ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

ワイヤー作品の型崩れを避けるために (プロのアドバイス!)

2016年05月22日 | ジュエリーよもやま話

先日、「らくまくワイヤー」のお試しレポートの記事を投稿しましたら、な、なんと!

「らくまくワイヤー」販売元の「アイ・ラブ・スマート」さんから、貴重なコメントを頂いてしまいました。

ほんとはナイショにしておこうかなー(セコイ!)と思ったのですが、こんな有用な情報はみんなでシェアすべきだと思い、これからワイヤーアートを始める方々にも拡散したいと思いまして、コメントを本記事へ転載させていただきました。

--------------- 以下、コメント転載です --------------------------------

ご愛用有難うございます。

 ブログを偶然拝見しました。
らくまくで素敵なアクセサリーを作っていただいていて嬉しいです。

 ワイヤー作品を実用的にお使いいただくために、ポイントをお伝えします。
 まずワイヤーを使う前に手や布を使って摩擦を起こし、伸ばしてください。しゅっしゅっと伸ばすと熱く感じます。

 形を作る過程で伸びやすい箇所は金床(アンビルなど叩く台)に乗せて軽く金槌でクロスした部分やカーブの部分を軽く叩きます。

 普通に創っているときはわざわざ叩く必要はありませんが、負荷が掛かって強度を増したいときは良い方法です。

 叩く力が強いとワイヤーが切れますし、叩けば形が崩れますので、まず何度か練習し、特性を理解して取り入れてください。

 ワイヤーの切れ端を取って置いてS字やクロスした部分から練習すると良いですよ。

  また、ピアスなど、崩れないようにしたいけど、ワンサイズ上の太いワイヤーに変えることもできますが、より細いワイヤーだけで創るなら、2本一緒に使う と、強度UPされます。2本ツイストしても、そのまま折り曲げ2本にして、正面から見ると1本に見えるデザインもOKですよね。

 作品作りに生かせて頂けたら嬉しいです。

 では、お邪魔しました。

------------------ 転載終了 ------------------------------------

彫金をやっていた時は、シルバー925やゴールドのワイヤーを使用しており、強度と弾性を増すために、太めのワイヤーを線引盤でサイズダウンして地金を引き締めたり、金床で叩いて締めるということをやっていたのですが、いわゆるコーティング加工したジュエリーワイヤーは、ムリだろうと思って、試したことがありませんでした。

実際、ある有名なメーカーのワイヤーは、糸巻きに巻いてある線を加工のためにナイロンプライヤーで軽くはさんでまっすぐにしただけで、コーティングが剥がれてしまいました。(そのメーカーは製造時期によって品質が異なると聞いたことがあるので、私が買ったロットがたまたまだったかもしれません。)現在はどうかわからないですが、それ以来、摩擦や接触を避け、曲げる以外のことはタブーにしていた次第です。

幸い、彫金時代に買ったアンビルも木槌もまだ持っていますので、早速実験してみようと思います。(物事には程々というものがあるので、やはり叩きすぎたらダメかと思いますので、耐久限度を探っていこうと思います)

アイ・ラブ・スマートさん、本当にアドバイスありがとうございました!
また、いろいろとご教授ください。 


さて、ここからは雑談です、

私の長いジュエリー&アクセサリー行脚で思ったことは、プロの作家さんや先生は、本当に大事なところを教えてくれないことが多いということ。それがアマチュアとの差別化であり、長年苦労して習得した技術をそう簡単に他人に教えないのは当然といえば当然ですよね。

よく、「コツなんかない。要は馴れと勘だよ。」、とおっしゃる先生がいますが、実は、コツとはコトバで伝えられる、確立された技術であったりします。”コレを知っていると知らないとでは大違い”という、アレです。

もちろん、中にはごく稀に上達の早道を伝授してくださる気前のいい先生もいます。私が最後に師事したジュエリーの師匠は大変ユニークなヒトで、自分が編み出したテクニックやコツ、自分が懇意にしている安くていい業者さんなどを惜しげもなく教えてくれる先生でした。以下はその師匠の名(迷?)言。

「これを教えたからって、おれの仕事が減るわけじゃない。」

「教えない奴らは、自分がプロとしてリスペクトされたいし、生徒が自分より巧くなってライバルになっては困るから、わざと肝心なところは教えない。自信のなさの裏返しなんだよ。」

「おれはむしろ、”おれを超えられるもんなら超えて見やがれ”とタカくくってるから、教えられることは全部教える。技術を真似するだけなら誰でもできる。最後はセンスが勝負どころなんだよ。」  

なんか、かっこいいですよねぇ(^^)

一方で、工具屋さんや素材屋さんは、店長さんや店員さん(プロのクラフトマンやアーティストであることが多い)が、どこでも教えてくれない教本にも書かれていないノウハウや裏技などの耳よりなアドバイスをあっさり提供してくれたり、制作中に湧いた疑問に答えてくれることが多いです。

業界の現場に身を置いていない自分にとって、そうしたサプライヤーさんからの情報は大変ありがたく、貴重なものだと思っています。


あんずのタンブラー

2016年05月02日 | ガラス工芸・サンドブラスト

被せガラスの中でも扱いが難しい赤色を使い、これまた難易度が高い、”実もの”をモティーフに挑戦しました。作り手の技術と表現力が試されます。

グラデーションとハイライトで、あんずの実の立体感を出していきます。

油絵や水彩画が色を乗せて描画していくのに対し、サンドブラストは色のついたガラス層を削り落としながらオブジェクトを浮き上がらせていく”引き算のアート”です。

たえず砂が吹き出しているノズルを遠ざけたり近づけたり、砂の圧力の強弱を調整しながら、砂を当てる角度、時間を加減して、色ガラスを削り落としていきます。

たった0.5秒、ノズルを生地から離すタイミングが遅いだけで、一瞬にして色が飛んで、そこで終了(=失敗)、しかもやり直しが利きません。

さて、上記作品の失敗部分はどこでしょうか?答えは、左側の実に重なる枝の部分。枝→実の順で彫りますが、先に枝の色を落としすぎたため、実の部分の作業中に枝の色がすっかり落ちてしまったというわけです。

そうかといって、色の落とし方が足りないと、重なったパーツ同士の境目(段差)が出ずにパーツがつながってしまう)という別の失敗を招きます。

被せガラスの生地自体が人による手作りであるため、同じ素材を使って同じ図柄を彫っても、完全に同じ出来栄えになるとは限りません。そして、その日の精神状態にもよってもかなり違ってきます。

別の日にもう1個彫ったのですが、(右側)この日はなんとなく集中力が続かず、雑な仕事ぶりが顕著に作品に出てしまいました。まったく見るに耐えない恥ずかしい失敗作品ですが、自戒の意味で載せておくことにしました。

工法はたった1つ、ガラスに砂を吹きかけるだけ。それだけのことなのに一筋縄ではいかないから、また挑戦したくなる。サンドブラストにはそんな不思議な魅力があります。