ROSE POSYのハンドクラフト・ブログ

”手仕事”の楽しさをお伝えできればと思います。ROSE POSYオリジナル作品もどうぞお楽しみ下さい。

「材料代、いくら?」

2008年05月10日 | ジュエリーよもやま話
ジュエリーでもアクセでもいいのですが、お店で売るなら、お客さんはこちらがつけた値段に満足した人は買い、高いと思えば買わないだけの話で簡単なのですが、人から個人的に製作を頼まれるときにコストの話になって、とても困ることがあります。
 
デザインの話をしていて超盛り上がってるときは楽しいんですよね。前は自分で対応できるデザインが限られていましたので、”こんなのは出来る?”といわれても、絶対に出来るという自信がなくて首をかしげることも多かったのですが、今はジュエリーCADという強~い見方がありますので、どんなデザインでもとりあえず挑戦してみたいという気持ちで堂々としていられます。(実際自分の手に負えなくても、相談できる心強い先生方もいるし!)

しかし、だいたいのデザインの方向性が決まり、当然ながら最後にお値段の話になるわけですが、よくある聞かれ方として、

「材料代、いくら?」

”材料代いくら?”などという聞き方自体、”材料費だけでやってくれるのよね?”と予防線を張るようでイヤラシイ感じですが、ざっと金額を提示すると、緊張が走り、一気に場の空気がシラけることがあります。

おそらく頼んだ方は悪気はなくて、制作者の工賃、とか外注工賃ということ自体念頭になく、まさか知り合い相手に手数料やマージン載せてこないだろうって思ってるんですよね。 

   

さらに、「え?シルバーだよ?金じゃなくてその値段?だってシルバーってグラム何百円の世界だよね?リングって何グラムくらい使うの?」とか、今日の地金相場の情報なんかまでを持ち出してたたみかけてくる人もいて、がっくりきてしまいます。

また、要らないジュエリーをじゃらじゃら持ってきて「これを溶かして作ってもらえばお金かからないよね?」などという人もいました。リフォームの店にもっていったら、買取はしてくれるけどリフォーム代は取られるって言われその金額が高くて頭にきて帰って来た、とのこと。

あのね~。もう、いちいち説明するのも面倒なので、
『ごめん・・・、私、金を溶かす装置持ってないんだわ』と言って逃げました。『うそ!じゃ、どうやって作ってるの?』ジュエリーやってるというと、地金を溶かしてトンチンカンチン作ってると思ってる人、意外と多いようです。(笑) 

先日も、お姑さんが、『ROSEさん、私、金地金をいくらか持っているのだけど、あげるからジュエリー制作の材料に使いませんか?』とどうしても譲るといって聞かず、地金買取に売り飛ばして材料費の足しにしてもいいんだけど、”溶かして作るもの”と思っている姑に対してなんとなく気が引けたので、”私は今はシルバー作品がメインで金は使わないのです。非常資金として大切に取っておいてください。”といって説得したのでした。優しいお姑さん、ありがとう

   

希望されたデザインがどうしても手作りでは無理な場合、原型制作はジュエリーCADに頼ることになりますが、一点物だと”造形代”がそのままのしかかることになり、たとえ、CADの描画や磨き、石留めといった制作工賃をすべて無料にしたとしても、シルバーのリング1本の値段が15,000円とか20,000円とかになってしまいます。

「えー、シルバーなのに1万5千円もするの? どうしようかなぁ・・」

逆に、『ご予算というか、いくらぐらいを想定してました?』って聞いたら、『シルバーのリングならせいぜい、3000円ってとこで出来るかと思った。』

おいおい。何をもって、3000円だと思ったんだよ!怪しい露店商のアクセとちゃいまんがな。いい年して一点物と量産物のコストの違いもわからんのか?(否、一般論として知っていても、いざ身近なことになると突然、わからなくなるんだろうね)

ふと見ると、そのお方、Tixxanyのシルバーペンダントしてました。
(”シルバーなのに”って蔑みながら、ブランド物なら超大量産品に2万円も3万も出せるんだ・・・。ふーん。)

   

私が着用している作品をみて、”それいいねー、それと同じのが欲しいなー”、などとせっかく話が盛り上がっても、値段の話をした途端、驚かれたり、がっかりしたような顔をされたり、「うーん、ちょっとゆっくり考えてみるね・・・」とやんわり断られるときの寒い空気・・・・。

