいた仕事は、
やがて山のように大きく積もって、人を悩ませる。
                       -ウェルギリウス(詩人)
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ネーミングの大切さ

2009年11月16日 | ジュエリーよもやま話

これ、パーソナルユースではおなじみのバレルです。

その名は、、、

『ぴーぴか イイコ』 

SUZUHOさんのHP
では、イイコ、は、”EEKO”となってます。
EEKOの部分は、型番かなにかと思ってたのですが、販売店さんやネットショップでは、だいたい、”イイコ”になってます。

びっくりなネーミングですよね。ぴーぴか、もすごいけど、イイコってなんなんだよ!って、誰もがツッコミを入れたくなる名前です。

ふつう、この手の機器にはありえない、ピンク色の筐体に、さらにインパクトのあるユニークな名前をつけたことで、バレルがホビーユーザーにとってもかなり身近な存在になったことは確かです。銀粘土のショップで扱うようになったことで、一般の人がよく買われるようです。

業界専用だった機材を一般向けに小型化・低価格化するだけではなく、筐体のデザインや名前もコンシューマーにターゲットを絞る、上手なマーケティングですね。

私はこれが出る前に、ジミーなバレルを買ってしまいました。
ACE MAGNETIC BARREL SUPER MINI
と書いてあります。名前も色も地味。
”イイコ”のほうがよさそうで気になってしかたがありません。(笑)

これは名前って、カッコイイだけが良いとは限らないという例ですね。
人の印象に残る名前はユニークで、ときには謎めいています。
たとえば、皆が知ってる国民的お菓子、”かっぱえびせん”。最初の名前だった、”えびあられ”だったら、今は残っていなかったかもしれません。なんでカッパなんだろう?って思いませんか?発売当時の商品のパッケージに、昭和20年代当時に流行していた清水崑さんの”カッパ天国”のカッパの漫画イラストが入っていたからだそうです。女性のカッパが妙に色っぽいので記憶されてる方も多いかと思います。

さて、ジュエリーにも1つ1つ名前がついている商品をみかけますが、何かストーリー性を感じて素敵です。そのジュエリー自身に新たなニュアンスと個性が生まれます。そして、作った人の心のぬくもりのようなものが伝わってきます。

前にも書きましたが、『ななこリング』あれもそうですね。
ただ『フルエタニティ・ダイヤリング』とするよりも、”ななこ”、とつけたことで、何か特別なイメージがします。魚子(ななこ)タガネで1つ1つ丁寧に石を留めたので、そのような名前がついたそうですが、たいていの人は、ヒトの名前と思うでしょうね。「なぜナナコっていうの?」って聞きたくなる。それが”ストーリー”です。

よく、デパートの通販カタログなんかみてると、ありきたりな商品に、これまたありきたりな商品名、たとえば、”ティアドロップ型ブルートパーズペンダント”、”ダイヤ入りハートリング”、"アンティーク風ネックレス”などなど。みりゃーわかるよって・・・。特別なデザインじゃなくても、素敵な名前がついていたら雰囲気がよくなるのになぁ、と思います。。

私が気に入っているネーミングのひとつが、ポメラートの、『ドド』シリーズ。DoDoという絶滅した飛べない鳥の名前を冠しています。手作り感のある、シンプルでかわいいジュエリーです。”ドド”をかたどったペンダントだけでなく、そのシリーズはみんなドドと呼ばれます。あれも特別すごいという感じのデザインではありませんが、”ドド”という名前に強い印象があり、なぜか人の記憶に残ります。どうしてドドなんだろう?と調べたり、お店の人に由来を聞きたくなりますよね。やはり、この名前には”深いい”ストーリーがありました。

ただし、名前はあまり凝りすぎると今度は逆に作為的で鼻につく感じがしてきます。たとえば、ラテン語のような、馴染みの薄い言語を使っているもの。なんでもかんでも横文字で書けばかっこよくなるというものではありません。読めない文字や意味がわからない単語は記号でしかありません。結局、カッコつきで日本語の訳を書いたりしている時点で、ダサいというか、無意味なネーミングと私は思います。

・・・とはいえ、"じゃあ、お前つけてみろ”っていわれたら、これが難しい。ネーミングは、本当にとても難しいのです。その名前で作品や商品のイメージを決定付けてしまいますから・・・・。逆に、見る人の創造力を掻き立てるために、あえて名前をつけないというアーティストもいます。美術展などで、『無題』というのがときどきありますよね・・・。

