ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

ガラス彫刻展 2019 ~風薫る~ @世田谷美術館 その2

2019年06月09日 | ガラス工芸・サンドブラスト

ガラス彫刻展 2019 ~風薫る~ @世田谷美術館

お恥ずかしながら、私の展示作品です。

作品展のために作成した新作とともに、過去の作品からこの節にふさわしい作品を選んでみました。


そして、お次は、私の過去作品の中で唯一の風景を題材にしたものです。

この富士山の作品は、なぜか、男性陣に好まれるようで、男性のお客様が私のコーナーを通りかかると、このタンブラーの前で立ち止まり、じっくりと前も後ろもぐるりと鑑賞していかれます。山はどこか男性を惹きつけるものがあるのでしょうか。

そして、「風薫る」のテーマにアラインして、もう1セット、はっぱモチーフの作品です。

透きガラスを使用したシンプルな作品なのですが、生徒さん仲間の間での評価は、今回の私の作品の中で一番人気で、「あのシダのお皿、良いわねー」というお言葉をたくさんいただきました。女性目線で見て、この器は日常の食卓で普段使いできる身近な感じがいいのかもしれません。

しだの皿とおそろいのコップがないので、ハワイアン柄のタンブラーで初夏を演出しました。
誰かに、「ニトリで売ってそうだね~」と言われちゃいました。たしかに!こういう柄のクッションありましたね。(笑)

実は、このランチョンマットとコースターは、美術館近くのニトリで買ったんです。こうした小道具があると無いとじゃ大違いです。演出は重要です。

そして、今回の作品展のために制作した作品をご紹介します。

「月下美人」 です。夜に真っ白な花を咲かせた月下美人のあでやかな姿を表現してみました。


今回、チャレンジとして、レリーフ彫りと段彫りの技法をミックスさせてみました。邪道かもしれないですが、せっかくの自由作品なので、他の人がやってないことを試してみようと思いました。

段彫り(たとえば、上の作品だと水芭蕉や富士山)だけだと、色の濃淡でのみしか立体感を出せませんが、レリーフ彫りを取り入れることで、花びらのふくらみや凹みなどが表現できるので、よりリアルで表情が豊かな花のモチーフに仕上げることができました。


写真だとわかりにくいですが、花びら1枚1枚に膨らみがついています。

レリーフを深く彫り込む、すると当然、色は落ちてしまいます。花びらに立体感をつけつつ、色が落ちる寸前で止める、という動作の繰り返しで気の遠くなるような作業でした。

題材選定、デザイン画を起こすところから、完成するまで4ヶ月くらいかかりました。

芸術の道に近道なし、ですね。


ガラス彫刻展 2019 ~風薫る~ @世田谷美術館

2019年06月08日 | ガラス工芸・サンドブラスト


5月28日から6月2日の間、サンドブラスト教室「ハナミズキ」さんの作品展が世田谷美術館で開催されました。
上の写真は、案内ハガキですが、なんと!私の昨年の展示作品を掲載していただけました。(左下の青いお皿)うれしはずかし。


砧公園が美術館に隣接しています。緑が目にも鮮やかで、作品展のタイトルどおりの「風薫る」爽やかな季節です。


教室主宰の大塚師匠は、前職が企業専属のデザイナーさんでいらっしゃったので、先の案内ハガキやポスターといった宣伝マテリアルの制作もお手の物です。

広い展示スペース、展示台のたっぷりと”間”が取られた贅沢な展示空間で、ゆったりとした気持ちで鑑賞できます。

はなみずき主宰の大塚先生、作家先生仲間の先生、そして生徒さんたちの力作が並びます。

先生も生徒も総出で搬入、会場設営、ディスプレイを行いました。そうした準備のひとときも楽しい時間です。



毎回、会場の片隅に、展示販売コーナーが設けられます。売り上げの一部は、東日本大震災の震災孤児支援団体に寄付されます。
ボランティア価格なので、本来のプライスに比べて、非常にお得です。じっくりと迷いながら選び、気に入った作品を宝物のように大切そうに持って帰られるお客様を見ると、なんだか暖かい気持ちになります。ご協力ありがとうございました!


