我が師匠、竹宮惠子先生が「日本漫画学会」のシンポジウムのため、3年ぶりに東京に来ることになり、おりしもその日は偶然~増山法恵(のんたん)さんの三回忌命日だったので、一緒にお墓参りに行きました。
コロナ禍で先生はずっとかなわなかった墓参でした。
朝から小雨もよう。断続的に雨脚が強い時もあり、お墓に着いたらどんな感じかな~?ずっとほったらかしにして、のんたん怒ってるかな?バケツをひっくり返したみたいな雨になるんじゃない??なんて話しながら向かったら、なんと!お参りしている間だけ、ぱぁ~っと雨が止んだんです。
「先生~~のんたん怒ってないね~」
「うん、そうみたい」
そんな話をしながらご冥福をお祈りしました。
そこから所沢に移動して、角川武蔵野ミュージアムへ。
そこで『はじめてのBL展』が開催されています。
現在九州にお住いの竹宮先生は、会期中に訪れることをあきらめていたのですが、たまたま金、土、日は夜の9時まで開館しているので「行ける!!」と思い、車でばびゅ~んとお連れしました。
到着したのが夕刻だったので、スタッフの皆さまをずいぶんお待たせしてしまったのですが、ほんとうに丁寧にゆっくりすみずみまで案内していただき、昔話に花を咲かせながら楽しく見学させていただきました。
今回の展示会は、BLの歴史を年表でまとめた学術的にも貴重な研究発表に近い展示会だと思いました。
外国の方もたくさん見えているようでしたが、この文章の多い展示を理解できたのかしら??と心配になるくらい。
竹宮惠子先生が始めた「少年愛」の世界がやがて「やおい」になり「BL」となっていく過程がぜんぶまとめられています。
ただ、「少年愛」と「BL」は別もの。
私が中学生の時に初めて『ロンド・カプリチオーソ』を読んで衝撃を受け、高校1年生の夏に竹宮先生とサイン会で出会い、後援会をスタートさせた頃、もちろん私は美少年や少年同士の愛憎劇に夢中でした。
ファンクラブの会長を4年ほど勤めた後、強引に押し売りアシスタントとなり、ずっと『風と木の詩』など竹宮作品の耽美な背景(建物より花とか服のレースとか、ジルベールの後ろに飛ばす点々とか)を描いて、しかも、実は『Junne』でデビューしながら、なぜ私はBLを描いていないか・・・というと、BL好きな皆さまには大変申し訳ないのですが、私がこよなく愛しているのは「少年愛」であって「BL」じゃないからです。
機会があったら、ぜひ「少年愛の世界展」を企画してください~~何卒お願いします。
先生がその場で描いたジルベールの色紙が展示されています。
そして、まさかの私の色紙まで
色紙を頼まれるなんて夢にも思ってなかったので、まったく油断していましたー。
私の絵を普通に描いてもなんなので、高校1年生の夏に初めて見たときの竹宮先生を描きました。
こんな立派なアクリルの箱に入れらて、先生の絵と背中合わせに展示されるなんて、考えてみれば夢のよう。あの16歳の夏の自分に「こんな日が来るよ」って伝えても、信じないだろうな(笑)。
展示室の奥は、楽しく興味深い本が家の本棚のように乱雑に積まれたスペース。
居心地が良くてずっとここにいて本を読んでいたい気分になります。
(注):写真は撮れなかったので、オフィシャル写真を拝借しました。
そして奥に、有名な「本棚劇場」がありました。
写真で見るより狭いと感じましたけど、圧巻の空間です!!
1時間に一回0分から始まる「本と遊び、本と交わる」がコンセプトのプロジェクションマッピングも見せていただきました。
本の内容が表紙の外に飛び出してくるような音と映像のシャワーは、本への愛が溢れていて涙が出そうでした。
上から見た図。
ここにある本は単なる張りぼてのディスプレイではなく、テーマごとに本を入れかけているんだそうです。
本当にすごい
その後、開催を翌日に控えた『体感型古代エジプト展 ツタンカーメンの青春』展の内覧をさせていただきました。
狭いピラミッドの入り口から入り、最初の壁をのぞくとその中にはハワード・カーターが発見した副葬品が見えます。
そして隣にはその壁に入っていた巨大な棺。
あまりの大きさに圧倒されました。よくこんなものを作ってピラミッドの中に入れたよね~。
そして次の部屋に行くと、大きな大きな空間に、発掘されたさまざまな副葬品がマトリョーシカのように並んでいました。
これらはすべてエジプトの考古学者監修のもとに作られた、世界に3セットしかないレプリカなんだそうです。三千年の歴史を経た劣化はなく、おそらく作られた当時はこれほど美しかったんだろうな~。
映像と共に不思議な空間に迷い込んだような本当にステキな体験でした!!夜9時まで見られるので、夜に行くと人が少なくて良いかもしれません。
丁寧にアテンドしてしていただいた学芸員の皆さま、ありがとうございました。
ボルダリングなんてやったこともないけど、なぜか上りたくなる建物。
増山さんの墓参にて。2023.6.31.