ネーミングにはボキャブラ力と創造力が必要。しかも、照れくさいし恥ずかしい。こんな名前つけたら、クサイ!っていわれそう・・とか、余計な気を回してしまいます。

それでも、私もこれから自分の作品に名前をつけることを新しい愉しみにしてみたいと思います。(いくつかの作品にはついていますが・・・)ぴーぴかイイコみたいに、人を笑わせられる名前をつけられたら楽しいでしょうね。


最新鋭のテクノロジーを導入しても、ヒトの手は避けられない

2009年11月13日 | ROSE POSYのひとりごと

ワックス手作りの原型(ハワイアン彫りの土台にするもの)をゴム型作成、コピー鋳造までの工程をキャスト屋さんに出したのですが、出来上がり予定を聞いたところ・・・・

店員『ええっとー、今週火曜日にいただきましたので、出来上がりは11月30日頃になりますねー』

私『え??あのぅ、それでは間に合わないんですけど~。』

店員『・・・と申されましても~、なにぶん時間がかかる工程ですので・・・。』

私『おたく、すごい鋳造マシンもってらっしゃるじゃないですかぁ。なんとか1日だけでも早められませんか?11月27日に出来上がれば、土日で仕上げして30日に納品できるんですが。(納品、とは実は展示会提出のことです)』

店員『あのー、鋳造だけならウチは速いのですが、マスターピースの鋳造物を磨いてゴム型切って、という過程は職人さんが1つ1つ行うので、そこは早まらないんですぅ・・・』

私『そこをなんとか・・・・・(うなだれる)』

私がお世話になってるキャスト屋さんは、1点吹流しだと3営業日で出来ますが、ゴム型をとってコピーを作る場合、2週間から3週間くらいかかってしまうのです。おそらく磨きやゴム切りは、さらに別の業者か外部の職人さんに孫請けに出してるのかもしれません。

ジュエリーCADで4型ほどデータを作り、そちらの造形もお願いしているのですが、まだ原型は出来てません。(今週出したばかりですから当然です。)しかも、すべてゴム型前提。

・・・・先に出したものでもこれですから、とうていCADのほうは間に合うはずがないですね。万事休す、です。(号泣)

いろいろシュミレーションしたのに、もくろみがかなり狂ってしまいました。去年までよく新作出せてたよなぁ・・・とわれながら、今年の段取りの悪さに閉口しています。長いことサボったバチですな。

CADもダメ、ハワイアンも断念??今作ってる原型は、来年の展示会まで塩漬けにしておくしかないのね・・・。どうする、ROSE、ピンチ。手持ちの札がないぞー。(泣笑)

ブログ書いてるヒマがあったら、いまからでも死に物狂いでワックス削れって? はい、そのとおりでございますね。

CADはデータ作るの数時間なのに、結局、手作りと変わらないどころか、造形にも時間が必要なので・・・、えーん!手作りより時間かかるじゃないですか。(今頃気づいたの、オバカさん!)

シンプルなデザインを前提とした場合、出来上がりまでの日数は

ジュエリーCAD > 手作りWAX > 彫金 > 純銀粘土

という順と相成る次第です。・・・で、一番コストがかかるのがCADだったりします。・・・で、ワタシの場合、よく売れるのは、CAD作品よりも、へたくそな手作り作品のほうだったりする皮肉。

なんだか今年は、不完全燃焼な展示会になりそうで今から激鬱です。
いいや、ブログでさびしく”ひとり展示会”開催しようっと。orz


展示会の季節になりました。ラヴァーグフェスタ2009!

