ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

桜珠 Re-Photo

2008年03月31日 | ジュエリー作品&試作品
時が経つのは早いもので、このブログを初めてかれこれ1年近く経ちました。飽きっぽい私が、よく続いたなと自分でも感心してしまいます。好きなジュエリー制作の話題がメインテーマだから続けられたのかなとも思っています。

食わず嫌いから、”ブログなんて私には無用のもの”だと思っていました。今は自分の作品や考えを発表できる素晴らしい場所だと感じています。ブログ開設を勧めてくださったラヴァーグの校長先生に感謝しています。

今まではただ漫然と我流に作って自己満足して終わり、作った作品も誰の目も触れずに引き出しにしまっていた自分が、つたなき作品ながらブログに公開することで、多くの方から暖かいコメントをいただくようになり、制作への取り組み方も変わり、さらに探究心が旺盛になった気がします。

その、1年前に初めてブログに掲載した作品のタイトルが、”桜珠(さくらだま)”でした。あの作品だけは誰にも譲らずに、ずっと手元に持っていました。技術的にはなんてことないのですが、オリジナルな一点物作品としては、『他に無い』という意味で、自分では満足のいく作品だったので、はじめてのブログ投稿に掲載した作品です。

初めてブログに作品をアップしたときの写真をもう一度ご覧ください。初めて手にしたコンパクトデジタルカメラで撮ったものです。メカ音痴が災いして、取説も読んでも用語がさっぱりわからないので、いろいろな機能があることも知らずにただ”Auto”モードで撮ったものですが、やはりいかにも難ありな写真ですね。 

上下の写真は、1年前と同じカメラで撮影したものです。(そのデジカメはいったん壊れましたが、直してもらって今も健在です。)そして撮影の小道具に使った桜の花も、去年と同じ公園の桜からいただいてきたものです。



カメラが苦手だった私にもこの1年で少しは進歩があったでしょうか・・・。



ずっとしまってありましたが、東京の桜が散る、来週末あたりから恵比寿のアリージュエリーさんに展示させていただくことにしました。また手元に戻ってきてほしい気持ちもあって、あえて誰も買わないであろうお値段をつけさせてもらいました。(笑)

花見シーズンは終わっても、この”桜珠”でもう少しだけ、春気分をお楽しみいただければ幸いです。

御徒町で出会ったコト

2008年03月30日 | ジュエリーよもやま話
先週の金曜日の夕方、久々に御徒町に買い物に出かけました。私の行きたい店がある方向の路地のすべてが黄色いテープで封鎖されて警官が物々しく立っていて先に行くことができません。事件の現場となったお店がすぐに特定できるほどそのあたりは騒然としています。刑事や鑑識らしき人たちが出入りし、周囲にはパトカーが何台もいて、ヘリも飛んでいました。後で知ったのですが、ジュエリーショップを5人組の包丁を持った強盗が襲って2000万円相当を奪ったそうです。(速報と動画はこちら

・・・平日の御徒町のジュエリータウンってわりと閑散としてるんですよね。ショップはどこもガラガラで暇そうにしてるし、活気だけでなく緊張感もない感じで、犯人もこの状況を知っていて襲ったのでしょう。それにしても4時ごろといえばまだ明るい時間なのになんという大胆さ!店員さん、刃物突きつけられながら、目の前でショーケース割られて、根こそぎ商品もっていかれて、すごい恐怖だったでしょうね。

不思議なのはこの事件のメディアの反応です。夜のTVニュース番組ではどこの局もこの事件の報道をやってませんでした。白昼堂々、繁華街の宝石店で2000万相当も盗まれて、犯人逃走して捕まえられなかった、なんてルパン三世みたいな話なのに・・・。

さて、私が御徒町に到着した頃は、現場検証中だったようですが、おまわりさんに道を通してもらって、無事に買い物は済ませられました。しかもその店の1年にたった1度だけのセールの日に偶然来合わせた超ラッキー!

その後はシーフォースという工具屋さんが新しくジュエリーCADの最新の光造型機のショールーム(支店舗)?を作ったとのことで、さっそく見に行きました。カッコイイお兄さんがジュエリーCADでデザインをする様子がウィンド越しに見えます。パソコン画面がこちらを向いているので、いわゆるデモってやつですね。ソフトは3DESIGNでした。すごい楽しそう・・・♪ワタシも3DESIGNいじってみたーい・・・。お兄さんが後ろ向きなのをいいことに、ガラスにべったり貼りついてじぃーっと操作の様子を見入ってしまいました。

お店はすでに業務終了していたようでしたが、ずうずうしく中に入れてもらって、いろいろとお話をうかがってきました。この光造型機で造形した樹脂を見せてもらったのですが、いわゆる樹脂の表面に出来る”CAD目”つまり、ガタガタした積層の跡がなく、つるんとして光沢さえあるとても綺麗な肌でした。これならCAD目を綺麗にしてからキャストに出すという手間がいらないし、しかも従来の樹脂と違って、新しい樹脂は直接鋳造できるそうです。

切削機やこれまでの光造形機だと、造形したワックスや樹脂の積層の表面の処理(ギザギザをとる)作業が面倒なんですよね。でもこのひと手間をかけないと、地金になってから綺麗にするほうがもっと大変です。その面倒な作業が省けるというのは朗報です。

というわけで、今日のワタシ的御徒町訪問は、強盗事件後の現場に遭遇して、年に一度のセールに当たって、最新式の光造型機に出会った、興奮のひとときでした。 

   


~早すぎた春~ 桜さんよ、今年は早いですのう

2008年03月27日 | ジュエリー作品&試作品

いやー、東京の桜も見事に咲いてしまいました。開花は平均より2日早い程度とのことでしたが、開花宣言から見頃になるまでがあっという間でした。上野公園ではもう7~9分咲きとのこと。おそらく、今週末から来週にかけてはお花見行楽のピークでしょうね。 

ROSEは大勢でワイワイやる宴会があまり好きでないので、今年もいつものようにツレと近くの公園の桜の木の下でワインを飲みながら本を読んで静かに過ごそうと思います。デザインノートももちろん持参ですよ♪

  

桜ってすごいですよね。同じ場所の桜の木はだれもフライングせずにみんなで『イッセーノ!』って一斉に咲きだして、『はーい、おしまい!』と一斉に散るのが、前から不思議だったのです。場所によって微妙にそのタイミングが違ったりするけど、場所ごとにリーダー格の木が咲くタイミングをみんなに合図して、すると隣の桜が『リーダーが咲けってさ』ってそのまた隣の人、いや木に伝える。桜の木は、きっとなんらかの情報伝達手段を持っているに違いない!

