ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

立体の曲面に図柄を描く

2013年04月29日 | ガラス工芸・サンドブラスト


過去の課題作品のご紹介はここでちょっと休憩しまして、時計をリアルな時間に戻します。

ガラス工芸をはじめて、早1年半が経ち、はじめての大きな作品の制作に着手することになりました。写真の花瓶を使った作品に取り組みます。高さ23cm、開口部の直径14cmで私からすればかなりの大物です。

きせガラスに図柄を彫る場合、描画済みのマスキングシートを貼って、ラインをナイフでカットし、カットしたパーツをはがしながら彫っていきます。


(私の通っているお教室ハナミズキさんのWeb掲載写真を借用)

上記のようにまっすぐなグラスは簡単ですが、ボウルやお茶椀などの場合、四角のマスキングシートに普通に絵を描いて貼っただけでは、図がヨレたり歪んでおかしな構図になってしまいます。

小さいグラスなどはマスキングシートを伸ばしたり、切り込みをいれてシートを曲げたりしてなんとか図柄を配置できますが、こうした大きいものだとそうもいきません。

そこで、立体の展開図を作って、その上に図案を配置する必要が出てきます。

上の花瓶の場合、ラッパのような開口部のところは、展開図面が必要になってきます。 さて、円錐台の図面を引くには、数式が必要になってきます。ピタゴラスの定理?相似?ルート?積分? 数字に弱い私はもうお手上げです。

そこでひらめいたのが、CADソフトの活用です。ジュエリーCADも、もうすっかり忘却のかなたとなってしまいましたが、Rhinocerosは、幸いWindwos 7でも対応していましたので早速、再インストールしました。もうほとんど覚えてないし・・・・。久々の裸のライノ使いです。

まずは花瓶の開口部の上から3段階の高さで円周を巻尺で測り、なだらかなカーブをもつ円錐台を描きます。(3つの円から出したカーブを回転させてサーフェスを作る)

次に、サーフェスを切り開いて展開図を作るコマンドを実行します。

このコマンドは、リングなどの曲面を持つオブジェクトに文字やロゴを配置したいときに便利ですが、ジュエリーCADをやっていたころは使ったことがありませんでした。いやはや、このコマンドを今使うことになるとは思いもよりませんでした。

Rinocerosはいろいろなファイル形式に対応しているので、イラストレーター形式(ai)に変換します。 こちらが、イラレでファイルを読み込んだところ。A4のアートボードだと、ちょっとはみ出ますが、切り貼りするので問題ありません。

この扇状の中に模様を描いていけばいいということになります。

道具は使いようですね。


ヴァンクリのジュエリースクール at Tokyo

2013年04月29日 | ジュエリーよもやま話

 

今日、TBSで『~ワンランク上の贅沢~ 美と知を満たす大人の学校』という特集番組をやっていました。途中から見たので全容を知らないのですが、比較的、富裕層の成人を対象としたおぼしき、いろいろな習い物を紹介していました。金継ぎ工芸、ワインスクール、音楽サロン、そして、最後に、お!っと目を引くトピックがありました。

レコール ヴァン クリーフ&アーペルのジュエリースクール

フランスのパリを本拠に置くハイジュエリーのブランド、ヴアン クリーフ&アペールが2012年に創設したジュエリースクールの紹介でした。 宮殿のような豪華な校内で行われるセレブリティなジュエリーの授業について紹介されていました。 テレビをそのままカメラで写したので不鮮明ですが、とりあえずスナップショットを並べておきます。


 







ジュエリーの芸術史、原石の世界、サヴォアフエール(制作体験)を学びます。
このスクールには世界中から生徒が集まるようですが、テレビを見る限り、参加者は、品のいい奥様や良家の子女といった風情の方々ばかりで、学校というよりは贅沢なサロンといった雰囲気でした。

どうも若者や職人志望がパリの一流の宝飾制作技術を修行に来る場所ではなさそうです。富裕層の奥様やご令嬢がなさるお仕事としてジュエリーデザイナーやジュエリーサロンを営むというのはよくある話なので、そういう方々がステータスをつけるために学ばれる場所なのかもしれません。

通常はパリで行われているこれらの授業が7月17日から7月31日の2週間、日本(丸の内・東京ステーションホテル)で実施されるそうです。 9講座55セッション(1講座につき4時間程度。60,000~80,000円)から興味のあるものだけを受講できるようです。平日の昼間にこんな高い授業を受けられる方って、うらやましい限りです。これぞ、『大人の学校』ですね。

サイトをチェックしてみたところ、すでに満席になっている講座もあるようです。

興味のある方のためにURLを貼っておきます。

パリのレコールの紹介 (ゴージャスな動画・画像が見れます!)
http://www.lecolevancleefarpels.com/jp/presentation/
日本の特別講座の紹介
http://japan.lecolevancleefarpels.com/jp/