そして、今年の私の出品は、次の回に続きます。



ガラス作品制作中・・・

2019年04月14日 | ガラス工芸・サンドブラスト


最近、ガラス工芸作品の投稿アップの間が空いている理由は、大きめの作品を製作中のためです。大きな作品を手がけるときは、製作期間が3ヶ月以上はかかります。

制作のプロセスの中で、一番苦しいのは、デザイン画を完成させるまでの工程です。私は、本来、あまり絵描きは得意ではありません。作品をオリジナルでデザインするときは、まずは紙にラフ画から描き始めます。アクセサリーやジュエリーならば、下手なデザイン画でも作りながらイメージどおりに作ることができますが、サンドブラストはそういうわけにいきません。

私の場合、Adobeイラストレーターでデザイン画を描きます。そのデータを、教室でプロッターに出力、マスキングシートにプリントとカットまでしていただきます。プロッターのおかげでずいぶんと工程を短縮でき、仕上がりもきれいです。もはや、ハンドカットには戻れません。笑

デザイン画は、たとえばこんな感じ。水芭蕉のグラスを作ったときのデザイン画です。サンドブラストに適するように意匠化する必要があります。色のガラスを彫ったときにどのように仕上がるかをイメージしながら描画していきます。

これがこうなります。イラストレータの絵はベジェ曲線のみで描きますが、サンドブラストの段彫りは、線ではなく、”面”でオブジェクトを表現するため、作品になると、イラストとはだいぶ雰囲気が変わりますね。



今、手がけているのがこちらのデザイン。ちょっとメルヘン・チック。月が輝く夜空の下に真っ白な月下美人の花が浮かび上がるイメージで作っています。

 


出来上がりをお楽しみに・・・。




ぐいのみ2点 ~けし&あさがお~

2018年12月15日 | ガラス工芸・サンドブラスト



外国製のきせガラスです。珍しいオレンジに近い赤色と、鮮やかなブルーの組み合わせがとても良い感じで、お値段も手頃で速買いでした。かなり、色ムラや気泡があります。でもサンドブラストに使う分にはまったく問題ありません。

ここしばらくは師匠のデザインシート使用での制作が続いています。自分のオリジナルデザインだけで制作を続けるのはとてもきついことです。自前のデザインを描く時間がなかなかとれない時期は、先生のデザインシートを使わせていただいて、純粋に彫る作業のみを楽しんでいます。ひたすら作業に没頭する時間は、完全に「無」になれる、貴重な時間です。

オレンジのグラスは、彫ってみると底に近づくほど色の層がかなり分厚くなっています。葉の部分はあえて厚みを付けたままにして陰影をつけて彫刻風にしました。表情に変化が出て面白い仕上がりになりました。




発色の良いブルーは大輪の朝顔です。爽やかさを演出するために、あえて葉っぱ部分はツヤを消さないでおきました。最近、一部に鏡面を残すという技法が個人的に気に入っています。この写真だとわかりにくいですね。

このブルーは、”瑠璃(るり)”ほどは難しくなく、グラデーションがつけやすかったです。つぼみの部分のグラデは、我ながらいい感じ。
こちらの画像だと葉の部分にサンドをかけず、透け感がわかるでしょうか。



本来はリキュールグラスらしいのですが、日本酒にぴったりのサイズです。


この角度だと葉っぱが光っている鏡面の感じがよくわかりますね。


菊と桔梗のレリーフ彫り角皿

2018年10月27日 | ガラス工芸・サンドブラスト


ひまわりに続いて、またまた教室オリジナルデザインシートを使った、和花のレリーフ彫りをやりました。

俳句などでは、桔梗は夏の花とされているのですが、私の中では秋のイメージにぴったりな花です。

今回の作品も、なかなか彫り甲斐があるものでした。菊の花びらの重なりがかなり多いので、彫る順を間違えないように慎重に作業します。



このお皿も厚みがしっかりあって、こうしたレリーフものをより立体的に仕上げるにはぴったりです。
穴あきを気にせずに、ガッツリ気持ちよく彫れるので気持ちがよいです。


同じサンドブラストでも、技法によって異なるスキルが必要になります。色つきのガラスを彫る”段彫り”は、弱い圧で砂を吹きつけながら、表層の色の部分を少しずつ落として絵を描いていく作業で、とても繊細な神経を使いますが、それとは対照的にレリーフ彫りは強い圧を当ててダイナミックに削って行く、まさに彫刻の作業です。