なぜ桜が(しかも同じ地域の桜の集団が)一斉に咲くか?なんて真剣に考え込んでるのは私だけだと思ったら、Googleで『桜 なぜ一斉に咲く』で検索したら、実にいっぱいでてきます。『ソメイヨシノは同じ遺伝子を持ったクローンだから』、などという説が有力のようです。(でもなぜクローンだと隣接した桜が一斉に咲くのかまだ私は理解できません。)

公園や街路樹の桜の多くはソメイヨシノですが、これは江戸時代に二種類の桜を交配させて作られたクローン植物で、自然に種ができないため自分の力では子孫を増やすことができないのだそうです。ソメイヨシノはたった1本の最初の木をルーツとして接ぎ木とかで人工的に繁殖させたので世界中のソメイヨシノの木はすべて血が繋がった親子。そして、ソメイヨシノの花は、まさに人の目を楽しませるためだけに咲いている。人は、かわりにソメイヨシノを接ぎ木で増やしてあげる。人とソメイヨシノは切っても切れない関係なのです。・・・・・はかなくてせつないお話でした。



いつもは、桜を見てから、桜モチーフで何かつくろうと考えるのですが今年は桜が咲く前に、桜にちなんだジュエリーを何点か仕上げるつもりでした。でも、いろいろと”別件”があって、とうとう間に合いませんでした。

ジュエリーCADで2点、あと1点は手作り中です。手作りはさすがに途中経過は見られたものではないのでとりあえずCAD作品から、完成してないけど、さわりだけ、ご紹介です。北海道で桜が咲く頃にはみんな出来上がってるとよいなー。(^^)

上の写真はそのひとつです。CADでさくっとつくりました。


ワックスの状態です。
鋳造が出来た頃にゃ、桜は散っておるわい。

このリングはデザイン的にも技巧的にも何の芸もないシンプルなリングですが、今回のお題は『色遊び』です。
色のない世界のシルバーに石以外で彩りを施してみたいと思いまして、エンボスした模様の回りにエナメル風に樹脂を流してみるという”実験のために作ったテスト用モデルです。

この程度の簡単なものでも規則的な模様で段差のあるものを手で作ろうとすると大変なんで、ジュエリーCADに助けてもらいました。
ジュエリーCADは、手作りだと大変な、正確な文字フォントとかロゴ、連続模様なんかを曲面に載せる作業は得意中の得意です。私の記念すべき初作もロゴ入りリングでしたしね。

今までやれなかった(やりたくても技術的に出来なかった)ことがCADによっていろいろ実現出来るようになり、いろいろ遊べて楽しさ300倍です。

  


よい製品とは、優れたアフターサービスを提供している製品である

2008年03月26日 | ROSE POSYのひとりごと

今日はちょっとジュエリーの話をはずれてしまいます。ジュエリーブログと謳っているのであまりテーマからはずれたくないのですが、ジュエリーにおける『ものづくり』と共通点がたくさんある、”ソフトウエア”について取り上げたいと思います。

ライノセラスでジュエリーCADを学んでいる中で、最も悩まされるのが”ブール演算”です。上の画像は、前にも書き込みしましたが、私がよく遭遇する、『おばけサーフェス』つまり、ブール時に意図しないおかしな面が張られてしまうトラブルの様子です。

私の通うラヴァーグジュエリースクールでは、違うやり方でエラーを回避する方法をいろいろ教えていただいたのですが、好奇心旺盛なROSEYは、そもそもなぜそうしたエラーが起こるのか?なぜお化けが出るのか?もっともっと原理を詳しく知りたくて、ライノセラスの日本総販売代理店のアプリクラフトさんに、サポートを要請しました。

私がまずライノセラスを買ってびっくりしたことが、ユーザー登録をするとメールで日本語サポートを回数制限なしで無料で受けられることでした。パッケージ・ソフトウエア業界の常識では考えられない手厚いサービスです。

  

たいていの一般的なソフトウエアは、サポートにはお金を取られます。インストール時のサポートは無料なところもありますが、たいていは
『1インシデント(1案件)○円』といった感じで、質問1つあたりいくら、で払うか、あるいは年間サポートを契約して一括で払う仕組みが普通です。

世界最大の某ソフトウエアメーカーでは、大企業向けのサポートサービスとして、障害やバグを報告すると、エンジニアがサイトに駆けつけ、一般公開されるよりも早くバグのパッチを作ってお届けするプレミアムなサービスを提供しており、そのサービスに年間何千万円も払ってる企業があるんです。”バグ”っていわば欠陥じゃないですか。欠陥をネタに金取るのか!って思います・・・。



ライノセラスは、コンシューマー向けではないとはいっても、インダストリアル系では相当なライセンス数が出荷されていますし、私のような初心者の質問は答えてもらえなくてもしょうがないとダメモトでメールをしてみました。すると、数日後にアプリクラフトのライノサポートチームから、びっくりするほど長文の丁寧な回答が送られてきました。

しかも、障害を起こした私の制作データを使って、解説のための画像や、参照すべき情報ソースなどもたくさん添付されてきました。
以下が送っていただいた解説補助用の画像の一部です。
説明なしでは何の画像だかわけわかんないと思いますが・・・。

 





私のデータをかなり緻密に診断してくださり、いったいどの段階でどうしてそうなったか、またどうすれば解決できるかが、明確に示されていました。しかも専門的用語を極力避けて、わかりやすい言葉で説明いただけたので、よく理解することができました。正直、あまり期待していなかっただけに。個別コンサルティングともいえる厚遇に、大感激でした。

メールでいただいた説明のほかに、英語ですがノウハウ満載のWiki情報などの参考情報のありかも教えていただき、これらもとても参考になりました。ここまで親切にしていただいて、アプリクラフトのライノサポートチームの皆さんには本当に頭が下がる思いでした。

要するに、ライノセラスのバグではなく、ライノの特性と制限事項を私がよく理解していなかったために起こったトラブルなのでした。ソフトウエアは人間が作るものなので、人間と同じようにクセもあるし苦手なこともあるし、抜けもあるし、キレることもあるのです。”この人はこういうことを言うとキレる”、という法則性がわかっていれば、すべてがつつがなく進行するわけです。

  

コンピュータ・ソフトウエアというのは、その進歩と向上のペースつまり、アップデートの頻度が速ければ速いほど、サポートレベルの高さがそのソフトの完成度といっても過言ではありません。どんな高機能のソフトウエアでも、サポートが悪ければ価値は半減します。

よいソフトウエアの評価基準は、見た目のかっこよさや便利さ、機能面だけではありません。売った後、ユーザーが困っているときにどれだけ支援できるか、そして障害時のアフターサービスが万全である、ということがとても大切です。

IT業界だけでないと思いますが、ハードでもソフトでも、新規購入を検討するお客さまはすぐにマルバツ表(スペックや機能の比較表)を作りたがります。しかし、機能と価格だけで選んだお客さんは大抵、その買い物に失敗しています。鳴り物入りで登場した商品なのに採算が取れないからといって、あっというまに撤退し、短期間でサポートも終了、造りっぱなし・売りっぱなしという、”乱開発”は後を絶ちません。

繰り返しになりますが、ソフトウエアはアップデートの頻度とサポート体制が真のクオリティといえます。長年ユーザーを大切にする哲学を持っている企業の証拠であり、おそらく買って正解と思います。


(★告白★ ROSEは大学卒業後、12年間システムエンジニアとしてソフトウエアの開発をしておりました・・・・。今は完全に足を洗っております。)



ワックスの道具を見直してみました

2008年03月23日 | ジュエリーよもやま話

今日はジュエリー制作の道具についてのお話です。

上の写真は、私がもっている『スパチュラ』のセットです。スパチュラとはワックスを削ったり盛ったりして成形したりするための道具で、もともとは、歯科医師や歯科技工士さんが使っていたものをジュエリー用に流用したものです。


 
ルーツが医療用なので、いったいどうやって使うのか?ナゾの形状のスパチュラもあります。(上のものは使う場面が思いつかない。)

これらのスパチュラ、実はと言うとROSEはどれもほとんど使っていませんでした。アルコールランプを使っていた頃は多少使っていたくらいで、今はワックスペンを使うようになったので盛り作業には使わなくなりました。一方、削るタイプの形状のものは、刃なんてついてんだかついてないんだかわからない位、切れ味が悪いしバリもあって使い物にならず、これらは最初から使わずじまいでした。

後で知ったのですが、私が購入したスパチュラは、買った状態のままでは使えないものだそうです。一度焼きなまして、刃を研いでまた焼入れするという作業が必要だそうです。

・・・・どうりで良く切れないわけだー!そんなことは、常識なのかもしれませんが、初心者ではわかんないですよ。。。独学の限界とはこういうところにあることを痛感した次第です。

自分でいちいち刃を砥いでヤキを入れるなんて、面倒くさーい。私は鍛冶屋さんじゃないのだー!・・・というわけで、これらのスパチュラはあえなくお蔵入り。(ちなみにマイ包丁はちゃんと砥石で研いでますよ。包丁の切れ味は料理の命ですけん。)

スパチュラなんぞ無ければ無いでなんとかなるもんで、ROSEのワックス成形の道具は、ヤスリとキサゲだけ、というスーパー我流で何とかこれまでは事が足りてました。(^^;;;それはそれで凄いことかも。(笑)

ところが先日、ラヴァーグの校長先生のブログを読んでいた時に、ROSEのハートをギュギューっと猛烈にわしづかみにしたものがありました。国際宝飾展で紹介されていたものだそうです。

じゃかじゃーん!超高級なスパチュラセット!



