ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

作風って必要ですか?

2008年05月12日 | ROSE POSYのひとりごと
東山魁夷 『緑響く』

東山魁夷展を観に行った話のついでネタです。
ROSE選ミニミニ展覧会も兼ねて・・・。

おそらく、彼の展覧会は私のこれからのジュエリー制作人生に大きな影響を与えたと言っても過言ではないので・・・。


東山魁夷 『山嶺湧雲

東山魁夷は、1908年に生まれ、1999年に没した画家です。
展覧会に行くまで私が知っていた彼の画風は、青とか緑を基調とした、深遠で幻想的な、メルヘンチックでさえある仮想風景でした。多くの人はその”青+白馬+幻想”で彼の名前を知っているのではないでしょうか。


東山魁夷 『白馬の森』

ところが、わかったことは、彼は常に激しく作風が変わる人であり、一般の人のイメージする東山スタイルは、ほんの短い時期の作品群だったのでした。


東山魁夷 『道』

彼が画壇の人として注目されるきっかけとなったのは、この”道”という作品です。その頃は、彼の視点で素朴にあるがままの情景を描いていました。ところがその後、彼は死ぬまで、洋画、日本画、墨絵、といったありとあらゆる技巧に挑戦し、国内外を旅しながら、そこで見たものを題材に様々なテーマに取り組みました。おそらく、無名の絵を見たら同じ彼の作品とは思えないようなものも沢山あります。


東山魁夷 『行く秋』

死ぬまで絵を描き続け、そして死ぬまで画風が変化しつづけた画家。人の好みはそれぞれ。彼にはありとあらゆる沢山のスタイルがあったからこそ、”私、東山の絵って嫌い!”という人はまずおらず、鑑賞者にあまたの選択肢を与え、ゆえに万人に愛され続けているのではないだろうかと思いました。


東山魁夷 『花明り』

東山展では大勢の鑑賞客がひしめいてましたが、皆それぞれ好き勝手なことを言い放ってました。絵によっては、”下手だねー”、”ひどい”、”これも魁夷?”などという声もしばしばでした。人の好みはそれぞれですから、画家の激しく作風が変わることで、観るほうの受け取り方も当然変わるものです。


東山魁夷 『北山初雪』

私も、自分のデザインのスタイル(作風)というか方向性がいまだに定まらなくて悶々としていたのですが、東山展を観て、スタイルなんて一生定まらなくたってよいのではないか?と思えるようになりました。その時々に感じることや”内なる声”を聞いて造りたいものを作っていけばいいんじゃないか?と・・。


東山魁夷 『冬華』

『あるがままに・・・。』

素敵な言葉ですね。全国のクリエーター、アーティストの皆さん、頑張りましょうね!


東山魁夷 『宵桜』