ユリの赤いタンブラー

2013年04月26日 | ガラス工芸・サンドブラスト

 

先週の土曜日、すみだガラス市にいってきました。 ガラス教室の先生にお供させていただきました。急に寒の戻りが来て、4月も下旬というのにあいにくのお天気でしたが、朝からかなりの人出で、 ”うすはり”グラスのブースには会場入り口からブースまでとても長い行列ができていました。うすはりは最近、大人気ですよね。 金麦、一番搾り、サッポロなどのビールのCMでも使われていますし、飲食店でもうすはりで出すところが多くなりました。電球をつくる技術で作られているそうで、究極に薄くて軽くて、シンプルな器で、飲み物や食べ物を美味しく見せてくれます。

さて、私たちのお目当ての被せガラスの生地のお店は2つしかなく、そのうち1店は大混雑でした。国内で被せガラスを生産している工場はバブル以降、廃業が相次いで、現在、数社しか残っておらず、そこで作られた製品を日本のすべての江戸切子の職人やサンドブラストの作家が利用するわけですから、完全に売り手市場です。

会場に来ていたお客さんたちの会話では、年々、出物が減り、掘り出し物もなく定番商品ばかりだそうで、面白くないと言っていました。それでも普段買うより安いから、とりあえず買っておく、ということだそうです。たしかに、売られていた被せガラスの生地の色や形のバリエーションは限られており、”あるものを使うしかない”状況のようで、半製品を利用した工芸というのは、作品が生地に制約されてしまうのがなんとも歯がゆい気がします。

すべての産業に言えることは、競争のないところに進歩はありません。競争があるからこそ、作り手は切磋琢磨し、意匠や工夫に努力し、よりよいモノづくりができていくものです。千年一日、同じものを作り続けて慢心しているといずれは人々に飽きられ、産業全体が衰退するのが鉄則です。素材に頼らざるをえない工芸は今後シュリンクしていくしかない運命なのかもしれません。こうした衰退しつつある日本の伝統工芸は、チェコやムラノのように無形文化遺産として国が支援して守るべきだと思います。

さて、相変わらずブログの更新が遅れておりますが、撮り溜めておいた課題作品を粛々とアップさせていただきます。

今回の課題は、『ユリ』です。 赤い生地は、前回の青(瑠璃)に続いて、難易度の高い色だそうです。色の生地に粘りがなく、油断しているとあっという間に色が飛んでしまいます。

恒例、手で持った感じ。 

もう少し、ハイライトをはっきりさせられたらよかったですが、欲をかくと失敗しそうなので、
なんとなく出来たかな?、といったところで止めました。
サンドブラストは、手を加えれば加えるほど良くなっていくものでもなく、ある種の潔さが必要で、手の止め時が難しいところです。

 


ベゴニアの青いタンブラー

2013年04月06日 | ガラス工芸・サンドブラスト

爆弾低気圧が通過中ですね。東京も午後からずっと雨です。これから嵐になるのかなぁ。
どうか被害が出ませんように・・・。でも、平日の通勤時間帯でなくて週末でよかったです。


さて、本題です。ガラスネタです。
被せガラスに使われる色の中でも、サンドブラストを施す際に難易度が高いとされているのが、瑠璃色(濃いブルー)と赤だそうです。

色ガラスは、その色を出すために使われる原料がそれぞれ異なるため、ガラスになった際の粘度や硬度などが異なります。そのため、どんな色でも同じように彫ればいいというわけではなく、その色のガラスが持つ特性を理解した上で、微調整をする必要があります。

といっても、口で言われても違いはよくわかりません。初心者にとっては、とりあえず、自分で使ってみて、それぞれの色ガラスの特性を確認するという目的での試行錯誤しかありません。

今回は、前回よりも大きめの、瑠璃色のタンブラーをつかって、課題のベゴニアの花を彫りました。


(いつも手で持ってかざしているのは、作品のサイズを把握していただくためです)

先生に、この色は油断してるとあっという間に色が飛んじゃうから気をつけてね、とアドバイスをいただいたので、砂の圧力を小さめにして、少しずつ慎重に根気よく削っていきます。

それでも、部分的に極端に白くなりすぎたところが出来てしまいました。あともうちょっと削っても大丈夫だな、と思った瞬間に、サッっと色が飛んでしまい、”しまった!”と思ったときは遅かりし、というわけです。


今回の作品も、まあなんとか素材をボツにしなくていいレベルで終了いたしましたが、反省点はいろいろあります。 

先生いわく、仕上がりの違いは作る人の個性だから、これが正解というものはないとおっしゃいましたが、今は自分の意志で仕上がりをコントロールできていません。なんだかよくわからないけど無我夢中でやっていたら、なんとなくできた、ああ失敗しなくてよかった、というようなレベルです。