今は作る前に必ず値段を知らせますが、以前は飲みの場で職場の友達と盛り上がり、ノリで請けちゃって、こんなこともありました。

『指輪作ってー!』
『いいよー!』
『できたよー!はめてみて。』 
『わーい!超カワイイっ。ぴったり!・・で、いくらー?』 
『○○円。石代と地金代だけでいいよ。』
『ええ???うそ!高ッ。・・・・今、すごい金欠でお金ないの。ごめん、ボーナス入ったら買うから、それまで持っててくれる?』 
『☆■X△~?』 

(その後、何度か催促しましたが常に”金欠”と言われて逃げられ続け、指輪は買い取られる話はなく、その人は会社を辞めて音信不通となりました。その程度のご縁だったということで・・・じゃんじゃん。)

  



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5 コメント

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素でコメントすると。。。 (neo mko)
2008-05-11 09:27:15
モノ作りの世界は、年季の世界。5年、10年、で、一通りの事を経験し、更に10年かけてバリエーションを経験し、20年辺りで、一段落何だけど、、、実は、まだ先が有って、誰かを教えて、その教えた相手が、5年、10年続いて、初めてモノ作り人として、完成しますので、、、現時点で何かが完成している方が、おかしいかと。。。たぶん。。

しかし、neo 的に考えると、「命までは、取られない」の精神で、経験なんて○喰らえ!私は私の道を行くでも大いに結構だと思いますし、今時、修行とか流行らない訳で、TV ディナーが、有るのだから、TV ジュエリー(※テレビ見ている間に出来上がる、、、まあデジタル・ジュエリー(笑))が、有っても一向に構わないかと。。。

さー!選ぶのは、君だ!?「どっちの彫金ショー!?」。。わはは。。
(^^♪
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同感です。。。 (tiz)
2008-05-11 17:25:48
私もよく、ROSE POSYさんと同じような体験をします。
中途半端に業界のことを知ってる人ほど、ひどくって、
自分で買ってきた石とか持ってきて作ってて言うので、
デザインから考えて、何案かから選んでもらって、
予算があんまり無いって言うので、外注工賃節約の為
私がWAX削って、Silverで吹いて仕上げて原型にして
キャストする前にK18で見積すると、高過ぎるから
K10とSilverで再見積してと言われ、見積を伝えると、
「Silverでもそんなにするの?じゃあK10でいいわ」と言われ、
「同じようなルースでまたお願いするから原型代無しにして」と工賃まで値切られ、ゴム焼きしてキャストし仕上げると、
「今、手元にお金ないから6月以降でいいわ」と、
未だに引き取って貰えていません。
先方のルースなので処分も出来ないし。地金&キャスト&ゴム代は先に支払いが発生するし、最悪です。
結局、デザイン代とかも貰えないし、WAX削って原型作ったのもタダ扱いだし、一品物と量産品の価値観の違いが判らない人が多すぎて、悲しくなりますね。
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修業と思うとするかー (^^;; (ROSE POSY)
2008-05-12 00:34:29
でました!neo mkoさんの、”わはは”。 (これだけみて私はいつもワハハとつられて笑ってしまうのです。一種の癒しキーワードかも)いろんな経験がちとなり肉となるんだろうナァと思います。少なくとも、作っているときは楽しい思いさせてもらっているんだし、あとあと嫌な思いをしたとしてもそれは”学び”なんだと思うことですね。

tizさんも同様の経験をされておられたのですね。
なんか、もう知り合いとか友達といった筋からは、頼まれたくないなーって感じなので、”作ってくださるぅー?”って言われても、”今、他のオーダーが殺到してて超忙しいから、時間できたらねー。”とか、超売れっ子クリエーターの”フリ”をして、逃げ通そうと思ってます。(^^;;;
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僕の場合 (校長)
2008-05-12 21:26:40
基本的にはお店に並べる量産の商品の場合、あまり原型代はカウントしません。


