ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

ブルー・ジルコンのクロスペンダント

2008年06月29日 | ジュエリー作品&試作品

皆さん、『ジルコン』っていう石をご存知ですか?キュービック・ジルコニアとは違いますよ。インド・スリランカ・ミャンマーなど限定した地域でしか採れない天然石です。ブルーのジルコンは、加熱処理によるエンハンスメントです。ダイヤモンドさながらの強い反射と照りがあり、屈折率が高く、また光が分散するため、力強い光を放ちます。

初めて見たときは、その強い輝きに驚いて、”この石、なんじゃ!?”という感じのインパクトがありました。静止画像だとその様子がうまく伝わらなくて残念です。(私のリコーCaprio君は、強い光が苦手です。)天然石という意味では、こんな綺麗な石がなぜ安いのか首をかしげます。

ここに掲載したものは、”作品”ではなく、技法を試すための習作、練習、実験台、でして、衆人環視にさらすのはあまりにイタイしろものですが、このブログは、”奮闘記”と銘打っているだけあって、いろいろなゲテモノが登場するということでごカンベン下さい。



これは何をしでかしたかというと、洋彫りの留めの工程をワックスで再現してみようという実験企画でした。

2年前に私が見た洋彫りでの石留めのプロセスをざっとご説明しますと、地金はまっさらの状態から始まります。

1)下穴をドリルで開け、石座となる部分をラウンドバーで削って作ります。
  石座と石座の間があく場合はコーンカッターで石座間に溝をつけます。
2)オブジェクトのエッジから0.5mm残して溝を彫ります。(溝を切る、という言 い方をしておられました)
3)爪を起して留め、ナナコで丸めます。
4)石の周囲の地金を根気良く彫りながら取り除いていきます。”ほじりとる”というのかな?

プロセス的には和彫りとほぼ同じかと思いますが、道具が異なり、”グレーバー”という、丸い柄つきの彫刻刀に近い長いツールを握って、親指で押しながら刃を手前から向こう側に押し進める感じで彫ります。

しかも、恐ろしいことに彫刻台バイスやピッチボールなどの固定台は使わず、3cm径くらいの木の棒の先にヒートフォームで作品を接着し、左手に棒を持って、机のへりで支えながら右手で彫るという、なんとも不安定な姿勢を強いられます。

もちろん一度で地金を彫り取るのは無理なので、何度か同じところを彫る作業を繰り返します。気が遠くなるような作業です。

某スクールで洋彫りによるストーンセッティングの体験講座を受講してみたのですが、『とてもじゃないけど私には無理だ!!』と思いました。(その時、生徒15人くらいいたけど一人も出来てなかった。)イタリアから臨時でやって来たその先生は、毎日朝から晩までこればっかり練習して3~4年くらい修業してようやく商品をとめさせてもらえるようになる、とのたまっており、『本場の彫り留めやパヴェセッティングができるようになりたいというのは、10年前に言え!』という感じでした。新入りの生徒は、タガネ(グレーバー)に慣れるまで、約1ヶ月間、ただ銅版に彫り傷をつける作業を延々やるんだそうです。不器用な私なんか、どんだけかかるやら・・・。 m(= =;)m

そんなこんなで、見た目だけでも”彫り留め風”、”パヴェ風”であればいいから、とジュエリーCADのお世話になろうと考えて、ラヴァーグの門を叩いた次第です。いわゆるハイジュエリーは目指してないので、まあそこそこでいいかと・・・。(笑) 

でも、なんでも自分でやって確かめてみないと気がすまない物好きなROSEとしては、上記の、1)、2)、4)をワックスの段階で手でやったのがコレです。
でも、ジュエリーCADにおける、”なんちゃってパヴェ”(爪留めの応用編)でも結局、手順は似たようなものかと・・・。

これは最後まで仕上げるつもりもなかったのですが、ジルコンがもったいなかった(はずすのが面倒くさかった)ので、バチカンまでつけていちおうペンダントにはしました。石の数と径に合わせて無理矢理クロスを作ったので、バランスを取ろうとしたら余白部分が多くなってしまい、結果として彫った部分が悪目立ちしております。やはり、ホンモノの彫りのようなキラキラ感がありませんよね。”あはは、やっぱりなー”って感じです。

それでも、ジルコンが放つ光がキラキラと強いため、遠目だとアラは隠せて誤魔化せてます。(^^;



恒例・着せ替えシリーズ。
われながらほんとに駄作でゴメンナサイ。(恥)


工具屋さんに学べ!