自由自在に自分思い通りに濃淡や強調が表現できるようになるには、まだまだ遠い道のりです。




ビタミンカラーのティアドロップ・フープピアス

2013年04月06日 | ジュエリー作品&試作品


先日、フープピアスが黒くなった話を書いていたら、またフープピアスが作りたくなりました。
今回は、ビーズショップで買ったフープパーツをちょこっと改良して使っています。 

濃淡が楽しいオレンジの石は、カーネリアンです。連で買ったときにすでにいろいろな色が含まれていました。
間にゴールドビーズを挟みながら、フープに巻きつけていきます。

真ん中のドロップカットの石は、グリーンフローライトです。オレンジとグリーンってベストマッチですね。

やさしい色合いだけれど元気が出るビタミンカラー。着けているだけで楽しい気分になれそうです。

それと・・・・、最近、自然光の下でジュエリーを撮影するのが気に入っています。
ちなみに私は、蛍光灯の下で撮るときはマクロに強いコンデジを使いますが、自然光で撮る場合は、一眼レフカメラを使っています。


あれ?黒くならないはずが・・・

2013年04月04日 | ジュエリーよもやま話

まずお知らせです。コメントの承認制を解除することにしました。世の中にはいろんな人がいるんだと割り切って、心をオープンにしてネット社会とつきあっていきたいと思います。ただ、私が不快に思うコメントは他の方が見ても気持ちがいいものではないと思いますので、見つけ次第、そっと削除させていただきますね。これからもよろしくおつきあいください。

前置きはこれくらいにして・・・。
かなーり昔の話になりますが、このブログで、黒くならないシルバーというものを紹介したことがあります。

具体的には、Argentium Silverという商品です。
このシルバーを使って、やはりかなーり前に作ったのがこちらのピアスです。
こちらの記事で紹介しています。



(太いフープの部分がそれです。ピアス金具は普通のシルバー。ビーズを巻きつけているワイヤーはアーティスティック・ワイヤー) 

作ったのは2009年ですから、あれから3年くらいヘビロテしましたが、一向に黒くならないので、さすがはArgentiumだわねー♪と喜んでいました。・・・・ところが、最近になって久しぶりに着けようと取り出してみると・・・・

あれれ???

真っ黒け!最後に着けてから数ヶ月も経っていないのに突然どうしちゃったのかなぁ??
知らぬまに変色してしまいました。

仕方ないので、シルバー洗浄液につけましたが、黒いのはなんとかとれたけど、
元の輝きには戻りませんでした。 研磨クロスで丁寧に磨いたらマシになるかしら・・・。



Argentiumといえども、限界があるのかもしれない、ということに3年かかって気づいた次第です。
以前の投稿記事、”3年くらいは黒くならないシルバー”って書き換えないといけないのかな。

でも、3年間もお手入れしないで済んでたわけで、それはそれで凄いことだと思います。


カトレアの一口ビアグラス

2013年04月01日 | ガラス工芸・サンドブラスト

仕事が朝から晩までパソコンとにらめっこのため、帰宅後や週末までパソコンを開くのが億劫で、ブログもついサボリ気味になります。 そもそも、根がソーシャルでない人間が社会とつながるためにブログをやるっていうのが無理があるんだと思います。(笑) でも、春なので、なんとなくだらけた自分に渇を入れたい気分になりまして、ブログ再開です。

ガラスもアクセサリーも自分のペースでぼちぼち続いています。 特にガラスは、毎週まじめにお教室に通っていたので、課題のカリキュラムはひととおり終わってしまいました。今年から、月2回にペースダウンしてのんびり好き勝手に作品に取り組んでいます。

夏には、お教室初の展覧会が開かれます。他の生徒さんはランプなどの大物に取り組み始めており、まだ素材と図案が決まっていない私は、少々焦り気味です。

さて、とうとう、被せガラスを彫り始めました。これまで課題や課題外でつくりためた作品をぼちぼちアップしてみます。残念ながら写真を撮る前に人に差し上げてしまったものもあり、全部とはいかないのですが、つたない作品をご紹介させていただきます。

被せガラスとは、ガラス地にさらに色のついたガラス層を薄くかぶせたものです。つまり、色の違うガラスが二重以上重なっている素材です。江戸切子や薩摩切子の生地として、日本の伝統工芸として受け継がれています。
生地表面に砂を吹きかけて、色を削り落としていき、図柄を完成させていくのが『段彫り』という技法です。

記念すべき、はじめての段彫り作品は、一口グラスに咲く大輪の『カトレア』。

 

花びらのグラデーションがふんわりと優しい雰囲気に表現できたかなと思います。



紫色は、私の大好きな色です。

ビールを飲む器として一口グラスを好む人は多いですよね。
でも、私はおおぶりの陶器のタンブラーで豪快に飲むのが好きです。