この角皿、本当に使い勝手がよいのでお教室でも大人気です。この形が好きすぎて、この角皿でいろいろ作りました。(ブログにもアップしてます)絵柄違いのセットで友人の御結婚祝いのプレゼントにしたこともありました。

お皿ですから食べ物を載せると絵が隠れてしまうのが難点ですが、レリーフ彫りは裏から彫って表から見ないと美しくありませんから、お皿で作るに限ります。食卓を豊かに彩る名脇役です。




 


ひまわりのレリーフ彫り (夏は終わっちゃったけど・・・笑)

2018年10月21日 | ガラス工芸・サンドブラスト

7月の展示会が終わってすっかり脱力してしまいまして、低空飛行中です。自作デザインの大もの作品を作るのは心身ともにエネルギーを消耗するため、展示会が終わってしばらくは、小物制作でリラックスして、気力が戻るのを待ちます。

わたしのように、課題コースが修了した生徒は、自由制作コースとして好きなものを作ります。しかし自分でデザインしたものだけですべての作品を作ろうとするとなかなか大変です。デザイン・描画する時間がなかなか取れない期間は、お教室で用意しているオリジナルデザインシートを使って、ひたすらガラスを彫る作業を楽しみ、彫りの技術を研鑽する時間にしています。

この、ひまわりのレリーフ彫りの作品も、先生のオリジナルデザインシートを使ったものです。(このブログでご紹介する作品は私自身がデザインしたものは、デザインの背景・経緯を能書きしておりますので、そう書かれていないものは先生デザインで作ったものと思ってください。)もちろん、同じデザインを使っても、彫る段階でその人の意匠力や個性がかなり出ますので、ひとつとして同じ作品はありません。そこがサンドブラスト彫刻の魅力だと思います。

さて、ひまわりのレリーフ彫り、予想以上に手間がかかり、すっかり季節はずれのブログ掲載となってしまいました。本物のひまわりさんたちは、とっくに、お父さんのお酒のおつまみになってますね。笑

とくに時間がかかったのは、花びらの部分でした。見た目は花芯の部分が大変そうですよね。

ただ花びらを彫るだけならまだ頑張れるのですが、それぞれの花びら1枚1枚にある数本のスジ?をつける作業がまあ根気がいることといったら・・・。

マスキングを部分的にはがして彫る、はがして彫る、の作業をひたすら繰り返すのです。月に2回しか教室に来れないので、花の部分だけで1ヶ月を費やしてしまいました。

ひまわりの花の部分が終わり、つぼみと葉っぱの部分に作業が移るとなんだか物足りなささえ感じました。



お皿の厚みがかなりあってしっかり深く掘ることが出来たので、立体感のある作品にすることができました。



元気で力強いひまわりに見えますでしょうか?



作業してる間は面倒くさくなってきて、つい途中で放り出したくなりますが、それを乗り越えてうまく完成できたときは、達成感がはんぱないですね。


ガラス工芸作品展示会 2018 @世田谷美術館 (7/1(日)まで開催中!)

2018年06月30日 | ガラス工芸・サンドブラスト

只今、サンドブラスト教室「ハナミズキ」さん主宰の展示会を、世田谷美術館にて開催中です。
7月1日まで開催していますので、お時間の余裕がある方は、ぜひお運びいただけましたら幸いです。
(東急田園都市線の用賀駅から美術館行きのバスが出ています。小田急線の千歳船橋からは田園調布駅行きのバスが美術館前に止まります。)

今年のテーマは、「~夏めく~」 
夏らしい、涼しげな作品が目白押しです。

わたしも初日の搬入・展示、受付のお手伝いをさせていただきました。教室では普段お会いすることがない他の生徒さんたちも一堂に集結して、協力しあいながら展示会場を作り上げる、とても貴重なイベントです。