2008年06月28日 | ジュエリー作品&試作品
今日のお題は、「情報」についてとりとめもなく・・・・。

宝飾業界で若い頃から修練を積んでいない、あるいは現在宝飾業界に身をおいてない、まさに私のような人々にとっては、この業界は趣味から一歩先に踏み込もうとすると、非常に厳しい世界に感じられます。というか、かなり閉鎖的・排他的な雰囲気すらあります。

なぜ閉鎖的かというと、情報が流通していないからなのです。たとえば、宝飾業界とは真逆の、急速に成長し続けるIT業界では情報公開が基本です。誰かが開発したソフトウエアやそのソースコードが無料で公開され誰でもそれが使えたり、ネットでの技術情報の交換も盛んです。情報を共有することでみんなで切磋琢磨して技術が高まっていき、IT業界全体が成長しているといえます。

若い人たちはどんどん新しい技術をそうした情報から吸収して、ひとりでプロになっていきます。困ったときはネット上の仲間が助けてくれます。そういう環境が整っているので、この世界では熟練した先輩職人が口移しで教えるような文化はありません。なので、まったく違う業界からSEやプログラマーやWebデザイナーに転身する人や、起業してSOHOで稼いでいる人も非常に多いし、異業種の企業がどんどんIT業界に参入することもできるのです。ヒルズ族とか、IT長者と呼ばれる若者が次々出現しているのも、IT業界ならではの特徴です。
AppleやMicrosoft、Googleといった今をときめく会社も最初は数人で始めた会社ですものね。

一方、遠目で垣間見る宝飾業界とは、みんなが稼ごうと必死にもがいているのに、誰もがあまり儲かっていない、なんとなく冴えない感じにみえます。(間違ってますでしょうか?あくまで印象なのですが・・・)御徒町の”ジュエリータウン”を歩いてみても、他の問屋街と違ってなんか敷居が高いというか、一種独特の排他感からか活気がないというか陰気臭い感じがあります。成熟した、を超えて、枯れちゃった?という雰囲気さえあります。

この2つの対照的な業界の決定的な違いは、業界全体が情報に対して、”オープン”か、”クローズド”か、にあると私は思います。



幸い、現在わたしがお世話になっている学校の先生はとてもオープンマインドで、親身になってさまざまな情報を開示してくださいますが、学校によってはそうではないという話を良く聞きます。たとえば、ある学校では、先生が個人で普段使っているキャスト屋さんを聞いたのに教えてくれなかったそうです。学校の出入り業者とのしがらみがあるんでしょうね。

学校ですらこうした体質では、生徒さんは卒業しても路頭に迷ってしまうのではないでしょうか?

  

しかし、何でも相談できる先生がいる恵まれた環境にある私ですら、学校を離れたらまた元通り”ひとりぼっち”になってしまいます。
ひとりで独学していた頃を思い出すと、うら寂しくなります。
そういえば、独学していた時は、制作過程で疑問に思ったことを工具屋さんに行ったついでに店員さんにいろいろと質問していました。

工具屋さんには、ジュエリー制作に関するいろいろな情報の宝庫です。メーカーや卸売り店や、エンドユーザであるプロの職人さんや、同業者の横のつながりで、宝飾技術に関するいろんな情報が集まってくるのです。それに自分のお店のものを売りたいですから、一生懸命親切に教えてくれます。業界の横のつながりが強いので、自分のところで取り扱っていないものやサービスは、他の店を紹介してくれたりもしてくれます。

彼らにとって出して不利になるような情報はないといってもいいでしょう。店のスタッフの方々は、自分では造りはやらなくても、職人さんからいろいろ情報を得て耳年増になっていることが多く、いろいろな”ソリューション”を提示してくれます。

私は工具屋さんで見たこともないいろんな工具を眺めるのが大好きで、つい長居をするのですが、向こうもこちらの存在が気になるのか、”わからないことがあったらなんでも聞いてくださいね”のひとことに、これ幸いと怒涛のごとく、「コレは何?」「コレは何するもの?」と聞きまくります。”へぇ、こんな便利な工具もあるんだ”、と今まで知らなかった工具のバリエーションを増やしていくことができます。