すでに鋭利な刃がついており、焼入れ済みなのですぐに使い始められ、メンテナンスもほとんど要らなそうです。みるからに”プロの道具”っていう感じのたたずまいです。スパチュラ7点(14種)のほか、使い勝手のよさそうなヤスリとワックスカッターもついています。

値段を聞いて一瞬のけぞりましたが、迷わず買ってしまいました。

このセットには、なんとDVDがついています。
60分の実演ムービーと、174ページの解説書のPDFファイルもついています。

このムービーがすごいのです!プロのワックスモデラーが、60分みっちりとワックス原型の制作工程を見せてくれます。画像はちょっと汚いですがコンテンツとして素晴らしい!

道具の使い方だけでなく、削り方の細かいテクニックまでわかります。工具の種類を示すキャプションが英語で出てきますが、セリフは一切なく、プロの職人さんがワックスを彫り上げていく映像がノリノリ♪なラテンのBGMとともに淡々と流れていきます。あれよあれよと手元の動きを追っているうちに1時間があっという間に過ぎてしまいます。



この人がまたえらく器用で、驚くほどサクサクと短時間で綺麗に作っていくので、この道具さえあれば魔法のようにうまくなれる錯覚さえ起こります。

またこのDVDは、とくに『裏抜き』の作業に非常に長い時間を割いています。裏抜きはとても重要な工程ですので、この教材を作った人は目の付け所が良い!と感じました。


特に裏抜き工程は丁寧に見せてくれます。
(ちなみに上記は、”電灯の下でワックスの厚さをチェックしましょう”
と言っている。この60分のムービーで唯一のメッセージでした。)

添付のマニュアルも、基礎の基礎から丁寧に図解しながらステップBYステップで説明するもので、このままスクールのテキストになりそうな高度に完成された資料です。


しかも、このセットの道具はプロが見極めたワックスモデリングの工程で必須・有用な形状だけを集めたものですので、私が買ったような、『これどういう時に使うの?』と悩んでしまうような無駄なツールはついていません。

通常のスパチュラセットは数千円で購入できますので、定価18,000円は高いかなーと思うかもしれません。でも、このセットの価値の半分以上は、この教材にあるといっても過言ではありません。自習教材の素晴らしさを考えると、超お買い得といってもいいと思います。

このセットは、プロはもちろんのこと、特にこれからワックスモデリングを始める人にピッタリなセットだと思います。なにせ丁寧な教材がついていますし、これだけ良い道具ならずっと先々まで使えますから、絶対に損はしないでしょう。

ちなみに、私は学校経由で入手しましたが、東急ハンズさんやシーフォースさんの通販でも買えるようです。
商品名は『SEIL Wax Carving Tool Set』です。

最初からこのスパチュラセットに出会えていたら・・・・。

試し削りしたところ、サクサクと気持ちよく切れてとてもいい感じです。いままでのスパチュラはなんだったんだ~!?
これからの作品は、このセットを駆使してガンガン削っていきますよ~!

ジュエリーCADももちろん楽しいのですが、良い道具を手に入れてますます手作りの楽しみが増えてしまいました。


古きよき時代のプラチナ

2008年03月22日 | ジュエリーよもやま話
ワールドビジネスサテライトを見ていましたら、突然、衝撃的?!なCMに出会いました。

読売新聞と全日空とプラチナ・ギルドインターナショナルの3社がタイアップしたCMなのです。

名づけて、フレンドシップ・プロジェクト。
http://www.tv-tokyo.co.jp/fsp3/

定年間近の夫婦のちょっとした感動エピソード風に展開されるシナリオは、あからさまに無理矢理すぎて思わず『ププッ』と笑えてしまいますが、その古典的ストーリーの臭さが逆に新鮮だったりします。大和田信也が真顔で妻に感謝するオット役を演じていることすらシュールなCMで、私はなにげに好きです。

それはさておき、飛行機の中で、オットが妻にこれまでの感謝の印として、『若かった頃には買えなかった』プラチナのリングをプレゼントすると妻は感極まって泣いてしまうわけですが、これがANAだけのCMなら、『あ~、熟年夫婦のノスタルジーよねー』という良い感じなのですが、プラチナ・ギルド的にははたして需要喚起になっているのか、はなはだ疑問でした・・・。

この世代のオトーサンたちが高度成長期にバリバリ働いていた頃には、プラチナはすでにOLさんでも頑張って働いて自分へのご褒美に買えるようになってました。すでにこの団塊の人たちは20代にして、デビアスさんご推奨の『お給料の3ヶ月分』でプラチナ台のダイヤ、婚約指輪に買ってましたでしょう?(笑)

そして、バブル時代に突入。夕方のテレビ通販なんかで、奥さん達は旦那の留守にお茶の間おせんべいかじりながら『プラチナ台1ctフルエタニティダイヤモンドリングが超お買い得!!!』なんかに食いついてるわけで、うちのオカンも、フツーのサラリーマンの妻でしたが、しょっちゅうオトウにナイショでへそくりでダイヤやPtのジュエリー買いまくってましたわ。(^^;;

CMの感じでは、日本一周旅行やプラチナを買ってもらいたいターゲットということは、中の上以上の富裕なサラリーマン、子も巣立って、定年後は年金で悠々自適の生活、といった層を想定したシナリオなんだと思いますが、ワタシの身の回りをみても、このCMは、ちょっと設定に無理があるような・・・と思いました。
つまるところ、この経済層に限って言えば、いまどきのオバチャンたちは、プラチナのリングくらいでびっくりしたり歓喜したりしません。

まじめな話、ジュエリーのCMは、女性の目線でターゲットとなる世代のヒトに作らせたほうがリアリティがあって訴求効果が高いと思います。

今回の3社コラボは面白かったですが、広告効果を狙うなら男性を購買主体にしてはだめです。『プロポーズアゲイン』もそうですが、この年代の男性は、もうそんなキザなことはできません。

これだけ物の選択肢の豊富な世の中、今の女性はもっと主体的で、欲しいものや好みもはっきりしています。妻に選ぶ権利も与えずに、一方的に夫が買ってきたものを何か贈るというのは時代に合ってない気がします。それはチョイスがほとんどなかった大昔はジュエリーというだけで何を贈っても喜ばれたでしょうが・・・。

婚約指輪だって、カップルで買いに行く時代です。いきなりポケットから指輪を出して、サプライズ!、なんて古きよき時代の映画の中の世界です。

たとえ最終的にお金を出すのは男性でも、女性が主体でないと需要は起こりません。とにかくダイヤだプラチナだというだけで、女性がのけぞった時代はすでに終焉しています。

1つのCMからまたしても随分、楽しませていただきつつ、いろいろと考察させていただきました。

プラチナ・ギルドさん、次の広告戦略はぜひともROSE考案の
マリッジリングも着替えよう』で行きましょうよ!