誠に僭越ながら、わたしのコーナーも作っていただき、大変恐縮です。場所負けしててとてもお恥ずかしい・・・。

今年は、メイン作品の大皿にとても手間取ってしまい、展示会用の作品はこれ1点しか制作できませんでした。


お題は、「トロピカル・アイランド」

まったく、ひねりのないタイトルですが、テーマの「夏めく」に沿って、南国ムード満開なデザインを展開してみました。これでもか!っていうくらい、ワイハー♪なモティーフを散らかしまくって、なにやらにぎやかで楽しい感じにしました。





製作期間は4ヶ月。構想→デザイン→レイアウト→描画、まで1ヶ月、残り3ヶ月で彫り上げました。といっても、教室(機械)の予約日は、月に2回、1回2時間ですので、わたしに与えられた彫刻のためのタイムリミットは12時間。本当に開催直前、先週末の予約日まで作業していて、ギリギリの焦りまくりでした。

パーツが多いのと細かいのとで、限られた時間で仕上げなければいけないことが精神的に大変きつかったです。



メインモティーフのハチドリとハイビスカス。

羽1枚1枚を慎重に彫ること、4時間。与えられた全時間の1/3をこのモティーフに費やしてしまいました。

この大皿1枚で力尽きてしまいまして、1口4点まで展示できるのですが、残りのオリジナル作品は、過去の作品から、夏らしいものをかき集めてくるのが精一杯でした。

アイビーのペアグラス



スワン(透明ガラス)


ペンギンのタンブラー

 

(裏面)




著作権上、このブログでは他の方の作品は掲載できませんが、みなさんの力作もとても素晴らしくて、非常に刺激になりました。(おそらく、終了後に、ハナミズキさんのHPで各作品が紹介されることと思いますので、お楽しみに!)

今回は、出品者の方々が、銘々の作品が映えるマットを持ってきたり、作品の周囲に小物などをあしらって夏らしい装飾や演出をしておられ、なるほど~、わたしも次回やってみようと思います。



作品展では、他の生徒さんや、他の教室の先生の作品もゆっくり鑑賞させていただけて、とてもよい勉強になります。
そして、展示会は、作る楽しみのほかに、多くの方々に観ていただける誠にありがたい機会です。

これだけの規模の展示会ともなると、企画から会場確保、出展の準備はとても大変なことだと思います。準備に携わってくださった皆様、本当にありがとうございました! 

明日は最終日、わたしも受付のお手伝いをさせていただきます。

<おまけ>
制作途中の様子。”パラダイス”じゃなく、まるで「カオス」です。
皿は30cm弱くらい。大きくて重い器を片手で持ちながらの作業が辛い、という裏の苦労を乗り越えて作品が完成します。






かわせみのタンブラー

2018年06月30日 | ガラス工芸・サンドブラスト

6月なのに、もう梅雨明けでしょうか。いまから盛夏の暑さに先が思いやられます。

今から、ちょうど1年前の2017年の展示会では、かわせみと睡蓮の大皿を出品しました。


大きな作品を作る場合は、構想から制作にとりかかるまでに、結構な時間を要します。まず、テーマ(モチーフ)を決め、次に構図とデザインを考えます。資料画像を参考にしながらラフ画を何度も描いて、全体像を作っていきます。

わたしの場合は、いきなり大作に取り掛かる前に、小作品で試作品を作ってモティーフの表現方法のイメージを掴み、さらに改良点を検討してから、本番制作に取り掛かります。

さて、前置きが長くなりましたが、このカワセミの大皿を作る前に試作した小作品が、こちらのカワセミ1羽と2輪の睡蓮を配置したタンブラーです。投稿するのを忘れていたので、今頃になってのご紹介になってしまいました。


実物のカワセミの画像からイラストを図案化をし、細かい羽の部分の表現のイメージを試作品で掴みます。


花や植物はわりと図案化がしやすいモティーフです。

写真をただトレースしただけだと思われることが多いのですが、それではサンドブラストの題材としては使えません。段彫りすることを前提としたイラスト化が必要になります。


タンブラーの全周を1枚のキャンパスに見立てて、構図を考えます。それぞれのモティーフをどう”連携”させるか(つなぐか)も、全体のストーリー性を表現するために、重要なポイントです。こちらが、カワセミと睡蓮の”つなぎ”の部分になります。