ジュエリーの制作過程で困ったことの多くは工具で解決できることが多く、とりあえず困ったら相談してみることです。ダメモトですから。店員さんもわからないともっと分かる人に取り次いでくれたりします。これはネットショップでも同様ですね。返事が遅いと思ったら、知り合いの職人さんに聞きまわってくれていた、ということがありました。
そんなわけで、工具屋さんは、わたしにとっては、唯一の開かれた場所であり、”第二の師匠”といってもいいかもしれません。
御徒町の中でも、一見さんにも優しいのは工具屋さんくらいですしね。(^^;;;

  

それにしても、私が社会人を対象にしたスクールに今後期待したいこととしては、”サロン”の機能を持っていただきたいのです。ジュエリーCADは日々進歩しているので、カリキュラムが終わったら、はいサヨナラ、ではなく、最新のアップデート情報を得られるような、そんなサポートの場を提供していただきたいと願っています。

たとえば、ソフトのバージョンが上がったら、新機能を使ったデモ説明会だとかチュートリアルなどのスポット講座をぜひ開催してほしいです。遠方からはるばる通っていた生徒さんのために、メルマガ会員サービスで情報提供というアイデアもいいかもしれません。もちろん、タダとはいいません。”情報=金なり”、ですから。

「うちの生徒である間は教えるけど、卒業したら知らない」、では、せっかく学んだ人たちも、”ついていけない”といずれ離れていってしまい、結局ジュエリーCADは業界に根付かなくなってしまうと思います。ネット時代の今の若い人は移り気だし、情報が共有できないクローズドな世界を嫌いますから・・・。

一般的にソフトウエアテクノロジーの世界では、新しい技術が根付くためには、最初に学んだ”勇敢な”人たちがさらに継続的に最新の技術レベルを保ちながらガンガン使いたおせる環境が必要であり、学校やメーカーがこれらの”先陣部隊”を懇ろにサポートすればよく、あとはこの先陣部隊の人たちが”伝道師(エバンジェリスト)”としてこれから学ぶ後発の人たちにどんどんネットで情報を送って援助し、底上げしてくれるので、早く裾野が広がって定着していきます。オープンな世界では、最初はマイナーな技術も、こうして大きく成長していきます。

そんなわけで、ジュエリーCADは立派な”IT”ですから、開発メーカーもスクールも、むしろ”俺達はIT業界なんだ!”的な気持ちをもっていただいて、「オープン・マインド」で、最新情報とサポートを惜しみなく提供していっていただきたいものです。
わたしたちも、後から学ぶ人たちのお役に立てるよう頑張りますので、どうかよろしくお願いします。

ただし、”よしよし流行ってきたぞ。自分達だけが儲かるようにしよう”などと情報を囲い込んでいると、やっぱりいつか廃れる時が来ると思います。そうならないことを祈ります。

以上、またしてもROSEの意見でした。えらそうにすいません。

ジュエリーCAD 独学?スクール?

2008年06月24日 | ジュエリーよもやま話
今日はちょっと、ジュエリーCADのマジメなお話。これからジュエリーCADを学ぼうかな、と思っている人へのメッセージです。

最近、私のブログに検索エンジン経由で訪問してくださった方から、ご質問をいただきました。

それは、”(ジュエリーCADを学ぶのに、)独学と教室通いのどちらが良いでしょうか?”というご質問です。

こちらの方はこれからラヴァーグ・ジュエリースクールの体験コースに行かれる予定とのことで、おそらくそこでご自身なりの答えが見つかると思います。

私の場合は、ジュエリーCADなるものを知って、いきなり教室に飛び込みましたので、独学と比較することはできませんが、教室で一通り学んでみた感想としましては、やはり最初から独学では厳しかったと思います。以下は、あくまでも私個人の感想ですし、ライノセラス+ジュエリープラグイン、に限ってのお話とさせてください。(それしか知らないので、他のソフトはその道の方にお任せします)

  

質問された方は、”これからデザインを習うなら、CADにしたほうがいい。”と言われたとのことだそうですが、目的はデザイン(描画)するだけでしょうか、それとも原型の造形(モデリング)までやりたいのでしょうか?もし、デザイン画だけでよいなら、CADである必要はなく、イラストレータや市販の安価な3DCGツールで十分かと思います。その場合は、市販の本もいろいろ出ていますし、ネットにも情報がたくさんありますから独学でも十分だと思います。後者の、造形まで行いたい場合は、汎用CADまたはジュエリーCADが必要になります。

ジュエリーCADは、宝石業界の人が使うことを前提にしているので、ジュエリーの製作に必要な操作が簡略化され、CADの知識がほとんどなくてもいちおう使えるようにはなっていますので、いったんそれらの操作を覚えてしまえば、汎用CADを使って作るよりは断然ラクなことはラクです。(しかし簡単とは言い難いです。)