金やプラチナの製品の場合、基本的な地金代や磨きなどの製造コスト×2~3倍です。


多少、デザインによって変えてます。


シルバー製品はだいたい×5倍ぐらい。


オーダーの場合。


原型代はだいたい3万~5万ぐらい。


そして、地金代や仕上げ代などのその他のコスト


を全部合わせて、2~2.5倍にしてます。


僕のお店はモノが沢山売れるお店ではないので、本当に気に入ってくれる人しか買って行きません。


それと、フルオーダーが多い。


だから、しっかりしたモノをつくろうとも思っているし、家賃などの経費を考えると、他のお店に比べるとまだまだ弱気な設定かな?なんて思ったりもしています。


でも価格は難しいよね。高くして売れないぐらいなら、安くして売りぬきたい気持ちも分かるし・・・


でも、買ってくれたお客様の事を考えると自分が買った商品を値引かれて売っていたのをみたら、がっかりするよね。


だから、僕はお店ではセールなんかはもうやらない。


実は、お店をオープンした頃は、デパートなんかのセールを見て、セールをしたら来店客が増えるかも・・・なんて思ってやったこともあります。


でも・・・


確かに来てくれたけど・・・、ちゃんと定価で買ってくれた人達も来てくれた。


だから申し訳ない気持ちになっちゃった。


たぶん、がっかりしたんだろうな・・・、なんて勝手に思いました。


なんか言われたわけじゃないけど、僕だったら嫌。


だからセールはやめた。


値引いて売ることよりも、分かって買ってもらえる努力をいていこうというスタンスで頑張ってみようと思っています。


いつか、お店も繁盛する事を夢見てね。そうしないと、生徒の勇気がわかないもんね。


だから、頑張ります。


値引かずに・・・
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ええ、そんないただいていいのですか! (ROSE POSY)
2008-05-13 03:05:54
校長先生、大変参考になりました。しかし、そんな貴重な情報をいただいてしまってよいのでしょうか?・・。コスト感については実際に商売していないと、とんとわからないものなので・・・。

シルバーで5倍ですか・・・ orz
でも、ビジネスとして考えた場合、一店舗で相当大量に売れない限りは、それぐらいいただかないと、合わないですよね。シルバーの場合、量産物が大量に出回っていて、最低価格のものはリング1つが数千円ですから、消費者も”バカ賢く”なって、”本来数千円で買えるはずだ”、と思ってしまうようなのです。だから私のようにナメられるのでしょうね。(笑)

既存商品でセールをしないのは大正解だと思います。ある商いのプロの人がテレビで言っていたのですが、”セールをするならセール用の商品を用意しなさい。既存商品をセールしてはいけません。”とありました。

おっしゃるとおりセールには定価で買った人も来るので、買った人が同じ物が値引きされているのを見たら、ガッカリしたり悔しくて、もうその店から足が遠のくからだそうです。定価で買った人(お得意様)のだれもが、わざわざ招待された、という特別扱いされた優越感に加えて、お徳感を感じられるようなものを用意するのだそうです。その目玉商品の売上に関しては赤字覚悟だそうですが。

その人いわく、既存品を在庫処分したくてセールするときは、あからさまに告知するのではなく、普通の値札を出しておいて、なんとなく気に入ってどうしようかなーと物色してる人に、”これはですね、現物限りでもう追加生産しないそうですので一点限りです。そんなこともありますが、お客様にせっかく弊店に来て頂いたご挨拶の気持ちとして特別に2割お引きします・・・。”と耳元でコッソリささやくのが効果的だそうです。

商売って難しいですよね。でも、自分の店だからこそ、いろいろなトライアルができると言う意味では楽しいことかもしれませんね。

ちなみにALLYさんで置かせていただいている私の作品を次々とお客様が買って下さって、自分でもびっくりしています。本当にこのような場を与えていただけたことに心から感謝しています。ラヴァーグさんに出会えて本当に良かった・・・。

自分のデザインが人様に受け入れられるのだろうかと不安だったのですが、見も知らぬ方に自分の作品を認めていただけたということではじめて自信を得ることができました。

アクセサリーというカテゴリーの商品は、感性で買うものですので、いくら安い値段を設定したとしても、デザインや作りが悪ければ欲しくないものは欲しくないですから、わたしのようなつたなきものの作品を気に入って買っていただけたことに対してとても嬉しく思い、そしてお店とお客様の両方に感謝しています。
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