この作品は、グラスの底部分は色を残してグラスの下の部分に底の色が投影させることで、一層色が濃く見えるようにして、”水面”を表現しています。睡蓮の葉の水滴部分は、サンドをかけずに残すことで、透明な水玉に見立てています。


などと、小難しいことをくどくどと書き連ねてしまいましたが、創造の世界、つまりまったく”無”の状態からモノを作り出すのは、とても難しいものです。まだまだスキルと経験が自分の想像力に追いついてきません。



それでも、なんとか形になったときは、うれしいものです。


桜だ、桜だ、桜の作品祭り♪

2018年03月25日 | ガラス工芸・サンドブラスト



こちらは先日アップした、新作の桜のタンブラーを内側から撮影したものです。

桜の季節は、晴れやかな気持ちが半分、でも、なんとなく切ない気持ちが半分です。
桜を眺めていると、どうしても頭に浮かんでしまうのが、はかない女心を詠んだ2つの歌。

「花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふる眺めせしまに」 (小野小町)

「花の命は短くて、苦しきことのみおおかりき」 (林芙美子)

桜モティーフの、ROSEの過去作品を振り返ります。
(タイトルのリンクをクリックすると該当記事にジャンプします。)




桜模様のキャンドルホルダー


桜の角皿



桜のぐいのみ



桜の小皿


桜のタンブラー

ついでに過去のアクセサリー作品も。懐かしい~。画像ちっちゃくてすみません。


桜の漆黒リング

桜珠のペンダント

そして今春の作品。

花編みボールの桜ピアス

 桜ピアスについては、次の投稿記事で話題にしたいと思います。


サクラサク! ~桜のタンブラー 2018バージョン~

2018年03月18日 | ガラス工芸・サンドブラスト


東京、いよいよ桜開花宣言でましたね。今年はとても早いですね。入園・入学式の頃までお花が持ってくれればいいのですが、こればかりはお天道様にお願いするしかありません。

さてさて、久しぶりに金赤のグラス素材が手に入りました。金赤、つまりピンク色のガラスは、希少な存在になってしまいました。この色を出すために使われる材料にレアメタルが含まれており、レアメタルの暴騰と品薄で、金赤のグラスの製造量も激減、価格が高騰しているのだそうです。

金赤、といえば、もはや、「桜」を彫るしかありません。

サンドブラストの王道的な彫り方は、モティーフ(桜の花)部分に色を残して、背景の色を落とす手法です。
たとえば、こんな感じでございますね。


今回の作品は、金赤の色を尊重したいので、花のほうを立体感が出るレリーフ彫りにして、さらに欲張ってちょっぴり色を残すグラデーションに挑戦です。

実は、背景を残してモティーフを彫る手法、以前、キャンドルホルダーでやってました。
このときは、花弁は簡略化したので、平彫りのような感じになっています。

そして、改良を加えて完成したのがこちら。


花びらのマスキングを、1枚ずつはがしては彫り、はがしては彫り、して花びら同士の重なりの部分を立体的にしていきます。なおかつ花芯の部分にピンク色のグラデーションがほんのり残るようにしなければならず、気が遠くなるような根気のいる作業です。


グラス一面、豪華絢爛の桜三昧です。


上から見たらこんな感じ。グラスの外側を彫るため、内側から見ると、桜の花びらやつぼみがこちらに向かってふっくらと凸に見える、つまり”正しい”立体感になります。お酒を飲むときに内側から見てより綺麗に見えるよう彫る、というのも、また一興かと。



底の部分にも散る花びらを。ふんわりグラデでかわいらしく。


イメージどおりに仕上がりました。時間がかかった分、達成感もひとしおです。この作品だけは門外不出です。面倒すぎてもう2度と出来ないです。(^^;;


アイビーのガラスのタンブラー (緑バージョン)

2017年08月13日 | ガラス工芸・サンドブラスト


アイビー柄のオリジナル・デザインでタンブラーを作りました。

この模様、すでに瑠璃のグラスで作ったことがあります。

アイビーのグラス(ブルー)