しかし、世の中に広く流通して何万人が使っているソフトウエアとは違って、こうしたジュエリーCADのようなニッチな専用ソフトは、ステップbyステップで独習できる親切な自習テキストといったものはついていませんし、本屋で市販もされていません。せいぜい、あってもユーザマニュアル(操作解説書)が関の山かと思います。

初心者に与えられる情報が少ないということは、きちんと体系だって学ぶためには開発メーカー自身やソフトの販売代理店が提供する講習や、ラヴァーグのような専門の学校で習得するしかありません。独学だとかなりの回り道をすることになるのではと思います。

   

でも、絶対に独学は無理なのか?というとそれはわかりません。
根性と根気と力技とセンスで独学して習得に成功している方もいるでしょう。現在、ジュエリーCADを教えている先生はおそらく日本では数少ない草分け的存在だと思いますが、最初は周囲に先輩も先生もいない状態からはじめられたわけですから、まさに独学で人並みならぬ大変な時間と努力と苦労と失敗を積み重ねて、今、人に教えられる立場にあるのだと私は想像しています。

先生達はそうして自らの経験の中からソフトウエアの最適な使い方をマスターされた結果として、初心者でもわかりやすいコーステキストをオリジナルで開発されているわけで、そのテキストそのものが”ノウハウ”であり、学校に行く意義の半分はこのテキストをいただくことにあるといってもいいかもしれません。あとの半分は、先生のもっている”情報”を得ることですね。口伝えでないと知りえない貴重な情報をたくさん頂戴することができます。それが学校の”付加価値”だと思います。

   

私の通っているスクールでは、講義形式ではなく基本的にそのテキストを見ながら黙々と書いてあるとおりの操作を個々のペースで習得していくので、独習といえば独習なわけですが、そうした操作について、”どうして○○するのか”、”どうして○○してはいけないのか”といった原理は、マンツーマンでの先生の説明によって理解する次第です。

また、やっているうちに予測不可能なトラブルに見舞われたときにも、先生に解決方法を伝授してもらえます。また、作品を作ってみて失敗したときは、どうしてそうなったのか、先生に原因と対策について教えを乞うことが出来ます。

ジュエリーCADの場合は、ジュエリー製作とCADの知識の両方を熟知していないと、”作品”なり”製品”として成立するデータを作ることができないので、ジュエリーCADで製品・作品の製作経験豊富な先生に教わるのがもっとも上達の早道だと思います。

わからないことがあったら、何でも先生に聞いちゃえばいいですものね。困ったときに相談できる人がいるのは心強いものです。独学だったら、わからなかったら、即、”行き止まり”です。質問のやり場がありません。私も、ひととおりカリキュラムは終了していますが、自宅でやっていてしょっちゅう途中でわけがわからなくなるので、学校にすっ飛んでいって先生を捉まえて質問攻めにしています。

   

ユーザ数が多いソフトなら、コミュニティなり専用掲示板なりがあって、お互いに質問・相談しあって自助解決しあうことも出来ましょうが、なにせジュエリーCADはまだまだ利用者が少ないし、いろいろな種類のソフトがあって、少ないユーザがさらに枝分かれしており、そうしたユーザ同士の技術サポートの環境がまだまだ育っていない状況です。


   

私は学校に行っていてもなお、行き詰りそうな不安があります。
ソフトウエアは当然ながらどんどんバージョンアップしてしまいますし、教える先生の知識やノウハウもアップデートしています。先生のところには、CADソフトの開発元や造形機のベンダー、ビューローなどからも次々と更新情報が入ってきます。なので、コース終盤のころになると、ライノセラスがメジャーバージョンアップしていて、ユーザインタフェースが変わってしまったり、もらったテキストにはなかった機能やコマンドが忽然と出現していたり・・・。

そこが、従来の彫金やWAX技法とジュエリーCADの大きな違いです。彫金・WAXは一通り学ぶとあとはひたすら実践してスキル向上あるのみですが、CADの場合は、道具側つまりソフトの技術が日々進歩しているので、より効率の良い方法や便利なコマンドが次々と現れ、”これで終わり”、という線が引けません。知ると知らないでは大違いです。1時間かかって作っていたものが、新しいコマンドが1つ増えただけで10分で出来てしまうようになる世界なのです。

