ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

”シンプルで美しい”ということ

2008年05月11日 | ROSE POSYのひとりごと
この写真はなんだと思いますか?

答えは『箸置き』です。

先日、国立近代美術館の『東山魁夷展』を観に行ったときに、ミュージアムショップで一目惚れして求めたものです。



ディスプレーではばら売りしてたのですが、なぜか”2羽いると絵的にさまになるなー”、と2個買ったところ、レジでペア専用の可愛いギフトボックスを用意していてそれに詰めてくれました。

名前がついてました。『Love Bird』
なるほどね、2羽でセットなんだ・・・。



こんなモダンなデザインのものを作ったのはどんな作家さんだろうと調べたところ、森正洋さんという陶器デザイナーさんでした。しかしすでに2005年に亡くなっておられました。1927年生まれだそうですので生きておられたら御年81歳。とても戦前生まれの人が考えた作品と思えません。

森さんが74歳(2001年)のときに立ち上げられたという、ショップがあります。デザインモリコネクション。実店舗・ネットショップともあります。
ネットショップを拝見するとどの食器も、シンプルながらコンテンポラリーでモダンなデザイン。クセが無く飽きずに長く愛用できそうです。

森さんの作品はどれも、シンプルで美しい。究極的に無駄を省いて研ぎ澄まされた近代的なフォルムなのに、なぜか素朴でほっとする。



”Love Bird”に出会って、我に返るような思いがしました。

今の私と言えば、いまだに自分のデザインスタイルというものが定まらず、技巧の探求に明け暮れる日々で、その一貫としてジュエリーCADにはまり、”せっかくだからCADにしか出来ないデザインを!”と肩に力が入って、手作りでは難しい凝った細工のあるようなデザインばかり考えていました。(造形費のことを考えると、どうしても手作りでも出来るようなものはCADで作るのは持ち出しが多くてもったいないって思ってしまうんですよね。特に一点物は・・・。)

しかし、凝っていたり、複雑なデザインが必ずしも愛されるデザインとは限らないんですよね。最近、友人に、”ぽってりして、つるんとした、シンプルなリングが欲しい”、と所望されました。それは私の十八番なんですけど、CADの出番がありません・・・。

『シンプルで、かつ美しい』

私が本来求めていたデザインはそうではなかったのだろうか?と考えさせられるものがありました。

そうそう、東山魁夷展は素晴らしかったですよ。生誕100年記念ということもあって、あれだけの大作が一堂に会することはもう今後ないでしょう。5月18日までやってますので、まだの方はぜひ観に行ってください。次回はちょっと東山魁夷について触れようと思います。