季節柄、緑のバージョンも作ってみたくなりました。

うん、この緑色、いい感じ。 みるからに「ツタ!」って感じ。笑



ぐるっと一周、模様が入ってます。タンブラーの形状に合わせて、デザイン画を描いているので
ぴったりおさまってます。



前回の作品から”ひとひねり”しました。飛んでいる(?)ちっちゃい葉っぱ、あえてサンドをかけずに透明のままにして、アクセントにしています。・・・なので葉っぱから向こう側が透けてみえてます。


このグラスは、上部の色ガラス層がかなり薄いです。全体的に同じように彫ったのですが、上から下に自然とグラデーションになりました。

底の部分にも、葉っぱがいます。(グラスを持つ私の手のひらの指紋が透けて見えてる。笑)


さーて、冷たいビールが待っていますよ!(^^)



 


2017 ガラス展示会作品 ~睡蓮とカワセミの大皿~

2017年06月29日 | ガラス工芸・サンドブラスト

今年のガラス展示会の作品テーマは、初夏の出展に合わせて、カワセミのカップルと睡蓮にしてみました。他の出展者さんは植物(花)の作品が多く、いきものを題材にする人はあまりいないので、目先が変わってて面白いかなと・・・。

カワセミのオスは大変愛情深く、好きなメスに自分の捕った小魚をプレゼントするそうです。写真集でカワセミの給餌による求愛行動を見て、なんてキュートでけなげな姿なのだろうと胸が温かくなる気持ちでした。

そこで、今年は、かわいいカワセミちゃんを主役にして、見る人がなんとなくホンワカした気持ちになれるような、ストーリー性のある作品にしてみたいと思いました。

こっちが小魚をプレゼントする男の子。実際のカワセミも、メスが食べやすいように、魚の頭のほうを向けて捧げるそうです。なんてジェントルなのでしょう。

そして、求愛を受ける女の子。

実際のカワセミの羽毛と違い、一色の濃淡でしか表現できないのと、一発勝負で彫りながら描画していくしかないので、出来上がるまでどんな風に仕上がるか想像ができませんでした。

でも、なんとなくイメージどおりに出来たかな~、と自画自賛。(^^)


そして睡蓮。(よくハスと間違われますが、。ハスとの違いは花芯部分とつぼみの形状です)

瑠璃(るり)のきせガラスは、グラデーションがやりにくく、とても難易度が高い色です。

しかも、この器の色層の厚みが均一ではなくムラがはげしく、全体の色をが均一にできなかったところが残念な点でした。

今回の作品は、水面の風景を表現するため、モティーフの周囲のみ色を落として、背景の青を残したところです。結果、賑やかな感じになりました。

大きさは、直径26cmくらいです。左手で器を持ち、右手にノズルを持って彫るのですが、器が重すぎて、腕がすぐに疲れてしまい、休み休み出ないと続きませんでした。

カメラの写し方が悪くて、実際よりも小さい感じに見えていますが、かなり大ぶりの器です。
そうですね、今の季節ですと、そうめん鉢なんかにしたらよいでしょうか。


ガラス彫刻展2017 @ 世田谷美術館

2017年05月28日 | ガラス工芸・サンドブラスト

今年のサンドブラスト教室ハナミズキの作品展示会は、世田谷美術館で開催されました。


砧公園からの涼風が爽やかな、美術鑑賞に最適な気持ち良い季節です。

ちょうどエリック・カール展をやっていて、若いカップルや子供連れの家族で大変賑わっていました。

先生と生徒さん全員で協力して、搬入と会場設営です。

広いスペースで、ゆっくりと観賞できます。
今までは世田谷美術館の分館である清川美術館で開催されていましたが、やはり本館の展示スペースの広さは圧倒的です。

ランプ作品の灯が灯されたところです。

拙作は、今回は4点。でも今回のために制作した新作は1点のみで、あとは過去作品です。
自分の未熟な作品が、ひとさまの目に触れるのは非常に照れくさいものがあります。

こちらが、2017年の新作、「かわせみ」の大鉢です。
睡蓮の花と、私の大好きな鳥さん、カワセミちゃんのカップルを題材にしました。

「水芭蕉」の大鉢。ガラス生地の透明感を活かした、ちょっとメルヘン調なデザインです。

「Big Blue」 海のいきものたちをたくさん連れてきました。

「HOP」 これは初期の作品です。

(・・タイトル、どれもひねりがなく、お恥ずかしい限りです)

展示会は、先生や他の生徒さんの作品を拝見することのできる貴重な機会です。
他の方の作品を拝見することは非常に勉強になり、また励みにもなります。

5日間で約700名の方が訪れて下さったとのことです。

このような素晴らしい機会を与えていただき、本当にありがとうございました!