新しくはじめた人のほうが当然、最新の情報を教えてもらえるわけで、うらやましいわけですが、そうしたギャップとハンディを埋める意味でも、自分自身を”最新の状態”に保つために学校での情報収集は重要であり、先生とは”長く細いパイプライン”でつながっている必要を感じています。

長々と書いてしまいましたが、

 結論 

しなくてもよい苦労をする分の時間の節約をしたい方、早く上達したい方は、やはりスクールに行くことを私はお勧めします。

ソフトウエアや学校は、どれが自分に合っているかは人それぞれと思います。ジュエリーCADの総合サイトというのがありますので、一通り眺めて検討してみてはいかがでしょう。ジュエリーCADを教えてくれる学校に体験講座や説明会があればどんどんトライしてみるといいかもしれません。

以上が、ROSE POSYの意見でした。


マリンブルーなティアドロップ・ペンダント

2008年06月22日 | ジュエリー作品&試作品

久々の”石モノ”です。今回は、お知り合いの方からのフルオーダーです。

カジュアルなシルバーのペンダントをご所望とのことでしたが、とくにきまったデザインというのはないとのことで、いろいろお話をうかがいながらお好みのデザインを絞り込んでいきました。

石がはいっているものがほしいとのことで、私のストーン・コレクションも見ていただき、非常にお気に召していただけたのが、ティアドロップ型の『シーブルー・カルセドニー』でした。



シーブルー Sea Blue、の名のとおり、南国リゾートの海を思わせるような、爽やかでエギゾチックな色味の石です。これは、ドイツのある宝石加工企業が、天然カルセドニーを特殊な技術でカラートリートメントしたもので、市場にはあまり出回っていないので、展示会などで出会うたびに少しずつ集めている、ROSE的には注目の石なのです。オーダー主さまと趣味が合ってとても嬉しい反面、コレクションから消えていく寂しさも感じたほどです。

このティアドロップ型の石を前提として描いたいくつかのデザインの中から選んでいただき、ご希望を反映した微調整をしたうえで制作したのが今回の作品です。

 

普段からカジュアルでスポーティなスタイルでお勤めとのことで、お会いしたときに、お召しになっておられたパリっとした白いコットンのブラウスに合うイメージでおつくりしました。

ご本人のご希望で、チェーンではなくナチュラルな革紐で、長さはロングで仕立ててほしい、とのことでした。無染色の2mmの革紐を使っています。バチカンなどのぶらさげ金具はあえて作りませんでしたが、細いチェーンなら輪の前後に通してご利用になれます。

右側の写真に映ってますが、革紐のジョイント部分に小さなハートのプレートチャームをアクセントにつけました。革紐は、ジョイント部分を左右にスライドすると長さを簡単に調節できるような仕様になっています。

沖縄の海岸で拾ったサンゴやら貝やらと一緒に記念撮影♪
 

サイドは、2mmのキュービックジルコニアを留めてあります。最初、ブルートパーズのメレをご提案しましたが、”無色透明がいい!”とのことで、CZに落ち着きました。

こうして写真でみると、シーブルー・カルセドニーはトルコ石に似ていますが、実際は半透明でして、光線の加減で、”シラー”のような幻想的な不思議な色相がフワっとあらわれます。



なんか、ずっと眺めていると吸い込まれていきそうです。私は南国といえば、沖縄とグアムしか行ったことがありませんが、この色のイメージとしては、”カリブ海”とか、”エーゲ海”がお似合いのような・・・。

最長寸3.5cmとかなりボリュームがあるので、しっかり裏抜きして軽くし、肌馴染みをよくするために裏張りをしてあります。



ご要望はナチュラルテイストの革紐とのことでしたが、つやのあるオフホワイトの細い平革紐と、ブルーのスェードのリボンをサービスでおつけしました。紐を二重にしてチョーカー丈も楽しんでいただけますので、カジュアルだけでなくいろんなTPOでお使いいただけるかと思います。




今日、直接お引渡しさせていただきましたが、オーダ主さまは、この日のために夏物のコットンのシャツを着てきてくださいまして、まさにペンダントとぴったりの組み合わせでした。とっても気に入っていただけたときの内面からホコホコと湧き上がる満面の笑顔を拝見する瞬間ほど嬉しいことはありません。今回の作品は、”お客様とのコラボ”デザインといっても過言ではなく、お礼をいっていただくのが恐縮で、私こそが感謝の気持ちでいっぱいです。