猫ブームだそうです

2008年03月21日 | ねこの話
(りんごについていたカバーをかぶせられたネネ姫)

ニッチな話題ばかりだったので、たまにはブログの王道、ペットネタです。膀胱炎になってしばらくヘタレていたネネも、暖かくなってからは絶好調で久々に出演したいと言っているし。(言ってないよっ!)

先日ニュースで、今ちょっとした”猫ブーム”だという報道をやっていました。

たしかに、ネコが出てくるCMが最近とても多いですよね。しばらくの間、ネコが登場するCMを数えてみたら10以上はありました。ネコがいるシーンというのは、平和で穏やかな生活の象徴なのかもしれませんね。

ネコは実生活でも、CMでも『なんとなくそこにいる』的な存在で、
ほとんどは主役になることはない動物ですが、特にワタシが好きなのが、シャープのエコロジーライフシリーズのCM、『ネコです。』というのがありますが、アレ、いいですねー。ネコです、の声の役の吉岡秀隆さんもなんか、ほこっとしたムードでいい味出している私の好きな俳優さんです。


ネネ『なんか、すごい違和感なんですけど・・・』
ROSE『あらー、可愛いわよぉ。お姫様っぽいしぃ。』
ネネ『・・・てか、これ、キリシタンの伝道師の襟みたいだけど?』

大きな本屋さんにいったら、猫専門の雑誌が5つもでていました。いったい、ネコで毎月ネタが持つものかしら?と思ったら、多くは読者からの投稿写真でページの多くが費やされているんですね。いわゆる我が家のネコ自慢。人様のネコを見るのも楽しいものです。



『もう、イヤっ~。はやくとってぇー!!』(怒)


最近はペットOKのマンションや賃貸物件が増えてきたせいもあって、安易に子猫を買ってきたり貰ったりして、『やっぱり飼い切れない』、『子供が欲しがるから飼ったのに飽きて面倒を見なくなった』、といって捨てたり、自治体の処分場に持ち込む人も多いそうです。ブームの陰に、無責任な人間の犠牲になっているねこがたくさんいるのです。

命あるものをオモチャのように粗末に扱わないで下さい。家族の一員として最後まで責任を持って面倒を見る決心が出来ない人は、最初から飼わないでください。心からお願いします。m(_ _;)m


失敗は成長のチャンス?!痛し痒しのジュエリーCAD

2008年03月20日 | ジュエリーよもやま話
さて、鋳造勉強会シリーズの派生ネタです。

実は、この鋳造勉強会の題材になった今回の私の作品ですが、自分的には成功とはいえませんでした。ちょっと見た目には失敗してるように見えないと思いますが、いろいろと後悔ばかりで反省どころ満載なのです。


3つもコピーを作ってもらったけど・・・。(鬱)

ま ず、CAD設計の段階でうまくいきませんでした。

自宅でデータを作成していたところ、Bool演算中にライノが意味不明なメッセージを吐きましたが、そのままコマンド自体は実行できてしまったので強引に作業を続けました。

続きの作業は学校でやろうと、途中のデータを学校に持って来てファイルを開こうとすると学校のライノではそのファイルが開けないのです。何故???バージョンもサービスパッチのレベルも同じだし・・。
 
ライノのソフトウエアバグ?あまりにも哀しい、”不可抗力”・・・。

結局、ファイルが開けないのでは作業にならないので、記憶だけを頼りに学校のPCでイチから作り直すことに・・・。(号泣)


ここまでやったのに作り直しだなんて・・・・

ライノセラスはBool演算時に不具合が出やすく、作り込んでいくにつれ、複雑になればなるほど、Boolの失敗で先に進めなくなってしまいます。完成が近くなるほどトラブルを収束するために費やす時間が長くなります。そもそもデザインも構造も懲りすぎたことが時間切れも含めて、すべての敗因の元でした・・・・。

相手はコンピュータなので、実行したとおりの結果しかでません。おまけにバグのせいで人様に平気で逆らうこともあります。うまくいかない部分があると、手作りのように”ごまかす”という技がなく、融通のきかぬところもコンピュータならでは。

提 出締め切り時間ギリギリまであがいて、ついにBool時のトラブルが解決できず、全部のパーツを結合できないままタイムアウトになりました。

万策尽きてガックリしていると、校長先生が安井イン ターテックさんに電話で確認してくださり、幸い、そこの光造型機は完全に論理結合していないオブジェクトでも造形ができる、とっても心の広い優しいマシン?!ということがわかり、未完成データでも提出OKということになりました。はぁ~、助かった。校長先生と安井サマに多謝!m(^^;)m 

造型機のおかげでピンチは切り抜けることができましたが、さらなる失敗に遭遇することに・・・。

いよいよ鋳造勉強会の当日、造形した原型を見た校長先生が、一言。『ROSEさんのはでかいよね~!』
え??縦横寸法は設計どおりのサイ ズで合ってるよなーと思ったのですが、やっぱり何かがおかしいと思いました。
全体的にボッテリし てるというか、バランスがよろしくない。

よく見ると・・・・、よく見なくても、これは厚すぎる。つまり、高さ寸法が間違ってたということでした。(早く気づけよっ!オラッ)

鋳造するとその厚みは顕著に現れ、ズッシリとした重さを手に感じて、ああー、やってもうた・・・と。


この分厚さはありえないでしょ・・・。

CAD で曲線を立ち上げるコマンドの操作ミスで意図した高さの2倍の寸法で作っていたようです。(ライノ分かる人は、Extrudeコマンドで、両方向=”はい”、を”いいえ”に変更するのを忘れた、と言えばわかりますよね。)

時間との戦いで注意が散漫だったのかもしれません。そもそも、こんな初歩的なミス、最終段階のレンダリングの時に気づかなかったものか?と思います。手作りの場合はこういう間違いはまずしないでしょう。

次は裏部分。本来は4つの羽が先端で1つに合体して真ん中に1mm程度の丸い穴だけが空くはずなのですが、なぜか『ネコ』の形に!


(鋳造後の写真) ネコ!

この”ネコ”はCADの状態で先生に指摘されて気づいたのですが、時計を見ると締め切り時間まであと10分。修正している時間が無いので、”ネコ”のままでいいことにしてしまいました。(^^;;;
ネコ好きROSEのイタズラということで許してもらおうっと。

 

本当は元のデザインではクロスの側面壁に光穴を開けるつもりでしたが、そんな時間はとてもないので光穴はパス!(そのことが後になって助かることに・・・・)

失敗の往復ビンタはさらに続く・・・。

CAD上では爪の状態は問題ないように思われましたが、鋳造してみると、いくつかの爪が、壁面とくっついてました。爪と枠のすき間の距離を十分に配慮していなかったために、地金が張力?で流れてしまったのだと思います。CADを過信しすぎました。

失敗している爪は、壁との”癒着”部分をゴリゴリ掘るなり削るなりして分離してから留めるしかないです。トホホ。

CADでは図面がいくらでも拡大できてしまうので、拡大した状態では”論理的に”OKでも、後工程でうまくいかない場合があります。

実際に樹脂や金属になった場合のマテリアルの膨張や収縮、粘性、磨き代といったことを十分に考慮して設計しなければならないのです。爪の太さをいくつにするか、といったこともその1つです。

こういったことはある程度は先生が教えてくれますが、頭で理解していても体でわかっていないので、やっぱり自分でやってみて、たくさんの経験と失敗から1つ1つ体得していくしかないのかなと思います。

さて、厚みを間違えてしまった失敗のリカバリは簡単です。糸鋸で余分な地金をスライスして本来の厚みにしました。めでたく”ネコフェース”も消えました。(^^; もし計画通りに横に”光穴”をあけていたらこの技は使えませんでしたので、まさに怪我の功名です。


”ネコ”は端材側だけ。
厚みが間違ってたことが、”ネコ”の原因だった・・・。

端材となった方の地金、なにげにカワイイのでこの形を生かしたペンダントトップを作ることにします。(わーい、1粒で2度美味しいぞ!)