桜が満開のキャンドルスタンド

2017年04月08日 | ガラス工芸・サンドブラスト

今年は、桜の開花期間が長かったですね。東京は3月24日開花でしたが、本日4月8日はまだ満開から散り始めで、ずいぶん長く花を楽しめています。薄桃色の桜の花びらがはらはらと散って風に舞う光景はなんとも感慨深いものがあります。

ソメイヨシノは、接木で人工的にしか増やせない植物であり、繁殖を目的とした結実のために花を咲かせるのではありません。ただ唯一、人を楽しませるためだけに毎年一生懸命に咲いてくれるのだと思うと、すべての桜が実にけなげで愛おしく思われます。

さて、前回の桜の長皿に続いて、再び、”きせ(被せ)”ガラスに戻り、桜模様の器を作ってみました。


花のところどころに、赤色を残して雰囲気を出してみました。


全周ぐるりと、桜が満開です!

底にも小さな1輪の桜モティーフをさりげなく・・・

この器、どこの国のものかわからないのですが日本製ではなく、あまり出来がよくありません。

この分厚いこと!! 
口がつぼまっているので食器にはあまり向いていませんし、いったい何に使えるのかしら?と思いながらも、値段が手ごろだったのでつい衝動買いしてしまいました。

厚みがしっかりしていて安定感もあるので、キャンドルホルダーにぴったりでしょうか。



あいにく、家に適当なキャンドルがなくて、火を灯したシーンが撮れませんでした。

アロマキャンドルは、猫の健康のために良くないので使いませんし、家の明かりはすべて蛍光灯なので、食卓でキャンドルを灯してムーディな雰囲気を作るということもないのですねぇ・・・

でも、飾る場所もないので、また押入れの肥やしが1つ増えてしまいました。(笑)
しまってしまう前に、100円ショップでキャンドル買ってきて、撮影会してあげましょうね。

 


春爛漫!桜模様の角皿

2017年03月31日 | ガラス工芸・サンドブラスト

全国各地で開花宣言が出ていますね。

桜の開花予想や満開予報がニュースのトピックスになるのは全世界でも日本くらいではないでしょうか。

祝日以外にも1年の間に沢山の歳時のイベントがある日本。
とくに桜の季節は全国の人々が心待ちにしています。

私も桜のシーズンが待ち遠しい、そのひとりです。

大好きな桜モティーフで、日常使いの食器を彫ってみました。

デザインは、私の師匠作のパターンを2つ組みあわせたものを用いさせていただきま

単純な模様だから、楽勝~♪だと思ったら・・・・

完全なる大間違いでした。やってみたら、難易度ハンパなかったです。

サンドブラストを知らない人でしたら、「よくできたんじゃん?」って言ってくれそうですが、いやいやいや・・・。ツッコミどころ満載です。

この画像を良く見てください。左半分と右半分の桜の雰囲気が違うのがわかりますでしょうか。

左側は彫り始めです。五辺の桜を何とか立体的にしようとあがいているのですが、花びらの縁に角度(エッジ)がついてしまって落雁(和菓子)のような感じになっています。

一方、その失敗に気づいて彫り方を変えてみたのが右側です。彫りすぎて上記のようにならないよう意識したため、なんとなく平坦でのっぺりした感じになっています。

そして、いくつか花を彫っていくうちに、花びらの凹凸感がなんとなく表現できてきました。
真ん中の桜、花芯部分、マスクを抜け損ねてチョット失敗してます。ドンマーイ。笑

仕上がってみたら、まあ、いい感じになりました。

お刺身を乗せるのにぴったりのサイズです。

ああ、春爛漫。

桜のぐい飲みグラスとともに、旬を味わうとしますか。