さてさて、ハンドクラフトの次のお題は、ジュエリーCADを使った作品とすることにしましょう。


”うめしごと”の季節です♪ 【梅干し編】

2008年06月20日 | ROSE POSYのひとりごと
うめしごとの続きです。 (【梅酒編】はこちら

”ジュエリーブログ”なのに、番外が続きまして申し訳アリマセン。m(_ _)m 

梅干しは、梅酒よりも仕事のプロセスが多いだけで、作業自体は単純です。ちょうど今、黄色くなりだした梅がスーパーに出回っていますから、皆さんも挑戦してみてはいかがでしょう?老若男女関係なく、自家製の梅干しを作ったら、かなーり周囲に自慢できること間違いなしです。

用意する材料は、熟した梅、粗塩、焼酎(35度以上)です。(焼酎はオプションです。)わたしは”白梅干し”派なので、赤シソは使いません。



市販品では減塩梅干しをよく見かけますが、あれは工場で徹底した滅菌・温度管理をしているか、合成保存料タプーリ入れて作っており、また長期保存もできません。自家製梅干しを失敗せずにうまく作るには、やはり昔ながらの塩加減、まさに良い”塩梅(あんばい)”で漬け、食べる際に塩抜きすればよい、と何かに書いてありました。梅の重量の18%~20%程度の塩がよいそうです。

まずは、梅の塩漬けを仕込みます。
梅漬けに使う容器類は、熱湯消毒します。(ROSEはさらに容器内に焼酎をかけまわします。その焼酎はこの後つかいますのでとっときます)

まず、梅を水で洗って、きれいな布巾で水気を拭いて、ヘタ?(くぼみのところにある黒いやつ)を竹串で取り除きます。


以下はROSEが勝手に良いと思い込んでやっているやり方です。梅についている雑菌がアルコールで殺菌され、塩漬け中のカビの発生を減らせる気がします。

梅をアルコール(焼酎)にひたします。(表面に細かい傷があったりするのでこれで消毒代わりになるかなと。)


梅に塩をまぶします。(まさに傷口に塩を擦り付けるとはこのことだ!さぞかし痛かろう、ごめんなー。)



どんどん、重ねていきます。(丁寧に、優しくね。)


最後に余った塩を上にかけて、重石をのせてできあがり。
(重石をのせた画像は一番上です。漬物容器専用の樹脂製の重石が
売られていますが、ない場合は、真新しいポリ袋を二重にして水をいれて堅く口を縛ったものを重石代わりにしてもよいでしょう)


数日すると梅から水分(梅酢)がどんどん出てきて、梅が完全に埋まる
ほどになります。あとは、8月の晴天が続く日になるまで置いておいて、天日で数日干して出来上がりと相成ります。

いくら衛生面に気をつけていても、途中で、梅酢が白くにごったりカビが生えたり、トラブルが起こることがあるので、そのときのレスキュー隊として『焼酎35度』を待機させておきます。

梅くんたち、盛夏までしっかり汗をかいておやすみなさ~い。

ちなみに、下の画像は、左が2005年産、右が2006年産です。
(去年は良い梅を手に入れられず、サボりました。)



”うめしごと”の季節です♪ 【梅酒編】

2008年06月18日 | ROSE POSYのひとりごと

梅雨のせいか、この季節、なんとなくダル~な感じではありませんか?

ROSEのジュエリー制作活動も少しペースダウン気味・・・。全体的にすべてのことに対する興味というかノリというかテンションが下がってしまい、随分サボリ気味でございます。 それでもなんとか今月は1点、フルオーダーで依頼されたシルバーのペンダントを仕上げましたので、今週末、”納品”後に公開します。

梅雨どきといえば、梅。この季節ならではの、”うめしごと”で、気分転換をするとしましょうか。

ことしは、南高梅を3キロ買い、そのうち1キロを青梅のまま、梅酒にしました。



作り方?簡単すぎます。
やはり、失敗しない王道は、梅1kgに対して、焼酎(ホワイトリカー)35度1.8リットル、そして氷砂糖です。ホワイトリカーのパッケージなんかには、氷砂糖500g~1kgとか書いてありますけど、辛党『ROSE』印の梅酒は、氷砂糖の量が一般の量に比べてかなり少な目です。実験の結果、200g~300g程度まで減らしても梅のエキスはしっかり出て美味しく出来るので大丈夫のようです。