2009年11月10日 | ジュエリーよもやま話
前のエントリーで、ラヴァーグフェスタ2009と聞いて、穴から出てきた、と申しましたが、さて、このラヴァーグフェスタとはなんでしょうか。


『ラヴァーグフェスタ2009』とは、私の通う、ラヴァーグ・ジュエリースクールの生徒さんの総合展示会です。(6月にはピアスの展示会がありました)ラヴァーグには、純銀粘土、ワックス、彫金、ジュエリーCAD、ハワイアンの5つの講習コースがあり、それぞれのコースの受講生が、この準備期間だけは課題作品ではなく、自由なオリジナル作品をつくることができます。

そんなわけで今月は、ラヴァーグの3階の工房は、いつもより人が多くて、ワイワイにぎやかです。そんな中でも、教室の隅っこでひたすら黙って真鍮板をホリホリするROSEでした。”ハワイアンジュエリー”とは聞こえは華やかなのに、実際の作業はタガネと彫刻台との格闘。実に地味で孤独です。(^^;

   

その展示会まで、すでに1ヶ月を切ってしまいました。今年で3度目ですが、1度目も2度目ももっと早くから準備していれば・・・と反省したのに、やっぱり、案の定、学校からお知らせがきてから、慌てふためいてオシリに火がつくハメになりました。1ヶ月ってけっこう短いんですよね。時間が取れるのは週末だけ。しかも、土日両方フルにジュエリー三昧ってわけにいかないところがイタイ。

特に、ジュエリーCADは、感じからすると一番手っ取り早く完成しそうなものなのに、造形や鋳造という外注過程の、”待ち”の時間があり、自分の思い通りのスケジュールにことが運ばないものです。仕上げや石留めは他の技法と変わらない工程なので、デザインによっては、手作りの作品の方が早く完成してしまうこともあります。

造形後は、自分でサポートを除去したり、サポートをとったあとの表面やCAD目を綺麗に仕上げしたりといった作業が必要なので、いったん原型を手元に戻してもらわねばなりません。

もし、造形段階で失敗が確定したらもうアウト(=断念)です。やりなおす時間がありません。いまだに設計ミスとか勘違いで、”ダメデータ”を作っちゃうんですね。ようやく完成して学校に持っていったら、先生にダメだしくらって、しかもBOOLしちゃった後で手のほどこしようがなかったりして、造形前にボツのこともあります。

設計画面上はカンペキと思われたのに、造形して見たらなんとなくイメージと違ってイマイチとか、(いちおう簡易レンダリングで確認はするのですが・・・)悲惨なのは、CAD目を取り除いてる最中に爪折っちゃった、といった不慮の”事故”もあります。データ作成や造形をやり直すヒマがないと手でワックスを削ったり盛ったりして、せっかく最新鋭のテクノロジーで作ってるのになんとも情けない後工程です。

そんなトホホな失敗と錯誤をいまだにしていますので、毎度ハラハラドキドキです。(笑)それが終わるとキャストですが、キャスト屋さんに行く暇がないので、宅急便フル活用です。すべてが段取りよく運んだとしても、やっぱり、週末ジュエラーは3週間はゆうにかかってしまいます。

先週、CADクラスにようやくデータを提出したところ、はやくも他の生徒さんの展示会用作品の造形依頼がたくさん来ているので予定が詰まってる、と言われました。たしかにデータ作るだけなら、1日1点はできちゃうでしょうから、展示会の告知があって1週間後に造形依頼が殺到するのは当然ですよね。

去年や一昨年はジュエリーCADクラスからの出品が少なかったのですが、今年は沢山のCAD作品が拝見できそうで楽しみです。・・・てか、私の、間に合うかなぁ。(不安)

ハワイアンは・・・・、まだ作品化は無理とは思うのですが、先生が、”真鍮板はそろそろ卒業ね。どんどん作品に彫っていかないとうまくな らないわよ。”とおっしゃるので、展示会に出せるどうかわかりませんが、いちおう彫り台となるものをワックスから作っておきます。

・・・というわけで、CADが時間的に間に合わず、ハワイアンもうまく作品に出来なかった時のバックアッププラン(笑)も考えました。今からではたいそうなものは作れませんが、手作り作品を並行して作りたいと思います。




キモは、タガネの磨きだった!

2009年11月04日 | ROSE POSYのひとりごと

ラヴァーグフェスタ2009、と聞いて、もそもそと穴から出てきました。
(私は、ウツボか?)