枠に癒着していた爪もなんとか分離させました。(はたしてうまく石が留まるだろうか・・・。)

やれやれ・・・・。地金になってからの修正はまったく大変です。
せめてワックスの状態でしたらかなり楽でしたでしょう。

鋳造屋さんが造形もやってくれるところだったりすると、CADデータを支給したあとは、不具合を修正するためのチェックポイントがありません。造形→ゴム形→ワックス→鋳造、の道をひたすら突き進んでしまい、最悪の場合、全くリカバリがきかないことになります。

原型の形状が複雑だったり、出来上がりに不安を感じる場合は
CADデータの状態で慎重によくチェックすることももちろんですが、
個人的には、多少手間でもデータから切削や造形をした段階で一度見せてもらってから、後工程を進めるように心がけようと思います。

さて、この作品はこの状態でいったん中断します。他に人に頼まれているものがいろいろあるためです。いろいろ紆余曲折あったけど、失敗作では終わりたくありません。この先の仕上げが楽しみです。
完成しましたら、またブログでお目にかけましょう。


鋳造勉強会に行ってきました! ~まとめ~

2008年03月17日 | ジュエリーよもやま話

鋳造勉強会のまとめです。
その1はこちら】  【その2はこちら

実際には鋳造しているところは見られませんでしたが、安井インターテックさんのショールームではプラチナの鋳造機についても説明をしていただきました。

上の写真が、プラチナを鋳造する『真空遠心鋳造機』です。

ゴールドやシルバーに比べて、プラチナは融点が高く(約1900度)、それゆえ冷えるときの凝固速度も速くて鋳造が難しい金属だそうです。そのため、短時間で細かい部分まで地金を充填するための工夫がなされたプラチナ専用の鋳造機が必要になります。



なぜこんなに大きいかというと、円盤状の釜の中で、溶解したプラチナの入ったるつぼ(鋳型)を遠心力でブンブン回転させて、地金を充填する仕組みのため、回転のための装置が大きいのです。


空の状態ですが、実際の速度で回転操作をしていただきました。1秒間に1000回回るそうです。このマシンの特長は、回転の動作開始からの立ち上がりが非常に早い(500rpm/0.2秒。つまり一瞬にして目にも留まらぬ速さになるつーことですわ)ことと、温度調節が外部のセンサー(一番上の写真で、山鹿さんが指を差している黒い物体)で光学的に温度を感知・コントロールするところです。対象物にまったく接しないで温度が測れるなんて、はじめて聞きました。

ここまでで、鋳造勉強会はおしまいです。

なぜ地金に巣が入ってしまうかについても、詳しい説明をしていただきました。原因は原型の作り方だけではなく、大部分はやはりキャストの良し悪しにあるようです。鋳造機の進歩でかなり巣が防げるようになったようですが、成功を左右する大きな要素を占めているのが、工程と工程の間に発生する人の手作業であることがわかりました。
たとえば、

・原型ワックスにつける湯口をつける作業
・ゴム形を2つに切る作業
・ゴム型にワックスを注入する作業
・ワックスパターンをツリーにつける作業
・埋没材の配合や脱泡作業
・地金ごとに最適なコンピュータの設定

いくら機器の性能や鋳造技術が進歩しても、これらは機械まかせに出来ない、人間の判断を必要とする作業です。しかも十分な経験を必要とします。どれがうまくいかなくても、失敗の原因となってしまいます。しかも、後戻りをすることが出来ません。

鋳造という工程自体、ジュエリー制作における多数の工程の中のほんの一部に過ぎませんが、実に科学的で奥が深いものだと思いました。
 
  
 

鋳造勉強会に行ってきました! その2

2008年03月16日 | ジュエリーよもやま話
鋳造勉強会 その2です。 【その1はこちら

途中の工程の写真がとれてなくて、鋳型の作成部分は、またしても安井インターテックさんのホームページからの借用です。許してください。

■鋳型の作成


1)ワックスツリーに金属の容器をかぶせます。ワックスにさわらないよう慎重に・・・。

2)埋没材という石膏のような白い粉と水を規定量計ってミキサーで攪拌します。なめらかな生クリームのようです。おいしそう~。


3)埋没材をトロトロと目張りした金属型に流し込みます。


4)『真空脱泡機』という機械で埋没材の中の空気を抜きます。真空状態では、水は常温で沸騰するのだそうです。この中の埋没材もグツグツと沸騰して泡だらけになってました。泡が抜け切ったら完了です。
埋没材はすぐに固まり始めます。これが鋳型のもとです。


5)金属容器を、高温の電気炉に入れます。埋没材の中のワックスは溶けてツリーの根元となる部分の穴から落ちてしまいます。その後、約700℃で10時間、焼成することで鋳型が完成します。

 
電気炉は中で回転し、焼きムラを防ぎます。
右が、溶けたワックスが落ちて固まったもの。お役目ご苦労!

1日目の講習は、この電気炉に入れるところまでで終了しました。

■鋳造

いよいよ、鋳造です。
2日目は、電気炉から鋳型を取り出すところから始まりました。電気炉は600度まで下がっていたとはいえ、扉から猛烈に熱い熱風が出てきます。もろにあびると大やけどですから非常に危険を伴う作業です。

 
真空吸引加圧鋳造機』という舌をかみそうな名前のマシンに、地金と鋳型をセットします。(ちなみに、金とシルバーはこの機械ですが、プラチナはまた別の種類の機械を使います。次回にご紹介します)

地金の種類や組成によってあらかじめ調整された設定で、あとは全自動でコンピューターが鋳造機を制御します。ハイテクですね~。真空吸引+アルゴンガスを入れることで、無酸化状態を作り出しているそうです。このメカニズムにより、超細いとか超薄い鋳型にも地金がうまく誘導され、また地金の劣化が防げるそうです。(受け売りでスイマセン。間違ってたらご指摘ください。)

まさにこの鋳造機は物理学+化学+メカニカルエンジニアリング+コンピューター工学の粋を集めた機械です。しかも、純国産です。Yasuiの鋳造機を世界中のジュエリーメーカーがこぞって輸入しているのです。これって、すごいことだと思いませんか。世界に誇るべき日本の素晴らしい技術力です。日本の”ものづくり”は、まだまだ捨てたものではありません。Yasuiガンバレ!

そうこうして驚嘆している間に、機械のほうは黙々と鋳造の準備を完了し、地金がとけて鋳型に落ちました。落ちて流れる瞬間を1つの鋳型につき限定1名様だけ見れます。(笑)


おーーー! マグマだーっ。 (なにげに黄色いマークがかわいい)


現在温度は、1030度でございまーす。

 
鋳造が完了すると、ピーッピーッと音でお知らせ♪
なんと、鋳型が自動的に下からせりあがって登場した!
なんか紅白の演歌歌手みたいだ。

右側が、今回の講習の先生を務めてくださった安井インターテックのエース・マーケッター、山鹿さんです。自社製品のセールスプロモーションのために世界中を飛び回っているそうです。カッコイイですね!