3ヶ月ごろから飲み頃だそうですが、梅酒は月日が経つほど熟成して美味しくなるので、うちではしばらくそのまま寝かせておきます。

2000年からだいたい毎年、梅酒を作っており、酒瓶に小分けして熟成させ古いものから賞味します。数年経つと琥珀色になり、味はかなりまろやかです。開けずにとってある瓶が毎年貯まっており、うまく出来ていれば、2年後の2010年からは”10年熟成”の梅酒が楽しめるという皮算用です。

さて、残り2キロは梅干にしようと、”追熟中”です。家中、すもものような甘酸っぱい香りでいっぱいです。



梅酒は梅を酒に突っ込んでほっておけばよいので簡単ですが、梅干はちょっとだけ手間が要ります。

明日は、いよいよ梅干しの仕込みをすることにしましょう。

ゴーヤで緑のカーテンをつくろう!

2008年06月11日 | ROSE POSYのひとりごと

皆さん、『緑のカーテン』運動ってご存知ですか?

YahooやGoogleで調べていただけるとわかるのですが、要するにベランダやバルコニー、お庭で朝顔やヘチマなどのつる性の植物を使って作る自然のカーテンのことです。

もともとは夏を少しでも涼しくすごすための昔の人の知恵なのですが、地球温暖化・都市部のヒートアイランド現象に伴って注目を浴びだした、家庭でできるエコ対策ともいえます。

緑のカーテン・コミュニティサイト

2年前のNHKの番組で夏を涼しく過ごす方法として紹介されたのを見て、私もその年、ゴーヤで試してみたのが上の写真です。

うちはコンクリートのマンションの3階ですが、まさに夏の輻射熱がすごいのです。日中、ベランダのコンクリートが太陽熱を浴びて熱を含み、夜になってその熱が吐き出されるので、こもるような熱気で寝苦しくてたまりません。

そこで、実験が大好きなROSEは、ためしにゴーヤで緑のカーテンを作ってみたのですが、確かに昼も夜も何もない状態にくらべて格段に爽やかで涼しいのです。数度違うだけ体感温度はかなり変わりますし、冷房効率が非常に良くなりますので電気代もかなり節約できました。葉が完全に窓を覆ってしまうと今度は風が抜けなくなりますが、そこはさすがに自然のなせる業、ゴーヤ自身が葉と葉の間に適度にすきまを作ってくれて風を通してくれますし、台風などの強風にも強いです。(さすがは沖縄県産の野菜ですね~)

おまけに何より、楽しみは収穫♪成り方もかわいくて、一斉に成るのではなく、花は毎日咲き、受粉した順番に1つずつ実になっていくので太ったころあいを見計らって少しずつ収穫していきます。
3ヶ月ぐらいコンスタントに収穫を楽しむことができます。ほんとに初ゴーヤで園芸まったく初心者なのに、ありがたいことに売るほど採れ、毎日食べても飽きないのですがそれでも最後のほうは食べきれずに配りまくりました。



去年はサボってしまい、熱地獄にゴーヤのカーテンの威力をまざまざと思い知らされ、今年再開することにしました。

この種は上の写真の2年前のゴーヤ君から取れた種です。非常に堅いので突起部分をハサミでチョンと切ってあげて水につけておくと発芽します。びっくりするほど発芽率がよいです。種13個のうち、発芽して11個がすくすくと育っています。



本葉が出たら土に植え替えてあげます。


本葉がいい感じに育ってきました。


このように、つるが延び始めたら、しばらくは細い支柱で
伸ばしてあげて、苗がしっかりしてきたらプランターに
植え替えどきです。


植え替えを待つ苗たち。


これから、どうやってカーテンにしていくかを、育てながら紹介していきます。すぐに知りたい方、このサイトをお手本にしてゴーヤのカーテンに成功しました。→にがうり倶楽部

ゴーヤの育て方だけでなく、いろいろなお料理方法ものっていて楽しいですよ。

今、まだ園芸店などで、ゴーヤやキュウリの苗が売られています。苗からならまだ間に合いますので、ぜひみなさんも一緒に『緑のカーテン』を作ってみませんか?

ツル性の植物はいろいろありますが、私のオススメはやはり、ゴーヤです。なぜなら、成長が早く、はっぱが大きいのですぐにネットが葉で覆われますし、暑さはもちろんのこと、虫や病気にとても強いのです。

一方、一緒に植えたキュウリは虫・病気との闘いでしたが上手に育てて、無農薬で巨大なおいしいキュウリがたくさんできたヨロコビは絶大で、苦労の甲斐がありした。

 

地球温暖化防止なんてむつかしいことは考えずに、とにかく自分の家を少しでも涼しく快適にできて、ついでに野菜代も助かる、くらいの軽い気持ちではじめてはいかがでしょうか?

