反戦“命の紙芝居”に込めて
2014/08/06 に公開
あの日から69年、きょうは『広島原爆の日』です。
続きはこちらから（http://rkb.jp/news/news/22204/ ）2014/08/06 に公開
あの日から69年、きょうは『広島原爆の日』です。
あの日から69年、きょうは『広島原爆の日』です。
これから15日の終戦の日にかけて、さまざまな人たちの反戦の思いをお伝えしていきます。
きょうは、『命の紙芝居』を通して戦争の悲惨さを訴える59歳の女性です。
戦時下の世の中を映し出すカルタの展示会場で、上演しました。
いま、大牟田市で、戦時中に子供たちが遊んでいたカルタの展示会が開かれています。
こちらは、太平洋戦争当時の『必勝カルタ』です。
「い～今に見ろ、太平洋は日本海」「よ～よし引き受けた、国内は」その内容からは、遊びを利用して子供たちをも戦時体制に引き込もうとしていた当時の風潮がうかがえます。
この会場で、今週の日曜日、紙芝居が上演されていました。
演じ手は、近くに住む松井小百合さん59歳です。
松井さんの父、渡辺松男さんは現在89歳。
戦時中、特攻隊として出撃していく友人を見送った経験があります。
娘の松井さんは、認知症を患った父親の、ある言動が心に刺さっています。
●松井小百合さん
「(父が)認知症になりかけた頃に、同じ話を何度も繰り返すことがあった。特攻隊になった友達を3人、佐賀の目達原飛行場というところで送る時の印象が、鮮明に残っているみたいで:」
この父親の姿を見て、松井さんは、6年前に紙芝居を始めました。
紙芝居は、地元の戦争体験者から聞いた話を基に松井さんがすべて手作りしました。
この日に上演した作品は3つ。
『かんにんしてね、悦子』は大牟田空襲で長女を亡くした母親の悲痛な思いがつづられています。
●紙芝居を上演する松井さん
「連れてこられた悦子は、背中ば直撃弾でやられ、茶碗くらいの肉ばえぐりとられとって、血も出尽くして止まっていた。地獄たい、戦争は地獄ば作るとたい」
また、墜落した米軍機の巻き添えとなった弟と、その兄を描いた作品『と・ん・ぼ』は、地元の中学生が読み上げました。
●上演する中学生
「家の中に駆け込むとすぐ、どぉんというものすごい音と、地響きがした」
「僕は何もできずに、ただ震えていたんだ」
「兄ちゃん、兄ちゃん。どこからか消えてしまいそうな声が聞こえる。あきお!:」
●参加した中学生
「この大牟田で、こんなつらい事があったことを噛み締めながら読みました。悲しくなって、少し涙が出てきた」
「私たちは体験してないけど、そのことを少しでも理解して、みんなに伝わるようにしたい」
そして、最後の作品は『生かされて』。
戦争と、2度の炭鉱事故を経験した大牟田市の男性が描かれています。
会場に、この作品のモデルになった男性の姿がありました。
大塚泉一さん89歳です。
大塚さんは、自らの体験が語り継がれることに複雑な思いを抱いています。
●大塚泉一さん
「ある面ではいやだなあと言う気はある。実に思い出したくないんですよ、当時のことは。伝えていくことは必要。けど話を聞いた人が、どれだけ理解してくれるのかってことを私は心配しています」
●松井さん
「言いたくないとか言う方もたくさんいるんですよ。そういう人たちの重い口を開いて頂いて、いろんなことを聞いて作った紙芝居ですので、少しでも思いを伝えたいし、100分の1でも1000分の1でも、理解しようとする気持ちが大切かなあと思うんですよね」
大塚さんが、「今の人たちにどれだけ理解できるか心配だ」と感じていることは、そのまま、戦争の悲惨さを言い表しているのではないかと私は思いました。
●大塚さん
「正気では戦争は出来ない。みんな狂気だった。それをまた思い出すというのはね」
この日は、小学生から戦争体験者まで、多くの人たちが松井さんの紙芝居に見入りました。
●紙芝居を見た人
「とても今じゃ思えないように大変だなあと思いました」
「当時のことを思い出して涙が出ました。やっぱりずっとずっとずっと、戦争だけはしてほしくないですね」
自らは、戦争を体験していない松井さん。
でも、父親や多くの戦争体験者の一致した思いは、「二度と戦争を繰り返してはならない」この一言に尽きると確信しています。
だから、これからも紙芝居で訴え続けます。
●松井さん
「興味のない人もたくさんいる。かたつむりのようにのろい活動ではありますけど、続けていかないといけないと思っています」
■スタジオ
戦後69年、戦争の悲惨さを語り継ぐことが、ますます重要になってきています。
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