じゃじゃーん。鋳造過程は完了でーす。(でも、まだまだ終わりじゃないんだな。)しばらく床に放置して冷ましておきます。うまくできているとよいなー。

■洗浄処理


ある程度冷めたら、鋳型を水の中につけます。大沸騰・地獄谷状態です。その時、埋没材が割れてモロモロと崩れ落ちます。


ウォータージェットという機械です。シルバーに絡みついた埋没材を水圧の力で吹き飛ばします。


さすがに水しぶきで中は良く見えませんでした。山鹿さんの作業風景でゴカンベンください。(^^;


チャンチャカチャーン! ついにシルバーが出ました!
みんな感動しまくりです。でも、なんか黒くて汚いねー。


この黒い酸化膜をとるために、酸にしばらく漬けておきます。
下は電熱器です。温めると早くとれるんですね。


真っ白な鋳肌になり、ついに本当に完成しました。


各々、自分の分をニッパーで切り取って、MY作品の出来上がり!おうちでせっせと磨きましょう。(^^;

これにて、2日間の鋳造ドキュメントは幕を閉じました。(おおげさだっちゅうーの)無事に全員の作品もうまく吹き上がりました。

2日間、長時間に渡っておつきあいくださった安井インターテックの皆様の特別なお取り計らいには感謝に尽きません。私たちはとても幸運でした。本当にありがとうございました。

ラヴァーグの松尾先生、このような貴重な機会を与えていただきましてありがとうございます。素晴らしい企画でした。

さてひっぱりますが、プラチナの鋳造の機械もご紹介したいし、まとめをしたいので、次号の最終回までお付き合い下さい。


鋳造勉強会に行ってきました! その1

2008年03月15日 | ジュエリーよもやま話
ラヴァーグ・ジュエリースクールの校外特別授業で、『鋳造』の工程を勉強させていただく機会がありましたので、その模様をレポートしたいと思います。
 
鋳造過程については一通り文字では知っていたものの、実際の工程を見るのはもちろん初めてです。私としては大興奮の渦に巻き込まれた2日間でした。いろんな機械を見て大喜びしたり、話にいちいち感嘆したり、人が反応しないところで過激に反応したり、やたら質問魔だった情緒不安定な見学者は私くらいのものだったと思われます。(^^; 
  

場所は、貴金属鋳造機器メーカーの『安井インターテック』様本社のショールーム。 鋳造以外にもレーザーや研磨など最先端の様々な機械が整然と並んでいます。ちなみに、安井インターテックさんのマシンは純国産で海外にも各国に輸出してお り、大変有名な高級ジュエリーブランドも採用している、世界トップクラスの鋳造機技術を有するメーカーさんです。ちなみに、ジュエリーCADの 『3DESIGN』と光造形機も取り扱っておられます。
 
安井インターテック本社(HP会社情報より借用)
壁面オール・ガラスブロックのモダンな外観の建物にもこだわりが感じられる。


■前準備  ~原型とゴム型の制作~

まず、この講習会の前準備として、生徒はCADデータかワックス原型を提出します。CADデータから光造形機で樹脂の原型を生成していただき、ゴム型を取るところまでしていただきました。


 
これが初めて見た光造形の原型。(今までは切削造形機で造形していただいていました。)冒頭の写真がその樹脂から取ったゴム型ですね。このゴム形を2つに切るテクニックも相当の熟練がいるそうです。原型を傷つけないように、メスで掘るように丁寧に慎重に切っていくわけです。このゴム型の切り方ひとつとっても鋳造の成功いかんにかかわってくるので、職人の長年の経験が必要とのことです。

まず、会議室では準備していただいた原型とゴム型が各自配布され、テキストで一通りの流れをご説明いただきました。
ちなみに、安井インターテックさんのホームページで全工程を見ることができます。

■ワックスのコピーをとる

量産品の場合は、このゴム型からワックスの複製(ワックスパターン)を取ります。今回は量産品を前提とした工程なのでゴム形をとっていただいた次第です。

2つを合わせたゴム型を、『デジタル真空ワックスインジェクタ』という機械にセットしてワックスを注入します。


操作1回につき1つ、ワックスパターンが作れます。生徒全員が自分のゴム形で注入の体験をさせていただきました。


といっても、私たちはゴム形をセットしてボタンを押すだけ!

 

原型の形状や大きさによって、コンピュータの設定を変更しながらワックスを入れます。この設定の調整は経験者の経験と勘が必要な作業だそうです。細かい部分まできれいにワックスを入れ込むために空気圧を調整します。


他の生徒さんの作品。ベビースプーン。なんと可愛いらしい!


わたしのです。でか~。7人の中でいちばんデッカイ。(3cmx4cm)
相変わらずのおおぶり大好きやなー。(これには実はオチがありまして・・・それは次回。)

ちなみに、枝状のようなものがついていますが、これが”湯道”と言うもので、この部分から溶けた金属が流れていきます。この湯道のつけ方(位置)やスプルーワックスといわれる棒状のワックスの太さも、キャストの成功を大きく左右するそうです。

ちなみにこのデジタル真空ワックスインジェクタは最新式ですが、旧式のマシンでも体験させてもらいました。前は手で押さえていたそうです。注入中にすごい圧がかかるのでガッシリと上下を押さえる必要があります。



全自動にしろ、手動にしろ、プロの鋳造屋さんでは、大量生産品の受注があるとこの作業を人の手で何百、何千個と繰り返してるわけですから、本当にお疲れ様です、と思います。

■ワックス・ツリーを作る



太い棒状のワックスに出来上がったワックスパターンをワックスペンでつけていきます。ワックスをつける角度や作品同士の位置も地金が綺麗に流れるために重要なファクターだそうです。できるだけ、同じ大きさ、形状のもの同士を同じツリーにつけることが成功のカギとのこと。

今暴露しますが、実は1日目はカメラを持って行かなかったため、上記の写真はすべて2日目に出来るものだけ後付で撮影したものです。なので、さかのぼれない工程があり、大変悔やまれます・・・。安井インターテックさんのHPから作業風景写真を拝借してきました。m(^^;)m 


ワックスパターンをツリーにつけていきます。この作業も全員体験させていただきました。人の作品にぶつからないよう、でも、できるだけ詰めてパターンをくっつけるのがなかなか難しいものです。

1日目の作業はまだ続きますが、ブログは今日はここまで・・・。
まだまだこの後に工程が続きます。



金・プラチナの高騰について思うこと・・・ その3

2008年03月13日 | ジュエリーよもやま話
さて、地金高騰の話題、その3です。

 ■その1はこちら (なぜ地金が高騰しているか?のお勉強)  
 ■その2はこちら (地金高騰によるジュエリートレンドの考察)

今日は、地金高騰がもたらす、ジュエリーの『装着性』の問題と、しめくくりとしてROSEのスタンスはどうなの?というお話です。

   

先日、あるファッションジュエリーのお店の商品を拝見させていただきました。(買い物客を偽装した、”造り研究隊”参上!)そこで手に取ったゴールドのリングが、手が切れそうなほど薄くて、最低限の指馴染みさえろくにとっていなかったことに驚きました。

(気に入ったフリして店員のうんちくが上の空で試着しながらの心の声)

『こんなに薄くなるまで裏抜きするのは至難の業だなぁ。たぶん厚みは0.2位しかないかも・・・。この値段でこの薄さということはキャストじゃなくて、プレスかなぁ・・・。石留めもこの粗さだと、きっと日本製じゃないよなぁ。。。』

付け心地が悪いだけでなく、これほどペラペラでは、いくらゴールドでも強度が保てず、どこかにぶつけたらおそらく一発でひしゃげるでしょう。試着したところ、指どおりが悪くザリザリとしたひっかかりを感じて着用感はよくありませんでした。店員と話ながらずっとつけているとバリが痛くて、『なんじゃじゃこりゃー!』と叫びそうでした。