今年は、ゴーヤカーテンの下に縁台を置いて、ゴーヤのおつまみとともに夕涼みのビールを飲むのだ~!!

ラリックのジュエリーをご存知ですか?

2008年06月06日 | ジュエリーよもやま話
ルネ・ラリックをご存知ですか?

19~20世紀のアール・ヌーボー、アール・デコにまたがって活躍したフランスのガラス工芸家で、ジュエリー・アーティストです。14歳にして宝飾職人に弟子入りし、弱冠20歳にしてカルティエなどの一流宝飾店に作品を納めていた天才的なデザイナーであり、職人でもあります。ラリックというと、ランプをはじめとするガラス製品のほうが有名かもしれません。

以前、江戸東京博物館で、ラリック展を観て以来、すっかりとりこになりまして、箱根のラリック美術館にも行ってまいりました。
頭を殴られるような衝撃的な感動でした。この世にこんな美しいものがあるのかと思いました。ガラスの工芸品はもちろんのこと、ジュエリーのデザインの斬新さ、また人間離れした細工の精巧さに感嘆の声を上げてしまうほどでした。花や昆虫といった自然の題材をテーマとして、まったく嫌味のない誰もが美しいと思える絶妙な黄金率を彼なりに持ち、これほどオリジナリティに溢れながらも万人を魅了するアーティスティック・ジュエリーはないと言われています。

さて、こないだ、そのラリックのクリスタル・ジュエリーなるものを海外土産で戴きました。箱に、”LALIQUE”と書いてあって、まさかあのラリックかしら?と添付の説明書を見たらまぎれもなく、あのラリックの子孫が引き継いだ会社のものでした。

上記の写真はwww.lalique.comから失敬してきた画像です。裏面に小さいハートが彫ってあって、中から浮き上がるように見えています。このように、”ラリック”のブランドで市販のジュエリーが売られているというのは、はずかしながら初めて知りましたので、さっそくググってみました。

このラリックのWebサイトは、すべてのページがFlashで作成された、ずいぶん凝ったサイトです。楽しいので是非ご覧になってください。ガラス製品のメーカーということで、ジュエリーもクリスタルを中心にしたものをラインナップとしています。どれもシンプルで美しい。私が見たラリック本人の作品の傾向とはかなり違うようですが、ガラスの美しさを十分に引き立たせた魅力的な商品ばかりです。ヤバイ、、魅せられた・・・。コレクターになってしまいそうです。

ガラス製のジュエリーといえば、バカラは前から知っていますし、アクセサリーもやはり頂き物で何点か持っています。(下記のデザインのもの)実はバカラという会社もプレゼントでもらって初めて知ったくらいなので、私は相当ブランド音痴なのかもしれません。




いわゆる、ジュエリーをデザインしたり作る人からみたら、これらの商品は、『ケッ、ガラスか!』と馬鹿にするようなしろものかもしれません。しかも、何の芸もないような単純なデザインですしね。
 
でも、”たかがガラス”のバカラのアクセサリーがすごい高い値段にもかかわらず、新作を出す度に飛ぶように売れているのです。しかも、客層はセレブ系の人が買っているようです。Tiffanyなどと違って、見れば誰でもわかる、といった類ではなく、バカラを知っている人にしかわからないデザインだし、”たかがガラス”の商品に何万円も出せるのはやっぱりセレブなのかな。(笑)

たぶん、ラリックも私が知らなかっただけで、主要都市の有名デパート(東京だと新宿伊勢丹、銀座三越、池袋西武)に出店があるくらいなので、バカラと似たような客層にコンスタントに売れているのでしょう。

ところで、いただいたラリックの真紅のハートのペンダントですが、裏面は平坦でエッジがかなり鋭いので、おそらく落としたりぶつけたら簡単に欠けたり割れると思われます。結構お高い物なので、おいそれと壊すわけにいきません。そこで、ピンと来た!つけはずし自由な”着せ替えフレーム”を作ってみようと思いつきました。ROSE的カスタム・プロジェクトの開始です。出来上がりをお楽しみに。。。

こんなふうに横道にそれて遊んでばかりいて、なかなかライノセラスの勉強が進まない今日この頃です。なんたって、楽しいが一番♪