林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

憂国忌

2020-12-11 | 先輩のお言葉

50年前の11月25日。
三島由紀夫が防衛庁総監室で割腹自殺した日でした。
河童忌・桜桃忌・菜の花忌などがあるけれど、三島の場合は憂国忌。
おどろおどろしく、好きじゃありません。

  

朝日新聞は三島文学や生き様について、大勢の人に語らせました。
しかしながらじじぃには珍紛漢紛。さっぱり分かりません。

当時、後に都知事になった青島幸男の問題発言、

 おかまのヒステリー

が、今でもいちばん分かり易いですね。

  

しかし、三重県県議会議員だった森田治氏91歳の言葉に共感しました。
森田氏は三島の首を刎ねた後割腹した森田必勝、当時25歳の実兄です。
以下は朝日新聞11月13日付オピニオン&フォーラムから要約した。

 必勝は大学を占拠する左翼学生に反発、
 三島さんに大きく影響された。
 三島さんが立ち上げた「楯の会」の活動は、
 充実していたようです。

 事件後、三島さんの遺族が来て「弟さんを巻き込み申し訳ない」と。
 しかし私は「弟は主体的に行動した」と否定しました。
 でなければ、弟があまりに哀れです。

 弟と私は思想信条が違います。だから深い議論は無かった。
 でも日本のため、人々のため、という基本は相通じていたと思う。

 三島作品は難しく取っつき難く、読めていません。
 事件現場で播かれた檄文は読みました。
 戦後日本が真に独立していない事を嘆き、変わるべきだと訴えた。
 三島さんの問題提起は、半世紀を過ぎた今なお色褪せていません。

 隣国との関係改善は大切です。
 米国一辺倒から脱却しなければなりません。
 独立国に他国の軍事基地があるのはおかしいです。

 前回衆議院選挙の時、
 候補者にこの問題を国会で議論して欲しいと要望した。
 しかし彼は「難しい」と言葉を濁すだけでした。

 現代日本は効率や利潤追求に明け暮れ、
 経済第一主義が加速している。
 道義心は薄れ飽食と消費に明け暮れている。

 三島さんはそうした社会の荒廃に警鐘を鳴らしたのでしょう。
 弟が今の日本を見たら、ひどく嘆くに違いありません。

  

三島の作品で読んだ記憶のあるものは、
潮騒宴のあと午後の曳航仮面の告白複雑な彼
青の時代不道徳教育講座
どれもが面白かった。

流行語になった美徳のよろめきも読んだはずですが、
鏡子の家ははっきりしない。
金閣寺は難解でしたね。

最晩年の長編三部作は、三島の行動が奇怪で、読む気にならなかった。

  

  芸術新潮の今月号は三島特集です。
  こちらは図版が多く、執筆者は多士済々。
  年末年始はブログを休み、読もうか、と思っております。

  瀬戸内寂聴さんが12月10日朝日朝刊・残された日々に
      懐かしい。二人だけの思い出は自分が書き残しておくべきか
   と書いている。
期待しよう。

  挿絵は新潮文庫「yonada?」から。

  201218



最新の画像もっと見る

コメントを投稿