いつも店頭で見るだけでは申し訳ないので、”見学料”として、フックピアスを買ったのですが、K18のワイヤー部分が細すぎて1度つけたらぐにゃっと曲がりました。しかも、フックの長さがギリギリまで短いので耳穴から簡単に脱落してしまうので、フック式なのにわざわざ耳裏に自前のシリコンキャッチをつけてます・・・。 


(これも金が安かった時代の彫金による作品。
しかも、ROSEの”金デビュー”作品。
かなり重いです。私のタカラモノです。
アメジストと、真珠は花珠を使いました。)

話 が脱線してしまいましたが、自分自身のことに照らしてみますと、自分の中では、貴金属でいちば ん好きなのがシルバーだし、師と仰ぐのは、Txxxnyではなく、オオブリ路線のGeorge Jensen、Joaquin Beraoだし、他の金属が高騰しても、最初から”ギンモノ”で一貫しているのでブレはありません。

私のデザインは自分の好みから、存在感の ある大きめのものが多いのですが、シルバーなら制作予算を気にせずたっぷり地金を使い、自由に楽しくデザイニングが出来ますし、つけ心地のよいジュエ リーを造りことができます。いかに地金に目方を落とすかを考えならチッチャイオブジェクトをちまちま作るより、おおらかとのびのび、造りたいものが作れる点でシルバー以外ありえないと思っています。

しかもシルバーは、コンパニオンとなるマテリアルを選びません。天然石だけでなく、シンセティックストーン、ガラス、木、樹脂、布、皮・・・、どんな素材でもお友達 にしてしまう懐の深さもシルバーの魅力です。私のような、自称”アーティスト”にとってはこの上なく楽しく遊べる素材なのです。お客様にとっても遊べる価格ですしね。

『シルバーなんかジュエリーじゃない。』、『ほっとくと黒くなって面倒だから嫌い』というアンチ・シルバー派の人もいますが、私は、シルバーが大好きで、きちんとお手入れをしながら愛情を持って大切にできる人々とだけ価値を共有できたら良いと思っています。

でも、石との相性を考えた結果、金やPtを使うこともありますし、頼まれたらもちろん断りません。あしからず・・・。(^^;;

最後に、、おまけ。
もし着用中にリングをぶつけたりして変形してどうしても指が抜けなくなったら、最寄の消防署に駆け込みましょう。たいていの署は、リングカッターを持っています。ダイヤなどの高価な石つきでしたら、ビニール袋は必携です。袋の中でリングをカットしてもらってください。カットしたときに石がどこかに飛んで行ってしまうことがあるからです。



金・プラチナの高騰について思うこと・・・ その2

2008年03月12日 | ジュエリーよもやま話
金・プラチナ高騰のトピックス、その2です。【その1はこちら
”その1”では、かなりマクロ経済な話を書いてしまいましたが、要点としては、そんなにあわてて地金を買い走るべきではないというオチでした。金やプラチナが買えなくなったら、シルバーでもよいではないですか!臨機応変に行きましょう!マゼモノ・ニセモノは貴方のプライドと清廉な心の両方を脅かされるだけです。絶対やめてくださいね。

私は、社会人になりたてのころの仕事は市場調査ばかりでした。なので、いまでもマーケティングリサーチ的なバードアイが仕事やプライベートに役に立っています。

今日は、地金高騰は、ジュエリーのトレンドにも影響してくるというお話です。(私が市場をウォッチしながら個人的に感じた持論です。異を唱える人もいると思います。)

庶民の手が届く価格帯のジュエリーは、高くすれば一気に売れなくなってしまうものなので、メーカーさんも苦労されていることと思います。K18からK10とかK9になっているところもあるし、プラチナ製品は店頭からなくなってしまい、シロモノはすべてホワイトゴールドに入れ替わっていた店もあります。金属アレルギーになりにくい、”ステンレスジュエリー”や”チタンジュエリー”も登場しました。

割金に使われるパラジウムを100%使ったジュエリーが、中国でブレイクしているそうです。中国では、経済発展とともに恐るべき勢いでジュエリー市場が成長しており、プラチナが高いため、”パラジウムジュエリー”の需要がすごい伸びなのだそうです。(パラも金属アレルギーをおこさない良質な素材だそうです。)

あの国が、あの勢いでジュエリーを大量生産された暁にゃ、もうひとたまりもありません。賃金相場も日本の比ではないですし。例の餃子工場みたいな、でっかい工場で何千人も雇い、ベルトコンベヤーの流れ作業でわっせわっせと24時間稼動でジュエリーを製造してそうです。(^^; いままで歯の治療につかわれていた素材が、白モノジュエリーを席巻するなんて、想像だにできませんでした・・・・。


(贅沢に金が使えた頃が懐かしい・・・。ちなみにコレ、
キャストでなく1本の金メタル棒から作ってます・・・。ズッシリです。)

  

地金高騰の影響がデザインのトレンドにモロにでていると感じるのが、『ボリューム感』です。全体的に日本のファッションジュエリー(特に低価格帯)のデザインが、こじんまりしてきて、ちっちゃく、細く、華奢になってきていると感じています。

もともと華奢なデザインが好きな人にとっては、嬉しいトレンドですが、この次の号で触れますが低価格帯ジュエリーには、よからぬことが起きています。

ちっちゃくて線が細いジュエリーは、原型を作るにも細工が大変ですが、細かい部分の造形が得意なジュエリーCADの威力がますます発揮されそうです。V(^0^)V 金属を軽く・細く・薄くすることは手作業では非常に高い技術力が必要ですが、ジュエリーCADならお得意分野です。もっとも、”データ上は”、という意味ですが・・。薄く、細く、軽くしながら同時に耐久性・装着性の高い商品にするには、やはり造りに精通している必要があるようです。ROSEもまだまだ勉強中です。

   

もう1つ、時代を反映しているのかなと思えるのが、アンティークジュエリー調のデザインが増えていることです。地金が大変貴重だった時代ゆえの繊細な造りや、出来る限り少ない地金でいかにゴージャスに見せるか、といった昔の技巧が今ここにきて見直されてきているようです。

しかしながら、アールデコ時代のジュエリーのような、離れ業ともいえる技工ができる職人さんが今は非常に減ってしまいました。そこでやっぱり、ジュエリーCADの出番です。ジュエリーCADと最高に優秀な鋳造技術と組み合わせれば、髪の毛の細さや紙の薄さレベルまで、繊細な表現が可能だそうです。

私自身もジュエリーCADを”第二のヤスリ”として、自分の手ではとてもできなかった細工モノにいろいろと挑戦したいと思っています。

今日の結論としては、地金の高騰が、なぜかジュエリーCAD需要の追い風になる、という特異な持論で終わりです。(我田引水的?)



金・プラチナの高騰について思うこと・・・ その1

2008年03月11日 | ジュエリーよもやま話
ジュエリープロダクションに関わる多くの人にとって最大の関心事は、金・プラチナの高騰ですよね。

この地金高騰をテーマに3回のシリーズで書いてみようと思います。

なぜ、地金が高騰しているのでしょうか?そして、この高騰はいつまで続くのでしょうか?地金はもう二度と値下がりすることはないのでしょうか?
   

ここからちょっと難しそうな話になりますが、どうやら今回の地金の高騰の原因は、

・サブプライムローンの破綻で米国の証券市場が冷え込んでいることと
・米国のインフレ基調・ドル安にあること

が大きく関係しているようです。なぜ、米国の経済の状況が地金の相場と関係してくるのでしょうか?
 