最後の更新が9月12日でした。ああ、2ヶ月もサボってしまいましたね。いろいろな方から、”どうしたの?”とお声かけいただきまして、大変ご心配をおかけしました。わたしのような者にこのようにお気遣いを頂き、優しい皆様に心から感謝しており、寒空の世知辛い世にも、人のぬくもりをひしひしと感じる、今日この頃です。。。

ブログを始める時も、かなり勇気と気合いがいったものですが、しばらくサボったあとに重い腰を上げて再開するのも大変です。ブログを続けるのは相当モチベーションがいるものだと今さらながら思いました。ブログを続けることが歯磨きのように生活の一部になっている人もいらっしゃいますが、わたしにはマネできない、と感心するばかりです。

ただ、ブログには生活に張りを与える効用があることは確かです。ブログをお休みしてわかったのですが、なんとなく、日常生活にメリハリがない感じがします。ブログをやっていると普通に生活していても情報に対するアンテナが鋭くなり、普段なら気づかないことに気づいたり、入ってくる膨大な情報から無意識にブログネタを拾っている自分に気づくことがあります。自分の周囲の世界が違って見えてきて、漫然として過ごす生活とは一味ちがったものになって楽しくなりますよね。ブログは生活のスパイスといえるかもしれません。

さて、、ROSEはジュエリー修行をやめたのか?いえいえ、ぼちぼち続いていますよ。ブログに展示できる作品がないだけで、あいかわらず、”銅板”と苦しい格闘を続けています。先週、ハワイアンジュエリーの練習に行ったときのことをお話しましょう。

練習中に、突然グレーバー(タガネ)の刃先がまったく進まなくなったので、どうしたのかと見る角がポッキリ折れてなくなっていました。ありゃー!タガネの刃をつけ直さなければなりません。ひたすらグルグルと電動で回転する砥石にタガネを辛抱強くあて続けるだけなので、従来のタガネ作りに比べたら、その簡単さは雲泥の差ですが、相当ダメージが大きく、刃がつくまでに30分はかかったでしょうか。

見た目は、無事にツルピカの元のタガネに戻りました。
ところが、すべって棒にも箸にもひっかからない。うーん、前より彫れなくなった。さらにタガネ研ぎ機と格闘すること30分。全然彫れない・・・・。いよいよ、結城先生に見て貰うことにしました。先生は一瞬タガネを見ただけでわかったらしく、『んー?ヒールの具合がよくないかも。』と、ほんの数秒、砥石にスリスリっと当てて試し彫りすると・・・。うぉ~、先生、さすが彫り味シャープ!すごい。いや、先生だからうまく彫れるのかも?

どれどれ??あれ?何かが違う!これが私の彫り?
今までの彫りは何だったのか?という出来映えの違い。彫り跡もツルッ、キラッ。数ヶ月練習していて、今までこんな彫り味にはなったことがなく、彫る角度だとか速度、いろいろと研究しても打開策が見つからず、もうこれ以上うまくなれないのかなと、あきらめ気味だったのです。

”ヒール”とは、タガネの裏側の刃先の部分のことですが、表側ばかりに気を取られていて、このヒールの調整が彫り味の決め手になっていたことに今まで全然気づきませんでした。

いきなり、突き抜けました!まるで自分のタガネじゃないみたい。
手に伝わるタガネのたたく感触や彫り音まで違います。
長い間、雲の中でもがいていたのが、なんかこう、ぱー!っと晴れ間に出たような感じです。以前、”ある日突然うまくなならない”というCMにうなずいて自分を慰めていましたが、いや、ある日突然、うまくなることもあるもんだと思いました。”悟り”が突然開けるってこういう気分なのかと思います。

タガネを持つ右手、彫刻台を回転させる左手、そしてタガネを進めるためのペダルを踏む足、それぞれの動きのタイミングが絶妙に合ってはじめて思い通りに彫ることができます。しかし、今までどう工夫してみても、満足できる仕上がりにならなかったのは、彫り方ではなく、タガネの削り方が悪かったということですね。彫り師の修行の第一歩が、タガネづくり、ということ、機械彫りでも同じことだったのですね。

機械研ぎなので刃先の角度も機械で設定するのですが、ヒールを研ぐ時だけは手の動きが必要で、その微妙なコツがタガネの善し悪しにかかわっていたとわかりませんでした。具体的にどうやれば、”良いタガネ”になるのか、イマイチまだわかりませんが、今までとは異なる着眼点で新しい試行錯誤が始まります。

もし、刃先が折れるトラブルがなければ、まだ悩んでいたかもです。
失敗から生まれた発見と進歩でした。銅板練習の卒業も、間近かもしれません。(^^)俄然、やる気が湧いてきました。