マクロ経済的にはですね~(大昔に国政経済学を専攻してたのでいちおうかっこつけてみたけど、とっくに忘れたしホントはよくわかってないです)、えっとなんだっけ?そうだ、金融市場の変化には法則性があって、しかも歴史は繰り返されていて、大ざっぱにいえば、経済の不安材料が増えると、『価値のたしかなものに人々の興味の対象が移る、ということが言いたかったんでした。

1980年ごろのオイルショックや中東の政情不安で一時期金が6000円台にも暴騰し、その後反落して2000年に1000円台まで落ち、そして米国同時 多発テロやイラク戦争が起こった2001年頃から、またじわじわと上がりはじめて来たそうです。(金相場の変化は、中東・オイル・米国、がキーワードのよ うです。)いずれも大きな不安材料が相場と連動しています。

ようするに、戦争や恐慌など、何かがきっかけで世の中が不安になると、株とか債権とか紙切れ一枚になってしまうかもしれない金融商品ではなく、やっぱり”ブツ”が信用・安心できるということで、みんなが現物市場に投資したがるということなんでしょうね。その人気商品が原油だったり、貴金属だったりするということです。

そして、”サブプライムローン”という大爆弾が米国経済に大ダメージを与えて人々を不安に落としいれ、世界経済のけん引役といわれてきたアメリカ自身の経済がコケてしまったので、世界中の投資家がこりゃ大変だ!、と暴落の恐れがある金融商品から、こぞって、現 物取引(先物取引)に投資対象をスィッチしちゃったということです。(もはや加熱しすぎて、投機、とも思える暴騰ぶりですが・・・)

そして、ついに金は3000円台、プラチナは7000円台を突破してしまったというわけです。


(本文とは全然かんけいないっす。文字だけで寂しいので・・・)

これでだいたいの相関関係が見えてきたと思いますが、
もう少しお話しますと、とくにサブプライムの場合は、GEやCitiBankなどの大企業や大銀行の経営を揺るがすほどの巨大なマネーの投資先でした。そのお金が石油とか金・プラチナのような小さな市場に向かうと、(つまり、我も我もと皆が買いたがる)当然、相場は高騰するんですね。たとえるなら、小さな池には見合わないほどの大勢の釣り客がいる状況、という感じでしょうか。
 
   

今はアメリカ経済はドンゾコですから、まだしばらくは上がり続けるかもしれません。しかし、長期的には金価格の上昇は未来永劫続くものではなく、いずれ米国経済が復調し、株や不動産などの信用が回復すれば、地金の値段も下がるという見方をするエコノミストが多いようです。(まあ、その波は、3年後とか5年後というスパンだと思いますが)

楽観視している評論家の間では、金・プラチナの高騰は、実際の需給とは連動していない不健全・不自然な価格形成であり、投資家の矛先が別に向かえばいずれ落ち着いてオーガニックな(つまり本来あるべき)取引に戻るだろう、と考えられています。その間に大きな戦争とかテロとかが起こらないことが大前提ですが・・・。 

そして、ロシアや中国の動向が、今後のカギを握ると言われています。あれだけ広大な土地をもってますから、さまざまなミネラルの未発見鉱脈がたくさんあるといわれており、そこに巨大マネーと採鉱技術が投じられれば、新たな鉱脈がわんさか出てくるかも・・・。

・・・なので、『もっともっと上がってしまって、ついには手に入れられなくなるかもしれない!』といった不安や焦りから、むやみやたらと地金を買いだめする必要はないんじゃないかな、と思います。

毎日の相場に一喜一憂するのも精神衛生に悪いですしね。 とりあえず、必要最低限な地金をこまめに買って様子見をするに限ります。



いつでもどこでも紙さえあれば・・・・

2008年03月08日 | ジュエリーよもやま話
私は、脳みそが揮発性メモリーでして、せっかくデザインを思いついても3分間と覚えておけない、いわゆる”トリあたま”のため、忘れないようにどこにでもあちこち紙を置いてあります。

  

ふと思いついたら、手元にある紙に、とりとめもなく絵やアイデアを書きなぐります。あまりにも下手すぎてデザイン画といえないので、”ヘタバカ備忘録”と呼んでいます。



こんな恥ずかしいものを曝して、
公然わいせつ陳列罪にならないのか?!
いや、わいせつ物画頒布罪だ!
 
”へタバカ備忘録”は家中にいくつもあります。
冒頭の一番上の写真では、まず右上のスケッチブックと左下の方眼紙が、いつも制作の作業をしているデスクに常備しているもの。その下がハンドバッグに持ち歩いている携帯ノート。電車で移動中とか、とにかく外出時に何か思いついてしまった時に使います。(あと、友達との待ち合わせのひまつぶしとか。)

左上のメモパッドはお茶の間においていて、ご飯食べてたりテレビみてたときに思いついたときに使うもの。
その他にも、電話台や台所にもポストイット式のメモが置いてあります。うだうだとどーでもいい、くだらん長電話につき合わさざるをえない状況のときに、役立っています。(私、長電話が大嫌い!)
さすがにベッドルームには置かないかな。眠れなくなってしまいますから。

ノートの用途はデザインのアイデアだけではありません。スカパーなんかの通販番組のジュエリー特集やってるときなど、商品がドアップになりますよね。しかもご丁寧に回転したり、司会者が裏側を見せたりしてる。テレビににじり寄り、構造をねっちり観察して、”そうか、そうなってるのか~。”とメモメモ。(偽造集団みたいなイヒヒな気分です)
そんな用途にもへタバカ備忘録は役立っています。後で見て、絵がひどすぎて何が描きたかったのかよくわかんなかったりもしますが・・・・・

さらに、会社の仕事用のスケジュール帳やノートにさえ、おびただしい落書きが・・。何で自分が呼ばれたかよくわからん会議や、意味もなく出席義務のあるセミナーが、あまりにも長くて不毛で自分に関係なくて退屈だったりすると切なくなって、手元のペットボトルについていた”トクホ”のロゴマークを写生している自分がいたりします。

そのうち、無意識に手が勝手に動き出し、いつのまにか”アチラの世界”に逝ってらっしゃーい、さよーなら~。 

『ROSEさんはいまのAさんの提案についてどう思いますか?』

『スイマセン。聞いてませんでした』の予想ガイ状態。(^^;;;

(隣の席の人が私のノートを不思議そうに覗き込んでいる・・・)

先のブログ
で、”デザイナーさんの描いた絵を図面データに起こすCADオペレーター募集”という広告に、『はて?』と首をかしげた私ですが、実際、CADで何か作品をデザインする前にはやはり、紙にラフスケッチをいっぱい書いて構想をまとめ、寸法なども決めて、自分なりに十分ナットクした上でようやく、ソフトを起動するという手順を実行していたという自己矛盾を起こしています。m(><;)m

CADの画面に向かっていきなりデザインを考え始めてもいいんですが、どうもイメージがわかなくて・・・。頭がアナログなもんで・・・。

笑われるかもしれませんが、なんと、ほんとにどうしていいかわかんないときは粘土でラフなモデルを作ったりしながら、あれこれ思案したりもします。想像力が乏しいもので・・・・。(かっこよく言えば、バーチャルシュミレーション。ブフッ。自分で吹き出してどうする・・・。CADでなく、粘土でシュミレーションしてる自分が哀しい。)


こんなショボ絵が・・・ (ああ恥ずかしい・・・)


こうなったりもする・・・・。
 


紙と鉛筆さえあれば、一日中でも空想の世界で遊んでいられる、ヘンタイな自分が怖いです・・・。